忘れじの

かのあれい

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忘れじの

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毎日、おとなしく、しきたりに囲まれて過ごす退屈な生活が続いていた。

ある日一通の手紙が届いた。なかなか上手な字と和歌が毎日のように同じ男から送られてきた。その男の名は藤原道隆。最初はしきたりに従い、無視したり、侍女に返事を書かせたりしていたが、それでも諦めることなく送られてきた。ついに自分で返事を書くと、私の和歌を気に入ったらしく、さらに多くの手紙が来た。

それから数ヶ月後……。彼は私のもとに通いつめた。私のことを見て失望されやしないかと心配していたが、彼は私のすべてが好きだと、いつまでも忘れないと言ってくれた。けれど、その誓いが将来まで変わらないとは限らない。男性とは心変わりしやすいと聞く。捨てられた女性の話はそこらに溢れているし、そのような類の本もたくさんある。私もいつか彼に捨てられるくらいなら、いっそ幸せな今のままで死んでしまいたい。私は彼との思い出だけで、黄泉でも過ごせると思うから。


忘れじの ゆくすゑまでの かたければ 
今日をかぎりの いのちともがな
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