27 / 475
すばらしい
しおりを挟む
「若いって素晴らしい」
今日も今日とて番の2人に挟まれ、足にアズをくっつけながら目を覚ました縁は新しい身体に感謝していた。
昔なら背中、腰、膝と布団から起き上がるだけで走っていた痛みも今の新しい身体には全くない。
億劫だった階段も疲れはするが、膝の関節に痛みはない。
色々ありすぎて気にする余裕がなかったが、若さとはこれほど素晴らしいのかと実感していた。
「…なに年寄りみたいなこと言ってんだ?」
「……」
聞かれていたとは。
みたいなもなにも年寄り、正真正銘中身はおじいちゃんなんですとは言えない。
「いえ、昔に比べたら体力がついたなぁと」
「ほぅ、なら今夜からでも俺たちのお願いも聞いてもらえそうだな」
「!!」
いつの間にかセインまで起きていたらしい。
寝起きの相手に耳元で囁くのは卑怯だと思う。
耳を抑える縁にカラカラと楽しそうに笑うセインを睨むが、可愛いだけだとさらに笑われた。
「お願いってなんですか?」
「それは夜まで秘密。縁がどんな反応してくれるか楽しみ」
いつも喧嘩ばかりの2人が、こういう時だけなぜか息が合う。
「ほら今日もギルドに行くんだろ。アズもそろそろ起こさないとな」
優しくアズを起こすセインに納得いかず、とりあえず八つ当たりに近くの枕を投げつけておくのだった。
「もし良ければこちらの依頼もいかがでしょうか?」
差し出された紙を見れば薬草採取の依頼だった。
「?、えーとこれは?」
いつも通り採取依頼を受けようと思っていた縁を待っていたのは別の採取依頼だった。
とくに特別な何かがあるようには思えない。
あるとすれば、いつもの依頼より報酬が若干高く量が多いくらいだ。
「あなたへの指名依頼です。断ることもできますが、もし可能なようなら受けて損はないと思います」
指名依頼?
そんなホストのような制度があったとは。
だがまだFランクの縁たちに指名依頼がくるとはいいのだろうか。
「高ランクであれば珍しくありませんが、Fではまずないですね。ただ今までのあなたの依頼成果にとても喜んでいました」
「喜んでもらえるのは嬉しいですが、それだけで金額が上がるのはいいんですか?」
これまで受けたのは薬草採取しかないので、そのどれかの内の一つだろう。
だが、依頼の内容的にはいつもと変わらないのでそれで金額が少なからず上がるのはギルドとしては許容範囲なのだろうか?
「だからこその指名依頼です。普段の依頼料に加え、指名料として金額が上乗せされています」
金額の違いは分かったが、そこまでされる覚えがない。
「依頼主が言うにはあなたが採取してきた薬草はとても状態がよく、綺麗なんです」
「綺麗、ですか?」
どういう意味だろう。
ギルド職員が言うには、同じ薬草採取でも人によってとってくる薬草の品質が違うらしい。
縁は気にしたことはなかったが、商品にもなる薬草を大切に扱う縁はとり方も丁寧な上、マジックバッグに入れて運んでいるため変に傷も付かず鮮度もいい。
そんなこと知らない縁は不思議でしかなかったが、仕事の出来を褒めてもらえるのは嬉しくこの依頼を受けることにした。
「じゃあ、今日はこちらの依頼にしておきます」
「可能なようなら同時に他の依頼を受けてもらっても構いませんよ」
達成を見込めるようなら2個以上の依頼を同時に受けることも可能らしい。
いつも依頼より多めに採取できているので問題はないだろう。
喜んでその2つを受ける縁にギルド職員も少し安心したかのようだった。
「では行ってきます」
「気をつけて」
見送るギルド職員に笑顔で挨拶すれば、慣れたもので挨拶を返してくれた。
今日も今日とて番の2人に挟まれ、足にアズをくっつけながら目を覚ました縁は新しい身体に感謝していた。
昔なら背中、腰、膝と布団から起き上がるだけで走っていた痛みも今の新しい身体には全くない。
億劫だった階段も疲れはするが、膝の関節に痛みはない。
色々ありすぎて気にする余裕がなかったが、若さとはこれほど素晴らしいのかと実感していた。
「…なに年寄りみたいなこと言ってんだ?」
「……」
聞かれていたとは。
みたいなもなにも年寄り、正真正銘中身はおじいちゃんなんですとは言えない。
「いえ、昔に比べたら体力がついたなぁと」
「ほぅ、なら今夜からでも俺たちのお願いも聞いてもらえそうだな」
「!!」
いつの間にかセインまで起きていたらしい。
寝起きの相手に耳元で囁くのは卑怯だと思う。
耳を抑える縁にカラカラと楽しそうに笑うセインを睨むが、可愛いだけだとさらに笑われた。
「お願いってなんですか?」
「それは夜まで秘密。縁がどんな反応してくれるか楽しみ」
いつも喧嘩ばかりの2人が、こういう時だけなぜか息が合う。
「ほら今日もギルドに行くんだろ。アズもそろそろ起こさないとな」
優しくアズを起こすセインに納得いかず、とりあえず八つ当たりに近くの枕を投げつけておくのだった。
「もし良ければこちらの依頼もいかがでしょうか?」
差し出された紙を見れば薬草採取の依頼だった。
「?、えーとこれは?」
いつも通り採取依頼を受けようと思っていた縁を待っていたのは別の採取依頼だった。
とくに特別な何かがあるようには思えない。
あるとすれば、いつもの依頼より報酬が若干高く量が多いくらいだ。
「あなたへの指名依頼です。断ることもできますが、もし可能なようなら受けて損はないと思います」
指名依頼?
そんなホストのような制度があったとは。
だがまだFランクの縁たちに指名依頼がくるとはいいのだろうか。
「高ランクであれば珍しくありませんが、Fではまずないですね。ただ今までのあなたの依頼成果にとても喜んでいました」
「喜んでもらえるのは嬉しいですが、それだけで金額が上がるのはいいんですか?」
これまで受けたのは薬草採取しかないので、そのどれかの内の一つだろう。
だが、依頼の内容的にはいつもと変わらないのでそれで金額が少なからず上がるのはギルドとしては許容範囲なのだろうか?
「だからこその指名依頼です。普段の依頼料に加え、指名料として金額が上乗せされています」
金額の違いは分かったが、そこまでされる覚えがない。
「依頼主が言うにはあなたが採取してきた薬草はとても状態がよく、綺麗なんです」
「綺麗、ですか?」
どういう意味だろう。
ギルド職員が言うには、同じ薬草採取でも人によってとってくる薬草の品質が違うらしい。
縁は気にしたことはなかったが、商品にもなる薬草を大切に扱う縁はとり方も丁寧な上、マジックバッグに入れて運んでいるため変に傷も付かず鮮度もいい。
そんなこと知らない縁は不思議でしかなかったが、仕事の出来を褒めてもらえるのは嬉しくこの依頼を受けることにした。
「じゃあ、今日はこちらの依頼にしておきます」
「可能なようなら同時に他の依頼を受けてもらっても構いませんよ」
達成を見込めるようなら2個以上の依頼を同時に受けることも可能らしい。
いつも依頼より多めに採取できているので問題はないだろう。
喜んでその2つを受ける縁にギルド職員も少し安心したかのようだった。
「では行ってきます」
「気をつけて」
見送るギルド職員に笑顔で挨拶すれば、慣れたもので挨拶を返してくれた。
109
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる