24 / 475
獣人
しおりを挟む
家族との愛情の確認もし、夕食、風呂と後は寝るだけとなった。
スノーは意外なことになんでも食べ、ネズミでも捕まえてこなければと思っていた縁の心配は無用だった。
それでも味つけの濃いものは避けてやり、なるべく野菜や果物といったものを食べさせてやる。
「アズ、俺たちは縁と話しがあるから先にスノーと寝ていてくれるか?」
セインはそう言うとアズを寝室に連れて行こうとする。
寂しそうにこちらを見るアズに後でちゃんと行くことと、額におやすみのキスをしてやれば大人しく部屋へ入っていった。
「それで話しってなんですか?」
何か頼みでもあるのかと問えば、セインの隣に座らさせられたアレンも訝しげにセインを見ていた。
アズを寝かしつけ戻ってきたセインは、なぜか定位置の縁の隣に座らず正面にある、机を挟んだ反対側の椅子に腰かけていた。
何も聞いてなかったらしいアレンも不服そうながら、引きづられるようにセインの隣に座っている。
「縁は俺たちに番になってくれって言ってくれたよな。その気持ちを疑うわけじゃないし、もう離してなんてやれないけど、それでももう一度聞かさせてくれ。縁は本当に俺の、俺たちの番になってくれるか?」
真剣な声で尋ねるセインに縁は驚き、隣にいたアレンも不服そうだった顔から真剣な顔で縁を見てくる。
「はい。何度聞かれても私の答えは変わりません。私がずっと一緒ににいたと思うのはセイン、アレン君たち2人だけです。もちろんアズやスノーもそうですが、番として夫婦として一緒にいたいのは君たちだけなんです」
迷うことなく、しっかりと2人の目を見ながら答えればセインはようやく肩の力を抜いた。
アレンも嬉しそうに見てくる。
「ありがとう。縁が番で俺は本当にうれしい。これからもよろしく頼む」
「俺もうれしい。絶対幸せにしてやるからな」
自信満々に言うアレンにセインは呆れ気味だが、これはこれでアレンの良いところでもある。
ブレない心を示してくれているようで安心できる。
「……じゃあ安心して言える。獣人の愛は重たいと言ったが、人間とはちがって普段のそれとは別に、獣人だけが定期的にくるものがある」
「くるもの?」
発作かなにかだろうか?
でもそんな持病があるなんて言ってなかった気がする。
「発情期だ」
「はつじょうき?」
嬉しそうに教えてくれたアレンは目をギラギラさせて、今にも縁に飛びかからんばかりである。
もちろんセインにその首根っこを捕まえているため無理のようだが。
「獣人は見た通り半分が獣だ。子を、子孫を残そうと強制的に発情する時がくる。そのため番がいる場合、相手は大変なんだ」
どうやら獣人には定期的に発情期がくるらしい。
それ自体に問題はないらしく、相手がいなければある程度部屋にでもこもっていれば終わるらしい。
だが相手が、番がいるものはそうでない。
心の底から番を求め、衝動が治るまで無心で貪り食う。
この場合の食うは、もちろん交尾でありSEXのことだ。
番の匂い、姿、存在全てを自分のものにするまで治らず、その間はお互い離れることができないらしい。
「えーと、恥ずかしながら今までそういった行為をしたことがないんですが、私でも大丈夫なんですかね?」
こちらに来てからはもちろん、元の世界でも殆どないに等しい。
ないわけでもないが、相手は女性であり抱くことはあっても抱かれたことはまだなかった。
「それ以前に私は、その……どちら側なんでしょう?2人は私に、その、抱かれたいんですかね?それとも抱きたいんですかね」
同性愛者と自覚してからも中々そういった相手ができなかったこともあり縁は未だに自分がどちら側になるのかが判断できていない。
「抱きたい」
「縁がいいなら抱かせてほしい」
2人とも縁を抱くことしか考えてないらしい。
縁にしても2人ならどちらでもいいので、それほど欲しがってくれるなら抱かれることに問題はない。
問題はないのだがーー
「そこまで思ってくれるのは嬉しいんですが、その、体格が……かなり違うわけで、アレが入…入りますかね?」
そういったことを調べたこともあったので同性でもできることは知っているし想像したこともあるが、それも人間の、日本人の一般男性の大きさであって明らかに外国人並みの、獣のようにギラギラした絶倫かもしれない相手は考えたことがない。
「それは…頑張ってくれとしか言えないが不可能ではないはずだ。俺も初めてだからよく分からないが」
「え?」
はじめて?
