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ダメだこりゃ
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ずっとエニシのどうすれば筋肉が!というムダな話しを聞きながら進んできたが、どうやらジークの話しはほとんど聞いてもらえてなかったようだ。
いつの間にか見知らぬ場所に来てしまったらしく、普通なら慌てるだろうところ何故かエニシは休憩しましょうと言う。
「……そうだな」
ジークもエニシの話しを聞き流してはいたが、意外に疲労が溜まっていたようだ。
とりあえず休憩するかとエニシの隣に腰を下ろせば水袋を渡された。
礼を言い水を飲む。
「……なんでこんなに冷たいんだよ」
見た目は普通の水袋なのに、飲んでみれば今汲んできたのかとばかりに冷たい。
「さぁ?最初からこうだったのでそういうものかと」
それで納得したお前がすげぇな。
その調子で筋肉作りも諦めてくれよ。
エニシは必死に考えているようだが、そもそも問題があるのだ。
獣人と人間という違いはさておき、エニシはきっと筋肉がつきにくい体質なのだ。
全くとは言わないがいくら運動したとしても筋肉痛になるばかりでジークの胸板どころか、獣人の中でも小柄な方であるシンクにでさえ勝てないと思う。
「今日は天気がいいですね~。みんなで日向ぼっこしながらお茶でもしたいです」
「ジジイかよ」
死んだジジイが同じことをしていたのを思い出した。
年寄り扱いするなと言いながら、何か頼むとジジイには無理じゃとか言い訳していた。
茶を淹れろというから淹れてやれば、やれぬるいやら、やれ熱すぎるやら文句ばかりだった。
それでも結局飲むのだから「だつたら文句言わずに飲めよ!」と何度怒ったことか。
……懐かしい。
「こちらではお餅とかあるんですか?」
「もち?」
聞いたことない名前になんだそれはと言えばひどくガッカリしてるようだった。
「ぼた餅好きだったんですけどねぇ。なにか代用品があればいいんですけど……作れるかな?」
なにやらまた考え始めてしまったエニシに、きっとこちらの話しは聞こえていないだろうと周りを確認する。
近くに獣はいないようだ。
ならば安心と地面に横になれば、なるほど気持ちいい天気に眠たくなってくる。
「でもあんこがないですね。小豆があれば……」
エニシの高く心地良い声に目蓋が下りていく。
こうして昼寝するなんて何年ぶりだろう。
久しぶりの落ち着いた心地にこれもエニシのせいかと思えば悪くはない気がするのだった。
「ジーク、ジーク見てください!」
身体を揺さぶられる気配に目を開けば、目の前には真っ赤な何か。
「わかんねぇよ」
かなりの至近距離で色しかわからない。
離してもらい起き上がる。
どれだけたったか分からないが久しぶりによく眠った気がする。
「で?なん……お前はなんでそんなボロボロになってんだよ」
ジークがちょっと目を離した隙になにをしていたのか、手足に土をつけ、顔も少しだが汚れたエニシがいた。
「そんなことどうでもいいです。これ!トマトですよね?」
嬉しそうに見せられたのは真っ赤なトマト。
「そうだな。どこにあった?」
「向こうに。一緒に行きましょう」
それからエニシの案内(と言っても歩いて2,3分)でトマトがなっていたという場所までやってきたが。
「エニシさんどこ行ってたの?また迷子にならなかった?」
「大丈夫です」
また?やっぱり迷ってたのかよ!
そんなに距離が離れていなかったからよかったものの、もし何かあったかと思うとゾッとする。
「まぁまぁそちらの方はずいぶん大きいのね。それに……可愛いらしい耳だこと」
そう言われ、そちらに目をやれば1人の歳老いた女性がいた。
しかも人間の。
一瞬人間だと警戒したが、ジークの大柄な体躯を見ても驚くだけでこちらを見る目は優しく、警戒心もない。
「アンタ……」
「大丈夫よ、安心して。私は人間だけどあなたたちを捕まえようだなんて思ってないから」
そう言って老婆はエニシとトマトがなる畑の中、和やかに話している。
「美味しそうなトマトでしょう?この方が育ててるんですって」
「……そうか」
嬉しそうに見せてくれてはいるのだが、一つ言ってやらなければいけないことがある。
「けどな。それ、まだ熟してねぇぞ」
「え?」
「………」
「………」
キョトンとしたエニシの目はジークと手の平のトマトを行ったり来たりしている。
「…赤い、ですよ?」
「赤いな」
その赤さが熟してない証拠なのだが、エニシは理解できないのかジッとトマトを見つめる。
「ふふふっ、やっぱり気づいてなかったのね。赤い赤いと喜んでいるから渡してしまったけど、そのままじゃ酸っぱくて食べられないわ」
「そう、なんですか……こんなに…赤いのに」
なんでそんなことも知らないんだとか、なんでそんなに赤にこだわるんだとか色々言いたいことはあるが、残念そうにトマトを見つめるエニシに何も言えなくなった。
「今日の朝メシにもでてただろ」
「あれはああいう色のトマトだと思ってました」
変なところで理解力があるエニシは、今朝食べたサラダに入っていた緑色の熟したトマトを、そういうトマトもあるんだとしか思っていなかったようだ。
