11 / 18
3.痴話喧嘩
「どういうことだよ」
謙也は自分の肩を抱いている男を押しやる。睨みつけるも深司はいつもの調子で「付き合ったんだから同棲するだろ」とシレッと言ってのけた。それには謙也もカチンときて言い返す。
「自分勝手過ぎるだろ。つか何?さっきの笑顔。ゾッとしたんだけど」
「なんだよ、俺と同棲出来ない理由でもあんのか?ん?」
「む、」
むぎゅ、片手で両頬を掴まれる。謙也は話しづらいから離せと、その腕を掴んで退かせた。
「早速浮気か?」
「してねーわ」
謙也が深司の腹に軽く拳を入れたところで、若い男二人組が謙也の部屋から出てきて「終わりました」と恐る恐る声をかけてきた。
「全部段ボールに詰めたのか?」
「はい!少なかったので余裕でした!」
「よし、じゃあ運んでおいてくれ」
「はい!」
「ちょっと待てよ!俺はまだ一緒に住むなんて言ってないぞ!」
謙也の声に部下の二人は気まずそうに顔を見合わせる。雲行きが怪しい雰囲気に、二人は早くここから立ち去りたいという気持ちがありありと見て取れた。
「俺と暮らすのがそんなに嫌か」
「嫌だね」
謙也の即答に場の空気が凍りつく。
「理由は」
「だってお前毎晩ヤりたがるじゃん!」
過去にも深司の家に居候したことがあったが、セックスしてない日は無いんじゃないかというくらい毎晩のように求められた。最初は気持ちよかったから謙也自身も流されていたが、そのうち体力の限界が来て逃げるようにこのボロアパートで一人暮らしを始めたのだ。
「毎日じゃなければいいんだな?」
「うん、一週間に一回とかなら」
「却下」
「はあ?」
「二日に一回だ」
「無理、死ぬ」
「毎晩ヤッても生きてんだろ」
「死ぬんだよ!腰が!」
なかなか食い下がらない謙也に深司は苛立ちを顕にする。
「ちょっと落ち着きましょう!外ですよ」
部下の一人がそう言うと「だからなんだよ」と深司が相手を鋭く睨みつける。ヒィッと怯える部下を見て謙也が「おい!」と声を荒げた。
「深司!そういうとこだぞ!お前の悪いところ」
「あ?」
「もうちょっと部下に優しくしろよ、それと俺の体にも」
「してんだろうが」
「してねーから言ってんだよ」
「……ハァ、埒が明かねえな」
「こっちのセリフだし」
ツンっと明後日の方向を向いた謙也に深司は頭を掻きながら言う。
「とりあえず引っ越しはするからな、大家のあの女にも話はつけてあるし」
「……わかったよ」
「忘れ物がないか見てこい、そのためにお前をここに連れてきたんだ」
「はいはい」
二人の雰囲気は最悪だった。
謙也はブスッとした顔のまま部屋に行くと、深司の部下たち二人が「うっす」と挨拶をしてくる。
「ありがとね、手伝ってくれて」
そう言うと二人は顔を見合わせてから遠慮がちに笑った。
「俺たち雑用係なんで!なんかあったら言ってください!」
「微力ながら力になりますよ!」
息の合ったコンビに謙也はフハッと笑うと「サンキュー、あんたら仲良いんだね」と自分の荷物が入った段ボールを抱えた。俺達が持ちますよ!と言ってくる二人を制して部屋を出ていくと、煙草をふかしている男に声をかける。
「おいそこ!手伝えよ!」
「あいつらにやらせればいいだろ、それが仕事だ」
「うっせー、みんなでやった方が早いんだからお前もやれ」
そう言うと深司は納得したのか徐ろに煙草の火を消してアパートに足を向けた。
「一番重いの持ってよ」
「へいへい」
若頭を顎で使う謙也を見た部下たちは、いったい何者なんだこの人は……と目を丸くするのだった。
謙也は自分の肩を抱いている男を押しやる。睨みつけるも深司はいつもの調子で「付き合ったんだから同棲するだろ」とシレッと言ってのけた。それには謙也もカチンときて言い返す。
「自分勝手過ぎるだろ。つか何?さっきの笑顔。ゾッとしたんだけど」
「なんだよ、俺と同棲出来ない理由でもあんのか?ん?」
「む、」
むぎゅ、片手で両頬を掴まれる。謙也は話しづらいから離せと、その腕を掴んで退かせた。
「早速浮気か?」
「してねーわ」
謙也が深司の腹に軽く拳を入れたところで、若い男二人組が謙也の部屋から出てきて「終わりました」と恐る恐る声をかけてきた。
「全部段ボールに詰めたのか?」
「はい!少なかったので余裕でした!」
「よし、じゃあ運んでおいてくれ」
「はい!」
「ちょっと待てよ!俺はまだ一緒に住むなんて言ってないぞ!」
