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第8章 七魔将軍 ナント編〜後悔を背負って〜
第五十二話 明日へ、夜が明ければ朝日は登る
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ザギル達はショウとシランのいる屋敷を見つけていた。
「これが『デッドループ』か。」
「なんつう~結界だよ。」
「これは…壊せないね。」
「なんでだよ。力尽くでぶっ壊せばいいだろ?」
と言うとオーツは、剣を振るった。しかし、ヒビすら入らなかった。オーツは驚きながら、
「ど、どうなってんだ?いつもなら、ヒビくらいは入んのに。」
と言いながら下がった。ヨナギは、
「これは、縛りによって作られた結界だ。人数制限に場所の制限、その他にも範囲を狭めて結界の強度を上げてるんだろ。だから、普段の結界よりも強固に作られている。」
と言った。そしてある場所を指して、
「多分入れんのは、あの数字が『0』じゃなくなってからだろう。」
「つまり…」
「誰かが死なねぇと入れない。」
とヨナギは冷静に言った。そんなヨナギにレンカは、胸ぐらを掴んで、
「何で冷静でいられるの?自分の生徒じゃないから!それとも、死んでもどうでもいいの!ねぇ!答えて!」
とヨナギに怒鳴った。ヨナギは、
「レンカは大きな勘違いをしてんな~」
と頭を掻きながら言った。
「勘違い?」
「まず、シラン達は『俺の生徒』だ。お前が休職の間、兼任させられてるんだよ。」
「え…」
「だから死なれたら困る。けど、同時にシランなら大丈夫だと信じている。」
「なんで…」
「あいつは、考えなしに行動しない。いつだって、どんな依頼の時でもベストを考えていた。だから俺はシランを信じるだけだ。」
と真剣な表情で言った。レンカは手を離して、
「ごめん…また取り乱した…」
「何度も言うが、気にするな。それだけ生徒を思ってるってことだろ?教師に必要な要素じゃねぇか。」
「うん…ありがとう…」
と言って涙を流した。ヨナギはそんなレンカの頭をなでてあげた。テンクウは、
「シラン、大丈夫かな…いつも無茶ばかりするからな…」
と心配した表情で呟いた。それをボークンは、
「気持ちはわかるが、今は祈るしかない。」
とテンクウの側でそう言った。
『死ぬんじゃないぞ、俺の唯一無二のライバルよ。』
と心で思いながら、拳を強く握った。
ショウとシランは互いに氣を高めて、
「魔眼:覚醒+霊気 解放」
「特殊スキル:獣魂開放」
とショウは「魔眼」を覚醒させて、霊気を纏わせた。一方のシランは、赤と青の火が強力になり、髪や尻尾が炎のように揺らいでいた。ショウとシランは、互いを見やり、
『あれが「特殊スキル:獣魂開放」か。前に闘った獣人よりも強い力だ。それに魔力と妖力が高まった。』
『「魔眼:覚醒」か…この半年ぐらいでそこまでの力を手に入れたのか。更には俺も手に入れれなかった「霊気」も纏えるとは、ショウはどこまで強くなる気だよ。』
と評価していた。ブランクルはそんなのお構いなしに襲った。それを2体は難なく避けて、
「終の拳:楽胴牙」
「火の妖術:第弐式 巻牙火」
とカウンターを仕掛けた。ブランクルは、
「霊命混濁・命炎海」
とショウとシランの技を消し去った。ショウとシランは、技を消し去られた瞬間近付き、
「終の拳:天陽漿顎」
「火の妖術:第陸式 閻火」
と再度攻撃を仕掛けた。ブランクルは、
「まだ行けるよな!」
と楽しそうな顔で言った。そして、
「死炎爪牙」
とショウとシランの攻撃を受け止めた。
「チッ!傷さえついてない!」
「さすがは『ワールドプレシャス』の力だな。有り得ないくらい強いな。」
「さぁさぁ盛り上がっていこうぜ!」
「借り物の力で調子に乗るなよ!」
「全くだ!すぐにぶっ倒してやる!」
とショウとシランは、同時に拳をくらわせた。ブランクルは、攻撃をくらっても平気そうにして、
「お返しだ!」
とショウとシランに蹴りをくらわせ様とした。ブランクルの蹴りをショウが受け止め、シランは蹴りをはなった。ブランクルはもう片方の足をショウに絡ませ、ショウの態勢を崩した。ショウはシランの蹴りを腕でガードした。そこをブランクルが、
「挟み撃ちだ!」
とショウを蹴ろうとした。ショウは焦らずに、
「魔眼:覚醒 時空の主導者:ファースト」
ととんでもない速度で避けて、逆にブランクルを蹴った。それに合わせて、シランも蹴りをブランクルにくらわせた。ブランクルは、
「いい感じに脳が揺れたぜ!」
と顔から血を流しながらも、未だに笑みを浮かべていた。ショウとシランは、一度距離を取り、
「どうするか、どんどんあいつ元気になってねぇか?」