「こんなとこで立ち話はなんだから中へどうぞ。1人だから散らかっているけど気にしないでね」
「いや、俺たちはーー」
「お邪魔します」
さすがに家に入るのはと警戒したが、気にすることなく入っていくエニシに慌てて後を追うのだった。
いつの間にか見知らぬ場所に来てしまったらしく、普通なら慌てるだろうところ何故かエニシは休憩しましょうと言う。
「……そうだな」
ジークもエニシの話しを聞き流してはいたが、意外に疲労が溜まっていたようだ。
とりあえず休憩するかとエニシの隣に腰を下ろせば水袋を渡された。
礼を言い水を飲む。
「……なんでこんなに冷たいんだよ」
見た目は普通の水袋なのに、飲んでみれば今汲んできたのかとばかりに冷たい。
「さぁ?最初からこうだったのでそういうものかと」
それで納得したお前がすげぇな。
その調子で筋肉作りも諦めてくれよ。
エニシは必死に考えているようだが、そもそも問題があるのだ。
獣人と人間という違いはさておき、エニシはきっと筋肉がつきにくい体質なのだ。
全くとは言わないがいくら運動したとしても筋肉痛になるばかりでジークの胸板どころか、獣人の中でも小柄な方であるシンクにでさえ勝てないと思う。
「今日は天気がいいですね~。みんなで日向ぼっこしながらお茶でもしたいです」
「ジジイかよ」
死んだジジイが同じことをしていたのを思い出した。
年寄り扱いするなと言いながら、何か頼むとジジイには無理じゃとか言い訳していた。
茶を淹れろというから淹れてやれば、やれぬるいやら、やれ熱すぎるやら文句ばかりだった。
それでも結局飲むのだから「だつたら文句言わずに飲めよ!」と何度怒ったことか。
……懐かしい。
「こちらではお餅とかあるんですか?」
「もち?」
聞いたことない名前になんだそれはと言えばひどくガッカリしてるようだった。
「ぼた餅好きだったんですけどねぇ。なにか代用品があればいいんですけど……作れるかな?」
なにやらまた考え始めてしまったエニシに、きっとこちらの話しは聞こえていないだろうと周りを確認する。
近くに獣はいないようだ。
ならば安心と地面に横になれば、なるほど気持ちいい天気に眠たくなってくる。
「でもあんこがないですね。小豆があれば……」
エニシの高く心地良い声に目蓋が下りていく。
こうして昼寝するなんて何年ぶりだろう。
久しぶりの落ち着いた心地にこれもエニシのせいかと思えば悪くはない気がするのだった。
「ジーク、ジーク見てください!」
身体を揺さぶられる気配に目を開けば、目の前には真っ赤な何か。
「わかんねぇよ」
かなりの至近距離で色しかわからない。
離してもらい起き上がる。
どれだけたったか分からないが久しぶりによく眠った気がする。
「で?なん……お前はなんでそんなボロボロになってんだよ」
ジークがちょっと目を離した隙になにをしていたのか、手足に土をつけ、顔も少しだが汚れたエニシがいた。
「そんなことどうでもいいです。これ!トマトですよね?」
嬉しそうに見せられたのは真っ赤なトマト。
「そうだな。どこにあった?」
「向こうに。一緒に行きましょう」
それからエニシの案内(と言っても歩いて2,3分)でトマトがなっていたという場所までやってきたが。
「エニシさんどこ行ってたの?また迷子にならなかった?」
「大丈夫です」
また?やっぱり迷ってたのかよ!
そんなに距離が離れていなかったからよかったものの、もし何かあったかと思うとゾッとする。
「まぁまぁそちらの方はずいぶん大きいのね。それに……可愛いらしい耳だこと」
そう言われ、そちらに目をやれば1人の歳老いた女性がいた。
しかも人間の。
一瞬人間だと警戒したが、ジークの大柄な体躯を見ても驚くだけでこちらを見る目は優しく、警戒心もない。
「アンタ……」
「大丈夫よ、安心して。私は人間だけどあなたたちを捕まえようだなんて思ってないから」
そう言って老婆はエニシとトマトがなる畑の中、和やかに話している。
「美味しそうなトマトでしょう?この方が育ててるんですって」
「……そうか」
嬉しそうに見せてくれてはいるのだが、一つ言ってやらなければいけないことがある。
「けどな。それ、まだ熟してねぇぞ」
「え?」
「………」
「………」
キョトンとしたエニシの目はジークと手の平のトマトを行ったり来たりしている。
「…赤い、ですよ?」
「赤いな」
その赤さが熟してない証拠なのだが、エニシは理解できないのかジッとトマトを見つめる。
「ふふふっ、やっぱり気づいてなかったのね。赤い赤いと喜んでいるから渡してしまったけど、そのままじゃ酸っぱくて食べられないわ」
「そう、なんですか……こんなに…赤いのに」
なんでそんなことも知らないんだとか、なんでそんなに赤にこだわるんだとか色々言いたいことはあるが、残念そうにトマトを見つめるエニシに何も言えなくなった。
「今日の朝メシにもでてただろ」
「あれはああいう色のトマトだと思ってました」
変なところで理解力があるエニシは、今朝食べたサラダに入っていた緑色の熟したトマトを、そういうトマトもあるんだとしか思っていなかったようだ。
「こんなとこで立ち話はなんだから中へどうぞ。1人だから散らかっているけど気にしないでね」
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