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第17話~え?オプスキュリテ?~

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狼達と戦いが終わりなんとか生き残れたが、
俺も翼も満身創痍だった。俺は左腕と右足を噛まれてまともに動けない。

めちゃくちゃ痛い…手当てしないとこのままだと破傷風になってしまうかもしれない…

何かないかとアイテムボックスから漁ると液体の入った小さな瓶が3つあった。

確かこれも師匠に絡んできた人間が渡してきた物だったはずだが、師匠が言うにはポーションらしい。

この世界では治癒魔法はなく、もっぱらポーションに頼るもので、ポーションは主に冒険者や隊商が使っていて魔物と戦いケガした時等に使われるらしい。

とりあえず効くかどうかわからないが、動かせる右腕で痛みを我慢しながら噛まれた左腕に少しずつかけてみる。

するとほんの少し光ったかに見えたが同時に痛みが引いてきてみるみる傷口も塞がってきた。

動かしてみたが問題なく動かせたそのまま右足にもかけたが左腕と同じように傷口も塞ぎ痛みもなくなった。まだ少し残っていたので飲んでみるとさっきまでのダルさもなくなり身体も楽になってきた。

効果を確認して傷だらけの翼にもポーションをかけ、飲ませた。すると翼も傷口が塞がり元気に起き上がる。


「翼どうだ身体の調子は?」

「おお!何か知らんけどめっちゃ身体が軽くなったわ!一体なに飲まされたんや?」

「ポーションだ、この世界では結構メジャーなものらしいんだが、たまたま持ってて良かった。」

「そうなんか、何にしても助かったわ、ありがとな!」
「お礼を言うのはこっちだよ最後は翼がやってくれたじゃないか、ありがとう」
「な、何や改めて言われると照れ臭いな」

お礼を言うと翼は少し恥ずかしがっていたが、何よりお互い身体も回復し無事も確認もできて、一先ず安堵したが、アドレナリンも出ていて寝るどころではなかったのでこのまま進むことにした。
だがその前に、倒した狼達の死体をそのままには出来ないし買い取りも出来るかもしれないのでアイテムボックスに入れていき当初の予定通り川沿いを進ち、街を目指した。
まだまだ暗いが一応持っていた松明をつけてある程度明かりがあって川も目印になってるから問題なく進めるし、あれ以降魔物に遭遇せず問題なく進めた。

けどこの世界に来てからファングベアといい、さっきの狼といいとんでもない魔物にしか出会ってないけど、俺そのうちホントに死んじゃうんじゃないかな…

そんな事考えながら進んでいくと段々空が明るくなってきた。ずっと歩いてきたって事だが結局街らしき場所は見当たらなかった。

流石にキツイなと思いその場に座り同時に、相変わらず俺の肩に乗っかっていた翼も肩から降りて大きく欠伸をした。

「疲れたな…」

「疲れたな…」

お前歩いてないだろ!と言いたいかったが助けてもらってるし心の中で抑えた。


「こんなに歩いたのに見つからないとまた野宿になるな。」

「いや、もう野宿は嫌やで?少なくともここでは2度とゴメンやわ」


それは俺も同感だし、何としても避けたい。
どうにかしないといけないと思い身体を大きく伸ばして空を見上げた時、煙がいくつか上がっているのが見える。


「翼!煙が上がってる!」

「煙?どこからや?」

「ほら!あそこ!あの坂の向こうだよ!」

「坂の向こう…ほんまや!煙が上がっとるわ!ということはあそこに!」

「あぁ、人が住んでるかもしれない!行こう!」


そう言うが早いか動くのが速いか俺達は疲れも忘れその煙に向かって走り出していた。
そして坂を登りそこから見た景色に俺達の眼は希望に輝いたそれは俺達が求めていた街があった!

俺はいてもたってもいられず翼を抱き上げながら走り一気に街の門まで向かった。

門は既に開いていて兵士が2人立っていたが俺が思いっきり走ってきたからヤバい奴が来たと思って驚き身構え、俺を止める


「と、止まれ!何だお前こんな朝っぱらから、しかもそんなボロボロで一体どこから来たんだ!」

「はぁはぁ、す、すいません国境の所から川沿いに向かって歩いてようやく見つけたもので…」

「国境ってお前この国初めてか?」
「は、はいレナール王国から来ました。」
「レナール国境から来たのか?それなら真っ直ぐ行けば半日で着いたのに随分遠回りしたな?」
「え?そうだったんですか?すいません地図もなかったので分からなくて…」
「まあ無事について何よりだ。それより街に入るのだろう?ギルドカードや身分証を見せてくれ」

「あ、はいこれです。」


俺はギルドカードを見せた。

「何だお前、見かけによらずBランクの冒険者だったのか!じゃあ遠回りしても大丈夫だったか!」

「え?どういう意味ですか?」
「川沿いを歩いたって事は森があっただろ?あそこは夜になると危険な魔物が潜んでるから、普通夜は近づかない場所なんだ。」
「危険な魔物…あの、因みにどんな魔物がいるんですか?」
「まぁ色々いるが一番危険なのはオプスキュリテという黒い狼だな。あれは夜になると群れをなして襲ってくるからなもし見かけたらすぐに逃げた方がいい魔物だな。まぁ見かけた所で出会った時点でおしまいだがなハハハッ」


黒い狼…確実にあれだな…そんな危険な魔物だったんだ…ってかホントに危険な魔物にしか遭遇してないな。


「そうだったんですね…あ、あのもう入っても大丈夫ですか?」
「ん?あぁ大丈夫だぞ。後お前が抱えてるのはクーン・ベアだろ?お前の従魔か?」
「誰が従魔やねん!俺は…ムグムグ!」

俺は喋りだした翼の口を急いで閉じた
ややこしくなるから喋るなよ!

「ん?何か言ったか?」
「え?あ、いえ何でもありません!そんな感じです。」
「ならいいが、気をつけろよ?クーン・ベアとはいえ人に危害を加えたら大変だからな、ちゃんと管理しろよ?」

「わ、分かりました。」


そして、俺はケイン王国での最初の街、カルムに入った。
とりあえずまず俺達が向かうのは…宿屋だ!






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オプスキュリテ…フランス語で闇という意味です。

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