「『魔眼』を通してみても、どんどん霊気が上がっている。けどやるしかない。」
とショウが構えると、シランが、
「ショウ、少しで良い時間を作ってくれ。」
と頼んだ。ショウは、何も聞かずにただ、
「わかった。」
とだけ返してブランクルに向かって行った。ブランクルは、
「あぁん?2体で来ねぇのか?それとも、もう1体はへばっちまったか?」
と言いながらショウの攻撃をさばいた。ショウはあえて大した力を出さず、「霊気」も引っ込めていた。
「あなたには、永遠にわからないと思うので、僕は何も語りませんよ。」
「糞餓鬼が!舐めやがって!『死屍音魂』」
「それはもう見飽きましたよ。『終の拳:反射鏡』」
とブランクルの攻撃全てを倍にして返した。ブランクルは、少したじろぎ跪いた。そして、
「テリトリー開放」
とシランが自身のテリトリーを開放した。
数ヶ月前
シランは、テンクウとボークンの見舞いに来ていた。
「具合はどうだ?」
「まだ痛みは残ってるが、俺はすぐに復帰できる。だが…」
とボークンは隣で寝ているテンクウを見た。テンクウは、包帯を何重にも巻かれ、点滴を数本つながれていた。シランは、
「ごめん…」
と下を向いて、暗い表情で言った。ボークンは、
「何故謝る必要がある?お前は俺達を助けてくれただろ?」
と感情のない声で言った。
「俺がもっと早く判断できていたら、お前らがここまで怪我を負う必要はなかった。」
「『魔消の錠前』の所持は、魔導士であれば予期しておくべきことだ。それに対応する訓練を怠った。それは俺達2体の責任だ。お前は何も悪くない。」
「いや、それは俺が妖力も持っているから効きが薄かった。だから…」
「シラン」
とボークンは、下向きになっていたシランの言葉を止めた。シランは、ボークンを見て、
「悪い、また来る。」
と言って、病室を出た。
病室を出るとヨナギが、腕を組んで待っていた。
「シラン」
「はい」
「ボークンの言う通りだ。お前は何も悪くない。」
「でも…」
「まぁ、お前はそういう奴って知ってるが、気をおいすぎるなよ。」
と言って去ろうとした。すると、
「ヨナギ先生」
「何だよ?」
「俺に『テリトリー開放』を教えてくれませんか?」
と頭を下げて、ヨナギに頼んだ。ヨナギはため息をついて、
「無理だ、諦めろ。」
と簡単に否定した。シランは、
「ヨナギ先生、それは俺が1番しない選択肢です。」
と真剣な表情で言った。ヨナギはいつもよりも顔を険しくして、
「お前、簡単に言うけど、そもそも『テリトリー開放』がどれ程高等なモノか知ってるか?」
とシランに圧をかけて言った。冷や汗をかきながらシランは、
「はい、自身の魔力と想像を具現化させた『自分だけの世界』です。」
と答えた。
「そのとおりだ。言うは簡単、その具現化・魔力・魔法の理解が出来てこそ体現するモノだ。他にも要素はあるけどな~。けど、お前にそれがあるか?」
「……!」
「まぁ、上級の魔導士でも、できねぇ奴が殆どだ。出来なくても恥じるな。今回のケースの方が、よくある話だ。そのまんまでも、十分に活躍できる。」
と言って、シランの肩を叩いた。そのまま病院を出て行った。シランは、「ある覚悟」を決めてジックフリー学園の訓練場へと行った。
シランは、訓練場で魔力と妖力を同時に練り上げて、
「テリトリー開放!」
とテリトリーを築き上げようとするも、すぐ様崩れた。シランは、
「はぁ…はぁ…もう一回…!」
と誰にも頼らずに、ずっと「テリトリー開放」の訓練をしていた。勉強をしたり、出来る者達を見て盗んでは、自分でやるを繰り返す。
そして、数週間後には、
『「テリトリー」は、自身の世界を具現化させる事だ。もっと具体的にイメージしろ!もっと魔力と妖力を溶け込ませる!』
と再度「テリトリー開放」に構えた。そして、
「テリトリー開放!」
と唱えた。すると今度は閉じる事はできたが、数秒後には崩壊した。シランは、
「これが、俺の世界…少ししか保たなかったが…コツは摑んだ…!あとは、具体的な線引とイメージだ。ぶっちゃけ、今のは鳥かごに何も入ってない状態だ。もっと強くならねぇと…」
と独り言を吐きながら、寝落ちした。その影から見ていたヨナギは、
「スゲェ奴を生徒に持っちまったな~まさか、あの日からたった数週間で手に入れるなんてな~」
とシランを担いで、ヨナギは、
「真の天才とは、『向き合い続けれる奴』っていうやつだな~」
と独り言を呟きながら、シランを保健室へと連れて行った。
そこからシランは、「テリトリー」の具体的なイメージと効果を試行錯誤して完成させた。
シランのテリトリーは、シランの方に鳥居と天秤を模した祭壇があり、その通り道は青い火と赤い火が交錯していた。因みに、シランが「テリトリー開放」できるのを知る者はヨナギ以外にいない。ショウは、
