二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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新居

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 「ただいま戻りました」

 「パパただいま」

 隠れ家に戻った瞬間、どこから駆けつけたんだと言わんばかりの勢いでアレンとセインに抱きつかれた。

 「ちゃんとお手伝い出来ました?」

 「した!」
 「できた!」

 そんなに力強く言わなくとも。
 よく出来ましたと頭を撫でてやる。

 「ほら、ただいまって言ってるんですから言うことがあるでしょう?」

 「おかえり!」
 「お、おかえり」

 アレンは元気よく、セインは少し照れながらも言ってくれる。
 今日の成果をお互い報告しながら食堂へ向かえば、待ち構えていたサッズとシンクがジークを見て爆笑していた。

 「あっ、花冠外すの忘れてましたね」

 「おか、お頭がっ、ぶっ、ふふ、あはははははっ」
 「ちょっ、どっ、どうしたらそう、ははっ、ダメ、笑える。あはははははっ!」

 「………」

 無言で花冠を外したジークは木苺が詰まった籠を渡すと無言で食堂を後にした。

 「アズと一緒に作ったんですよ。可愛いでしょう?」

 アレンたちに見せながら、サッズたちにも花冠を被ったアズを見せてやる。
 笑いながらも可愛い可愛いと褒めてくれるサッズたちにアズも満足そうだった。

 「いや~、いいもん見れたっス。お頭のあんな姿….ぶはっ、ダメ、思い出しただけで、あははははっ」

 「まぁ、そんだけ浮かれてたんだろ。楽しくてなにより」

 笑い続けるシンクにサッズがいい加減にしろとつっこんでいたが、その口が震えているため説得力はなかった。
 
 「少し町に行ってこようと思うんですが、何か必要なものとかありますか?」

 こちらで生活にあたり宿から必要なものと、ギルドで依頼達成の報告もしてこなければならない。
 ついでに何か必要なものを思ったが、ここでは自給自足ができているらしく特に必要ないと言われた。
 そのまま隠れ家を後にし町に向かえば、数日世話になった宿から荷物を運び出しギルドに向かう。

 「エニシさんっ!無事でしたか!」

 「へ?」

 なんのことだろう?
 ギルドへ入った途端、見慣れたギルド職員の男が駆け寄ってきた。
 どうやら依頼を受けてから帰ってくる様子がない縁たちを心配してくれていたらしい。
 心配させて申し訳ないと謝りながら依頼の薬草を渡すと報酬を受け取るのだった。

 「随分親切な方達ですね」

 笑ってそう言う縁に、アレンたちは「いや、相手が縁だからだぞ!」と心の中だけで思うことにする。
 それからある程度食料や下着などを買い込むと町を後にするのであった。





 「お前ら!いい加減にしろよ!」

 「あっ、忘れてました」

 隠れ家に向かう途中、何か声がするなと近寄ってみれば木に吊るされたままの王子様がいた。
 口の方はまだ元気なようだが、身体はやはりグッタリしており、木から下ろしてやったが動くことができないようだった。

 「少しは反省できました?」

 縄を解いてやり、水を渡してやったが動けないようなので縁が背中を支えてやりながら少しずつ飲ませてやる。

 「わっ、私は悪くない!私は本当のことを言ったまでだ。それをお前たちがーーいっ!」

 縁が起き上がれば支えを失った王子はそのまま地面に倒れる。

 「なっ、なにをする!」

 「言いましたよね?反省、しましたかと」

 これだけ時間があったにも関わらず、考えることすらしていないらしい。

 「貴方は何をそんなに怖がっているんですか?」

 「わ、私が怖がっているだと!ふざけるな!私がこいつら獣人を怖がるなどあるわけないだろう!」

 その言い方がすでに怖がっているのだとなぜ分からないのだろうか。

 「確かに目の前で自分の兵たちが倒されれば怯えるは仕方ないでしょう。でも彼らが、彼が、貴方に何をしました?」

 「え?」

 倒れ込む王子の前に膝をつくと、隣にいるアレンの手を掴む。

 「貴方は彼に何をされました?」

 「な、なにをって……」

 突然の質問に戸惑っているようだ。
 答えられないのは分かっている。何もされていないのだから。

 「何もされていないのでしょう?それなのに貴方は彼を獣人だからと話しも聞かず、汚い、醜いとふざけたことばかり。彼らが貴方と何が違うと言うんですか。耳がある?人間だってあるじゃないですか。尻尾がある?いいじゃないですか可愛いくて」

 「ばっ、かわいいだとぉ」

 「人間の中にだって色んな人がいるでしょう?それと一緒です。耳がある、尻尾がある、そんなの人それぞれ個性です。人間に貴方のような金色の髪を持つ人がいるように、黒髪の人、青い瞳、赤い瞳の人だっている。それなのに獣の耳がある、尻尾があるというだけで何故嫌われ、蔑まされないといけないんです」

 「それは…こいつらが、獣人だから……」

 獣人だから。
 その言葉だけで人間は全てを片付けようとする。
 それが恐怖からくるものだと何故分からない。
 自分たちと違う、自分たちより強い、だから自分たちが負けるのが怖いとそれらを従わせようとする。
 
 「貴方は死ぬのが怖いですか?」

 「は?」

 どうか分かってほしい。
 彼らが何を思っているか。
 彼らがどうしたいのか。
 縁だって人間だ。人間だが獣人が好きだ。
 アレンが、セインが、ジークが、みんなが大好きだ。

 「全てを理解しろとは言いません。私が言うことに納得できないこともあるでしょう。けど、分かって下さい。彼らは生きたいだけなんです。貴方たちに危害を加えたいわけではなく、貴方たちから何かを奪おうとしているわけでもない。貴方たちが死ぬのが怖いと思うように、彼らも死ぬのが怖いと毎日毎時間怯えながら暮らしているんです」

 人間にこき使われながら碌に眠ることもできず、碌に食べ物を与えられることなく、蹴り殴られ、死んでさえ碌な扱いもされない。
 逆らえば殺されると怯えて生きることがどれほど辛いことか。
 人間に捕まれば死しか見えない未来に怯えて暮らすことがどれほど辛いことか。

 「だから、放っておいてあげてくれませんか?」

 「…放っておく?」

 もっと言われると思ったのだろう。
 呆けたようにこちらを見る王子に微笑む。
 獣人全てを人間として扱えとは言わない。
 奴隷にされている獣人を自由にしろとは言わない。
 いや、言えない。
 そんな権利が縁にあるはずもなく、そうできるほどの力もない。
 でもーー

 「静かに、ただ必死に毎日を生きようにしている彼らを放っておいてほしいんです。お願いします」

 最後に頭を下げると、少しの食料と水を残し縁たちはその場を後にするのであった。

  
 


 
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