「俺も」
「え?」
こちらも?
「獣人だからな」
まさかの3人とも初めてに驚いたが、苦笑いのセインは奴隷で獣人だったためそういうこともなかったと言い、アレンもずっと森で大蛇と暮らしていたためなかったらしい。
「まぁ、慣れていても複雑なので良かったとしましょうか。それで、発情期はどれくらいの頻度なんですか?」
「俺は半年に一回くらいかな。5日くらいで治ってた気がする」
「俺は…3回、ぐらいか。2,3日だったと思うが…その、今はわからない」
分からない?
体調によって変わるのかと思ったが違うらしい。
「言っただろう?俺と縁は運命の番だ。普段の発情期とは少し変わってくる」
「………」
聞くのが怖いが、一緒にいるためにも聞いておかなければいけない。
いつものように聞いてませんでしたでは後々大変なことになりそうだ。
「俺も番のいる初めての発情期だから分からんが、たぶん今までの比じゃない。なるべく抑えたいとは思うが約束は…できない」
それほど番の存在は大きいようだ。
「それと、これが一番重要なことだが、運命の番は相手が男であっても妊娠できる」
「……妊、娠?…子ども、が、できるということですか?」
無意識にお腹をさすってしまう。
私が?男なのに?
「そうだ。身体が作り変わる、らしい。それがその時限りかずっとなのか分からないし、相手が人間でもそうなるかは分からないがーー」
そう言い、それまで正面に座っていたセインが縁の隣にくるとそっと抱きしめられた。
「俺は縁に俺の子どもを産んでほしい」
祈るようなその声に、混乱しながらも縁は拒否する考えなど浮かばなかった。
スノーは意外なことになんでも食べ、ネズミでも捕まえてこなければと思っていた縁の心配は無用だった。
それでも味つけの濃いものは避けてやり、なるべく野菜や果物といったものを食べさせてやる。
「アズ、俺たちは縁と話しがあるから先にスノーと寝ていてくれるか?」
セインはそう言うとアズを寝室に連れて行こうとする。
寂しそうにこちらを見るアズに後でちゃんと行くことと、額におやすみのキスをしてやれば大人しく部屋へ入っていった。
「それで話しってなんですか?」
何か頼みでもあるのかと問えば、セインの隣に座らさせられたアレンも訝しげにセインを見ていた。
アズを寝かしつけ戻ってきたセインは、なぜか定位置の縁の隣に座らず正面にある、机を挟んだ反対側の椅子に腰かけていた。
何も聞いてなかったらしいアレンも不服そうながら、引きづられるようにセインの隣に座っている。
「縁は俺たちに番になってくれって言ってくれたよな。その気持ちを疑うわけじゃないし、もう離してなんてやれないけど、それでももう一度聞かさせてくれ。縁は本当に俺の、俺たちの番になってくれるか?」
真剣な声で尋ねるセインに縁は驚き、隣にいたアレンも不服そうだった顔から真剣な顔で縁を見てくる。
「はい。何度聞かれても私の答えは変わりません。私がずっと一緒ににいたと思うのはセイン、アレン君たち2人だけです。もちろんアズやスノーもそうですが、番として夫婦として一緒にいたいのは君たちだけなんです」
迷うことなく、しっかりと2人の目を見ながら答えればセインはようやく肩の力を抜いた。
アレンも嬉しそうに見てくる。
「ありがとう。縁が番で俺は本当にうれしい。これからもよろしく頼む」
「俺もうれしい。絶対幸せにしてやるからな」
自信満々に言うアレンにセインは呆れ気味だが、これはこれでアレンの良いところでもある。
ブレない心を示してくれているようで安心できる。
「……じゃあ安心して言える。獣人の愛は重たいと言ったが、人間とはちがって普段のそれとは別に、獣人だけが定期的にくるものがある」
「くるもの?」
発作かなにかだろうか?
でもそんな持病があるなんて言ってなかった気がする。
「発情期だ」
「はつじょうき?」
嬉しそうに教えてくれたアレンは目をギラギラさせて、今にも縁に飛びかからんばかりである。
もちろんセインにその首根っこを捕まえているため無理のようだが。
「獣人は見た通り半分が獣だ。子を、子孫を残そうと強制的に発情する時がくる。そのため番がいる場合、相手は大変なんだ」
どうやら獣人には定期的に発情期がくるらしい。
それ自体に問題はないらしく、相手がいなければある程度部屋にでもこもっていれば終わるらしい。
だが相手が、番がいるものはそうでない。
心の底から番を求め、衝動が治るまで無心で貪り食う。
この場合の食うは、もちろん交尾でありSEXのことだ。
番の匂い、姿、存在全てを自分のものにするまで治らず、その間はお互い離れることができないらしい。
「えーと、恥ずかしながら今までそういった行為をしたことがないんですが、私でも大丈夫なんですかね?」
こちらに来てからはもちろん、元の世界でも殆どないに等しい。
ないわけでもないが、相手は女性であり抱くことはあっても抱かれたことはまだなかった。
「それ以前に私は、その……どちら側なんでしょう?2人は私に、その、抱かれたいんですかね?それとも抱きたいんですかね」
同性愛者と自覚してからも中々そういった相手ができなかったこともあり縁は未だに自分がどちら側になるのかが判断できていない。
「抱きたい」
「縁がいいなら抱かせてほしい」
2人とも縁を抱くことしか考えてないらしい。
縁にしても2人ならどちらでもいいので、それほど欲しがってくれるなら抱かれることに問題はない。
問題はないのだがーー
「そこまで思ってくれるのは嬉しいんですが、その、体格が……かなり違うわけで、アレが入…入りますかね?」
そういったことを調べたこともあったので同性でもできることは知っているし想像したこともあるが、それも人間の、日本人の一般男性の大きさであって明らかに外国人並みの、獣のようにギラギラした絶倫かもしれない相手は考えたことがない。
「それは…頑張ってくれとしか言えないが不可能ではないはずだ。俺も初めてだからよく分からないが」
「え?」
はじめて?
「俺も」
「え?」
こちらも?
「獣人だからな」
まさかの3人とも初めてに驚いたが、苦笑いのセインは奴隷で獣人だったためそういうこともなかったと言い、アレンもずっと森で大蛇と暮らしていたためなかったらしい。
「まぁ、慣れていても複雑なので良かったとしましょうか。それで、発情期はどれくらいの頻度なんですか?」
「俺は半年に一回くらいかな。5日くらいで治ってた気がする」
「俺は…3回、ぐらいか。2,3日だったと思うが…その、今はわからない」
分からない?
体調によって変わるのかと思ったが違うらしい。
「言っただろう?俺と縁は運命の番だ。普段の発情期とは少し変わってくる」
「………」
聞くのが怖いが、一緒にいるためにも聞いておかなければいけない。
いつものように聞いてませんでしたでは後々大変なことになりそうだ。
「俺も番のいる初めての発情期だから分からんが、たぶん今までの比じゃない。なるべく抑えたいとは思うが約束は…できない」
それほど番の存在は大きいようだ。
「それと、これが一番重要なことだが、運命の番は相手が男であっても妊娠できる」
「……妊、娠?…子ども、が、できるということですか?」
無意識にお腹をさすってしまう。
私が?男なのに?
「そうだ。身体が作り変わる、らしい。それがその時限りかずっとなのか分からないし、相手が人間でもそうなるかは分からないがーー」
そう言い、それまで正面に座っていたセインが縁の隣にくるとそっと抱きしめられた。
「俺は縁に俺の子どもを産んでほしい」
祈るようなその声に、混乱しながらも縁は拒否する考えなど浮かばなかった。
118
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる