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暑く白く?
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カーテンの隙間からこぼれる日差しで目を覚まし、ゆっくりと身体を起こす。
自然とでるあくびを噛み、瞼をこする。ぼやけた視界。
寝ぼけ眼できしむベッドからやっと這い出た。
今日も暑い。
キッチンまでたどり着くと、ピーチパイが焼き上がっており、隣には雪のような白い塊。
なんだろう、と手を伸ばすと、ひと際白く細長い指先が伸ばした手の甲をつねった。
「朝はおはようでしょう?ダメよ、棗。ちゃんと顔を洗いなさい。」
ゆるくウェーブのかかったミルクティー色の髪の女性が、その白い塊を遠ざける。
棗と呼ばれた黒髪の少年は、聞き分けが良く、素直に返事をした。
「・・・はい、おはようアリス。それなに?」
たらいに入ったぬるいお湯でバシャバシャと顔を洗いながら訪ねる。
アリスと呼ばれた女性はタオルを差し出しながら、目を細めて笑顔になった。
瞼の隙間からは、瞳が美しい翠の色を輝かせ光を浴びうるうるとしている。
時折目を伏せると長い睫毛が影を落とす。
受け取ったタオルで顔を拭うと、視界がハッキリして、彼女の顔が今日も整っていることを確認した。
心から美しいひとだと、思った。
「なんでしょう?・・・と言っても棗には無理かしら。」
「え?なに?」
「氷よ」
アリスはクスっと微笑む。
「えっ氷!?こおり・・・ってあの硬いやつ!?暑い時にかじるやつ!?」
ここにはエアコンがないので暑い時期になると四角い氷越しに扇風機をかける。
冷たい風が運ばれてくるのだ。
「氷と言ってもこれは練乳を入れて削ったものなんだけれど。」
「やっぱりアリスは凄い。包丁でやったの?」
「作って正解。嬉しい反応!やっぱりかき氷食べた事ないのね。ピーチパイは分かるのに。ふふ。」
ピーチパイがスルーされるのも寂しいわね・・・などと楽しそうに笑っている彼女に、作り方を教えてほしくて。
「いや!笑ってないでどうやって作ったのか教えてほしい!」
「このふわふわな感じは初めてだけど、かき氷は食べた事あって。かき氷はねこれで作るのよ。」
女性一人で持つには重たいだろうと思われる大きさのものが棗の目に入った。
機械的なようで機械ではない・・・ネジみたいなものに・・・横にハンドルのようなものがついている。
じっと見つめていると、小さくキラキラ光る濡れたガラスのようなものが目に入った。
「これでがりがりってやった?これは小さくなった氷だよね?」
「あたり!新しいものが手に入ったと仰ったから譲ってもらったの!」
新鮮な野菜、お肉、魚などが手に入った主婦と言わんばかりの浮かれっぷりだった。
「僕が目を覚まして今日で・・・」
「二ヵ月かしら?」
「氷と雪は・・・」
「大丈夫よ。生きている事がもっと楽しくなるわ。あ!夏祭りに行きましょう。」
アリスの笑顔は夏の日差しよりも輝き、眩しくて。
もっと楽しい事があるんだ。
僕はアリスと一緒に住んでるだけで楽しいのに。
棗はアリスのころころと笑う姿を見ながら、横で白い塊が溶けていくのも見つめた。
自然とでるあくびを噛み、瞼をこする。ぼやけた視界。
寝ぼけ眼できしむベッドからやっと這い出た。
今日も暑い。
キッチンまでたどり着くと、ピーチパイが焼き上がっており、隣には雪のような白い塊。
なんだろう、と手を伸ばすと、ひと際白く細長い指先が伸ばした手の甲をつねった。
「朝はおはようでしょう?ダメよ、棗。ちゃんと顔を洗いなさい。」
ゆるくウェーブのかかったミルクティー色の髪の女性が、その白い塊を遠ざける。
棗と呼ばれた黒髪の少年は、聞き分けが良く、素直に返事をした。
「・・・はい、おはようアリス。それなに?」
たらいに入ったぬるいお湯でバシャバシャと顔を洗いながら訪ねる。
アリスと呼ばれた女性はタオルを差し出しながら、目を細めて笑顔になった。
瞼の隙間からは、瞳が美しい翠の色を輝かせ光を浴びうるうるとしている。
時折目を伏せると長い睫毛が影を落とす。
受け取ったタオルで顔を拭うと、視界がハッキリして、彼女の顔が今日も整っていることを確認した。
心から美しいひとだと、思った。
「なんでしょう?・・・と言っても棗には無理かしら。」
「え?なに?」
「氷よ」
アリスはクスっと微笑む。
「えっ氷!?こおり・・・ってあの硬いやつ!?暑い時にかじるやつ!?」
ここにはエアコンがないので暑い時期になると四角い氷越しに扇風機をかける。
冷たい風が運ばれてくるのだ。
「氷と言ってもこれは練乳を入れて削ったものなんだけれど。」
「やっぱりアリスは凄い。包丁でやったの?」
「作って正解。嬉しい反応!やっぱりかき氷食べた事ないのね。ピーチパイは分かるのに。ふふ。」
ピーチパイがスルーされるのも寂しいわね・・・などと楽しそうに笑っている彼女に、作り方を教えてほしくて。
「いや!笑ってないでどうやって作ったのか教えてほしい!」
「このふわふわな感じは初めてだけど、かき氷は食べた事あって。かき氷はねこれで作るのよ。」
女性一人で持つには重たいだろうと思われる大きさのものが棗の目に入った。
機械的なようで機械ではない・・・ネジみたいなものに・・・横にハンドルのようなものがついている。
じっと見つめていると、小さくキラキラ光る濡れたガラスのようなものが目に入った。
「これでがりがりってやった?これは小さくなった氷だよね?」
「あたり!新しいものが手に入ったと仰ったから譲ってもらったの!」
新鮮な野菜、お肉、魚などが手に入った主婦と言わんばかりの浮かれっぷりだった。
「僕が目を覚まして今日で・・・」
「二ヵ月かしら?」
「氷と雪は・・・」
「大丈夫よ。生きている事がもっと楽しくなるわ。あ!夏祭りに行きましょう。」
アリスの笑顔は夏の日差しよりも輝き、眩しくて。
もっと楽しい事があるんだ。
僕はアリスと一緒に住んでるだけで楽しいのに。
棗はアリスのころころと笑う姿を見ながら、横で白い塊が溶けていくのも見つめた。
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