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お供(強制)は変態のようです
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こちらに来てから色々ありすぎて疲れてしまった。
だか、今ここで気を失おうものなら目の前の男になにをされるわかったもんじゃない。
「あの…離れてくれませんか」
蛇との別れをとげると、それが当たり前だと言わんばかりに男は再び縁の腰に手を回してきた。
身長も高く、見上げなければいけないのが若干腹立たしい。
会って間もない男になぜ腰を抱かれなければならないのか。
そもそもお前誰なんだよ状態である。
さっさと離せとばかりに言ったのに、逆に何言ってんだ?みたいな顔で見られた。解せない。
「私はこれから町に行かなければならないので手を離してほしいんですが」
「それなら俺が案内してやる」
頼んでもないのに案内してやると言われて「はいそうですか。ありがとう」とはならない。
「結構です。先程助けた人たちが案内してくれるので」
「あいつらならとっくに逃げたぞ」
「え……」
なぜ??
疑問が顔に出ていたようですぐに種明かしされた。
「あんたを追いかけてきたんだろ。この惨状にあんな大きな蛇、誰だってこんなの見たら逃げ出すだろ」
どうやらあまりの恐ろしさに全員逃げ出してしまったらしい。当たり前の反応だ。
むしろ怖いと思いながらも蛇に近寄って行った縁の方がおかしいと言えるだろう。
配慮が足りなかった縁の問題だ。
「あなたは何故逃げなかったんですか?」
あの時通訳してもらったのはありがたがったが、逃げようと思えば逃げられたはずだ。
なのに何故彼らと一緒に逃げず縁を助けてくれたのか。
「あぁ、この格好じゃ分かりにくいか。これならどうだ?」
フード付きのマントみたいなものを脱いだかと思えば、現れたのは縁の何倍はあろうかというぐらいの引き締まった筋肉とそれを引き立たせるような褐色の肌。
ワイルドだが整った顔立ちに青い瞳は海の男という感じがする。
そしてーー
「耳?」
少し小ぶりな、それでいて動物のそれのようなフサフサとした明らかに縁が知る人間とは違う犬?のような黒い耳が男の頭にはあった。
そういう寝ぐせか?と思ったが明らかに動いている。
まるで生きているかのように。
「もしかして初めて見たのか?獣人を」
ピクピクと動く耳から目を離せずコクリと頷けば、溜め息と共にこちらを窺うような目で見てくる。
「…気持ち悪く、ないか?」
??
言っている意味が分からない。
気持ち悪い?何が?
「何のことを言ってるのか分かりませんが、今のところ私が気持ち悪いと思うようなものは無惨な死体以外ここにはありません」
分からないとはっきり告げれば、男は驚いた顔をした後嬉しそうに笑い縁を抱きしめてきた。
「ぐぇ!?」
「あっ、スマン」
いきなりかなりの力で抱きしめられ危うく口から色々出てきそうだった。
死因がまさかの抱きしめられての圧死なんて御免被りたい。
謝りながらも力を緩めてはくれたが、背中に回った腕は離してもらえず縁はマジで疲れてきていた。
「本当にいい加減離して下さい。町に行く体力がなくなります」
「そうなったら俺が抱えて行ってやるから安心しろ」
力強く言われても1ミリも安心できない。
というか、人の話をきちんと聞いてほしい。
「心配してくれるぐらいなら今すぐ手を離して説明して下さい」
先程の質問はどういう意味かと問えば、この国では獣人は人間へのなりそこない、神から見捨てられた忌むべきものとされているらしい。
それでも人間と比べ強く体力もある獣人は有効活用と称し奴隷として扱われ、だがほとんどが酷い扱いらしい。
具合が悪くなれば捨て置かれ、死ねば次だとばかりに使い捨てられるそうだ。
生きていられるのは我々人間のおかげとばかりに朝から晩まで働かされ、死んでも墓どころか森に処分される。
人間を恐れ、人里離れた場所に獣人の集落を作っている獣人たちもいるらしいが先程の盗賊たちのように誘拐,拉致されることも多々あるらしい。
「やっぱりあんただ。あんたはあの蛇を助けてくれた。血を流すあいつを見て悲しんでくれた。大丈夫だ安心しろって卵を受け取ってくれた。あんたなら、もしかしてと思ったんだ」