「これが、シランのテリトリーか。」
『魔力と妖力の黄金比率を見つけ出した。完璧なテリトリーだ。』
と「魔眼」を通して、そう感じた。
「あぁ…『まだ』完全じゃないんだけどな…」
「それでも、この領域に踏み入れれただけでも、十分だ!」
とショウは再び「霊気」を開放し、
「魔剣生成:魂迷骸殻双刃」
と双剣を出し、
「我流 双剣技 クロスエルガ」
とブランクルに強力な一撃を放った。ブランクルは、
「流石にヤバいな!ん…!」
と攻撃を避けようとするも、足を火の鎖が纏わりついて動けなかった。
「チッ!」
と攻撃をくらった。その後ブランクルは、無理矢理火の鎖を外した。そして、再度槍を作り出して、
「死炎乱射」
とショウに集中して攻撃した。しかし、それを火玉が全て撃ち落とした。ブランクルはシランの方を向くと、シランは、
「ここは、俺のテリトリーだぞ。二度とあんな事させるか!」
と言いブランクルの方へ飛び、
「火の妖術:第伍式 焉魂火」
と高火力な拳をくらわせた。ブランクルは、攻撃を槍でガードして、
「調子に乗るなよ、糞餓鬼!」
とシランにカウンターを仕掛けた。それをショウは、
「魔眼:覚醒 時空の主導者:スキップ」
と数秒先の自分の位置をトレースして、間に入った。そして、
「我流 双剣技 クロノスジャッジ」
と剣技を再びあびせた。ブランクルは、手も足も出なかった。しかしそれでも立ち上がり、
「名残惜しいけど、最終章だ!」
とありったけの死霊達を集めて、自身の力に変えた。総勢1万体、その霊気を全て1つに集約させた。
「テリトリー事消えろ!『私怨魔界』」
とショウとシランに向かって、放たれた。ショウは剣を構えて、
「我流 双剣技 壱號先突・開門」
とブランクルの攻撃を真っ二つに斬り裂いた。そして、ブランクルの後ろに立ち、
「決めるぞ!シラン!」
とショウが言うと、シランが上空からブランクルの方へと突っ込み始めた。それと同時にショウも剣を構えた。
「火の妖術:混合式」
「我流 双剣技」
「やられてたまるか!」
「爆炎天獄」
「跋扈剱嵐・一閃太刀」
とショウとシラン、同時に技を決めた。ブランクルの左腕をショウは斬り落とし、シランはブランクルをぶっ飛ばした。闘いが終わるのと同時にテリトリーと外の結界が消えた。
ショウとシランは、もう一歩も動けずに仰向けで寝転がっていた。
「倒せたな…はぁ…はぁ…」
「そうだな…はぁ…はぁ…しんどかった…」
「そういえば…聞きたかったんだけど…」
「何だよ…」
「何で単身で乗り込んだんだ……」
とショウはシランに会って、ずっと聞きたかったことを聞いた。シランは、
「1番は、テンクウ達を死なせない為だ…」
と答えた。
「ブランクルの霊気は、異常だからな。耐性がないテンクウ達じゃ、会った瞬間にやられている。なら、少しでも耐性のある俺だけが行けば、何とかなると思ったんだけどな…結果はショウが来てくれなかったら、死んでいたな…」
と言葉を続けた。ショウは、
「そっか、なら理由は同じだな。」
と言った。シランは、
「どういう意味だ?」
とショウに聞いた。ショウは顔をほころばせて、
「仲間は大事って意味だよ。」
と言った。シランは、納得した表情で、それ以上は何も言わなかった。すると、
「ショウ様!シラン君!」
「ショウ!シラン!いたら返事しろ!」
とザギル達の声がした。そして、
「ショウ様!シラン君!」
とレンカとテンクウが、ショウとシランを見つけた。そして2体の前で両膝をついて、治癒魔法を掛けた。
「全く…心配したんですよ…御二方!」
「反省してください!御二方!」
「「はい…すみませんでした…」」
とレンカとテンクウの声を聞いて、
「随分と派手にやったな~」
「ったく、勝手に消えてんじゃねぇよ。」
「死にやがったら、地獄の果てでも殴りに行こうと思ってたぞ。」
「まぁ…無事で何よりじゃ。」
「ホント、手酷くやられてるね~」
とザギル達もやって来た。そしてヨナギは、シランの前に立ち、
「ハグれんなって、言ったよな?」
と凄い威圧で言った。シランは縮こまり、
「はい…すみませんでした…」
と言った。ヨナギは、気絶しているブランクルを見て、
「これから帰還して、説教と補習の3ヶ月コースだ。勿論、テンクウとボークンもな。」
とシラン達に言った。シラン達は、
「うっ…」
「まぁ…俺たちもはぐれてしまったしな……」
「そんな~俺はともかく、テンクウとボークンは勘弁してくださいよ。」
とシランは頭を下げた。すると、
「ぷっ、ふっはははは!」
とヨナギは急に笑い始めた。
「な、何ですか。」
「今のは…冗談だ。」
「「「えぇぇぇ~」」」
「テンクウとボークンは、ちゃんと敵を追っ払えてたし、仲間の捜索もしてたしな。それにシランは、凶悪犯罪者の『死者弄遊のブランクル』と『ワールドプレシャス』の確保をしたしな。今回は、特別に免除だ。」
