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再出発は卵と一緒に?
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森の中で目を覚ましてから、彷徨うこと1時間。
縁は自らの限界を感じはじめていた。
「生まれ変わってても方向音痴は治りませんでしたか。無念です」
方向音痴の自覚はあったのだか、生まれ変わってまでそれが引き継がれるとは思わず歩き回ってしまったのだ。
気づいた時にはもう遅く、縁には現在自分がどこにいるのか全く分からなかった。
道々拾ってきた木の実などでお腹は満たされているが、町どころか人っ子一人見つけることができず、精神的にまいってしまっていた。
「このまま誰にも会えずに死んだらどうし……ん?」
???
目の前に見えるは卵。
若干色がくすんで、所々血が付いているが縁の知る限りではこれは卵だ。
たとえ縁の頭ぐらいの大きさがあろうとも。
「……なんでこんな所に?」
周りを見るが親らしき動物はおらず、木の上にも巣らしきものも見あたらない。
「一人は寂しいので、キミも一緒に行きましょうか」
普段なら放っておいたかもしれないが、一人でいる寂しさに負け卵を腕に抱え込む。
触れてみるとひんやりとする殻の表面が、歩き疲れて火照った体に心地良い。
両手が塞がってしまったが、相棒が出来たようで歩く気力が湧いてくる。
優しく撫でてやりながら、そこから15分程歩けば小屋らしきものが見えてきた。
「キミは幸運の卵だったみたいです」
やっと第一村人発見できそうだと、若干足早になりながら近づけば小さな小屋の中からは人の話し声が聞こえてきた。
「こんな所早くでなきゃ」
「そのなの分かってる!鍵がかかってるだ!」
「早く鍵を壊せ!奴らが戻ってくるぞ!」
「分かってるって言ってんだろ!ならお前がなんとかしろ!」
ガチャガチャと鎖がぶつかるような音に彼等が逃げ出そうとしているのが分かる。
「あの~お忙しい中すいません。道を教えていただきたいのですが………」
「「「「「っつ!」」」」」
慎重に声をかけたつもりだが、やはり驚かれたようで中にいた人たちの視線が一気に集まる。
「………」
「「「「「………」」」」」
どうしよう。
ただ道を教えて欲しいだけだったのだが。
ビクビクと震える彼らに話しかけるのがためらわれる。
「……あんたはアイツらの仲間か?」
「アイツら?」
「外にいた盗賊たちだ。俺たちはヤツらに捕まったんだ」
なるほど。
どうやら彼らは盗賊に拉致され、これから奴隷として売り飛ばされるところだったらしい。
こんな狭い部屋に雑な扱いも納得できる。
だが中には小さな子どもを守るように抱き抱えた母親らしき女性までいる。早く出してやったほうがいいだろう。
「違います。私は最近こちらへ来たばかりで、町に行こうとしたんですが道に迷ってしまって…」
「町?ここはかなり森の奥だぞ」
「あんた一人なのか?」
「町はこっちとは逆方向よ?」
逆方向ですと?
あんなに頑張って歩いたにも関わらず、縁は頑張って逆方向に歩いていたらしい。
「そりゃあ一向に着かないはずですね」
気が抜け、卵を抱えたまま地面に座り込んでしまう。
彼らもそんな縁を見て全てを察したのか、憐れみの表情だ。
迷子の自覚はあったが、物の見事に逆に進んでいたというのはかなり堪えた。
この数時間の頑張りはなんだったのか…
「あー、その、なんだ、大変だったな。森の中じゃ方向分かんなくなることもあるさ」
「そうそう。むしろここまでよく一人で来れたな」
あまりの落ち込みように慰めてくれるが、それが今は余計につらい。
「ありがとうございます。それよりここを開けましょう。鍵はどこか分かりますか?」
さっさとここを開けて町までの道を教えてもらったほうがいい。
あわよくば連れてってもらおうと聞けば、鍵は盗賊の男が持っているらしい。
縁は争いごとが苦手だが、どうにか出来ることを願いながら小屋を出た。
周りを警戒しながらも盗賊を探してみるが、そもそも人の気配がしない。
もう鍵を壊した方が早いのではないかと思い始めたころ、広場らしき開けた場所にでた。
「ーっつ!?」
その惨状に息を飲む。
血。血。血。
辺り一面が血の赤と噎せ返るような血の匂いに彩られている。
地面に倒れ伏した男たちは確認することなく息絶えていることが分かる。
「なに?」
前世でも見たことがないほどの光景に声が震え、卵を抱えた手に無意識に力が入った。
震える足を叱咤し、近くで倒れた男を見れば牙か何かに噛み付かれでもしたのか身体には大きな穴が二つ空いていた。
「ぐっ!…おえっ……」
他にも身体の一部分が欠けている者や、生きながらに引き千切られたのか内臓が飛び出している者、毒なのか身体中紫色に変色している者もいる。
あまりのことに目を見開き閉じることができない。
これは現実なのだ。
こちらでは、縁が今いるこの世界では、こんなことが自分にも起こる可能性がある世界なのだとまざまざと見せつけられた。
「うっ…ゴホ、ゴホッ」
