二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
43 / 475

出会いは突然

しおりを挟む
 それから数日、風呂場でアレンとセインに交互に身体を慣らされながら過ごした。
 怪我もようやく治り、では仕事を!と意気込んだが今度はサッズに止められてしまう。

 「なぜですか?」
 
 自分も早く仕事をしたいと言えば薬草を摘んできて欲しいと頼まれた。

 「アンタなら場所分かるよね?そんなに量はいらないから頼んでいい?」 

 そういうことならお安い御用だと早速出掛けようとしたが、1人じゃ崖を登れないだろうと慌てて止められた。
 
 「お頭連れてって。今日は非番だから」

 「お休みなら連れて行かないほうがいいのでは?」

 せっかくの休みを縁のお守りみたいなまねさせられないと言ったが、サッズは首を振る。

 「どうせ放っておいても仕事しちゃうから外に連れだして。アンタには悪いけどお頭の気分転換に付き合ってあげてよ」

 どうやら休みでも仕事をしてしまうジークに、見かねたサッズが無理矢理でも連れ出してほしいと言う。
 最近は昔ほど無理をしなくなったようだが、それでも目につけば手を出してしまうのは染み付いた習慣の名残か、元々の優しい性格故か。
 どちらもかしれないないが、その気分転換の相手が縁なんかでいいのだろうか。

 「俺たちみたいな暑苦しいヤロー相手より全然いいでしょ」

 「私もそのヤローなんですけど」

 「アンタは別」

 なぜ縁は別なのだろう。
 ………胸元を見る。

 「……頑張って筋肉つけますね」

 「は?ダメダメダメ!なに勘違いしてのかわかんないけど、女みたいに貧弱だって言ってるわけじゃねえから。アンタはそのままでいい!」

 そこまで思ってないんですが……
 子ども扱いでもされているのかと頑張ろうと思っただけなのだが、意外にも強く反対された。
 
 「なんでそれで筋肉の話しになるかな?(お頭にとって特別だってなんでわかんないかな?)」

 「?私もみなさんみたいにカッコイイ筋肉ほしいなって」

 「カッコイイ?暑苦しいのまちがいでしょ?まぁ、カッコイイって言ってくれるのは、その…うれしいけど…」

 照れているのか頰が赤くなるサッズ。

 「でも……筋肉」

 私も欲しい。
 サッズたちに比べれば昔の身体でも劣るが、今なら尚更筋肉が欲しい。

 「いらないからっ!これ以上暑苦しいヤツ増やーー」

 「サッズ?なにしてんだ?」

 サッズと漫才を繰り広げていえば、ちょうど通りかかったジークが寄ってくる。

 「あ、お頭いいところに!筋肉が…ってちがう!筋肉はどうでもよくて、エニシと薬草取りに行っきてくださいよ」

 「なんだ筋肉って?まぁ、いいか。それなら俺が行ってくるからお前はーー」

 「ダメ!2人で行って!。エニシが気分転換したいって言ってたから」

 いつの間にかジークの気分転換が、縁の気分転換に変わったらしい。
 素直に聞かないジーク相手ならその方がいいのだろうが。

 「そうなのか?」

 「そうみたいです。薬草なら取っておいて損はないでしょうしお願いできますか?」

 「みたいってなんだよ。……まぁどうせすることねぇしな。いいぞ」

 縁の反応から誰の差し金か気づいたらしい。
 チラリとサッズを見るが、彼なりの気遣いだと思ったのか素直に了承してくれた。
 縁自身ここにいることに不満も息苦しさもないのだが、たまには外に出てみたいと思っていたのでちょうどいい。

 「では行きましょう!アズはーー」

 「アイツなら他のガキたちと遊んでたぞ」

 ここに来るまでに見かけたらしい。
 ならば邪魔してやることはないと、そのまま行こうとしたが足に何か触れる気配がした。

 「ん?…あ、スノーでしたか。アズと一緒にいなくていいんですか?」

 いつも一緒だとばかり思っていたが、友達と遊ぶのに夢中なアズに置いてかれたらしい。
 足元から首まで這い上がってきたスノーは縁の首に巻きつくとスリスリと頰に擦り寄ってくる。
 1人(1匹?)にしてごめんなさいと頭を撫でてやる。

 「なら3人で行きましょう。後ででいいのでアズたちに伝えておいてもらえますか?」

 「いいよー。いってらっしゃ~い」

 サッズに伝言を頼み、ジークを連れて隠れ家を後にした。

 「で?筋肉ってなんの話しだ?」

 「うん?……あぁ、私もみんなさんみたいなカッコイイ筋肉がほしいなって言ってたんです」

 「……やめとけ」

 何故みんな同じような反応するんでしょう?
 今の縁の容姿的に「それはない!」という反応も、本人は意外にカッコイイのでは?と思ってたりする。

 「やはり食べる量ですかね?私の場合食べすぎるとお腹を壊してしまうみたいでそんなに食べられないんですよ」

 「………」

 「それとも食べものですかね?みなさんお肉をよく食べてますけど私ももっとお肉を食べるべきーー」

 「……着いたぞ」

 どうすれば筋肉をつけられるか悩む縁にジークの呆れ顔は見えてなかった。
 崖を登り終え腕から下ろしもらったが、縁の筋肉欲しい欲は止まらない。

 「今はアズぐらいなら運べますがアレンたちも運べるくらいに私もなりたいんですよ。やはり運動ですかね?毎日走り込みでもすればーー」

 「どっちだ?」

 「あ、こっちです。ジークはどうやってその胸板を作り上げたんですか?なにか秘訣があったりするんですか?それ相応の運動を?」

 「ねぇよ」

 歩きながらもどうすれば理想の筋肉に?とジークに意見を求める。

 「そうでしょうそうでしょう。見た感じ鍛えてできたというより自然にできた感じです。ということは、やはり日常の中での動きが作り上げる秘訣ということにーー」

 「おい、ここは?」

 「うん?……ここどこですか?」

 「……俺が聞いてるんだが」

 止まらない筋肉欲に適当に返事をしていたのが悪かったらしい。
 気づけば縁の見知らぬ道?に出ていた。
 道と言っても森の中なのでもちろん獣道(道という道ではない)であるのだが。

 「これは……ちょっと休憩しましょうか」

 迷子になったらその場から動くな!という教えではなく、夢中でずっと話しながら歩いていた縁は、気づけばかなりの体力を消耗していたのであった。

 「………そうだな」

 呆れて何も言えないというのはこういうことかとジークはその時初めて理解したのであった。



 

 
 


 
 

 
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...