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第二章
第26話 和解の握手
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ダムから溢れ出した水は瞬く間にマカの村を飲み込んでいき、マカの住民は山の高台からその光景を眺めることしか出来なかった。
村人が水害の恐ろしさの前に愕然とし、言葉を失っていると空から2頭の竜が村人達の目に飛び込んできた。
「アサ達が戻ってきたんだ」
ジョセが飛び跳ね喜んで言った。
「黒竜までいるじゃないか」
村長は襲われるんじゃないかとゾッとしたがすぐにカイトが村長に言った。
「村長、黒竜はもうマカの敵ではございません。今の今まで黒竜がダムの水を必死にせき止められてくれたのです」
「なぜ黒竜がそんなことを」
村長にはカイトの言ってることが信じられなかった。
「アサがアーロイを説得したんです。あなたは勘違いしてるかもしれませんが、レムルの人達は生きてます」
「なんだと?」
「黒竜が攻めてくる前に私がマリエル村にみなを避難させたのです」
それを聞いた村長は顔をほころばせ言った。
「そうか、それは良き知らせだ。所で君は一体何者なんだ」
「私はバルセルラ出身者のカイトといいます。白竜アザエルにこの事件を解決すべくこの地に派遣された者です」
「なるほど、アサさんも初めて会った時にそんなことを言ってたな。彼女には悪いことをしてしまった」
「悪い気持ちがあるのなら謝罪すべきです。ほら村長アサがきますよ」
カイトが指差す方角には立派な翼を羽ばたかせる赤い竜の姿があった。そして黒竜とともに地上に降り立つと二人は人の姿に戻っていった。
「アサ」
「アーロイ」
ジョセとジュエルさんそれぞれの想い人に向かって走っていき、抱き締めた。
人の姿に変わったことを目の当たりにしたルード村長は驚きを隠せなかった。
「あれはアサさんにアーロイではないか」
「二人がマカの人たちを救ったのです」
カイトはマカの人たちを救った彼らを誇らしく思っていると、ジョセからようやく解放された私がカイトの元に駆け寄った。
「カイト」
カイトの元にいくとその隣にいたルード村長が私に目を合わせられずに申し訳なさそうにしていた。
「アサさん、すまなかった私を許してくれ」
ルード村長は柄にもなく頭を大きく下げ、私に謝ってきた。
突然のことで驚いた私だったが、その返事は私からしたら決まり切ってたことなので、すぐに村長向けて言った
「ええ勿論です。村長さんにはもう一人話してほしい人がいるんです。アーロイさん来て」
私がアーロイさんを呼び込むと、アーロイさんがゆっくりとルード村長の元へやってきた。
お互いの村のトップが面と向かい合ったことでマカの人たちに緊張走った。
そしてアーロイさんが沈黙を破り口を開いた。
「マカだけではない、サリサも今や壊滅状態だ。サリサはこれ以上マカと争うつもりはない。これからはお互いに復興に尽力しよう」
アーロイさんがルード村長に握手を求めると、ルード村長はそれに応えるように手を伸ばし二人は固い握手を交わした。
その光景を見たミコットさんは、これからのマカの未来が明るいことを確信して、その二人の姿に拍手を送った。
するとそれは伝染するかのように広がっていき、気付くとマカの人たち全員が拍手を送っていた。
「やったねカイト」
私がウィンクし、手を上にあげるとカイトは「そうだな」と言い二人はハイタッチした。
2つの村が争いではなく、話し合いでお互いを理解し合うことできて本当に良かった。
そして何よりその平和をもたらした存在が竜だったことに私は嬉しさを感じた。
村人が水害の恐ろしさの前に愕然とし、言葉を失っていると空から2頭の竜が村人達の目に飛び込んできた。
「アサ達が戻ってきたんだ」
ジョセが飛び跳ね喜んで言った。
「黒竜までいるじゃないか」
村長は襲われるんじゃないかとゾッとしたがすぐにカイトが村長に言った。
「村長、黒竜はもうマカの敵ではございません。今の今まで黒竜がダムの水を必死にせき止められてくれたのです」
「なぜ黒竜がそんなことを」
村長にはカイトの言ってることが信じられなかった。
「アサがアーロイを説得したんです。あなたは勘違いしてるかもしれませんが、レムルの人達は生きてます」
「なんだと?」
「黒竜が攻めてくる前に私がマリエル村にみなを避難させたのです」
それを聞いた村長は顔をほころばせ言った。
「そうか、それは良き知らせだ。所で君は一体何者なんだ」
「私はバルセルラ出身者のカイトといいます。白竜アザエルにこの事件を解決すべくこの地に派遣された者です」
「なるほど、アサさんも初めて会った時にそんなことを言ってたな。彼女には悪いことをしてしまった」
「悪い気持ちがあるのなら謝罪すべきです。ほら村長アサがきますよ」
カイトが指差す方角には立派な翼を羽ばたかせる赤い竜の姿があった。そして黒竜とともに地上に降り立つと二人は人の姿に戻っていった。
「アサ」
「アーロイ」
ジョセとジュエルさんそれぞれの想い人に向かって走っていき、抱き締めた。
人の姿に変わったことを目の当たりにしたルード村長は驚きを隠せなかった。
「あれはアサさんにアーロイではないか」
「二人がマカの人たちを救ったのです」
カイトはマカの人たちを救った彼らを誇らしく思っていると、ジョセからようやく解放された私がカイトの元に駆け寄った。
「カイト」
カイトの元にいくとその隣にいたルード村長が私に目を合わせられずに申し訳なさそうにしていた。
「アサさん、すまなかった私を許してくれ」
ルード村長は柄にもなく頭を大きく下げ、私に謝ってきた。
突然のことで驚いた私だったが、その返事は私からしたら決まり切ってたことなので、すぐに村長向けて言った
「ええ勿論です。村長さんにはもう一人話してほしい人がいるんです。アーロイさん来て」
私がアーロイさんを呼び込むと、アーロイさんがゆっくりとルード村長の元へやってきた。
お互いの村のトップが面と向かい合ったことでマカの人たちに緊張走った。
そしてアーロイさんが沈黙を破り口を開いた。
「マカだけではない、サリサも今や壊滅状態だ。サリサはこれ以上マカと争うつもりはない。これからはお互いに復興に尽力しよう」
アーロイさんがルード村長に握手を求めると、ルード村長はそれに応えるように手を伸ばし二人は固い握手を交わした。
その光景を見たミコットさんは、これからのマカの未来が明るいことを確信して、その二人の姿に拍手を送った。
するとそれは伝染するかのように広がっていき、気付くとマカの人たち全員が拍手を送っていた。
「やったねカイト」
私がウィンクし、手を上にあげるとカイトは「そうだな」と言い二人はハイタッチした。
2つの村が争いではなく、話し合いでお互いを理解し合うことできて本当に良かった。
そして何よりその平和をもたらした存在が竜だったことに私は嬉しさを感じた。
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