必死に肺に空気を送り込もうとするが、血の匂いが充満したそれに吸った端から咳き込んでしまう。
気持ち悪い。
怖い。
縋るように卵を抱き締めれば、手から伝わるひんやりとした体温に少しだけ落ち着いた。
何度も吐き、胃の中のものを全部出しきりながらも進めば広場の一角、白い何かが動いたような気がした。
「これはーー蛇?っつ!」
そっと近づけば、縁の声に反応したのか白い鱗を所々血に染めた白い蛇が頭を上げた。
縁の数倍はあるだろう太く長い胴体を見上げれば、爬虫類独特の縦長の瞳孔と目が合う。
綺麗な金色の瞳に何故か恐怖は湧かなかった。
「こんにちは」
場違いな台詞だとは思ったかが、他に何と言ったらいいか分からず頭を下げて挨拶した。
「………」
「………」
やはりおかしかったのだろう。
白い蛇は「何言ってんだコイツ」みたいな呆れた目で縁を見ていた。
と言ってた蛇の表情など分からないので、そんな気がするというだけなのだが。
だが縁の間抜けな挨拶に、まだ少し警戒はしているが殺気はなくなったようなのでよかったと思いたい。
実際倒された盗賊たちらしき男たちとは違い、縁には警戒心はあるが蛇に危害を加えようという意思はない。
「………」
「………」
お互いが相手の出方が分からず見つめ合う。
だがよく見れば蛇は、縁の手元に目線がいっているようだ。
蛇の産卵を見たことはないが卵で生まれてくるというのは聞いたことがあった。
「あなたの子どもですか?」
見やすいよう卵を抱え上げれば、蛇は首を動かし頷いているように見える。
どうやら道すがら拾ったこの卵の親だったようだ。
状況から見るに、盗賊たちは人の拉致だけでは飽き足らず珍しい生き物たちからの卵の拉致もしていたようだ。
今まで上手くいっていたようだが、今回は相手が悪かった。
卵を取り戻そうとやってきた大蛇に返り討ちにあったようである。
盗賊たちは襲いくる親蛇に卵を非難させようとして落としたか途中で何者かにやられでもしたのだろう。
相棒がいなくなるのは寂しいが、こんなにボロボロになってまで我が子をを取り返しに来た親に返さないわけにはいかない。
今までありがとうと感謝を込めて最後に一撫し、蛇の近くに置いてあげた。
「大丈夫。あなたの頑張りのおかげで卵は無事でした。遅くなりましたがお返しします」
もうしてやれることはないだろうと、縁は吐き気を抑えながら鍵探しにもどったのだった。
縁は自らの限界を感じはじめていた。
「生まれ変わってても方向音痴は治りませんでしたか。無念です」
方向音痴の自覚はあったのだか、生まれ変わってまでそれが引き継がれるとは思わず歩き回ってしまったのだ。
気づいた時にはもう遅く、縁には現在自分がどこにいるのか全く分からなかった。
道々拾ってきた木の実などでお腹は満たされているが、町どころか人っ子一人見つけることができず、精神的にまいってしまっていた。
「このまま誰にも会えずに死んだらどうし……ん?」
???
目の前に見えるは卵。
若干色がくすんで、所々血が付いているが縁の知る限りではこれは卵だ。
たとえ縁の頭ぐらいの大きさがあろうとも。
「……なんでこんな所に?」
周りを見るが親らしき動物はおらず、木の上にも巣らしきものも見あたらない。
「一人は寂しいので、キミも一緒に行きましょうか」
普段なら放っておいたかもしれないが、一人でいる寂しさに負け卵を腕に抱え込む。
触れてみるとひんやりとする殻の表面が、歩き疲れて火照った体に心地良い。
両手が塞がってしまったが、相棒が出来たようで歩く気力が湧いてくる。
優しく撫でてやりながら、そこから15分程歩けば小屋らしきものが見えてきた。
「キミは幸運の卵だったみたいです」
やっと第一村人発見できそうだと、若干足早になりながら近づけば小さな小屋の中からは人の話し声が聞こえてきた。
「こんな所早くでなきゃ」
「そのなの分かってる!鍵がかかってるだ!」
「早く鍵を壊せ!奴らが戻ってくるぞ!」
「分かってるって言ってんだろ!ならお前がなんとかしろ!」
ガチャガチャと鎖がぶつかるような音に彼等が逃げ出そうとしているのが分かる。
「あの~お忙しい中すいません。道を教えていただきたいのですが………」
「「「「「っつ!」」」」」
慎重に声をかけたつもりだが、やはり驚かれたようで中にいた人たちの視線が一気に集まる。
「………」
「「「「「………」」」」」
どうしよう。
ただ道を教えて欲しいだけだったのだが。
ビクビクと震える彼らに話しかけるのがためらわれる。
「……あんたはアイツらの仲間か?」
「アイツら?」
「外にいた盗賊たちだ。俺たちはヤツらに捕まったんだ」
なるほど。
どうやら彼らは盗賊に拉致され、これから奴隷として売り飛ばされるところだったらしい。
こんな狭い部屋に雑な扱いも納得できる。
だが中には小さな子どもを守るように抱き抱えた母親らしき女性までいる。早く出してやったほうがいいだろう。
「違います。私は最近こちらへ来たばかりで、町に行こうとしたんですが道に迷ってしまって…」
「町?ここはかなり森の奥だぞ」
「あんた一人なのか?」
「町はこっちとは逆方向よ?」
逆方向ですと?
