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友達
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髪も切りさっぱりした縁は休みであったアレンを引きづり町の市場へ来ていた。
「いい加減機嫌を治して下さい」
隠す気もないのだろう不機嫌だと訴えるように眉間に皺を寄せ、口を尖らせているアレンに笑ってしまう。
「あいつら俺のことなんだと思ってるんだ。いくら俺でも町中で縁を襲ったりしない」
アレンが一緒に町に来るにあたり問題だったのが発情期が近いことだった。
街中で襲っては大変だと行くなら他の誰かと言うジークたちにアレンが怒ったのだ。
縁としては意外に気がきくアレンにそんな心配はしていなかったが、苦しい思いをするならと残ってもらおうとしたが即座に却下された。
そんなことに絶対ならないから連れていけと。
「ジークたちもアレンのことを心配してるんですよ。自分たちもその苦しさを知っているから」
だから怒ってやるなと繋ぐ手を少し引くと近づいてきたアレンの頰に軽くキスする。
「……仕方ないから許してやる」
それだけで機嫌が治るのもどうかと思うが、治ったなら良かったと2人で手を繋ぎ歩く。
「こんにちは、おじさん」
「あ?お前また来たんか」
見慣れた機嫌が悪そうなその顔に挨拶すれば、言葉とは裏腹に嬉しそうな声だった。
「また来てしまいました。ぜひお誘いしようと思って。お昼はまだですか?」
「は?……まぁまだだが」
意味が分からんと怪訝な顔をするおじさんに一緒に食べませんか?と誘えばさらに眉間の皺が濃くなる。
「かまわんが、なんでーー」
「良かった。甥御さんと一緒に食べようと色々作ってきたんです。私たちだけよりおじさんも一緒の方が彼も嬉しいだろうと思いまして」
駄目なら元々アレンと2人で行こうと思っていたので問題ないが、どうせならと誘ったのだ。
いくら友達になったからと言っても以前の様子からして緊張するだろうし、それならば安心できる存在が隣にいた方がいいだろう。
「気ぃ使わせたか。すまんな、あんがとよ」
やはり縁の考えが分かったようで礼を言われたが気にせず一緒に酒屋に向かう。
「そういえばお名前を伺ってませんでした。私は縁と言います。彼がアレンで以前一緒に来ていたのがセイン、子どもの方がアズライトと言います」
「ガンズだ」
縁と手を繋ぐアレンに一瞬目を向けたが特に何も言われることはなかった。
「何度もお会いしているのに名乗るのが遅れてすいませんでした。甥御さんにも言うのを忘れてました」
「ハハッ、あいつも同じこと言ってたな」
お互い後で気づくという、ある意味似た者同士であった。
着くまで何とは無しに話していれば、彼にはもう両親はなく身内と言えるのもガンズだけだという。
だからこそ友達になってくれて嬉しかったと笑うガンズも甥っ子が可愛いのだろう。
優しい叔父さんだと笑っていれば到着したらしく、返事も待つことなくズカズカと入っていくガンズには驚いた。
「ここに来るなんてオレぐれぇだからな。あいつも集中してると返事もしねぇ時もあるから勝手に入ることにしてんだよ」
それでお互い納得しているならば問題はないのだろう。
「叔父さん?どうしたの?今日は来る予定なーーあっ!」
「こんにちは」
「こ、こん、こんに、ちは」
ひょこっとガンズの背から顔を覗かせれば驚いたように目を見開き慌てて挨拶を返される。
焦りすぎて舌を噛んでいたが。
「一緒にお昼でもと思って遊びに来てしまいました。よければみんなで」
鞄からいくつもの大きめの包みを取り出す。
嬉しそうに頷く彼に部屋に案内してもらえば机に次々とそれらを並べていく。
「見たことねぇもんばっかだが美味そうだな」
