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みんなで仲良く昼食を済ませた縁たちはランの厚意により工房を案内してもらうことになった。
「初めて見ましたが大変な作業ですねぇ」
いくつもの酒が入れられた大きな樽が部屋中に並べられている。
詳しい作り方は知らなかったが、これをラン1人で捌いていると思えばかなりの重労働だろう。
凄いですねと微笑めば照れたように顔を赤くし俯く。
「ぼ、僕は作るだ、だけだから。う、売るのは叔父さんに、任せっきりで、全然凄くなんて……」
「十分ですよ。それに自分にできないことをできる人に任せることは悪いことではありません。人間適材適所と言いますからね。それにーー」
「それに?」
チラリとガンズを見ると微笑む。
「叔父さんはそれが嬉しいみたいですよ。1人で頑張ることも多少は必要ですが時には誰かに甘えることも必要なんです」
昔ランに何があったかは分からないし、言いたくないことを態々聞こうとも思わない。
ただ、今も1人で頑張るランが俯くことなく楽しく日々を過ごせたらいいとは思う。
「そういうこった。お前は変な気ぃ使うんじゃねぇ」
大きな手で頭を撫でるガンズにランはポロポロと泣き出してしまう。
「で、でも僕、おじ、叔父さんに、助けてもらってばっかり、で、なに、なにも返せて、なくて……」
「んなもんいらねぇよ」
真面目なんだろう。
何かをしてもらったら自分も何かを返さなければいけないと思っている。
それが悪いとは言わないし、そう考えられるランはとても立派だ。
もらって当たり前、やってくれて当たり前などはなく返せるものがあるなら返しておいて問題はないだろう。
だがそれとは別に相手に何も求めず自分がやりたいから、してあげたいからと尽くす人もいる。
ガンズもそうなのだ。
可愛い甥っ子のために何かしてやりたいと思っているし、自分ができることをやっているだけだろう。
「ランが大切な叔父さんに頼って申し訳ないと思っているように、叔父さんも大切なランに何かしてあげたいと思ってくれているんです。だからーー笑って。今どれだけ自分が幸せなのか笑って教えてあげて下さい」
自分の大切な人が笑っている。
それだけで人は嬉しく、幸せになれる。
「私も子どもがいますから分かります。あの子が笑ってくれるのがとても嬉しいんですよ」
まさかこちらの世界に来て早々にママになるなど思ってもみなかったが、今はアズが可愛くて仕方がない。
ママと笑って呼ばれただけで嬉しく、大好きと言われば何でもしてあげたくなってしまう。
「わら、僕なんか笑っても……え?ま、え?エニシさ…じゃなくて、エニシくん子どもがいるの?」
似たような年齢の縁に子どもがいたことに驚いている。
「いますよ。まぁ血は繋がってませんけど今は私の子です」
ガンズは以前会ってはいたがランはなく、信じられないようだ。
「ってことはお前やっぱりそいつと番ったんか」
そいつとガンズが見たのはアレンで、あと2人いると言えばかなり驚かれた。
確かに今までの人間たちの行いを思えばそうだろうが、縁にとってアレンたちの番になったことは何ら不思議なことはなく、むしろ幸せなことばかりだ。
「こちらではあまり受け入れられてないみたいですが私は後悔なんてしてませんし、ずっと1人だったので家族ができて今はとても幸せです」
ね?とアレンに微笑めば、アレンも嬉しそうに笑い抱きしめてくれる。
理解できないのであればそれでいい。
理解されないからといって縁がアレンたちの手を離すことはないのだから。
「……ずっと?1人、だったの?」
「子どもの頃にね。もう昔の話しです」
こちらでは16が成人のため12歳で両親を亡くしたとてそれほどでもないかもしれないが、日本では未成年だ。
苦労はしたがそれももう過去の話で今現在幸せなのだからそれでいい。
「まぁ無理に受け入れようとしなくても構いません。無理なら無理と言っていただければ今後2人には近づかないようにしますので」
こちらでも普通ではないことを無理に理解してもらおうとは思わない。
「んなこと気にしてねぇよ。あー、なんだ、前に見た時そうなんじゃねぇかなとは思ってたんだよ」
やはりガンズは気付いていたようだ。
セインたちと一緒にいた時もそうだったが、話しかけることはしなくとも一度もそういう目で見られたことはなかった。
ではランはどうかと目線を向ければブンブンと首を振られた。
「ぼ、僕も大丈夫、です。あ、あまり、その、獣人の人と接したことは、ないけど…アレン、さんは、エニシさ…エニシくんのこと大好きなんだ、って分かるから、怖くないです」
……よかった。
何となくこの2人なら大丈夫だとは思っていたが、それでもこうして言葉にしてもらえたのが何より嬉しい。
よかったなと背を撫でるアレンに微笑む。
「にしても獣人3人たぁ、大丈夫なのか?この町じゃ暮らし辛えだろ」
アレンたちの身を案じてくれるガンズの言葉が嬉しく、だが町外れに住んでいるので問題ないと言えば納得してくれた。
「何かあれば言えよ。オレに出来ることなら力になるからな」
ガシガシと頭を撫でるガンズにまるで父のようで嬉しかった。
「ぼ、僕も……僕にできることなんて少ない、けど、そ、相談ぐらいなら、いつでも聞くから」
何でも言ってほしいと必死に見つめてくるランにありがとうと言うとギュッと抱きつくのだった。
