1 / 6
一話
しおりを挟む
「お前ら 始めるぞ。」
低く響く声が狭い個室の中で発せられる。
男2人、女1人の入ったエレベーターはレールに従ってゆっくりと大地に向かう。
扉の上のいくつかの横に並んだ小さなライトが「地上ゲート」を照らし、チーンと重みのない金属音が到着した事を告げる。
扉がゆっくりと開くと同時に男の1人が小さな球を投げ、その球が壁に当たると煙を吐き出し、深い深い煙が空間を支配した。
男は黒いローブのフードを被り、顔はお面で隠れているが、逆三角の目とギザギザの笑った口が煌々と黄色く光り、なんとも言えない恐怖を纏っていた。背には顔より大きな渦巻きキャンディ、腰には紫色のキャンディが弧を描くようにいくつもぶら下がっている。
ローブの間から覗く茶ばんだYシャツ、足には黒い先の尖ったブーツを履いている。
3人は扉から飛び出して走る。煙は3人を優しく飲み込んだ。
煙を抜けた向こうには大きな鉄の扉がある。そこに向かって3人は駆ける。
扉の護衛6人が駆ける我ら3人に襲いかかる。
護衛が放つ銃声、煌めく刃、それを制するは鈍く輝く鉄パイプ。
護衛の足元に転がるキャンディ、唸る爆音。
迫る死を叩き折る、鈍い光とは対照に、光り輝く金属バット。
それらが踊るように、深い煙を切り裂くように。
護衛達の武装を解いていく。
1人で3人の護衛を相手する髪の長い女は
紫色の浴衣を着こなし、青い袴を翻す。3つ繋げた鉄パイプを操っている。パイプのつなぎ目はボコっと膨らんでいた。
音を聞く気が無いのか両耳にイヤホン、極め付けに目を閉じている。
現在外部からの刺激は触覚だけ。だが、まるで見えているかのように、見えている以上に華麗な動きで鉄パイプを振り回す。
血の匂いが辺りに充満すると思われたが、護衛達に怪我は一つも無い。
3人は誰1人傷をつけることなく地に組み伏せた。
黒いローブの男は背中に背負っていた渦巻きキャンディを扉に貼り付け、棒を引き抜いた。それを合図に3人は扉の護衛を引きずり再び鉄の箱に姿を消す。
扉が閉まると同時に耳はおろか、心臓をも貫くような爆音が鉄の箱に木霊する。
先程の渦巻きキャンディは時限式爆弾だった。
爆風で扉が「く」の字に凹んだ。
?「伏せとけぃ」
爆発で歪んだ扉を金属バットのフルスイングでぶっとばす。
とてつもなく大きな音に3人の耳はキンキンと耳鳴りがした。
目の前には黒煙、その中でいびつな四角形をした出口が光でかたどられていた。
「夜明けだ」
?低い声が一段と響く。
その声の主は白いスーツに身を包み、胸には真紅のバラ、黒い肌、光を反射し、輝くスキンヘッドの男。左手には金属バット
?「さぁ、立てよ人類。我々の目覚めだ。」
低く響く声が狭い個室の中で発せられる。
男2人、女1人の入ったエレベーターはレールに従ってゆっくりと大地に向かう。
扉の上のいくつかの横に並んだ小さなライトが「地上ゲート」を照らし、チーンと重みのない金属音が到着した事を告げる。
扉がゆっくりと開くと同時に男の1人が小さな球を投げ、その球が壁に当たると煙を吐き出し、深い深い煙が空間を支配した。
男は黒いローブのフードを被り、顔はお面で隠れているが、逆三角の目とギザギザの笑った口が煌々と黄色く光り、なんとも言えない恐怖を纏っていた。背には顔より大きな渦巻きキャンディ、腰には紫色のキャンディが弧を描くようにいくつもぶら下がっている。
ローブの間から覗く茶ばんだYシャツ、足には黒い先の尖ったブーツを履いている。
3人は扉から飛び出して走る。煙は3人を優しく飲み込んだ。
煙を抜けた向こうには大きな鉄の扉がある。そこに向かって3人は駆ける。
扉の護衛6人が駆ける我ら3人に襲いかかる。
護衛が放つ銃声、煌めく刃、それを制するは鈍く輝く鉄パイプ。
護衛の足元に転がるキャンディ、唸る爆音。
迫る死を叩き折る、鈍い光とは対照に、光り輝く金属バット。
それらが踊るように、深い煙を切り裂くように。
護衛達の武装を解いていく。
1人で3人の護衛を相手する髪の長い女は
紫色の浴衣を着こなし、青い袴を翻す。3つ繋げた鉄パイプを操っている。パイプのつなぎ目はボコっと膨らんでいた。
音を聞く気が無いのか両耳にイヤホン、極め付けに目を閉じている。
現在外部からの刺激は触覚だけ。だが、まるで見えているかのように、見えている以上に華麗な動きで鉄パイプを振り回す。
血の匂いが辺りに充満すると思われたが、護衛達に怪我は一つも無い。
3人は誰1人傷をつけることなく地に組み伏せた。
黒いローブの男は背中に背負っていた渦巻きキャンディを扉に貼り付け、棒を引き抜いた。それを合図に3人は扉の護衛を引きずり再び鉄の箱に姿を消す。
扉が閉まると同時に耳はおろか、心臓をも貫くような爆音が鉄の箱に木霊する。
先程の渦巻きキャンディは時限式爆弾だった。
爆風で扉が「く」の字に凹んだ。
?「伏せとけぃ」
爆発で歪んだ扉を金属バットのフルスイングでぶっとばす。
とてつもなく大きな音に3人の耳はキンキンと耳鳴りがした。
目の前には黒煙、その中でいびつな四角形をした出口が光でかたどられていた。
「夜明けだ」
?低い声が一段と響く。
その声の主は白いスーツに身を包み、胸には真紅のバラ、黒い肌、光を反射し、輝くスキンヘッドの男。左手には金属バット
?「さぁ、立てよ人類。我々の目覚めだ。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる