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お頭さんらしいです
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どちら様ですか?
いきなり知らない大男が現れたかと思ったら、なぜか頭を撫でられた。
ぐりぐりと結構な力のため地味に首が痛い。
「坊主名前は?」
「え?……あ、あの縁と言います」
初めましてと挨拶すれば、大男は笑いまたぐりぐりと撫でられる。
だから首!首が!
だが大男は手を止めることなく、アレンたちにも名前を聞いていた。
「エニシか。お前ら随分いいご主人様見つけたじゃねぇか。あぁ、いや家族だったか。獣人を家族なんていう人間初めて見たぜ」
随分気に入られてしまったようで頭を撫でる手が止まらない。
そろそろ首が限界かも、と思っていれば後ろから手を引かれ救出される。
「縁は家族だが、俺たちの番でもあるんだからな。勝手に触るな!」
アレンに守るように抱きつかれれば、セインが縁を隠すように一歩前に出る。
「俺たち?可愛い顔して2人と番とはホントにすげぇな。じゃあそっちのチビはお前らの子か?」
「血は繋がってませんが私たちの子です」
先程からビクビクと縁の足に張り付いていたアズを抱っこしてやればギュッと首に抱きついてくる。
やはりうちの子可愛い。
「巻き込んじまったようで悪かったな。礼と言っちゃあなんだが俺たちのとこくるか?ご馳走すんぞ?」
「「「「「お頭!?」」」」」
ご飯を出してくれるようなので、時間も時間だったためお邪魔することにした。
「おいっ、話しが済んだんならとっととこの縄を解いて私を解放しろ!」
こちらはこちらで空気が読めないようだ。
大男の登場にすっかり忘れていたが、簡単に許してやるのも癪である。
「このまま1日放置しておけばいいのでは?運がよければ城から助けが来るでしょうし、運が悪けれは森の動物たちが処理してくれるでしょう」
先程までの勢いはどこへやら真っ青になる男に、冗談半分で言ったのだがかなり効果があったようだ。
「殺してまた新たな馬鹿が来ても困りますからね。帰すにしてももう少し学習してもらってからがいいと思いますよ」
大体、まださっきの暴言の謝罪をしてもらっていない。
このまま帰してもやり返すためにさらに兵をつれて戻ってくることが目に見えている。
自分は王子だと叫ぶ男の周りに倒れている兵たちは見たところ血は出てないようなので気絶しているだけだろう。
完全に手加減されているにもかかわらず、まだ負けてないと叫ぶ王子の気が知れない。
挙句自分たちを倒した相手の獣人たちに罵詈雑言。
状況が見えていないのかと言いたくなる。
「だな。なら木の上にでも縛りつけておくか。お前ら頼んだぞ」
木の上に吊り下げられる王子。
なかなかシュールである。
まだ叫ぼうとする王子に、そんなに声を出していれば獣が近寄ってきてしまうと言えばすぐに静かになったが。
「じゃあ案内してやるよ。もちろん全員来るだろ?」
アレンたちはまだ警戒しているようだったが、縁が大丈夫だと言えば渋々ながら了承してくれた。
「お頭さんはなんてお名前なんですか?」
「お頭さんって…随分可愛らしい呼び名だな。だがジークフリードってんだよ。みんなはジークって呼ぶからお前らもそう呼べ」
「ジークさん?」
「ただのジークだ。さん付けされるようなお綺麗な生き方してねぇからな」
生きるためとは言え、こうして人間を倒している自分が綺麗なわけないという。
「それも仲間を守るためでしょう?獣人のことを気にしているのならそんなこと私は気にしませんし、なにより貴方をこうして慕ってついてきてくれる人がいるんだからそう自分を下にみるものではありません」
守るもののために頑張る、充分立派な生き方だと言ってやれば言われた本人ではなく、それを聞いていた周りの手下たちが嬉しそうに寄ってきた。
「だろ!お頭はすげぇだよ。お前わかってじゃねえか」
「お頭はめちゃくちゃカッコいいんだよ」
「お頭の凄さがわかるたぁ、お前人間のくせにやるな」
口々にお頭自慢する手下にジークは苦い顔をしていたが、その耳が忙しなくパタパタ動いている様子から照れているのだろう。
人間を嫌っていたはずの手下たちも先程の縁たちの様子から仲間だと思ってくれているようで親しく接してくれる。
「みなさんは何の獣人なんですか?」
色とりどりの髪色と耳に聞いてみればなるほど納得だった。
「狐っ!」
そう言った青年は黄に近い茶色の耳に糸目が印象的だった。
「ねこっス!」
そう言う小柄な青年はセインに少し似た耳の形の茶斑らの獣人。
「猿」
寡黙らしい青年は茶の髪に、縁に近い耳があり一番親近感がある。
その他にも鷹の獣人である凛々しいイケメン青年や眠そうな目をした梟の獣人など紹介された。
「ジークは?」
「あぁ?わかんだろ熊だよ」
まだ照れているのかぶっきらぼうな言い方だが、言われてみれば納得の巨体。
それなりに大きいアレンより数倍大きい身体は縁からみれば大人と子どもである。
黒に近いこげ茶色の耳に、左目から顎にかけてある大きな傷は端整な容姿に男の色気を醸しだしている。
「私もジークみたいになれますかね?」
「「「「「………」」」」」
ジークの立派な胸板に、まだ成長を期待する縁は自分の薄っぺらい胸を見下ろす。
さっきまでの賑やかさはどこへやら誰も目を合わせてくれない。
それが答えなのだろう。
けど諦めない!
