異世界に来た整体師は実は最強!?

白兎

文字の大きさ
81 / 84

第81話~え?勝負するの?~

しおりを挟む
俺がネフリティスさんに気持ちを伝えようと思った瞬間。
突然大広間の扉がバタンと大きな音をたてながら開き、数人の男達が入ってきた。
その瞬間その場にいた人達は皆しんとした

「邪魔するぞ!」
そう言いながら一番前にいた男が真っ直ぐに俺達の、いや、ネフリティスさんの所に真っ直ぐ向かっていった。

「ネフリティス殿久しぶりだな!」

男は立ったままネフリティスさんに話しかけてきた。

「これは辰砂殿、久しぶりですな。今日はいかような用で?」
いつもの感じで話しているようなネフリティスさんだが明らかに不快感を出している。一体この辰砂?という男とどんな関係なんだ?

「これはこれは随分な挨拶ではないか?こうして婚約者が来たというのに!」

ん?ちょっと待て?今この男婚約者と言ったか?だがネフリティスさんからそんな話し聞いたことないし、いったいどういう事だ?そう思ったが答えはすぐに出た?

「婚約者?これは異なことをおっしゃる辰砂殿は確かに妾の婚約者であったがそれはあくまで候補の1人じゃったはずじゃが?しかも妾との力比べで負けてもはや候補ですらなかったはずじゃが?」
「ふん!減らず口を!確かにあの時は油断したが今はもう負けんわ!それにそんなことを言っていいのかな?こっちはそなたが必要なものを持ってきたというのに」
「必要なもの?」
「そうだとも!そなたの母親であり里長でもあるパーラの病を治す薬だ!」

と叫びながら懐から何やら小瓶らしき物を出してきた。

「どうだ!欲しいだろ?そなたが死に物狂いで探しておった薬だ!」
「ほぅ薬とな?」
「そうだ!これを飲めばたちまち不治の病も治るだろうな!だがただではやらんぞ?こっちも命がけで手に入れてきたのだからな!欲しければ俺と契りを交わすと今ここで誓うのだな!そうすればこの薬を渡してやる!」

そう辰砂がにたぁと笑いながらネフリティスさんに言ってきた。
条件というより脅し、だよなこれ。
しかも後ろにいるやつも同じようにニタニタ笑っているし、どう見ても気持ち悪い。
そしておそらくだが、あの薬は偽物だろうな。
いくらなんでもそんな万能薬があったらネフリティスさんが情報を掴めているはずだし、命がけで手に入れた割には全然ケガもしてないし、何よりタイミングが良すぎる。
俺がそう思っていたらネフリティスさんが答えた。

「フム確かにその万能薬があれば母の病気がなおるやもしれぬな」
「そうだろう?なら俺と契りを…」
「その薬が本物であればな!」
「…どういう意味だ?」

先程まで余裕のあった辰砂の顔がわずかだが曇った

「そのまんまの意味だが?その薬が本物であればまず母様に飲ませてみればいい」
「話を聞いていなかったのか?俺と契りを交わせば渡すと…」
「なら今飲ましたとしてもかわらぬのではないかぇ?それが本物で今母様に飲まして治ったならば妾はすぐにでも契りを交わしてもいいのだ。だから今すぐ飲ましてみるがいい!」
「き、貴様!自分の立場が分かっているのか?そんなことを言えばこの薬は二度と手に入らぬぞそれでもいいのか?」
「かまわん!」
「なっ!」
「元よりそんな効くかもくかもわからぬ怪しい薬で妾を脅して契りを結ぼうなど竜人の風上にも置けぬし、何より妾は自分より弱いものと等契りなど結ばん!大体妾にはもうすでに心に決めた者がおる!このアオイ殿がな!」

と言いながらネフリティスさんは俺を指さした。
勿論彼らの目線は俺の方に向く

「フ、フフフ。ハァ~ハッハッハ!誰かと思えばさっきから視線に入っていたこのわっぱか!こんな小物を伴侶に選ぶなど冗談にも程があるわ!竜人族でもないこんな矮小な人間を選ぶなど竜人の姫君が聞いて呆れるは!」
「ふん!そうやって竜人以外を下に見てる時点でそなたはダメなのじゃ!それにアオイ殿はただの人間ではない。妾の母様の病を治した者だぞ!」

と言った瞬間辰砂の顔色が変わった

「なんだと?」
「アオイ殿はわれらの知らぬ知識を使い薬を作り母様を救ってくれた整体師なのじゃ!」
「セイタイシ?なんだそれは?」

そんなことを言うもんだからネフリティスさんは整体師とは何なのかずっと話していたが、やれいかなる病気も治す。やれ人の姿すらも変えるなどかなり尾ひれがついた話をしている。かなり間違っている部分もあるのだが、訂正しようにもネフリティスさんの勢いが強すぎて止めるに止められない・・・。

「しかもアオイ殿は吾郷でも1、2を争うブルスタインをたった一撃で倒したSランク冒険者なのだぞ?」
「な!Sランクだと!?」

ここで初めて驚愕の顔を見せる辰砂だが、ネフリティスさん止めてください、それ以上何か言われるとものすごく嫌な展開になりそうなんで…

「おもしろい!ならばここで勝負をしようではないか!正直そうは見えんが、本当にSランク冒険者なのか見てやろうではないか!」

ほらね、やっぱりこんな感じになったよ…しかもSランクに見えないのはまさにごもっともです。俺もいまだに納得してないし…

「おまちなさい!」

そう声を上げたのは里長でありネフリティスさんの母でもあるパーラさんだ

「辰砂殿仮にも西の竜人の里の長だとしても、突然訪問し傍若無人な態度、さすがに見過ごすことはできませんよ?」

まじかよこいつ別の里長だったのかよ、すげぇやばいやつじゃん!
しかし流石パーラさんこのまま戦いは無しにしてくれ…

「ですが、信じられないのも信じろと言いても無理があるでしょう、ならば納得してもらう為にお2人には力比べをしてもらいどちらが娘にふさわしいか勝負してもらいましょう」

おぉ~い!パーラさん何言ってくれてるんだ一体!
そんなの受けるわけないでしょ!なにさも当たり前のように言っているんですか!
やりませんよ俺は向こうだって断るに決まっ…

「いいだろうパーラ殿の顔を立てその勝負受けて立とう!」

受けて立つなぁ!
何でそんなにやる気に満ち溢れているんだよ!いや、つばさといい、師匠といい、こいつも俺の周りには戦闘狂が多くないか?普通の人間はどこにもいないのか?

「婿殿もそれでいいですね?」

パーラさんいいですね?と言いながらもう決定事項になってますやん…
しかもしれっと婿殿って言ってるし…そう言うってことは俺が勝つことを信じてるって事だしネフリティスさんの顔を見ても俺の事を真剣に見てるし、嫌だと言えないよこれは…だから俺の答えは

「…わかりました。この勝負うけます」

俺の言葉を聞いて周りの人達は騒ぎだし一気に準備しだした。
こうなった以上やるしかないけど、果たして俺は勝てるのだろうか?

だがこの後行われる勝負で再び騒ぎ出す事を俺はまっだ知らなかった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。 「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...