慌てるランがとても可愛いかった。
「初めて見ましたが大変な作業ですねぇ」
いくつもの酒が入れられた大きな樽が部屋中に並べられている。
詳しい作り方は知らなかったが、これをラン1人で捌いていると思えばかなりの重労働だろう。
凄いですねと微笑めば照れたように顔を赤くし俯く。
「ぼ、僕は作るだ、だけだから。う、売るのは叔父さんに、任せっきりで、全然凄くなんて……」
「十分ですよ。それに自分にできないことをできる人に任せることは悪いことではありません。人間適材適所と言いますからね。それにーー」
「それに?」
チラリとガンズを見ると微笑む。
「叔父さんはそれが嬉しいみたいですよ。1人で頑張ることも多少は必要ですが時には誰かに甘えることも必要なんです」
昔ランに何があったかは分からないし、言いたくないことを態々聞こうとも思わない。
ただ、今も1人で頑張るランが俯くことなく楽しく日々を過ごせたらいいとは思う。
「そういうこった。お前は変な気ぃ使うんじゃねぇ」
大きな手で頭を撫でるガンズにランはポロポロと泣き出してしまう。
「で、でも僕、おじ、叔父さんに、助けてもらってばっかり、で、なに、なにも返せて、なくて……」
「んなもんいらねぇよ」
真面目なんだろう。
何かをしてもらったら自分も何かを返さなければいけないと思っている。
それが悪いとは言わないし、そう考えられるランはとても立派だ。
もらって当たり前、やってくれて当たり前などはなく返せるものがあるなら返しておいて問題はないだろう。
だがそれとは別に相手に何も求めず自分がやりたいから、してあげたいからと尽くす人もいる。
ガンズもそうなのだ。
可愛い甥っ子のために何かしてやりたいと思っているし、自分ができることをやっているだけだろう。
「ランが大切な叔父さんに頼って申し訳ないと思っているように、叔父さんも大切なランに何かしてあげたいと思ってくれているんです。だからーー笑って。今どれだけ自分が幸せなのか笑って教えてあげて下さい」
自分の大切な人が笑っている。
それだけで人は嬉しく、幸せになれる。
「私も子どもがいますから分かります。あの子が笑ってくれるのがとても嬉しいんですよ」
まさかこちらの世界に来て早々にママになるなど思ってもみなかったが、今はアズが可愛くて仕方がない。
ママと笑って呼ばれただけで嬉しく、大好きと言われば何でもしてあげたくなってしまう。
「わら、僕なんか笑っても……え?ま、え?エニシさ…じゃなくて、エニシくん子どもがいるの?」
似たような年齢の縁に子どもがいたことに驚いている。
「いますよ。まぁ血は繋がってませんけど今は私の子です」
ガンズは以前会ってはいたがランはなく、信じられないようだ。
「ってことはお前やっぱりそいつと番ったんか」
そいつとガンズが見たのはアレンで、あと2人いると言えばかなり驚かれた。
確かに今までの人間たちの行いを思えばそうだろうが、縁にとってアレンたちの番になったことは何ら不思議なことはなく、むしろ幸せなことばかりだ。
「こちらではあまり受け入れられてないみたいですが私は後悔なんてしてませんし、ずっと1人だったので家族ができて今はとても幸せです」
ね?とアレンに微笑めば、アレンも嬉しそうに笑い抱きしめてくれる。
理解できないのであればそれでいい。
理解されないからといって縁がアレンたちの手を離すことはないのだから。
「……ずっと?1人、だったの?」
「子どもの頃にね。もう昔の話しです」
こちらでは16が成人のため12歳で両親を亡くしたとてそれほどでもないかもしれないが、日本では未成年だ。
苦労はしたがそれももう過去の話で今現在幸せなのだからそれでいい。
「まぁ無理に受け入れようとしなくても構いません。無理なら無理と言っていただければ今後2人には近づかないようにしますので」
こちらでも普通ではないことを無理に理解してもらおうとは思わない。
「んなこと気にしてねぇよ。あー、なんだ、前に見た時そうなんじゃねぇかなとは思ってたんだよ」
やはりガンズは気付いていたようだ。
セインたちと一緒にいた時もそうだったが、話しかけることはしなくとも一度もそういう目で見られたことはなかった。
ではランはどうかと目線を向ければブンブンと首を振られた。
「ぼ、僕も大丈夫、です。あ、あまり、その、獣人の人と接したことは、ないけど…アレン、さんは、エニシさ…エニシくんのこと大好きなんだ、って分かるから、怖くないです」
……よかった。
何となくこの2人なら大丈夫だとは思っていたが、それでもこうして言葉にしてもらえたのが何より嬉しい。
よかったなと背を撫でるアレンに微笑む。
「にしても獣人3人たぁ、大丈夫なのか?この町じゃ暮らし辛えだろ」
アレンたちの身を案じてくれるガンズの言葉が嬉しく、だが町外れに住んでいるので問題ないと言えば納得してくれた。
「何かあれば言えよ。オレに出来ることなら力になるからな」
ガシガシと頭を撫でるガンズにまるで父のようで嬉しかった。
「ぼ、僕も……僕にできることなんて少ない、けど、そ、相談ぐらいなら、いつでも聞くから」
何でも言ってほしいと必死に見つめてくるランにありがとうと言うとギュッと抱きつくのだった。
慌てるランがとても可愛いかった。
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