神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

文字の大きさ
259 / 395
群雄進撃編

第258話 二人の二刀流

しおりを挟む
清正たちが小西行長を挑発していたころ、呼延灼は日ノ本兵の倒れた上を駆けていく。

(あれが敵の副将か!)

敵を見定め進撃する呼延灼の前に、一人の武士が立ちはだかる。

その男が剣を抜き、呼延灼の愛馬『踢雪烏騅(てきせつうすい)』の足に太刀で斬りかかるも、踢雪烏騅は前足を上げてこれを躱す。
武士はそのまま馬の腹へと潜り込み、小太刀で馬の下腹部に突きを放つ!

間一髪、愛馬の危機を察知し、下馬した呼延灼の双鞭に小太刀をはじかれた。

「韓王から賜った大事な馬に斬りかかるとは、困った方じゃな」

踢雪烏騅は二人の戦いを邪魔しないようにと思ったのか、少し離れて主人の戦いを見守り始めた。

「日ノ本の剣士か?私の名は呼延灼!韓ノ国の将軍である!」

白い着物に赤い肩衣を着た武士は胸を張って挨拶をする。

「我が名は『宮本武蔵(みやもと・むさし)』と申す!」

「世話になっている六左衛門殿の主人である、小西行長殿の恩に報いるため、お主の相手をさせて頂く!」

名乗りを上げた武蔵は、腰から2本の刀を抜き構えた。
じりじりと詰め寄る二人。

やがて間合いに入ったと思った瞬間、双方が電光石火の速度で剣撃を放ち始めた。

武蔵は目にも止まらぬ速さで呼延灼に攻撃を仕掛けるが、呼延灼はそれをはじき受け止め流し躱す。

呼延灼の双鞭は重く、片手持ちである武蔵の刀をはじき飛すのだが、もう片方の刀が攻撃を仕掛けてくるため、次の攻撃に繋げられずにいた。

周りで見ていた妖怪たちは、その攻防を固唾をのみながら見て呟く。

『すごい、まるで化け物同士の戦いだ』と。

幾数十合の金属音が付近に響き渡ったであろうか、戦況は徐々に武蔵へ有利となっていく。

元々守勢であった呼延灼ではあったが、武蔵が呼延灼の鞭捌きを見切り、更に攻勢に出たのである。

左手に持った小太刀を囮に、右手の刀で主攻を、またその逆を瞬時に切り替え、呼延灼は翻弄される。

武具の隙間から斬られ、切り傷も少しずつ増えていく。

連環馬を指揮していた韓滔・彭玘も、将軍の劣勢には気付いていたが助太刀には向かわなかった。

「どうした呼延灼とやら!何なら部下を呼びよせて、助けてもらってもよいのだぞ?」

攻撃の手を休める事なく話しかける武蔵に、呼延灼はにやりと笑って返答する。

「いや、確かに其方は強いが、私一人で十分じゃ!」

「ほう?そこまで言うとは、何かまだ秘策でもあるのか?」

武蔵の目が鋭くなり、呼延灼の攻撃に備える。

「ご名答!」

呼延灼は武蔵に返事をすると同時に、固有スキルを発動した。

「行くぞ!」

掛け声と同時にふるった左の鞭を、武蔵は右手の刀で払い流す。

流すと同時に、武蔵は左手の小太刀で呼延灼に斬りに入り、呼延灼が鞭で防ぐ。

行く数度の攻防を繰り返したが、やがてその拮抗が崩れはじめる。

みるみるうちに、武蔵の剣速「基い」動きが遅くなっていったのだ。

(どういうことだ?奴に触れるたびに体が重くなっていく?!)

やがて武蔵は自身の重さに耐えられなくなり、片膝を付いてしまう。

その機を呼延灼が見逃すはずもなく、刀で防ぐ武蔵を双鞭でその上から叩き続け、遂に自重に耐えられなくなった武蔵はうつ伏せに倒れてしまう。

(だめだ…もう立つこともできぬ…)

もはやこれまでと覚悟する武蔵。

しかしここで、思わぬ援軍が上空より駆けつける。

「下間頼廉推参なり!」

「亜人国の名のある武将とお見受けした!」

「いざ!尋常に勝負!」

頼廉は名乗りを上げると、呼延灼に袈裟斬りかかった。

頼廉の袈裟斬りを、呼延灼は双鞭をクロスにして受け止める。

(?なんだこの違和感は?)

頼廉は、僅かに体が重くなったことに気付く。

「日ノ本の武将殿!奴の鞭には触れてはならぬ!」

「奴の双鞭に触れると、体が重くなって動けなくなるぞ!」

「!」

武蔵の一言で、全てを悟った頼廉は、部下たちに指示を出す。

「付近にいる日ノ本兵たち!あの男に石を拾って投げつけろ!」

「鴉たちは上空より、奴の背後から攻撃を仕掛けるのだ!」

頼廉の言葉を聞き、周りの妖怪たちは投石や炎、水などを吹き掛けて応戦を始めた。

(洒落臭い!私の鎧にそのような攻撃は効かぬ!)

(先にあの空飛ぶ指揮官を潰すか!)

呼延灼が頼廉に仕掛けようと考えたとき、味方の陣地より退却命令の法螺貝が鳴る。

(まぁ、本来の目的は達成できたのでよしとするか!)

呼延灼は愛馬・踢雪烏騅を呼び寄せ飛び乗った。

「日ノ本の兵士たちよ、今日は楽しませてもらった!」

「後日また会おう!」

呼延灼はそう言い残し、踵を返して自陣の障壁内へと撤退した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

乙女ゲームの隠れチートモブ〜誰も知らないキャラを転生者は知っていた。〜

浅木永利 アサキエイリ
ファンタジー
異世界に転生した主人公が楽しく生きる物語 その裏は、、、自分の目で見な。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...