謙也の声に部下の二人は気まずそうに顔を見合わせる。雲行きが怪しい雰囲気に、二人は早くここから立ち去りたいという気持ちがありありと見て取れた。
「俺と暮らすのがそんなに嫌か」
「嫌だね」
謙也の即答に場の空気が凍りつく。
「理由は」
「だってお前毎晩ヤりたがるじゃん!」
過去にも深司の家に居候したことがあったが、セックスしてない日は無いんじゃないかというくらい毎晩のように求められた。最初は気持ちよかったから謙也自身も流されていたが、そのうち体力の限界が来て逃げるようにこのボロアパートで一人暮らしを始めたのだ。
「毎日じゃなければいいんだな?」
「うん、一週間に一回とかなら」
「却下」
「はあ?」
「二日に一回だ」
「無理、死ぬ」
「毎晩ヤッても生きてんだろ」
「死ぬんだよ!腰が!」
なかなか食い下がらない謙也に深司は苛立ちを顕にする。
「ちょっと落ち着きましょう!外ですよ」
部下の一人がそう言うと「だからなんだよ」と深司が相手を鋭く睨みつける。ヒィッと怯える部下を見て謙也が「おい!」と声を荒げた。
「深司!そういうとこだぞ!お前の悪いところ」
「あ?」
「もうちょっと部下に優しくしろよ、それと俺の体にも」
「してんだろうが」
「してねーから言ってんだよ」
「……ハァ、埒が明かねえな」
「こっちのセリフだし」
ツンっと明後日の方向を向いた謙也に深司は頭を掻きながら言う。
「とりあえず引っ越しはするからな、大家のあの女にも話はつけてあるし」
「……わかったよ」
「忘れ物がないか見てこい、そのためにお前をここに連れてきたんだ」
「はいはい」
二人の雰囲気は最悪だった。
謙也はブスッとした顔のまま部屋に行くと、深司の部下たち二人が「うっす」と挨拶をしてくる。
「ありがとね、手伝ってくれて」
そう言うと二人は顔を見合わせてから遠慮がちに笑った。
「俺たち雑用係なんで!なんかあったら言ってください!」
「微力ながら力になりますよ!」
息の合ったコンビに謙也はフハッと笑うと「サンキュー、あんたら仲良いんだね」と自分の荷物が入った段ボールを抱えた。俺達が持ちますよ!と言ってくる二人を制して部屋を出ていくと、煙草をふかしている男に声をかける。
「おいそこ!手伝えよ!」
「あいつらにやらせればいいだろ、それが仕事だ」
「うっせー、みんなでやった方が早いんだからお前もやれ」
そう言うと深司は納得したのか徐ろに煙草の火を消してアパートに足を向けた。
「一番重いの持ってよ」
「へいへい」
若頭を顎で使う謙也を見た部下たちは、いったい何者なんだこの人は……と目を丸くするのだった。
あなたにおすすめの小説
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
平凡αは一途なΩに愛される
マイユニ
BL
子供の頃一度だけ会った男の子の事が忘れられず、その子に似た雰囲気の子と付き合っては別れるを繰り返してきた響介。
ある日全国にホテルを展開している会社の御曹司とお見合いをすることに。
どことなく初恋の人に面影が似ていて気になったが、相手は終始俯いていて乗り気に見えない。これは無理だなと思っていたのに何故か縁談はまとまり、結婚することに。
甘い結婚生活を期待していた響介に待っていたのは、甘いとは程遠い日常。相手の男は自室に引き籠もったまま出てこない。家事は完璧だが彼が行っているのか、人を雇っているのか定かではない。
この結婚生活に意味があるのか分からなくなり、離婚届を用意するまでに。
そんな時長年付き合ってきた人と結婚した大学時代からの友人の幸せそうな姿を目の当たりにする。彼と話をしようと決意して、帰宅すると彼は発情を起こしていた。
オメガバース設定です。
薬の開発が進んでいて発情を抑制できている世界です。
*マークは背後注意シーンがあります。
後半はずっといちゃついております。*マークずっとついています。
『初めてを君と』に出てきた理仁の友人で、二人も出てきます。
前作を読んでなくても大丈夫ですが、合わせて読んで頂けると嬉しいです。
S級エスパーは今日も不機嫌
ノルジャン
BL
低級ガイドの成瀬暖は、S級エスパーの篠原蓮司に嫌われている。少しでも篠原の役に立ちたいと、ガイディングしようとするが拒否される日々。ある日、所属しているギルドから解雇させられそうになり、焦った成瀬はなんとか自分の級を上げようとする。