「すごい」
サラダにおにぎり、色々と挟んだサンドイッチや揚げ物。
スープも調理場を借り温めれば皆に配っていく。
「お肉を挟んだものもありますし、卵を挟んだものや以前渡したジャムが挟んだものもあるので好きなものを召し上がって下さい」
嫌いなものはないかと聞けば首を振る2人に好きなものを薦める。
隣ではそんなこと気にせず肉サンドに齧り付くアレンに美味しそうに食べるなぁと微笑んだ。
「んーーん!美味しい!」
美味しさに驚く横でガンズが美味いなと味わうように頷いている。
「それは良かったです。と、そういえば名前をまだ伺ってませんでしたね。私は縁と言います」
アレンにセインのことも紹介すれば慌てたように頭を下げる彼に笑ってしまう。
「す、すいません!な、名乗るのが遅れて、ぼ、僕はホーランと言います」
「素敵な名前ですね。ではランと呼んでも構いませんか?私のことも呼び捨てでも構いませんよ」
「え!?それは…ムリ、ムリです!」
何もそこまで否定せずともと縁は思ったが、嫌がっているのではなくあまりに畏れ多いと思ってのことだった。
「なら…縁くんでもニシくんでもいいですよ」
「…あの、エニシさん、ではダメですか?」
窺うようにこちらを見てくるランに縁は首を振る。
「ダメ…というか嫌です。せっかくの友達なのに寂しいじゃないですか」
どうせなら友達らしく呼びたいと言えば困ったような、しかし嬉しそうに頷くランは恥ずかしそうにエニシくんと呼んでくれた。
「ありがとうございます。さ、いっぱい食べて下さいね。あ、以前ガンズさんの所で買った小豆で作ったものもありますよ。甘いものが大丈夫ならぜひ食べてみて下さい」
バターと餡子を挟んだものを薦めてみれば、物珍らしそうに見た後ガンズが小倉サンドを頬張り驚いていた。
「……すげぇな。これがあの豆なんかでできんのかよ」
「美味しい!」
驚き固まる叔父にランも興味を惹かれたのか、一口もらい食べた小倉サンドに同じく固まっている。
「でしょ?少しですが瓶に詰めてきたので後でお渡ししますね」
口を汚しながら齧り付くアレンの口を拭いてやりながらそう言えばランが目を輝かせるのだった。
「いい加減機嫌を治して下さい」
隠す気もないのだろう不機嫌だと訴えるように眉間に皺を寄せ、口を尖らせているアレンに笑ってしまう。
「あいつら俺のことなんだと思ってるんだ。いくら俺でも町中で縁を襲ったりしない」
アレンが一緒に町に来るにあたり問題だったのが発情期が近いことだった。
街中で襲っては大変だと行くなら他の誰かと言うジークたちにアレンが怒ったのだ。
縁としては意外に気がきくアレンにそんな心配はしていなかったが、苦しい思いをするならと残ってもらおうとしたが即座に却下された。
そんなことに絶対ならないから連れていけと。
「ジークたちもアレンのことを心配してるんですよ。自分たちもその苦しさを知っているから」
だから怒ってやるなと繋ぐ手を少し引くと近づいてきたアレンの頰に軽くキスする。
「……仕方ないから許してやる」
それだけで機嫌が治るのもどうかと思うが、治ったなら良かったと2人で手を繋ぎ歩く。
「こんにちは、おじさん」
「あ?お前また来たんか」
見慣れた機嫌が悪そうなその顔に挨拶すれば、言葉とは裏腹に嬉しそうな声だった。
「また来てしまいました。ぜひお誘いしようと思って。お昼はまだですか?」
「は?……まぁまだだが」
意味が分からんと怪訝な顔をするおじさんに一緒に食べませんか?と誘えばさらに眉間の皺が濃くなる。
「かまわんが、なんでーー」
「良かった。甥御さんと一緒に食べようと色々作ってきたんです。私たちだけよりおじさんも一緒の方が彼も嬉しいだろうと思いまして」
駄目なら元々アレンと2人で行こうと思っていたので問題ないが、どうせならと誘ったのだ。