「もしかして、なんですか?」
「さっきの蛇は俺の育ての親なんだよ。森を彷徨っていた小さい俺を、蛇と狼の獣人って違いがあるのに拾って育ててくれた。獣に育てられる俺を他の獣人でさえ怖がってた。獣にもなりきれず、仲間たちからも怖がられ、人間にもなれない俺は…居場所がなかったんだ。一生一人だと思ってた。けどあんたが現れた。俺にとっての居場所だ」
「………」
重い。
重すぎる。
男にとっては感動すべきことなのだろうが、縁にとっては面倒くさいことこの上ない。
いきなり「貴方は私の全てです!」と熱烈に告白されても縁には何のこっちゃ?である。
蛇は助けたいから助けた(とくに助ける行為はしてない)が目の前の男は助けた覚えもなければ、失礼な態度とセクハラに怒りたいくらいである。
「私はそんな大層なものではありませんよ。今にきっとあなたに相応しい綺麗で、美しい女性が現れます。こんな所で簡単に私みたいな人間を選ぶ必要なんてない」
言外に、諦めてさっさと他の人を探してくれと伝えようとしたのだがーー
「あんた以外いるわけない。それに綺麗で美しいってなんだ?俺の容姿を褒めてくれてるんだとしたら嬉しいが、こんなに綺麗な銀髪に綺麗な金色の目して雪みたいに真っ白な肌のあんた以上に綺麗なやつ俺は見たことない」
こちらに来てから数時間、まだ新しく与えられた身体の全てを見てないので分からないがそれなりに綺麗な分類に入るらしい。
あの2人が嬉々として縁の新しい身体を考えてくれていたため放っておいたが、それが仇になったみたいだ。
それでも自分で見て確認してないため実感が湧かないし、見たとしても前世の自分の姿が邪魔して慣れるまで時間がかかりそうである。
「……ありがとうございます」
これ以上何を言っても仕方ないと諦めて礼を述べると、ニコニコと嬉しそうに男が笑うのだった。
諦めたのは容姿のことであって男から逃げるのは諦めてないのだが。
だか、今ここで気を失おうものなら目の前の男になにをされるわかったもんじゃない。
「あの…離れてくれませんか」
蛇との別れをとげると、それが当たり前だと言わんばかりに男は再び縁の腰に手を回してきた。
身長も高く、見上げなければいけないのが若干腹立たしい。
会って間もない男になぜ腰を抱かれなければならないのか。
そもそもお前誰なんだよ状態である。
さっさと離せとばかりに言ったのに、逆に何言ってんだ?みたいな顔で見られた。解せない。
「私はこれから町に行かなければならないので手を離してほしいんですが」
「それなら俺が案内してやる」
頼んでもないのに案内してやると言われて「はいそうですか。ありがとう」とはならない。
「結構です。先程助けた人たちが案内してくれるので」
「あいつらならとっくに逃げたぞ」
「え……」
なぜ??
疑問が顔に出ていたようですぐに種明かしされた。
「あんたを追いかけてきたんだろ。この惨状にあんな大きな蛇、誰だってこんなの見たら逃げ出すだろ」
どうやらあまりの恐ろしさに全員逃げ出してしまったらしい。当たり前の反応だ。
むしろ怖いと思いながらも蛇に近寄って行った縁の方がおかしいと言えるだろう。
配慮が足りなかった縁の問題だ。
「あなたは何故逃げなかったんですか?」
あの時通訳してもらったのはありがたがったが、逃げようと思えば逃げられたはずだ。
なのに何故彼らと一緒に逃げず縁を助けてくれたのか。
「あぁ、この格好じゃ分かりにくいか。これならどうだ?」
フード付きのマントみたいなものを脱いだかと思えば、現れたのは縁の何倍はあろうかというぐらいの引き締まった筋肉とそれを引き立たせるような褐色の肌。
ワイルドだが整った顔立ちに青い瞳は海の男という感じがする。
そしてーー
「耳?」
少し小ぶりな、それでいて動物のそれのようなフサフサとした明らかに縁が知る人間とは違う犬?のような黒い耳が男の頭にはあった。
そういう寝ぐせか?と思ったが明らかに動いている。
まるで生きているかのように。
「もしかして初めて見たのか?獣人を」
ピクピクと動く耳から目を離せずコクリと頷けば、溜め息と共にこちらを窺うような目で見てくる。
「…気持ち悪く、ないか?」
??
