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第8話 二人だけの舞踏会
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私がfor your mind onlyのメロディーを奏でると少女の泣き声は途端に止み、彼女は私のピアノの音色に耳を傾け、心を落ち着かせるであった。
曲を引き終えると、リィナが涙で濡れたまぶたを擦りながら、椅子の中から出てきた。
私がリィナの顔をみるなり彼女にそっと微笑むと、リィナは何も言わずに私の足元にしがみついて離れない。
はじめに話しかけたのは私だった。
「ごめん、昨日は言いすぎた。悪いのは私だって分かってるのに、リィナばかりに当たっちゃって」
「ううん、クレアに迷惑かけたのは事実だもん。
クレアお父さんに何言われたの?」
「お母さんのことはもう忘れろってさ。
でも私お母さんの事忘れられないよ。沢山甘えたかった時期に突然お母さんの訃報を聞かされて。
心はその時から止まったままなんだ。お母さんに甘えたくて……
こんなのおかしいよな、もう17になるってのに」
「ううん、何もおかしくないよ、子供が母親を恋しく思うのは当たり前だよ。年なんて関係ないクレアはいつまで経ってもお母さんの子供なんだよ」
リィナにそう言われ、私は込み上げる何かを感じ、咄嗟にリィナから顔をそむけた。
「クレア?」
リィナが不思議そうに言う。
「リィナがおかしなこというからだろ」
私は涙を必死にこらえ強がってみせたが次の瞬間、リィナが私の身体を引き寄せ、私の頭を胸で抱きとめて言った。
「もういいんだよ……」
「え?」
私はその一瞬何が起きたのか理解が追いつかった。
「もう強がらなくていいの。クレアはもういやって程、頑張ってきたじゃない。もう吐き出そう」
リィナに言われ、それまで我慢していた涙が一筋頬を流れるのを皮切りに、ボタボタと次々溢れ出てきた。
「うーリィナ、私もう生きてるのが辛いよ。お母さんなんで死んじゃったんだよ」
私はリィナの胸の中で子供のように泣き散らし、リィナはまるで母親のように私の気持ちを全て受け止めてくれた。
そうして気持ちが落ち着きはじめた頃ーー
私はYシャツの裏に隠れたペンダントを表に出してペンダントの中身を開いた。今まで誰にも見せたことなかったけど、リィナにならお母さんのこと打ち明けてもいいような気がした。
「それお母さん?」
リィナがペンダントを覗き込み言った。
「うん」
「綺麗な人ね、クレアにそっくり」
「そうかな?リィナの方が似てる気がするけど」
「なんで私なのよ」
リィナは笑いながら冗談に受け取ったが、私は断じて大真面目に言ったつもりだ。
「お母さんの顔みると色々思い出すんだ。お母さんとの思い出の日々。私いつもお母さんの後ばっかり追いかけてたっけ。
で私がお母さんって呼ぶとお母さんが笑顔で振り返ってくれるんだ」
お母さんが最後に振り返った時のことを思い出す。
「お母さん先にいかないでよ」
「もうクレアいらっしゃい、もう今日は甘えたがりなんだから」
これがお母さんとの最後の記憶になってしまった。私はお母さんとの思い出の中で1つ大きな心残りがある。正しくは思い出に残せなかったこと。
「昔お母さんと約束したんだ、私の誕生日の日に家族で一緒に星を見ようって」
「星を?」
リィナが空に映る星空を見上げて言ったが、私はすぐにその星空を否定した。
「こんなありふれた空じゃない、私の見たかった星空は、もっと貴重で特別なものだったはず。
けどそれはもう叶わない。もう全部が遅いよ、家族はバラバラになってしまった」
私が目元を手でおさえ視界を遮り、絶望に打ちひしがれていると、リィナが私の手を掴み力強く言った。
「そんなことないよ、今からでも遅くない。私がお母さんの代わりになって、クレアの中で止まった時計の針を動かしてあげる。
クレア星を見に行きましょう」
「リィナ?」
「着いてきて」
そう言うとリィナは一目散に走り出してしまった。
「リィナどこいくんだよ」
私は訳も分からぬままリィナの後を必死に追いかけた。走れども走れどもリィナ背中には近寄れない、むしろ遠ざかってる気さえした。
それでも私はもう失いたくないその一心だけで、リィナにくらいついていった。
もう息を吸い込むことでさえ苦しさを覚え、限界かと思ったその時、リィナがようやく立ち止まった。
「ここ」
リィナが「ここ」と指差した場所はもうその先に道のない大海原の中だった。
リィナが柵を乗り越え私を誘うが私はどうしていいか分からずあたふたするばかり。見かねたリィナが私に言った。
「大丈夫私を信じて」
リィナがそっと私に手を差し出した。
私も軽々と柵を乗り越えてみせたが、静まった夜の海のこの言いようのない怖さから中々決心がつかない。
「怖いなら目を閉じててもいいから」