「あー、お前ならそんなものなくても頼もしい番たちがいるだろ?」
自分より明らかに小さく細っこい縁に戦闘は番の2人に任せておけと言われたが訳がわからない。
「それじゃあ私が3人を守れないじゃないですか。確かにこんな見た目ですが、私は守られるだけの子どもじゃないんです」
「「「「「………」」」」」
子どもなら守られる立場にいても不思議ではないが、縁はすでに成人しており、2人の番であり、男ではあるがアズのママなのだ。
守るべき家族がいるのに自分だけ安全な場所で隠れておくなんてできるわけがない。
そう主張する縁になぜか無言でみんなに頭を撫でられ、アレンたちにはギュッと抱きつかれた。
「お前らが羨ましいぜ。とんだ上玉な番を見つけたもんだ」
「はい?」
なんのことだと首を傾げるが、抱きついてくるアレンたちは自慢気にジークを見ているのであった。
いきなり知らない大男が現れたかと思ったら、なぜか頭を撫でられた。
ぐりぐりと結構な力のため地味に首が痛い。
「坊主名前は?」
「え?……あ、あの縁と言います」
初めましてと挨拶すれば、大男は笑いまたぐりぐりと撫でられる。
だから首!首が!
だが大男は手を止めることなく、アレンたちにも名前を聞いていた。
「エニシか。お前ら随分いいご主人様見つけたじゃねぇか。あぁ、いや家族だったか。獣人を家族なんていう人間初めて見たぜ」
随分気に入られてしまったようで頭を撫でる手が止まらない。
そろそろ首が限界かも、と思っていれば後ろから手を引かれ救出される。
「縁は家族だが、俺たちの番でもあるんだからな。勝手に触るな!」
アレンに守るように抱きつかれれば、セインが縁を隠すように一歩前に出る。
「俺たち?可愛い顔して2人と番とはホントにすげぇな。じゃあそっちのチビはお前らの子か?」
「血は繋がってませんが私たちの子です」
先程からビクビクと縁の足に張り付いていたアズを抱っこしてやればギュッと首に抱きついてくる。
やはりうちの子可愛い。
「巻き込んじまったようで悪かったな。礼と言っちゃあなんだが俺たちのとこくるか?ご馳走すんぞ?」
「「「「「お頭!?」」」」」
ご飯を出してくれるようなので、時間も時間だったためお邪魔することにした。
「おいっ、話しが済んだんならとっととこの縄を解いて私を解放しろ!」
こちらはこちらで空気が読めないようだ。
大男の登場にすっかり忘れていたが、簡単に許してやるのも癪である。
「このまま1日放置しておけばいいのでは?運がよければ城から助けが来るでしょうし、運が悪けれは森の動物たちが処理してくれるでしょう」
先程までの勢いはどこへやら真っ青になる男に、冗談半分で言ったのだがかなり効果があったようだ。
「殺してまた新たな馬鹿が来ても困りますからね。帰すにしてももう少し学習してもらってからがいいと思いますよ」
大体、まださっきの暴言の謝罪をしてもらっていない。
このまま帰してもやり返すためにさらに兵をつれて戻ってくることが目に見えている。
自分は王子だと叫ぶ男の周りに倒れている兵たちは見たところ血は出てないようなので気絶しているだけだろう。
完全に手加減されているにもかかわらず、まだ負けてないと叫ぶ王子の気が知れない。
挙句自分たちを倒した相手の獣人たちに罵詈雑言。
状況が見えていないのかと言いたくなる。
「だな。なら木の上にでも縛りつけておくか。お前ら頼んだぞ」
木の上に吊り下げられる王子。
なかなかシュールである。
まだ叫ぼうとする王子に、そんなに声を出していれば獣が近寄ってきてしまうと言えばすぐに静かになったが。
