異世界に来た整体師は実は最強!?

白兎

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第79話~え?く、苦しい!~

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ドンチャン!ドンチャン!

「めでたや、めでたや!今日はなんと素晴らしい日かな!」
「ついに姫様がっ!」
「まことに良き日だ!」

今とてつもなく目の前で酒宴が開かれドンチャン騒ぎが起きている…

勿論目の前にいるのは竜人族の方々だ
皆飯や酒を飲んだり食べたりとすごい盛り上がっている…勿論そこにはつばさやリノン達も混ざっている…
目の前でそんな事が起きているのを見ている俺の隣には白無垢のような衣服を着ているネフリティスさんが座っている…
何故このような状況になっているかというと少し遡る。


新居が完成したあの日俺は泣き崩れるネフリティスさんに向けて答えを出した。
それは
「まずは貴女の事が知りたいし、俺という人間を知ってほしい」と
俺はネフリティスさんの事を知っているようで知らない。
そしてネフリティスさんも俺の事を知らないだからこそまずお互いの事を知っていく。
そしてその人の人となりを知りそれでも一緒にいたいと思えたらその時は…と
俺が今彼女の為に言える精一杯の気持ちを彼女に伝えた。

そう、伝えたのだ…
だがそれがいけなかった。

なぜならそれを言った瞬間ネフリティスさんが俺を抱き締めてきた、いやそれについてはまだいい、俺も自然と彼女の背中に腕が伸びたのだがすぐに異変に気づいた。
何か…苦しいぞ…?
何故だと思ったが俺はすぐに気づいた!

ネフリティスさんの力が強すぎるのだ!
それもそのはずだ。
ネフリティスさんは見た目は清楚なお嬢様っぽいが、竜人族という種族ということだ
いくら見た目が華奢でも人間ではないのだ!ましてや竜ともなれば力が違いすぎる!

そんな「竜人族」が今普通の「人間」である俺に抱きついているのだ!
しかも感極まった状態で抱き締めているからさらに力が入っていたのだろう。
尋常じゃないくらいにしめつけてきたのだ!
俺は何とかして引き剥がそうとしたが無理だった…そしてしめつけられてきているので声もでないから助けてもらえない…

端から見たら気持ちが通じたことでお互い抱きしめあっている感動的なエンディング場面かもしれない、
だが今まさに俺の人生がエンディングに近づいている…!
ダメだ…もう、意識が保てない…

「アオイ殿?」
その言葉を最後に俺の意識は遠ざかっていった…

…どれだけの時がたったのだろうか?
俺はうっすらと意識が戻ってきた。
辺りは暗く微かに何かが聞こえてる気がした…
あぁこれが死なのか…やっぱ天国なんてなくて、こんな暗闇の世界が広がっているだけなのか…なんて呑気に思えてる…
頭の中がぼんやりとしていてなにも考えず俺はただ流れに身をまかせ今までの人生を振り返っていた。

「思えばあっけない最後だったな…やっと店を持ったと思ったら間違えられて異世界に来て、つばさやリノン、師匠達や色んな人に出会ってそして最後はネフリティスさんに絞め殺される…俺らしいと言えば俺らしいか…ハハハ…まぁいいや今はこのままゆっくり休もう…」

そう思いながら俺は再び身をまかせようと思ったが、ふと気づいたことがある。
何かやけに顔に風が当たるなと…
気のせいかな?と思ったが…実際に当たっているし、さっきから顔をぺちぺちと叩かれている気がする。
もしかしてまだ死んでないのか?

そう思った時、俺の思考が一気に加速し目を開き起き上がった!
周りを見渡すと目の前には驚いた顔をしているつばさ達がいた。

「…つばさ?ここは?」
「おぉ!やっと目が覚めたかアオイ?急に倒れたからびっくりしたで!」
「倒れた…?そうだ俺、ネフリティスさんに抱きしめられてそのまま意識を失って…」
「そうなんです!私達も最初気づかなくて、師匠が急に意識を失って倒れたんで大変だったんです!」
「リノン…それでここは?
「ネフリティスさんの上です先生!」
「ネフリティスさんが慌てて竜化して私達を無理矢理乗せたと思ったら里に行くと言ってそれで…」
「イメラ…それにミナス…」

そう言われて俺は改めて周りを見るとそこは確かに前にも乗ったことがある場所だったそして落下防止用だろうか?俺の身体にはロープで固定されていた。

状況を聞くとネフリティスさんが俺を気絶させた後すぐに異変に気づいて何とかしようとしたが全く意識が戻らず慌てた結果里長に訪ねようと言って俺達を無理矢理乗せて飛び立ったようだ。

だが、俺はすぐに疑問に思った。
何故里長に聞くのかと?
それよりもギルドマスターのヘイルダンさんに聞けばいいはずだ。それなのに里長の所に行くなんて、俺はこの時1つの答えが出た。
ネフリティスさんは里に戻り外堀を埋めて既成事実を作ろうとしているのではないかと…
俺はそう思い彼女を見たが、気づいているのかいないのか?こちらには一切見向きもしない。
結果的に俺(達)は2度目の竜人族の里に向かいそこでとてつもない歓迎をされるのであった…。
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