リィナのその言葉を受け、私は目を閉じてリィナの手をギュっと強く握った。
そしてリィナが先行して進んでいき、私も震える足で一歩ずつ前に進んでいく。
もう自分でも何歩進んだか分からないくらい歩いて、ようやくリィナが立ち止まり言った。
「クレアもう目を開いてもいいよ」
ゆっくりまぶたを開くと私は一面水面の大地の上に立っていた。
でも私はそんなことよりも遥かに目を奪われる光景に言葉を失い感動した。
足元の水面にキラキラと輝く星空が映し出されていたからだ。
「綺麗……こんなにも星が近く感じられるなんて……」
私が足元の星星に感動しているとリィナが私に言った。
「クレア踊りましょ」
リィナに目を向けると彼女はいつの間にか真っ赤なパーティードレスに身を包み、まるで舞踏会にきたかのような格好をしていた。
「うん」
私がリィナの手を掴むと私の服もたちまち青いドレスに様変わりし、もう全てが夢の中での出来事のように思えた。
私はこの出来事を最高の思い出にしようと、水面に浮かぶ星星の上で思う存分リィナと華麗に踊るのであった。
「リィナがマザーシステムだって、今なら信じられるよ。リィナあれまたやってよ」
私は金のリボルバーを取り出すと空のシリンダー開き、6連装のカートリッジを宙に投げ込み、リボルバーを大きく振りかぶった。
リィナがコントールしてカートリッジは見事にシリンダーの角度おさえ、全て綺麗に装填それた。
私はシリンダーを閉じるとハンマーを親指で起こし、上空にむけ引き金を引いた。するとリィナの計らいか、大きな花火が打ち上がった。
「綺麗だな」
「そうでしょ、クレア元気出た?」
「うん勿論だよ、これお母さんの形見なんだ。私今日のことでようやく前に進める気がするリィナ本当にありがとう、私の幼稚な夢を叶えてくれて」
「クレア何度も言わせないで」
「ごめん。リィナもお母さんのことを恋しく思ったりするの?」
「私はコンピュータだから、過去の記憶はないの。でもなんでかなクレアのその気持ちすごく分かるような気がするの。親子の絆って素敵ね」
私は黙って頷いた。
「クレア私と一緒に世界の外へ出よう、今より沢山な困難な待ってるかもしれない、けど私達ならきっとどんな試練も乗り越えられるよ。
あなたの可能生を信じてあげて」
「私自分に自信がなかったんだ。でも目標が出来た私もう逃げない、お父さんと向き合おうと思う、見返してやるんだ」
「そっか……」
その一瞬リィナ悲しい顔をしたように見えた。
「リィナどうかした?」
「いえ、私もクレアの夢応援する」
リィナはすぐ笑ってそう言ってくれた。
「そろそろ夜もフケたし私のの家にいくか」
「やったークレアの家に上がれる」
曲を引き終えると、リィナが涙で濡れたまぶたを擦りながら、椅子の中から出てきた。
私がリィナの顔をみるなり彼女にそっと微笑むと、リィナは何も言わずに私の足元にしがみついて離れない。
はじめに話しかけたのは私だった。
「ごめん、昨日は言いすぎた。悪いのは私だって分かってるのに、リィナばかりに当たっちゃって」
「ううん、クレアに迷惑かけたのは事実だもん。
クレアお父さんに何言われたの?」
「お母さんのことはもう忘れろってさ。
でも私お母さんの事忘れられないよ。沢山甘えたかった時期に突然お母さんの訃報を聞かされて。
心はその時から止まったままなんだ。お母さんに甘えたくて……
こんなのおかしいよな、もう17になるってのに」
「ううん、何もおかしくないよ、子供が母親を恋しく思うのは当たり前だよ。年なんて関係ないクレアはいつまで経ってもお母さんの子供なんだよ」
リィナにそう言われ、私は込み上げる何かを感じ、咄嗟にリィナから顔をそむけた。
「クレア?」
リィナが不思議そうに言う。
「リィナがおかしなこというからだろ」
私は涙を必死にこらえ強がってみせたが次の瞬間、リィナが私の身体を引き寄せ、私の頭を胸で抱きとめて言った。
「もういいんだよ……」
「え?」
私はその一瞬何が起きたのか理解が追いつかった。
「もう強がらなくていいの。クレアはもういやって程、頑張ってきたじゃない。もう吐き出そう」
リィナに言われ、それまで我慢していた涙が一筋頬を流れるのを皮切りに、ボタボタと次々溢れ出てきた。
「うーリィナ、私もう生きてるのが辛いよ。お母さんなんで死んじゃったんだよ」
私はリィナの胸の中で子供のように泣き散らし、リィナはまるで母親のように私の気持ちを全て受け止めてくれた。
そうして気持ちが落ち着きはじめた頃ーー
私はYシャツの裏に隠れたペンダントを表に出してペンダントの中身を開いた。今まで誰にも見せたことなかったけど、リィナにならお母さんのこと打ち明けてもいいような気がした。
「それお母さん?」
リィナがペンダントを覗き込み言った。
「うん」
「綺麗な人ね、クレアにそっくり」
「そうかな?リィナの方が似てる気がするけど」
「なんで私なのよ」