いくら友達になったからと言っても以前の様子からして緊張するだろうし、それならば安心できる存在が隣にいた方がいいだろう。
「気ぃ使わせたか。すまんな、あんがとよ」
やはり縁の考えが分かったようで礼を言われたが気にせず一緒に酒屋に向かう。
「そういえばお名前を伺ってませんでした。私は縁と言います。彼がアレンで以前一緒に来ていたのがセイン、子どもの方がアズライトと言います」
「ガンズだ」
縁と手を繋ぐアレンに一瞬目を向けたが特に何も言われることはなかった。
「何度もお会いしているのに名乗るのが遅れてすいませんでした。甥御さんにも言うのを忘れてました」
「ハハッ、あいつも同じこと言ってたな」
お互い後で気づくという、ある意味似た者同士であった。
着くまで何とは無しに話していれば、彼にはもう両親はなく身内と言えるのもガンズだけだという。
だからこそ友達になってくれて嬉しかったと笑うガンズも甥っ子が可愛いのだろう。
優しい叔父さんだと笑っていれば到着したらしく、返事も待つことなくズカズカと入っていくガンズには驚いた。
「ここに来るなんてオレぐれぇだからな。あいつも集中してると返事もしねぇ時もあるから勝手に入ることにしてんだよ」
それでお互い納得しているならば問題はないのだろう。
「叔父さん?どうしたの?今日は来る予定なーーあっ!」
「こんにちは」
「こ、こん、こんに、ちは」
ひょこっとガンズの背から顔を覗かせれば驚いたように目を見開き慌てて挨拶を返される。
焦りすぎて舌を噛んでいたが。
「一緒にお昼でもと思って遊びに来てしまいました。よければみんなで」
鞄からいくつもの大きめの包みを取り出す。
嬉しそうに頷く彼に部屋に案内してもらえば机に次々とそれらを並べていく。
「見たことねぇもんばっかだが美味そうだな」
「すごい」
サラダにおにぎり、色々と挟んだサンドイッチや揚げ物。
スープも調理場を借り温めれば皆に配っていく。
「お肉を挟んだものもありますし、卵を挟んだものや以前渡したジャムが挟んだものもあるので好きなものを召し上がって下さい」
嫌いなものはないかと聞けば首を振る2人に好きなものを薦める。
隣ではそんなこと気にせず肉サンドに齧り付くアレンに美味しそうに食べるなぁと微笑んだ。
「んーーん!美味しい!」
美味しさに驚く横でガンズが美味いなと味わうように頷いている。
「それは良かったです。と、そういえば名前をまだ伺ってませんでしたね。私は縁と言います」
アレンにセインのことも紹介すれば慌てたように頭を下げる彼に笑ってしまう。
「す、すいません!な、名乗るのが遅れて、ぼ、僕はホーランと言います」
「素敵な名前ですね。ではランと呼んでも構いませんか?私のことも呼び捨てでも構いませんよ」
「え!?それは…ムリ、ムリです!」
何もそこまで否定せずともと縁は思ったが、嫌がっているのではなくあまりに畏れ多いと思ってのことだった。
「なら…縁くんでもニシくんでもいいですよ」
「…あの、エニシさん、ではダメですか?」
窺うようにこちらを見てくるランに縁は首を振る。
「ダメ…というか嫌です。せっかくの友達なのに寂しいじゃないですか」
どうせなら友達らしく呼びたいと言えば困ったような、しかし嬉しそうに頷くランは恥ずかしそうにエニシくんと呼んでくれた。
「ありがとうございます。さ、いっぱい食べて下さいね。あ、以前ガンズさんの所で買った小豆で作ったものもありますよ。甘いものが大丈夫ならぜひ食べてみて下さい」
バターと餡子を挟んだものを薦めてみれば、物珍らしそうに見た後ガンズが小倉サンドを頬張り驚いていた。
「……すげぇな。これがあの豆なんかでできんのかよ」
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