あんなに頑張って歩いたにも関わらず、縁は頑張って逆方向に歩いていたらしい。
「そりゃあ一向に着かないはずですね」
気が抜け、卵を抱えたまま地面に座り込んでしまう。
彼らもそんな縁を見て全てを察したのか、憐れみの表情だ。
迷子の自覚はあったが、物の見事に逆に進んでいたというのはかなり堪えた。
この数時間の頑張りはなんだったのか…
「あー、その、なんだ、大変だったな。森の中じゃ方向分かんなくなることもあるさ」
「そうそう。むしろここまでよく一人で来れたな」
あまりの落ち込みように慰めてくれるが、それが今は余計につらい。
「ありがとうございます。それよりここを開けましょう。鍵はどこか分かりますか?」
さっさとここを開けて町までの道を教えてもらったほうがいい。
あわよくば連れてってもらおうと聞けば、鍵は盗賊の男が持っているらしい。
縁は争いごとが苦手だが、どうにか出来ることを願いながら小屋を出た。
周りを警戒しながらも盗賊を探してみるが、そもそも人の気配がしない。
もう鍵を壊した方が早いのではないかと思い始めたころ、広場らしき開けた場所にでた。
「ーっつ!?」
その惨状に息を飲む。
血。血。血。
辺り一面が血の赤と噎せ返るような血の匂いに彩られている。
地面に倒れ伏した男たちは確認することなく息絶えていることが分かる。
「なに?」
前世でも見たことがないほどの光景に声が震え、卵を抱えた手に無意識に力が入った。
震える足を叱咤し、近くで倒れた男を見れば牙か何かに噛み付かれでもしたのか身体には大きな穴が二つ空いていた。
「ぐっ!…おえっ……」
他にも身体の一部分が欠けている者や、生きながらに引き千切られたのか内臓が飛び出している者、毒なのか身体中紫色に変色している者もいる。
あまりのことに目を見開き閉じることができない。
これは現実なのだ。
こちらでは、縁が今いるこの世界では、こんなことが自分にも起こる可能性がある世界なのだとまざまざと見せつけられた。
「うっ…ゴホ、ゴホッ」
必死に肺に空気を送り込もうとするが、血の匂いが充満したそれに吸った端から咳き込んでしまう。
気持ち悪い。
怖い。
縋るように卵を抱き締めれば、手から伝わるひんやりとした体温に少しだけ落ち着いた。
何度も吐き、胃の中のものを全部出しきりながらも進めば広場の一角、白い何かが動いたような気がした。
「これはーー蛇?っつ!」
そっと近づけば、縁の声に反応したのか白い鱗を所々血に染めた白い蛇が頭を上げた。
縁の数倍はあるだろう太く長い胴体を見上げれば、爬虫類独特の縦長の瞳孔と目が合う。
綺麗な金色の瞳に何故か恐怖は湧かなかった。
「こんにちは」
場違いな台詞だとは思ったかが、他に何と言ったらいいか分からず頭を下げて挨拶した。
「………」
「………」
やはりおかしかったのだろう。
白い蛇は「何言ってんだコイツ」みたいな呆れた目で縁を見ていた。
と言ってた蛇の表情など分からないので、そんな気がするというだけなのだが。
だが縁の間抜けな挨拶に、まだ少し警戒はしているが殺気はなくなったようなのでよかったと思いたい。
実際倒された盗賊たちらしき男たちとは違い、縁には警戒心はあるが蛇に危害を加えようという意思はない。
「………」
「………」
お互いが相手の出方が分からず見つめ合う。
だがよく見れば蛇は、縁の手元に目線がいっているようだ。
蛇の産卵を見たことはないが卵で生まれてくるというのは聞いたことがあった。
「あなたの子どもですか?」
見やすいよう卵を抱え上げれば、蛇は首を動かし頷いているように見える。
どうやら道すがら拾ったこの卵の親だったようだ。
状況から見るに、盗賊たちは人の拉致だけでは飽き足らず珍しい生き物たちからの卵の拉致もしていたようだ。
今まで上手くいっていたようだが、今回は相手が悪かった。
卵を取り戻そうとやってきた大蛇に返り討ちにあったようである。
盗賊たちは襲いくる親蛇に卵を非難させようとして落としたか途中で何者かにやられでもしたのだろう。
相棒がいなくなるのは寂しいが、こんなにボロボロになってまで我が子をを取り返しに来た親に返さないわけにはいかない。
今までありがとうと感謝を込めて最後に一撫し、蛇の近くに置いてあげた。
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