リィナは笑いながら冗談に受け取ったが、私は断じて大真面目に言ったつもりだ。
「お母さんの顔みると色々思い出すんだ。お母さんとの思い出の日々。私いつもお母さんの後ばっかり追いかけてたっけ。
で私がお母さんって呼ぶとお母さんが笑顔で振り返ってくれるんだ」
お母さんが最後に振り返った時のことを思い出す。
「お母さん先にいかないでよ」
「もうクレアいらっしゃい、もう今日は甘えたがりなんだから」
これがお母さんとの最後の記憶になってしまった。私はお母さんとの思い出の中で1つ大きな心残りがある。正しくは思い出に残せなかったこと。
「昔お母さんと約束したんだ、私の誕生日の日に家族で一緒に星を見ようって」
「星を?」
リィナが空に映る星空を見上げて言ったが、私はすぐにその星空を否定した。
「こんなありふれた空じゃない、私の見たかった星空は、もっと貴重で特別なものだったはず。
けどそれはもう叶わない。もう全部が遅いよ、家族はバラバラになってしまった」
私が目元を手でおさえ視界を遮り、絶望に打ちひしがれていると、リィナが私の手を掴み力強く言った。
「そんなことないよ、今からでも遅くない。私がお母さんの代わりになって、クレアの中で止まった時計の針を動かしてあげる。
クレア星を見に行きましょう」
「リィナ?」
「着いてきて」
そう言うとリィナは一目散に走り出してしまった。
「リィナどこいくんだよ」
私は訳も分からぬままリィナの後を必死に追いかけた。走れども走れどもリィナ背中には近寄れない、むしろ遠ざかってる気さえした。
それでも私はもう失いたくないその一心だけで、リィナにくらいついていった。
もう息を吸い込むことでさえ苦しさを覚え、限界かと思ったその時、リィナがようやく立ち止まった。
「ここ」
リィナが「ここ」と指差した場所はもうその先に道のない大海原の中だった。
リィナが柵を乗り越え私を誘うが私はどうしていいか分からずあたふたするばかり。見かねたリィナが私に言った。
「大丈夫私を信じて」
リィナがそっと私に手を差し出した。
私も軽々と柵を乗り越えてみせたが、静まった夜の海のこの言いようのない怖さから中々決心がつかない。
「怖いなら目を閉じててもいいから」
リィナのその言葉を受け、私は目を閉じてリィナの手をギュっと強く握った。
そしてリィナが先行して進んでいき、私も震える足で一歩ずつ前に進んでいく。
もう自分でも何歩進んだか分からないくらい歩いて、ようやくリィナが立ち止まり言った。
「クレアもう目を開いてもいいよ」
ゆっくりまぶたを開くと私は一面水面の大地の上に立っていた。
でも私はそんなことよりも遥かに目を奪われる光景に言葉を失い感動した。
足元の水面にキラキラと輝く星空が映し出されていたからだ。
「綺麗……こんなにも星が近く感じられるなんて……」
私が足元の星星に感動しているとリィナが私に言った。
「クレア踊りましょ」
リィナに目を向けると彼女はいつの間にか真っ赤なパーティードレスに身を包み、まるで舞踏会にきたかのような格好をしていた。
「うん」
私がリィナの手を掴むと私の服もたちまち青いドレスに様変わりし、もう全てが夢の中での出来事のように思えた。
私はこの出来事を最高の思い出にしようと、水面に浮かぶ星星の上で思う存分リィナと華麗に踊るのであった。
「リィナがマザーシステムだって、今なら信じられるよ。リィナあれまたやってよ」
私は金のリボルバーを取り出すと空のシリンダー開き、6連装のカートリッジを宙に投げ込み、リボルバーを大きく振りかぶった。
リィナがコントールしてカートリッジは見事にシリンダーの角度おさえ、全て綺麗に装填それた。
私はシリンダーを閉じるとハンマーを親指で起こし、上空にむけ引き金を引いた。するとリィナの計らいか、大きな花火が打ち上がった。
「綺麗だな」
「そうでしょ、クレア元気出た?」
「うん勿論だよ、これお母さんの形見なんだ。私今日のことでようやく前に進める気がするリィナ本当にありがとう、私の幼稚な夢を叶えてくれて」
「クレア何度も言わせないで」
「ごめん。リィナもお母さんのことを恋しく思ったりするの?」
「私はコンピュータだから、過去の記憶はないの。でもなんでかなクレアのその気持ちすごく分かるような気がするの。親子の絆って素敵ね」
私は黙って頷いた。
「クレア私と一緒に世界の外へ出よう、今より沢山な困難な待ってるかもしれない、けど私達ならきっとどんな試練も乗り越えられるよ。
あなたの可能生を信じてあげて」
「私自分に自信がなかったんだ。でも目標が出来た私もう逃げない、お父さんと向き合おうと思う、見返してやるんだ」
「そっか……」
その一瞬リィナ悲しい顔をしたように見えた。
「リィナどうかした?」
「いえ、私もクレアの夢応援する」
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