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おかしい
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その日も朝からアズが後ろを付いて回ってきていた。
まるで父親の後ろ姿を追う子どものようで気恥ずかしくも嬉しかった。
しかもその後ろからはエニシがアズを見守るように付いてくるのが可愛いく、エニシは気付いてないがその姿に見ていた住人たちが皆微笑ましそうな目線を送っていた。
「隔離部屋ってどこ?」
「縁と行ってくるからアズを頼めるか?」
休みということでエニシに文字通り張り付いて回っていたアレンとセインに発情期の時用の部屋を聞かれれば、何か胸の奥で嫌なものが渦巻く。
別に彼らとそういう話をするのは初めてではないが、何か気持ち悪いものが沸き起こる。
それが嫉妬だと確信したのはあの部屋から帰ってきてベッドに横たわるエニシの姿を見た時だった。
どこか気怠げな様子に、だかそういうことをしたせいかどことなく色気を感じさせるエニシに、そんな姿にしたアレンたちが憎たらしくなって仕方がなかった。
イラつく心を隠せず低くなる声にエニシは気付いていたようだが何も言ってこなかった。
「アズ、今日は俺と寝るか?」
いつまで経っても戻って来ないエニシたちにアズも必死に眠気と戦いながら待っていたが、結局その日はエニシたちが帰ってくることはなく仕方なく眠ってしまったアズを自身のベッドに一緒に寝かせたのであった。
「帰って来ないってことはそういうことなんだろな」
分かってた。
分かってはいたし、そういう意味でエニシをからかったこともあったが何か胸の奥でドロドロとしたものが沸き起こっては全身に回っていくようで落ち着かない。
その感情にもしかしてと何度も思ったがその度に死んだエリーの姿が頭に浮かび違うと自分に言い聞かせていた。
「あいつらアズにも何か言ってけっつーの」
いつママたちはもどってくるの?と聞かれるジークの身にもなってほしい。
なんでもどってこないの?アズはおいてかれたの?と涙目で質問責めされても本当の理由を言ってやれるはずもなく、何とかごまかしたのだ。
「どんな声で啼くんだろうな」
きっと可愛いんだろなと考えたところで、自分は何を言っているんだと慌てて頭を振り脳内の妄想を霧散させる。
普段からあれだけ可愛いのだ、きっとその時はもっと可愛いのだろうが自分がその姿を見ることはないだろうと戒める。
「初めてでアイツに無茶させてないといいがな」
日付けが変わっても戻ってこないエニシたちにそれは手遅れだとは思うが。
それから翌日の昼前まで戻ってこなかったエニシたちにどんな顔をしていいか分からず、ジークもわざわざ顔を合わせることもしなかった。
「頭!夕メシできやしたー」
「あぁ今行く」
もう夕方かと部屋を出て食堂に向かったがアズたちの姿が見えず、聞けばまだ来てないとのこと。
アレンたちも仕事上まだしばらくかかるようなので、アズの教育にもよくないだろうとよく分からない言い訳をしながら2人を呼びに部屋に向かうのだった。
「ジーク!」
「動けないんだろ?運んでやる。ほら行くぞアズ」
自身は動けずアズだけ頼むと言おうとするエニシを抱き上げれば、慌てたように暴れる様子に納得いかなかった。
せっかく運ぼうしているのに何故暴れようとするのか。
それでも諦めたのか胸にもたれかかる頭を見下ろせば、今は自分の腕の中にいるという現実に喜びそうになり、怪訝そうに名前を呼ぶエニシに反射的に不機嫌そうに返事をしてしまう。
そのまま食堂へ向かえば驚いたような顔をした面々とニヤニヤと嫌な笑い方をするサッズは無視し、エニシを抱いたまま席につけば、すかさずシンクがご飯を運んできてくれる。
「ほら食え」
「あの、こんなことしてくれなくても私1人でも……」
「嘘つけ。そんなふらふらな身体しやがって。ほら、アズも腹へってんだからさっさと食わせてやれ」
無理矢理スプーンを持たせ、アズのために早くしろと言えば慌てたようにアズの口にご飯を運んでいた。
逆にジークは食欲がないと遠慮するエニシの口にご飯を詰め込んでやる。
アズにもやってやったがエニシにしてやるとこんなにも嬉しいのはなぜだろう。
それをエニシが許してくれているということと、エニシに関われることができたという喜び。
ニヤけそうな口元に必死に力を入れれば、自然皺が寄る眉間に一見不機嫌そうに見えるがエニシならまだしも付き合いが長い仲間にはそれが嘘だとバレていることだろう。
「お前は細すぎんだよ。もっと食え。そんなんじゃ俺どころかいつかアズにもすぐ抜かれんぞ」
「え!それは……いやですね。やはりお肉を食べるしか?アズ、ムキムキな私はどうでしょう?」
「?」
意味が分からないのか、それともムキムキなエニシを想像できなかったのかアズが首を傾げている。
「やはりアズも頼もしいママがいいですよね。待ってて下さい。今にジークのようなムキムキの頼もしいママにーー」
「「「「「「いや、ムリでしょ」」」」」」
話しを聞いていた全員に否定されていた。
「というかアズもんなこと一言も言ってねぇだろ」
「いえ、アズも男の子です。その内筋肉の素晴らしさに目覚め、こんなヒョロヒョロなママなど嫌だと言い出すに決まってます」
自身がヒョロヒョロな自覚はあったようだ。
「アズね、ママだいすきだよ」
「あぁ!気を遣わなくていいんですよ。任せて下さい。すぐには無理ですが、きっと今にアズも自慢したくなるようなムキムキの素晴らしい筋肉にーー」
「「「「「「ムリだから!」」」」」」
やはりみんなに否定されてしまい、肩を落とすエニシにアズが頭を撫でて慰めているのを見て笑ってしまったジークであった。
なんでこんなに筋肉好きなんだよ。
まるで父親の後ろ姿を追う子どものようで気恥ずかしくも嬉しかった。
しかもその後ろからはエニシがアズを見守るように付いてくるのが可愛いく、エニシは気付いてないがその姿に見ていた住人たちが皆微笑ましそうな目線を送っていた。
「隔離部屋ってどこ?」
「縁と行ってくるからアズを頼めるか?」
休みということでエニシに文字通り張り付いて回っていたアレンとセインに発情期の時用の部屋を聞かれれば、何か胸の奥で嫌なものが渦巻く。
別に彼らとそういう話をするのは初めてではないが、何か気持ち悪いものが沸き起こる。
それが嫉妬だと確信したのはあの部屋から帰ってきてベッドに横たわるエニシの姿を見た時だった。
どこか気怠げな様子に、だかそういうことをしたせいかどことなく色気を感じさせるエニシに、そんな姿にしたアレンたちが憎たらしくなって仕方がなかった。
イラつく心を隠せず低くなる声にエニシは気付いていたようだが何も言ってこなかった。
「アズ、今日は俺と寝るか?」
いつまで経っても戻って来ないエニシたちにアズも必死に眠気と戦いながら待っていたが、結局その日はエニシたちが帰ってくることはなく仕方なく眠ってしまったアズを自身のベッドに一緒に寝かせたのであった。
「帰って来ないってことはそういうことなんだろな」
分かってた。
分かってはいたし、そういう意味でエニシをからかったこともあったが何か胸の奥でドロドロとしたものが沸き起こっては全身に回っていくようで落ち着かない。
その感情にもしかしてと何度も思ったがその度に死んだエリーの姿が頭に浮かび違うと自分に言い聞かせていた。
「あいつらアズにも何か言ってけっつーの」
いつママたちはもどってくるの?と聞かれるジークの身にもなってほしい。