とシラン達の頭を撫でて、
「よくやった。それに、無事で良かった。」
と3体を抱きしめた。それを見たレンカは、
『冷静に見えても、内心は凄く心配してたんだね。それに対して私は…』
「まだまだ未熟だな~」
と心の声をこぼした。そこから、ショウとシランを近くの都市で入院させた。
ショウとシランは、同じ病室であった。そこにヨナギがいた。「そこで何があったのか。」「どうして単独で行動したのか。」などを何時間も聞かれた。
「なるほど、確かにそうではあるな~けど…」
とヨナギは頷きながら、シランの包帯部分をあえてデコピンした。
「痛ったい!」
「俺の事舐め過ぎだ。バカキツネ」
「でも…」
「でもも何も無い。お前が死んだら、『俺の大切な奴』が悲しむんだよ。」
「うっ……」
「言っても無駄だろうから言わないがな。これだけは覚えとけ。」
とシランのおでこに人差し指で突き、
「お前には仲間がいるんだ。少しは頼りにしろよ。」
と言った。シランは、
「はい!」
と快い返事をした。ヨナギはその返事を聞いて、
「よし、そんじゃ俺は用事あるからもう行くわ~ちゃんと安静にしてろよ~」
と手を振りながら、病室を出た。
ヨナギは夜風に当たりながら、都市にあるスタジアムに来ていた。そこには、レンカが夜空を眺めていた。するとレンカは、ヨナギに気付いて、
「今日は月がキレイだね。」
と言った。ヨナギは、
「全くだな。綺麗な満月が出てるな~」
と言いながら、魔法を展開し始めた。それに合わせて、レンカも魔法を展開した。
「さぁ~始めようぜ!」
「あれからどれだけ強くなったのか。見せてもらうよ!」
と言うと2体は魔法をぶつけ合った。
「スラッシング・トルネード」
「神速・エンチャント」
「逃さないよ。『イーグル・サンダー』」
「フルレングス:ウィンド」
「さらに早くなった!」
とレンカが呆気にとられていると、
「いつまでボーッとしてるんだ?」
といつの間にかヨナギが、レンカの後ろを取っていた。ヨナギは、
「フォースエレメント・バスター」
と超至近距離で放った。レンカは、
「マジックシールド」
と何とか攻撃を防いだ。しかしヨナギは、始めから分かっていたかのように魔法を解き、
「付与魔法:神の依り代」
と自身の最大限の魔法を使った。そして、
「神の撃墜」
とレンカにとんでもない魔力の拳を放った。レンカは、それを避けて、
「ジャッジメント・ディスティニー」
と魔法を返した。ヨナギは、見えない速度で動き、
「神の一蹴」
とレンカに蹴りをくらわせた。レンカは、ガードができずに吹き飛ばされた。レンカは、そこから立ち上がり、
「凄いね。こんなにも強くなって、流石に勝てるかは分からないや。」
と小さく呟いた。ヨナギは、
「まだ行けんだろ?」
とまだまだ魔力を上げて、レンカに向かって言った。レンカは、
「もちろん、朝までやろうっか!」
と言い、ヨナギとの魔法戦線は朝日が登るまで続いた。
レンカは地面に仰向けになっており、ヨナギは両手を膝について、
「はぁ…はぁ…しんど~」
と息を切らしながらも立っていた。ヨナギは、呼吸を整えて、レンカに近付いて手を差し伸べた。
「ほら、手ぇ貸すよ。レンカ」
「ありがとう、『ヨナギ』」
「おぅ」
と少しヨナギは照れた。レンカも同じく顔をほころばせた。
1ヶ月後
ショウとシランが完治して、リハビリも終えて退院した。
「あぁ~やっと、開放された~」
「ふぅ~全くだな。凄く退屈だった。」
と言いながら、身体を鳴らしながらショウとシランが病院から出てきた。病院から出ると、ショウとシランの前にザギル達が待っていた。
「やっと退院か、遅すぎんぞ!」
「オーツは黙ってろ。とにかく、無事退院おめでとう。」
「シランもな、おめでとう」
「シラン~退院おめでとう!」
とショウとシランはそれぞれ言われた。ショウとシランは、
「ありがとう、それじゃ、旅立ちましょうか。」
「ありがとう、そんじゃ、帰ろうぜ!」
と言い、別方向に歩き始めた。その後ろをザギルやテンクウが付いて行った。レンカとヨナギは、離れるのを少し躊躇った。すると、時間が止まったようにレンカとヨナギを除いて、周りの動きが止まった。レンカとヨナギは、近くに寄り添って、
「また会えるよね?ヨナギ」
「当たり前だろ、レンカ。だから、泣くんじゃねぇよ。」
「うん、涙拭ってよ。」
「しょうがねぇな~」
とレンカの涙を拭うのと同時に、レンカはヨナギに口づけをした。レンカは、
「ありがとう、行ってくるね。ヨナギ」
と言って手を振りながらショウの後を追った。ヨナギは、
「あぁ…絶対に生きて帰ってこいよ。レンカ」
と手を振ってから、シランの後を付いて行った。
ショウは顔をほころばせて、
『良かったですね。レンカさんとヨナギさん』
と「魔眼」を解いて、都市の外へと再び歩み始めた。
「これが『デッドループ』か。」
「なんつう~結界だよ。」
「これは…壊せないね。」
「なんでだよ。力尽くでぶっ壊せばいいだろ?」
と言うとオーツは、剣を振るった。しかし、ヒビすら入らなかった。オーツは驚きながら、
「ど、どうなってんだ?いつもなら、ヒビくらいは入んのに。」
と言いながら下がった。ヨナギは、
「これは、縛りによって作られた結界だ。人数制限に場所の制限、その他にも範囲を狭めて結界の強度を上げてるんだろ。だから、普段の結界よりも強固に作られている。」
と言った。そしてある場所を指して、
「多分入れんのは、あの数字が『0』じゃなくなってからだろう。」
「つまり…」
「誰かが死なねぇと入れない。」
とヨナギは冷静に言った。そんなヨナギにレンカは、胸ぐらを掴んで、
「何で冷静でいられるの?自分の生徒じゃないから!それとも、死んでもどうでもいいの!ねぇ!答えて!」
とヨナギに怒鳴った。ヨナギは、
「レンカは大きな勘違いをしてんな~」
と頭を掻きながら言った。
「勘違い?」
「まず、シラン達は『俺の生徒』だ。お前が休職の間、兼任させられてるんだよ。」
「え…」
「だから死なれたら困る。けど、同時にシランなら大丈夫だと信じている。」
「なんで…」
「あいつは、考えなしに行動しない。いつだって、どんな依頼の時でもベストを考えていた。だから俺はシランを信じるだけだ。」
と真剣な表情で言った。レンカは手を離して、
「ごめん…また取り乱した…」
「何度も言うが、気にするな。それだけ生徒を思ってるってことだろ?教師に必要な要素じゃねぇか。」
「うん…ありがとう…」
と言って涙を流した。ヨナギはそんなレンカの頭をなでてあげた。テンクウは、
「シラン、大丈夫かな…いつも無茶ばかりするからな…」
と心配した表情で呟いた。それをボークンは、
「気持ちはわかるが、今は祈るしかない。」
とテンクウの側でそう言った。
『死ぬんじゃないぞ、俺の唯一無二のライバルよ。』
と心で思いながら、拳を強く握った。
ショウとシランは互いに氣を高めて、
「魔眼:覚醒+霊気 解放」
「特殊スキル:獣魂開放」
とショウは「魔眼」を覚醒させて、霊気を纏わせた。一方のシランは、赤と青の火が強力になり、髪や尻尾が炎のように揺らいでいた。ショウとシランは、互いを見やり、
『あれが「特殊スキル:獣魂開放」か。前に闘った獣人よりも強い力だ。それに魔力と妖力が高まった。』
『「魔眼:覚醒」か…この半年ぐらいでそこまでの力を手に入れたのか。更には俺も手に入れれなかった「霊気」も纏えるとは、ショウはどこまで強くなる気だよ。』
と評価していた。ブランクルはそんなのお構いなしに襲った。それを2体は難なく避けて、
「終の拳:楽胴牙」
「火の妖術:第弐式 巻牙火」
とカウンターを仕掛けた。ブランクルは、
「霊命混濁・命炎海」
とショウとシランの技を消し去った。ショウとシランは、技を消し去られた瞬間近付き、
「終の拳:天陽漿顎」
「火の妖術:第陸式 閻火」
と再度攻撃を仕掛けた。ブランクルは、
「まだ行けるよな!」
と楽しそうな顔で言った。そして、
「死炎爪牙」
とショウとシランの攻撃を受け止めた。
「チッ!傷さえついてない!」
「さすがは『ワールドプレシャス』の力だな。有り得ないくらい強いな。」
「さぁさぁ盛り上がっていこうぜ!」
「借り物の力で調子に乗るなよ!」
「全くだ!すぐにぶっ倒してやる!」
とショウとシランは、同時に拳をくらわせた。ブランクルは、攻撃をくらっても平気そうにして、
「お返しだ!」
とショウとシランに蹴りをくらわせ様とした。ブランクルの蹴りをショウが受け止め、シランは蹴りをはなった。ブランクルはもう片方の足をショウに絡ませ、ショウの態勢を崩した。ショウはシランの蹴りを腕でガードした。そこをブランクルが、
「挟み撃ちだ!」
とショウを蹴ろうとした。ショウは焦らずに、
「魔眼:覚醒 時空の主導者:ファースト」
ととんでもない速度で避けて、逆にブランクルを蹴った。それに合わせて、シランも蹴りをブランクルにくらわせた。ブランクルは、
「いい感じに脳が揺れたぜ!」
と顔から血を流しながらも、未だに笑みを浮かべていた。ショウとシランは、一度距離を取り、
「どうするか、どんどんあいつ元気になってねぇか?」
「『魔眼』を通してみても、どんどん霊気が上がっている。けどやるしかない。」
とショウが構えると、シランが、
「ショウ、少しで良い時間を作ってくれ。」
と頼んだ。ショウは、何も聞かずにただ、
「わかった。」
とだけ返してブランクルに向かって行った。ブランクルは、
