二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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出会いは突然に

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 もうダメかもしれない。

 「そろそろ顔を見せてくれないか?」

 「………」

 無理です。
 今朝目覚めてすぐ昨夜の恥態を思いだした縁は、布団の中から出ることができなくなっていた。

 「縁、メシ食おう?」

 「……先に食べてて下さい」

 「……」
 「……」

 もうしばらく反省の時間が欲しい。
 必要のことだったとはいえ、やってしまった事実は変わらない。
 気持ち悪いと思われていたらどうしよう。
 むしろ初めてであんなに感じて淫乱だと思われていたらどうしよう。
 きっと変な顔をしていただろうし、やっぱり番の話しは無かったことになんてーー

 「言わないからなっ!!」

  「え?」

 どうやら声に出してしまっていたらしい。
 恥の上塗りだ。

 「縁はそんなにいやだったのか?」

 「ちがっ、私がいやなんじゃなくて……」

 2人が嫌になったんじゃないかと。

 「俺たちは最高だったぞ」

 「あぁ。縁が許すなら今から続きでもーー」

 「だめっ!」

 いったい何を言いだすんだと慌てて叫ぶ。
 勢いで顔を出してしまい引っ込みがつかない。
 
 「昨日のことを気にしてるなら俺たちにはイイ思い出しかないぞ」

 「そうそう。縁を触れてすごい嬉しかった」

 「……そう、ですか」

 そんな感想がなおさら恥ずかしいが、悪い印象を与えてないのであればいいのかもしれない。
 諦めてベッドから出ると朝の挨拶だと2人から頰にキスされた。

 「~~~っ」

 甘い。甘すぎる。
 恥ずかしくて布団に戻りたくなるのを必死に堪える。

 「アズもママにあいさつする」

 可愛い。
 先程までの羞恥が吹き飛び、かわりにないはずの母性本能が溢れる。
 いつの間にか起きていたアズがアレンたちを見て自分もとズボンの裾を引っ張ってきた。
 
 「アズからもしてくれるんですか?ありがとう、嬉しいです」

 チュッと可愛い音を鳴らしてアズも満足そうだ。
 この癒しを離してなるものかと抱き上げると、そのまま部屋を出るまで離さなかった縁であった。




 さて今日も来ました薬草採取。
 今日も今日とて真面目に楽しく採取していたわけなのだが、なぜこんなことに。

 「お前たち、私にこんなのことして許されると思ってるのか!?」

 「………」

 「おうおう。手も足も出ないくせにずいぶん粋がった人間さまだなぁ~」

 「………」

 「こんなうるせぇガキとっとと殺しちまおうぜ」

 なんとも気まずい場所に居合わせしまったようだ。
 居合わせといってもこちらの存在はまだバレてはいないので、このまま静かに退散してしまうのが得策だろう。
 隣を向けば一緒に様子を伺っていたアレンたちと目が合った。
 縁が頷けば2人も頷き返してくれる。
 面倒事は避けようという縁の意志が伝わったようだ。
 さすが番(関係ないw)
 そろそろと後ろへ下がろうとした瞬間、と目が合ってしまう。

 「………」
 「………」

 チッ!
 
 「(助けろ!!)」
 助けを求める必死な目。

 「(い、や、です)」
 お断ると首をプルプル。

 確かに前世では警官だったかもしれないが、それはもう前世であり現在ではない。
 なにより面倒事は御免である。
 今は守るべき我が子もいるのでこのまま静かにーー

 「なにをしている!さっさと私を助けろっ!」

 「(空気読んでくださいよ)」

 見るからに去ろうとしているのに助けを求めるとは。
 求めるというより命令に近い気もするが。
 これで喧嘩(?)相手にもバレてしまったため、仕方なく縁たちも隠れていた草むらから出ていく。

 「なんだオメェら!」

 「早く助けろっ!」

 とりあえず怒鳴るのをやめてほしい。

 「突然のことに驚くとは思いますが、私たちはただの一般市民であり、そこの喚くだけの頭の弱い子どもとは無関係です」

 さっきから大声で助けを求めるバカとは知り合いではないと主張する。

 「なっ、だっ、だれがバカなガキだっ!キサマ、訂正しろっ!」

 「自分のことを言われていると分かってる時点でもう認めてるってことでしょう?訂正する必要がありますか?」

 「キッ、キサマ!」

 「「「「「………」」」」」

 新たな人間の出現に警戒していた男たちも縁たちのあまりの言い合いに言葉もないようだ。
 事実無関係であり、下手に知り合いとでも思われて巻き込まれてはたまったものではない。

 「申し訳ありませんが、私たちはまだ仕事中でありますのでここら辺で失礼させてーー」

 「わっ、私より自分の仕事の方がが大事だと言うのか!」

 「はい」

 何を当たり前のことを言っているんだろう?
 
 「なっ!」

 逆に何に驚いているのだろう。
 縁たちが受けている薬草採取の依頼は立派な仕事であり、アレンたちに少なからず払われる大切な資金源である。
 それを助けろと怒鳴り散らしてくる煩いガキ(頭が)のためになぜ止めなければいけないのだろうか。
 
 「わっ、私は王子だぞ!この国の王子が助けろと言っているのだからさっさ、と……なんだその獣人たちは!さてはキサマが私をワナに嵌めたのか!」

 また訳の分からない主張を始めたようだ。
 縁の後ろにいたアレンたちに今更気がついたようで、自分が捕まったのは縁たちのせいだと言ってくる。
 もう意味が分からない。
 どうしてそうなるのか。

 「そんな汚らしい獣を連れているなんて気がしれないな。さては私を罠に嵌めて助けるふりをして謝礼でももらおうとしていたのか。ハッ、そんなくだらない考え私が気づかないとでーー」

 「……黙りなさい」

 「誰が黙るか。そんな醜い奴隷連れているだけあって主人もアホらしーーぐっ」

 「黙れと言ったはずです」

 ベラベラと喋り続けるバカ王子(笑)に静かに近づくとその口を手で塞いでやる。
 どこまで人を馬鹿にすれば気がすむのか。
 縁自身のことを言われるのはいくらでも構わないが、アレンたちのことを言うなら話しは別だ。
 汚らしい?
 獣?
 醜い?
 よく言えたものだ。
 そう言う自分が一番醜いとなぜ気付かない。

 「彼らは私の大切な家族です。これ以上私の大切な家族を侮辱するようであれば私は貴方を絶対に許さない」

 「縁」
 「縁っ」
 「ママ」

 セインが危ないと止めようとしたがそんなもの構わない。
 大事なものも守れずなにが家族か。
 縁の急な変化に流石に気がついたのか男が黙る。

 「貴方がこうして捕まっているのは貴方の無責任な行動が招いた結果であり、自業自得です。私たちは何もしていないし、侮辱される謂れもない。にも関わらず散々罵倒するだけ罵倒して謝罪もないとは、それで自分は王子だとはとんだ笑い草です。恥を知りなさい」

 目を逸らすことなく、静かに告げる縁に誰も動くことができなかった。
 ただ1人後からやってきた男を除いて。

 「ハハハッ随分とすげぇガキもいたもんだ。俺たちみたいな獣を家族と言うか。オウジサマにも少しはいい薬になったんじゃねぇか?」

 豪快に笑いながらそう言ってきた大男の顔には額から顎にかけて大きな傷があるのだった。
 
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