なんでもどってこないの?アズはおいてかれたの?と涙目で質問責めされても本当の理由を言ってやれるはずもなく、何とかごまかしたのだ。
「どんな声で啼くんだろうな」
きっと可愛いんだろなと考えたところで、自分は何を言っているんだと慌てて頭を振り脳内の妄想を霧散させる。
普段からあれだけ可愛いのだ、きっとその時はもっと可愛いのだろうが自分がその姿を見ることはないだろうと戒める。
「初めてでアイツに無茶させてないといいがな」
日付けが変わっても戻ってこないエニシたちにそれは手遅れだとは思うが。
それから翌日の昼前まで戻ってこなかったエニシたちにどんな顔をしていいか分からず、ジークもわざわざ顔を合わせることもしなかった。
「頭!夕メシできやしたー」
「あぁ今行く」
もう夕方かと部屋を出て食堂に向かったがアズたちの姿が見えず、聞けばまだ来てないとのこと。
アレンたちも仕事上まだしばらくかかるようなので、アズの教育にもよくないだろうとよく分からない言い訳をしながら2人を呼びに部屋に向かうのだった。
「ジーク!」
「動けないんだろ?運んでやる。ほら行くぞアズ」
自身は動けずアズだけ頼むと言おうとするエニシを抱き上げれば、慌てたように暴れる様子に納得いかなかった。
せっかく運ぼうしているのに何故暴れようとするのか。
それでも諦めたのか胸にもたれかかる頭を見下ろせば、今は自分の腕の中にいるという現実に喜びそうになり、怪訝そうに名前を呼ぶエニシに反射的に不機嫌そうに返事をしてしまう。
そのまま食堂へ向かえば驚いたような顔をした面々とニヤニヤと嫌な笑い方をするサッズは無視し、エニシを抱いたまま席につけば、すかさずシンクがご飯を運んできてくれる。
「ほら食え」
「あの、こんなことしてくれなくても私1人でも……」
「嘘つけ。そんなふらふらな身体しやがって。ほら、アズも腹へってんだからさっさと食わせてやれ」
無理矢理スプーンを持たせ、アズのために早くしろと言えば慌てたようにアズの口にご飯を運んでいた。
逆にジークは食欲がないと遠慮するエニシの口にご飯を詰め込んでやる。
アズにもやってやったがエニシにしてやるとこんなにも嬉しいのはなぜだろう。
それをエニシが許してくれているということと、エニシに関われることができたという喜び。
ニヤけそうな口元に必死に力を入れれば、自然皺が寄る眉間に一見不機嫌そうに見えるがエニシならまだしも付き合いが長い仲間にはそれが嘘だとバレていることだろう。
「お前は細すぎんだよ。もっと食え。そんなんじゃ俺どころかいつかアズにもすぐ抜かれんぞ」
「え!それは……いやですね。やはりお肉を食べるしか?アズ、ムキムキな私はどうでしょう?」
「?」
意味が分からないのか、それともムキムキなエニシを想像できなかったのかアズが首を傾げている。
「やはりアズも頼もしいママがいいですよね。待ってて下さい。今にジークのようなムキムキの頼もしいママにーー」
「「「「「「いや、ムリでしょ」」」」」」
話しを聞いていた全員に否定されていた。
「というかアズもんなこと一言も言ってねぇだろ」
「いえ、アズも男の子です。その内筋肉の素晴らしさに目覚め、こんなヒョロヒョロなママなど嫌だと言い出すに決まってます」
自身がヒョロヒョロな自覚はあったようだ。
「アズね、ママだいすきだよ」
「あぁ!気を遣わなくていいんですよ。任せて下さい。すぐには無理ですが、きっと今にアズも自慢したくなるようなムキムキの素晴らしい筋肉にーー」
「「「「「「ムリだから!」」」」」」
やはりみんなに否定されてしまい、肩を落とすエニシにアズが頭を撫でて慰めているのを見て笑ってしまったジークであった。
なんでこんなに筋肉好きなんだよ。
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