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第54話~え?それは絶対嫌です!~

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カルムの街に戻ってから2週間後。
いつもながらに色々あった

まずは今回の依頼だが一応ドラゴンソチィスは討伐という形でヘイルダンさんがしてくれたが、内容が内容なので今回の依頼でのリノンのランクアップはなしだった。
だが他の依頼をしっかり行えばランクアップは認められるということでリノンも納得してくれた。
そして今回の報酬だがドラゴンソチィス討伐の報酬で金貨10枚そして各素材が
鱗が260枚
牙が300枚
爪が800枚
骨が190枚
眼が4つで150枚
内臓が230枚
血が200枚
合計で2140枚になった。
うん、最初聞いた時何度か頭の中で確認したよね…こんな大金貰った所でどうすればいいのよ、とりあえずこれだけあれば当面の生活には困らないだろうけどありすぎても困るよな…

まぁすぐに何か使うわけではないし
皆でそれぞれ山分けにしようと提案したら皆要らないと言ってきた。
流石にそんなわけにはいかないので全員に無理矢理100枚ずつ渡した。
ネフリティスさんには特に多めに渡そうとしたが俺と2人の結婚資金と言ってきたが何故俺とそんなに結婚したがるのだろうか…とりあえずネフリティスさんの分は別にして残りも同じようにアイテムボックスに入れた。この中なら安全だしね。
因みに受け取ったその日は美味しい物をたくさん買って皆で楽しんだ。

後ネフリティスさんが住むことになったから必要な家具を買い揃えるのにも使わしてもらった。ベッドを買ったあの店でベッドを含め色々買った。
この時ネフリティスさんも一緒にいたのだがベッドなら2人で使えばいいと言ってきたが丁重に断った。
そんな事されたら寝るに寝れん…問題は部屋だがこれはすぐに解決した。
今俺達は3階にそれぞれ住んでいるが実は一部屋使ってないのがあったのを思い出しそこを使ってもらうことにしたのだがここでも一緒の部屋がいいと言ってきたがそこまで広くないし、もしそんな事したら俺の身が持たない…
ネフリティスさんを何とか宥めながら買い物を済ませ部屋を掃除して、無事に部屋は完成した。
こうして濃厚な数日間が経過したがその後は何事もないまま過ぎていったがもう1つ変わったことがある。
それはつばさとリノンが2人でギルドに行くようになったことだ。
リノンも早くランクアップしたい気持ちとつばさも刺激を求めたいという戦闘狂がシンクロして2人で依頼に挑み主に魔物討伐を行っている。そしてネフリティスさんもリノンと一緒に食事を作ってくれたり、依頼に行くときは2人に魔物の特徴とかを教えてアドバイスしてくれてるみたいだ。
最初はどうなるかと思ったけど上手くやってくれて何よりだ。
俺はと言うと本業である整体を順調に行っていた。
あれから人も増えてきて忙しすぎず充実な日を過ごしている。
そんなある日の事だ。
今日はつばさ達3人はいつも通りギルドに行って依頼を探しに行ったリノンも次達成すればいよいよEランクになれるらしくてとても張り切ってたよそんなリノン達を見送って、俺は仕事を始めた。
この日は珍しく人が来なかったが昼近くになってようやく1人来たかと思ったら見たことのない人が入ってきた。
見た目は爽やかな金髪碧眼の若い青年だった

「こんにちは、初めての方ですよね?」
「やあ!そうなんだ、実はある人の紹介でここに来たんだ!」
「あ、そうだったんですか?誰の紹介ですか?」

俺は一応大抵の人の顔や名前は覚えているが誰の紹介だろ?

「そうだね、君達の言葉で分かりやすく言うと「残念猫背女神」と言った方がいいかな?」

…うん?今この人何を言った?
残念猫背女神と言わなかった?

「あ、あのごめんなさい、もう一度言ってもらってもいいですか?」
「うん?だから「残念猫背女神」ユノリスの紹介で来たんだよ」

間違いないこの人残念猫背女神と言っている。そしてその紹介で来たということはこの人も…

「あの、もしかしてあなたも…?」
「そう、僕は鍛冶の神「エレロ」だよヨロシクね!」

やっぱり…まさか違う神様が来るなんてどういう事だよ、

「えぇと、エレロ様でしたっけ?どうしてここにいらしたんですか?」
「ハハッそんな固くならなくて大丈夫だよ!実は君は結構神界では有名でね大体の神達が君の事を観てるんだよ」
「え?な、何でですか?」
「ほら、君はユノリスに間違えられて色々目をつけられてるでしょ?だから僕達も気になってたまに覗いてるんだよ」