言っている意味が分からない。
気持ち悪い?何が?
「何のことを言ってるのか分かりませんが、今のところ私が気持ち悪いと思うようなものは無惨な死体以外ここにはありません」
分からないとはっきり告げれば、男は驚いた顔をした後嬉しそうに笑い縁を抱きしめてきた。
「ぐぇ!?」
「あっ、スマン」
いきなりかなりの力で抱きしめられ危うく口から色々出てきそうだった。
死因がまさかの抱きしめられての圧死なんて御免被りたい。
謝りながらも力を緩めてはくれたが、背中に回った腕は離してもらえず縁はマジで疲れてきていた。
「本当にいい加減離して下さい。町に行く体力がなくなります」
「そうなったら俺が抱えて行ってやるから安心しろ」
力強く言われても1ミリも安心できない。
というか、人の話をきちんと聞いてほしい。
「心配してくれるぐらいなら今すぐ手を離して説明して下さい」
先程の質問はどういう意味かと問えば、この国では獣人は人間へのなりそこない、神から見捨てられた忌むべきものとされているらしい。
それでも人間と比べ強く体力もある獣人は有効活用と称し奴隷として扱われ、だがほとんどが酷い扱いらしい。
具合が悪くなれば捨て置かれ、死ねば次だとばかりに使い捨てられるそうだ。
生きていられるのは我々人間のおかげとばかりに朝から晩まで働かされ、死んでも墓どころか森に処分される。
人間を恐れ、人里離れた場所に獣人の集落を作っている獣人たちもいるらしいが先程の盗賊たちのように誘拐,拉致されることも多々あるらしい。
「やっぱりあんただ。あんたはあの蛇を助けてくれた。血を流すあいつを見て悲しんでくれた。大丈夫だ安心しろって卵を受け取ってくれた。あんたなら、もしかしてと思ったんだ」
「もしかして、なんですか?」
「さっきの蛇は俺の育ての親なんだよ。森を彷徨っていた小さい俺を、蛇と狼の獣人って違いがあるのに拾って育ててくれた。獣に育てられる俺を他の獣人でさえ怖がってた。獣にもなりきれず、仲間たちからも怖がられ、人間にもなれない俺は…居場所がなかったんだ。一生一人だと思ってた。けどあんたが現れた。俺にとっての居場所だ」
「………」
重い。
重すぎる。
男にとっては感動すべきことなのだろうが、縁にとっては面倒くさいことこの上ない。
いきなり「貴方は私の全てです!」と熱烈に告白されても縁には何のこっちゃ?である。
蛇は助けたいから助けた(とくに助ける行為はしてない)が目の前の男は助けた覚えもなければ、失礼な態度とセクハラに怒りたいくらいである。
「私はそんな大層なものではありませんよ。今にきっとあなたに相応しい綺麗で、美しい女性が現れます。こんな所で簡単に私みたいな人間を選ぶ必要なんてない」
言外に、諦めてさっさと他の人を探してくれと伝えようとしたのだがーー
「あんた以外いるわけない。それに綺麗で美しいってなんだ?俺の容姿を褒めてくれてるんだとしたら嬉しいが、こんなに綺麗な銀髪に綺麗な金色の目して雪みたいに真っ白な肌のあんた以上に綺麗なやつ俺は見たことない」
こちらに来てから数時間、まだ新しく与えられた身体の全てを見てないので分からないがそれなりに綺麗な分類に入るらしい。
あの2人が嬉々として縁の新しい身体を考えてくれていたため放っておいたが、それが仇になったみたいだ。
それでも自分で見て確認してないため実感が湧かないし、見たとしても前世の自分の姿が邪魔して慣れるまで時間がかかりそうである。
「……ありがとうございます」
これ以上何を言っても仕方ないと諦めて礼を述べると、ニコニコと嬉しそうに男が笑うのだった。
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