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第50話~え?結婚?~

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一寸先は闇…

これから先の事はどうなるかわからないという意味だが、まさに今がその言葉通りだ…
竜人族の里に来てから3週間
今俺達は竜人族の人達に囲まれながら祝宴をしている何故そうなっているかというと、里長の体調が回復したからだ

「アオイ殿!遠慮せずどんどん食べてくだされ!」
「これ、ブルスタイン!あまりアオイ殿を困らせてはならぬぞ?」
「姫様!そんな堅いことは言わないでくだされ!アオイ殿はこの里の英雄であり偉大な戦士なのですぞ?」
「全く…最初はアオイ殿の首を切り落とすとか言ってたくせによくもまぁそこまで変わるのぅ」
「うっ…そ、それを言われますと…」
「やれやれ、さ、アオイ殿気にせず召し上がってくだされ今日はお祝いなのじゃから」

ネフリティスさんも色々言っているけどその顔はとても喜んでいた。
どうする事も出来ないと諦めてた里長が良くなったんだから当たり前だ。
つばさは相変わらず飯と酒をかっくらって
リノンは初めて食べる料理で興味津々で食べている。
里長も万全ではないが起き上がり普通に喋れている。

ところで何故里長の病気が治ったのか?
それは俺が薬を作ったからだ。
いや、正確には俺が薬師さんと話をして薬を作ってもらった結果それが上手くいったのだ。
ではどうやったのか?
まず俺がアプローチをかけたのは「クローン病」だ。何度も言うが俺は医者ではないから正確な治療や薬は分からない、わずかな情報だけで探るしかなかった。
里の薬師さん達はとても優秀でどんな効能のある薬があるかと聞いたら詳しく教えてくれて助かった。
そうやって薬を調合したが薬師さん達もしたことがない組み合わせで不安そうだったが少しずつ飲ませていったが1週間位で容態がいい方に変わっていった。
後は食事の方も改善していった
話を聞くと竜人族の里では香辛料を使った料理が多いとの事で今まで出してた料理や薬湯にも少なからず入っていたみたいだ。
内蔵のしかも消化器系に異常がある時に刺激の強い物を入れてたのを出していたならそれはいつまでも治らないはずだ。
だから俺は食事の方でも香辛料を使わない、そしてタンパク質を少しでもとれるように豆と鳥肉を入れた料理を作ってもらえるように料理人の人にも説明をした。
幸いこの世界にも鳥肉は使っているし、大豆に似た豆類なんかも豊富にあるから問題なかった。
数種類の豆を煮て食べやすいように細かくした鳥肉も入れた。
そうやって少しずつ薬師さん達と試行錯誤しながら薬や料理を作り、そしてそれだけだでなく里長の足回りの筋肉をほぐしたりストレッチを行い固まってしまった筋肉を動かしたりして少しでも回復出来るようにした。
そのお陰か里長も段々元気になってきて起き上がる程度に回復した。
それを見たネフリティスさんを始め皆が泣いて喜んでいた。
まだ全快とはいかないが、顔色は大分良くなってくれた。
とりあえずもうしばらく続けていけば何とかなるだろう。

そして今に至る

「ホントにアオイ殿には感謝してもしきれぬ母様があのように元気な姿を再び見ることが出来るなんて…」
「いえいえ、そんな俺は大したことはしてないです…」

正直今回のは賭けに近かった…たまたま上手くいったからいいものをどうなるか不安だった。
何故ならそう簡単に治る訳がないのだ。
この世界には薬もなければ医者もいないその中でここまで上手くいったのは謎だ
師匠ならともかく俺なんかの知識ではこの先どうする事も出来ない事もあるかもしれない。
その時俺はどう行動するだろうか?
非情な判断も必要になった時それを言えるだろうか?その時に正しい判断が出来るのか…

「アオイ殿?どうしたのじゃ?難しい顔をして?

「…え?あ、あぁいえ少し考え事を…」
「?ならいいのじゃが、もしかして母様の事かぇ?」
「はい、今回は良かったんですが、これから先また上手くいけるかどうかと…」
「大丈夫じゃ、アオイ殿は最後まで真摯にやってくれた。どのような結果であれ誰もアオイ殿を攻めるような者はおらぬよ」
「ネフリティスさん…」
「だからアオイ殿はもっと自信をもってたもれ」
「ハイ…ありがとうございます」
ボソッ「それにそんな時我が伴侶になる人を支えるのが妾の務め」
「え?今何か言いました?」
「い、ぃいや!何でもないぞょ?」

?どうしたんだろ?
そんな時従者の人が里長を連れて俺達の所へ来た

「アオイ殿と申しましたね?私はこの竜人族の長でネフリティスの母のパーラと申します。このようなお見苦しい姿で申し訳ございません。」
「そんな、こちらこそわざわざ申し訳ございません」
「よろしいのです。アオイ殿は私の命の恩人なのです。感謝しても仕切れぬくらいです」
「そんな俺はなにも…むしろ薬師さんや料理人の方達のお陰で薬や食事が出来たのですから」
「アオイ殿は謙虚なのですね。いえ、だからこそ娘に相応しいです」

ん?娘に相応しい?どういう事だ?

「あ、あのどういう意味でしょうか?」
「あら?アオイ殿は娘と結婚するのではないのですか?」

はぃぃぃぃぃ!?
どういう事でしょうかぁ!!


※今回登場する治療法は実際のとは異なります
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