えぇ…何それ、完全に娯楽要員じゃんそれ…
俺がそんな顔をしていると

「しょうがないでしょ?神とはいえ長年生きてると楽しみがなくなって暇になってしまうんだから、だから君みたいな人間がいると楽しいんだよ」

顔に出てたのかそう答えてくれたが、神様といえど暇なものは暇らしいたから地上で面白い事があったら皆観ているらしい。
まぁあの猫背女神みたいに干渉してこない分いいけどね。
とりあえずお客さんとして来てくれたので身体を診ていこうと思うけど話を聞くと、鍛冶の神ということで工房でずっと籠りっきりの時も多く首肩や眼が疲れるらしい。
神様といえど疲労はあるらしいからしっかりやろうと思うが、せっかくだからこの間貰ったばかりのスキルも使ってみようと思い使ってみたら
微妙なスキルだったわ
筋肉に関してはそれぞれ
「眼輪筋」「皺眉筋」「後頭下筋群」「小円筋」と数々の筋肉が出てきたのは変わらないが左側に詳細が出てきた。
まずは顔周りの筋肉の所で
「このまま放っておくと常に力が入りすぎてしまい眉間に皺が出来るだけでなく深くなる」
そして首周りのところは
「首が前に出すぎてしまいストレートネックになり極度の頭痛や首肩凝りになる可能性が高くなる」

何だろうもっと色々書いてあるのかと思ったけど、意外と浅かったなレベルが低いせいなのだろうか?
よく分からんが今は気にしないでおこう
とりあえずエレロ様の場合は普通に首肩周りを行いつつ、仰向けになってもらいホットタオルを用意して目元を温めつつ顔周りの筋肉をほぐして整えていった。
久しぶりにヘッドマッサージも行ったので試すようで悪いけど小顔のリフトアップとかもさせてもらった。
元々きれいな顔立ちだったが整えたことでより端麗な顔立ちになってくれた。
これにはエレロ様も凄く喜んでくれた。

「へぇ凄いねこんなに変わるもんなんだって知らなかったよ!」
「満足いただけたようで良かったです」
「本当にありがとうね。首肩も大分楽になったし、これならまた仕事が出来そうだよ!」
「変化は出てますけどあまり没頭しないように気をつけてくださいね」
「ハハッ気をつけるよ!そうだお礼だけど僕もスキルをあげようかと思ったけど、あまり増えても困るでしょ?だからこれから神界に連れていって僕らの専属にならないかい?」
「えっ!?神界へ?」
「そうそうそうすれば君も神になれるしずっと生きていけるようになるかもよ?」

いや、絶対嫌ですけど!?
ただでさえ異世界に連れてこられて、挙げ句の果てには神界へ!?
嫌ですよ絶対!
しかも神になる?!ずっと生きていける?
どれだけ働くのさ俺!
絶対行かないからね!

「いや、あのすいませんそれは流石に…」
「ハハハッ冗談だよ!そんな事はないから安心していいよ」

冗談かよ!ってか笑えねえよその冗談!!

「まぁ僕からはこれをあげるよまだ試作だけど充分使えるアイテムだよ」

とエレロ様がおもむろに3つの指輪を渡してきた。
それぞれ赤、碧、翠の宝石がついたような指輪だがエレロ様いわくそれぞれの宝石に特殊な魔力を込めた魔道具で魔力がない人でも使えてそれぞれ能力が違うらしい。

赤はプチアイテムボックスみたいなもので大容量ではないが家一軒分の量は入るらしい。それでも充分だと思うけどな。

碧は肉体強化の指輪で筋力含め身体能力が飛躍的に上がるみたいだ。但し飛躍的に上がるとはいえそれに耐えられるだけの肉体でなければ身体がもたないらしいので常に身体を鍛えていた方がいいらしい。それでも凄い力だと思うけど


そして翠はその場にある自然物を操れる指輪で、中級~上級レベルの魔法が使えるみたいなものらしいがその場にない自然は使えないらしい。例えばその場に水場があれば水魔法が使えるが火がなければ火魔法が使えないみたいだ。そんな制限があっても中々チートだと思うが…


これってとんでもない魔道具なんじゃ…
持ってて大丈夫なのかな?

「まあ試作品だから気にせずに使ってみてね。また来るからじゃあね!」

と言いながらエレロ様は帰っていってしまった。
1人残った俺はこのとんでもない魔道具をどうすればいいかと考えながら呆然と立ち尽くしていた。





※エレロ…スペイン語で「鍛冶」という意味です。
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