「あぁん?2体で来ねぇのか?それとも、もう1体はへばっちまったか?」
と言いながらショウの攻撃をさばいた。ショウはあえて大した力を出さず、「霊気」も引っ込めていた。
「あなたには、永遠にわからないと思うので、僕は何も語りませんよ。」
「糞餓鬼が!舐めやがって!『死屍音魂』」
「それはもう見飽きましたよ。『終の拳:反射鏡』」
とブランクルの攻撃全てを倍にして返した。ブランクルは、少したじろぎ跪いた。そして、
「テリトリー開放」
とシランが自身のテリトリーを開放した。
数ヶ月前
シランは、テンクウとボークンの見舞いに来ていた。
「具合はどうだ?」
「まだ痛みは残ってるが、俺はすぐに復帰できる。だが…」
とボークンは隣で寝ているテンクウを見た。テンクウは、包帯を何重にも巻かれ、点滴を数本つながれていた。シランは、
「ごめん…」
と下を向いて、暗い表情で言った。ボークンは、
「何故謝る必要がある?お前は俺達を助けてくれただろ?」
と感情のない声で言った。
「俺がもっと早く判断できていたら、お前らがここまで怪我を負う必要はなかった。」
「『魔消の錠前』の所持は、魔導士であれば予期しておくべきことだ。それに対応する訓練を怠った。それは俺達2体の責任だ。お前は何も悪くない。」
「いや、それは俺が妖力も持っているから効きが薄かった。だから…」
「シラン」
とボークンは、下向きになっていたシランの言葉を止めた。シランは、ボークンを見て、
「悪い、また来る。」
と言って、病室を出た。
病室を出るとヨナギが、腕を組んで待っていた。
「シラン」
「はい」
「ボークンの言う通りだ。お前は何も悪くない。」
「でも…」
「まぁ、お前はそういう奴って知ってるが、気をおいすぎるなよ。」
と言って去ろうとした。すると、
「ヨナギ先生」
「何だよ?」
「俺に『テリトリー開放』を教えてくれませんか?」
と頭を下げて、ヨナギに頼んだ。ヨナギはため息をついて、
「無理だ、諦めろ。」
と簡単に否定した。シランは、
「ヨナギ先生、それは俺が1番しない選択肢です。」
と真剣な表情で言った。ヨナギはいつもよりも顔を険しくして、
「お前、簡単に言うけど、そもそも『テリトリー開放』がどれ程高等なモノか知ってるか?」
とシランに圧をかけて言った。冷や汗をかきながらシランは、
「はい、自身の魔力と想像を具現化させた『自分だけの世界』です。」
と答えた。
「そのとおりだ。言うは簡単、その具現化・魔力・魔法の理解が出来てこそ体現するモノだ。他にも要素はあるけどな~。けど、お前にそれがあるか?」
「……!」
「まぁ、上級の魔導士でも、できねぇ奴が殆どだ。出来なくても恥じるな。今回のケースの方が、よくある話だ。そのまんまでも、十分に活躍できる。」
と言って、シランの肩を叩いた。そのまま病院を出て行った。シランは、「ある覚悟」を決めてジックフリー学園の訓練場へと行った。
シランは、訓練場で魔力と妖力を同時に練り上げて、
「テリトリー開放!」
とテリトリーを築き上げようとするも、すぐ様崩れた。シランは、
「はぁ…はぁ…もう一回…!」
と誰にも頼らずに、ずっと「テリトリー開放」の訓練をしていた。勉強をしたり、出来る者達を見て盗んでは、自分でやるを繰り返す。
そして、数週間後には、
『「テリトリー」は、自身の世界を具現化させる事だ。もっと具体的にイメージしろ!もっと魔力と妖力を溶け込ませる!』
と再度「テリトリー開放」に構えた。そして、
「テリトリー開放!」
と唱えた。すると今度は閉じる事はできたが、数秒後には崩壊した。シランは、
「これが、俺の世界…少ししか保たなかったが…コツは摑んだ…!あとは、具体的な線引とイメージだ。ぶっちゃけ、今のは鳥かごに何も入ってない状態だ。もっと強くならねぇと…」
と独り言を吐きながら、寝落ちした。その影から見ていたヨナギは、
「スゲェ奴を生徒に持っちまったな~まさか、あの日からたった数週間で手に入れるなんてな~」
とシランを担いで、ヨナギは、
「真の天才とは、『向き合い続けれる奴』っていうやつだな~」
と独り言を呟きながら、シランを保健室へと連れて行った。
そこからシランは、「テリトリー」の具体的なイメージと効果を試行錯誤して完成させた。
シランのテリトリーは、シランの方に鳥居と天秤を模した祭壇があり、その通り道は青い火と赤い火が交錯していた。因みに、シランが「テリトリー開放」できるのを知る者はヨナギ以外にいない。ショウは、
「これが、シランのテリトリーか。」
『魔力と妖力の黄金比率を見つけ出した。完璧なテリトリーだ。』
と「魔眼」を通して、そう感じた。
「あぁ…『まだ』完全じゃないんだけどな…」
「それでも、この領域に踏み入れれただけでも、十分だ!」