「じゃあ案内してやるよ。もちろん全員来るだろ?」
アレンたちはまだ警戒しているようだったが、縁が大丈夫だと言えば渋々ながら了承してくれた。
「お頭さんはなんてお名前なんですか?」
「お頭さんって…随分可愛らしい呼び名だな。だがジークフリードってんだよ。みんなはジークって呼ぶからお前らもそう呼べ」
「ジークさん?」
「ただのジークだ。さん付けされるようなお綺麗な生き方してねぇからな」
生きるためとは言え、こうして人間を倒している自分が綺麗なわけないという。
「それも仲間を守るためでしょう?獣人のことを気にしているのならそんなこと私は気にしませんし、なにより貴方をこうして慕ってついてきてくれる人がいるんだからそう自分を下にみるものではありません」
守るもののために頑張る、充分立派な生き方だと言ってやれば言われた本人ではなく、それを聞いていた周りの手下たちが嬉しそうに寄ってきた。
「だろ!お頭はすげぇだよ。お前わかってじゃねえか」
「お頭はめちゃくちゃカッコいいんだよ」
「お頭の凄さがわかるたぁ、お前人間のくせにやるな」
口々にお頭自慢する手下にジークは苦い顔をしていたが、その耳が忙しなくパタパタ動いている様子から照れているのだろう。
人間を嫌っていたはずの手下たちも先程の縁たちの様子から仲間だと思ってくれているようで親しく接してくれる。
「みなさんは何の獣人なんですか?」
色とりどりの髪色と耳に聞いてみればなるほど納得だった。
「狐っ!」
そう言った青年は黄に近い茶色の耳に糸目が印象的だった。
「ねこっス!」
そう言う小柄な青年はセインに少し似た耳の形の茶斑らの獣人。
「猿」
寡黙らしい青年は茶の髪に、縁に近い耳があり一番親近感がある。
その他にも鷹の獣人である凛々しいイケメン青年や眠そうな目をした梟の獣人など紹介された。
「ジークは?」
「あぁ?わかんだろ熊だよ」
まだ照れているのかぶっきらぼうな言い方だが、言われてみれば納得の巨体。
それなりに大きいアレンより数倍大きい身体は縁からみれば大人と子どもである。
黒に近いこげ茶色の耳に、左目から顎にかけてある大きな傷は端整な容姿に男の色気を醸しだしている。
「私もジークみたいになれますかね?」
「「「「「………」」」」」
ジークの立派な胸板に、まだ成長を期待する縁は自分の薄っぺらい胸を見下ろす。
さっきまでの賑やかさはどこへやら誰も目を合わせてくれない。
それが答えなのだろう。
けど諦めない!
「あー、お前ならそんなものなくても頼もしい番たちがいるだろ?」
自分より明らかに小さく細っこい縁に戦闘は番の2人に任せておけと言われたが訳がわからない。
「それじゃあ私が3人を守れないじゃないですか。確かにこんな見た目ですが、私は守られるだけの子どもじゃないんです」
「「「「「………」」」」」
子どもなら守られる立場にいても不思議ではないが、縁はすでに成人しており、2人の番であり、男ではあるがアズのママなのだ。
守るべき家族がいるのに自分だけ安全な場所で隠れておくなんてできるわけがない。
そう主張する縁になぜか無言でみんなに頭を撫でられ、アレンたちにはギュッと抱きつかれた。
「お前らが羨ましいぜ。とんだ上玉な番を見つけたもんだ」
「はい?」
なんのことだと首を傾げるが、抱きついてくるアレンたちは自慢気にジークを見ているのであった。
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