とショウは再び「霊気」を開放し、
「魔剣生成:魂迷骸殻双刃」
と双剣を出し、
「我流 双剣技 クロスエルガ」
とブランクルに強力な一撃を放った。ブランクルは、
「流石にヤバいな!ん…!」
と攻撃を避けようとするも、足を火の鎖が纏わりついて動けなかった。
「チッ!」
と攻撃をくらった。その後ブランクルは、無理矢理火の鎖を外した。そして、再度槍を作り出して、
「死炎乱射」
とショウに集中して攻撃した。しかし、それを火玉が全て撃ち落とした。ブランクルはシランの方を向くと、シランは、
「ここは、俺のテリトリーだぞ。二度とあんな事させるか!」
と言いブランクルの方へ飛び、
「火の妖術:第伍式 焉魂火」
と高火力な拳をくらわせた。ブランクルは、攻撃を槍でガードして、
「調子に乗るなよ、糞餓鬼!」
とシランにカウンターを仕掛けた。それをショウは、
「魔眼:覚醒 時空の主導者:スキップ」
と数秒先の自分の位置をトレースして、間に入った。そして、
「我流 双剣技 クロノスジャッジ」
と剣技を再びあびせた。ブランクルは、手も足も出なかった。しかしそれでも立ち上がり、
「名残惜しいけど、最終章だ!」
とありったけの死霊達を集めて、自身の力に変えた。総勢1万体、その霊気を全て1つに集約させた。
「テリトリー事消えろ!『私怨魔界』」
とショウとシランに向かって、放たれた。ショウは剣を構えて、
「我流 双剣技 壱號先突・開門」
とブランクルの攻撃を真っ二つに斬り裂いた。そして、ブランクルの後ろに立ち、
「決めるぞ!シラン!」
とショウが言うと、シランが上空からブランクルの方へと突っ込み始めた。それと同時にショウも剣を構えた。
「火の妖術:混合式」
「我流 双剣技」
「やられてたまるか!」
「爆炎天獄」
「跋扈剱嵐・一閃太刀」
とショウとシラン、同時に技を決めた。ブランクルの左腕をショウは斬り落とし、シランはブランクルをぶっ飛ばした。闘いが終わるのと同時にテリトリーと外の結界が消えた。
ショウとシランは、もう一歩も動けずに仰向けで寝転がっていた。
「倒せたな…はぁ…はぁ…」
「そうだな…はぁ…はぁ…しんどかった…」
「そういえば…聞きたかったんだけど…」
「何だよ…」
「何で単身で乗り込んだんだ……」
とショウはシランに会って、ずっと聞きたかったことを聞いた。シランは、
「1番は、テンクウ達を死なせない為だ…」
と答えた。
「ブランクルの霊気は、異常だからな。耐性がないテンクウ達じゃ、会った瞬間にやられている。なら、少しでも耐性のある俺だけが行けば、何とかなると思ったんだけどな…結果はショウが来てくれなかったら、死んでいたな…」
と言葉を続けた。ショウは、
「そっか、なら理由は同じだな。」
と言った。シランは、
「どういう意味だ?」
とショウに聞いた。ショウは顔をほころばせて、
「仲間は大事って意味だよ。」
と言った。シランは、納得した表情で、それ以上は何も言わなかった。すると、
「ショウ様!シラン君!」
「ショウ!シラン!いたら返事しろ!」
とザギル達の声がした。そして、
「ショウ様!シラン君!」
とレンカとテンクウが、ショウとシランを見つけた。そして2体の前で両膝をついて、治癒魔法を掛けた。
「全く…心配したんですよ…御二方!」
「反省してください!御二方!」
「「はい…すみませんでした…」」
とレンカとテンクウの声を聞いて、
「随分と派手にやったな~」
「ったく、勝手に消えてんじゃねぇよ。」
「死にやがったら、地獄の果てでも殴りに行こうと思ってたぞ。」
「まぁ…無事で何よりじゃ。」
「ホント、手酷くやられてるね~」
とザギル達もやって来た。そしてヨナギは、シランの前に立ち、
「ハグれんなって、言ったよな?」
と凄い威圧で言った。シランは縮こまり、
「はい…すみませんでした…」
と言った。ヨナギは、気絶しているブランクルを見て、
「これから帰還して、説教と補習の3ヶ月コースだ。勿論、テンクウとボークンもな。」
とシラン達に言った。シラン達は、
「うっ…」
「まぁ…俺たちもはぐれてしまったしな……」
「そんな~俺はともかく、テンクウとボークンは勘弁してくださいよ。」
とシランは頭を下げた。すると、
「ぷっ、ふっはははは!」
とヨナギは急に笑い始めた。
「な、何ですか。」
「今のは…冗談だ。」
「「「えぇぇぇ~」」」
「テンクウとボークンは、ちゃんと敵を追っ払えてたし、仲間の捜索もしてたしな。それにシランは、凶悪犯罪者の『死者弄遊のブランクル』と『ワールドプレシャス』の確保をしたしな。今回は、特別に免除だ。」
とシラン達の頭を撫でて、
「よくやった。それに、無事で良かった。」
と3体を抱きしめた。それを見たレンカは、
『冷静に見えても、内心は凄く心配してたんだね。それに対して私は…』
「まだまだ未熟だな~」
と心の声をこぼした。そこから、ショウとシランを近くの都市で入院させた。
ショウとシランは、同じ病室であった。そこにヨナギがいた。「そこで何があったのか。」「どうして単独で行動したのか。」などを何時間も聞かれた。
「なるほど、確かにそうではあるな~けど…」
とヨナギは頷きながら、シランの包帯部分をあえてデコピンした。
「痛ったい!」
「俺の事舐め過ぎだ。バカキツネ」
「でも…」
「でもも何も無い。お前が死んだら、『俺の大切な奴』が悲しむんだよ。」
「うっ……」
「言っても無駄だろうから言わないがな。これだけは覚えとけ。」
とシランのおでこに人差し指で突き、
「お前には仲間がいるんだ。少しは頼りにしろよ。」
と言った。シランは、
「はい!」
と快い返事をした。ヨナギはその返事を聞いて、
「よし、そんじゃ俺は用事あるからもう行くわ~ちゃんと安静にしてろよ~」
と手を振りながら、病室を出た。
ヨナギは夜風に当たりながら、都市にあるスタジアムに来ていた。そこには、レンカが夜空を眺めていた。するとレンカは、ヨナギに気付いて、
「今日は月がキレイだね。」
と言った。ヨナギは、
「全くだな。綺麗な満月が出てるな~」
と言いながら、魔法を展開し始めた。それに合わせて、レンカも魔法を展開した。
「さぁ~始めようぜ!」
「あれからどれだけ強くなったのか。見せてもらうよ!」
と言うと2体は魔法をぶつけ合った。
「スラッシング・トルネード」
「神速・エンチャント」
「逃さないよ。『イーグル・サンダー』」
「フルレングス:ウィンド」
「さらに早くなった!」
とレンカが呆気にとられていると、
「いつまでボーッとしてるんだ?」
といつの間にかヨナギが、レンカの後ろを取っていた。ヨナギは、
「フォースエレメント・バスター」
と超至近距離で放った。レンカは、
「マジックシールド」
と何とか攻撃を防いだ。しかしヨナギは、始めから分かっていたかのように魔法を解き、
「付与魔法:神の依り代」
と自身の最大限の魔法を使った。そして、
「神の撃墜」
とレンカにとんでもない魔力の拳を放った。レンカは、それを避けて、
「ジャッジメント・ディスティニー」
と魔法を返した。ヨナギは、見えない速度で動き、
「神の一蹴」
とレンカに蹴りをくらわせた。レンカは、ガードができずに吹き飛ばされた。レンカは、そこから立ち上がり、
「凄いね。こんなにも強くなって、流石に勝てるかは分からないや。」
と小さく呟いた。ヨナギは、
「まだ行けんだろ?」
とまだまだ魔力を上げて、レンカに向かって言った。レンカは、
「もちろん、朝までやろうっか!」
と言い、ヨナギとの魔法戦線は朝日が登るまで続いた。
レンカは地面に仰向けになっており、ヨナギは両手を膝について、
「はぁ…はぁ…しんど~」
と息を切らしながらも立っていた。ヨナギは、呼吸を整えて、レンカに近付いて手を差し伸べた。
「ほら、手ぇ貸すよ。レンカ」
「ありがとう、『ヨナギ』」
「おぅ」
と少しヨナギは照れた。レンカも同じく顔をほころばせた。
1ヶ月後
ショウとシランが完治して、リハビリも終えて退院した。
「あぁ~やっと、開放された~」
「ふぅ~全くだな。凄く退屈だった。」
と言いながら、身体を鳴らしながらショウとシランが病院から出てきた。病院から出ると、ショウとシランの前にザギル達が待っていた。
「やっと退院か、遅すぎんぞ!」
「オーツは黙ってろ。とにかく、無事退院おめでとう。」
「シランもな、おめでとう」
「シラン~退院おめでとう!」
とショウとシランはそれぞれ言われた。ショウとシランは、
「ありがとう、それじゃ、旅立ちましょうか。」
「ありがとう、そんじゃ、帰ろうぜ!」
と言い、別方向に歩き始めた。その後ろをザギルやテンクウが付いて行った。レンカとヨナギは、離れるのを少し躊躇った。すると、時間が止まったようにレンカとヨナギを除いて、周りの動きが止まった。レンカとヨナギは、近くに寄り添って、
「また会えるよね?ヨナギ」
「当たり前だろ、レンカ。だから、泣くんじゃねぇよ。」
「うん、涙拭ってよ。」
「しょうがねぇな~」
とレンカの涙を拭うのと同時に、レンカはヨナギに口づけをした。レンカは、
「ありがとう、行ってくるね。ヨナギ」
と言って手を振りながらショウの後を追った。ヨナギは、
「あぁ…絶対に生きて帰ってこいよ。レンカ」
と手を振ってから、シランの後を付いて行った。
ショウは顔をほころばせて、
『良かったですね。レンカさんとヨナギさん』
と「魔眼」を解いて、都市の外へと再び歩み始めた。
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