100 / 475
ごめんね
しおりを挟む
会いに行くと約束していたにもかかわらず色々あり忘れ去っていた縁は教会に向かうことにした。
「ごめん。オレここから先に入れない」
門の前、嫌そうに顔を歪めるエルにならば仕方ないと待っててもらうことにしリックを連れ中に入る。
魔族のエルには神聖な場所である教会は辛いのだろう。
「お祈りは?」
「ありません。そういう行事も業務も参加させてもらえなくて…」
俯くリックに、ならば今からいくらでもすればいいと言えば頷いていた。
小さいが掃除が行き届いている中は古さからいってもとても綺麗で、前方中心部におかれた神を模ったという石像は縁も知る少年の姿と重なった。
近くにいた神父に挨拶をし石像に近づく。
正しいお祈りの仕方など知らなかったが、その場に膝をつくと両手を胸の前で合わせる。
元気にしているかな?と思いながらも目を閉じれば、その瞬間世界が真っ白になりあの世界に戻ってきたのだと分かった。
「えにしさーーん!」
そんな涙声の大きな声に懐かしさを感じた。
「お久しぶりです。元気にしていましたか?」
突撃するがごとく抱きついてきた少年を受け止め挨拶すれば、案の定涙や鼻水でぐちゃぐちゃの顔を上げこくこくと頷く姿が。
「お久しぶりです」
「アルくんも元気そうですね。会いに来るのが遅れてしまってごめんなさい」
おいでおいでと手招きすれば、恥ずかしそうにしながらもアルも抱きついてくる。
アズと暮らしているせいか若干2人への扱いが小さい子へのそれだった。
「2人のおかげで毎日楽しく過ごせてます。ありがとうございます」
「よかったぁぁぁ」
「貴方に喜んでもらえたなら私も嬉しいです。ずっと心配してましたが楽しいならよかった」
この機会をくれた2人には感謝してもしきれない。
ありがとうと縁も2人を抱きしめる。
「色々ありましたが、とても幸せですよ。男性ですが伴侶もできましたし、血は繋がってませんが可愛い子どももできました」
「知ってる。ずっと縁さんといられるなんて羨ましい」
「……知ってる?」
話したことはなかったがなぜ?と首を傾げる縁がどういうことかと聞こうとするがーー
「そんなことより渡したマジックバックはどうでしたか?役立ちそうなものを色々入れておいたんですが……」
「大変助かりました。コレ本当に凄いですね。あちらでは冷蔵庫みたいなものがなかったので腐らず保管できたのは有り難かったです。それに見た目以上に入りますしね」
某猫型ロボットみたいだと思ったが、出てくるものにそんな近未来的なものはない。
「縁さんの助けになれたなら良かったです。護身用に武器なども入れておいたのですがよく考えたら縁さんには持てそうにないものだと後から気付いてしまって……すいませんでした」
若干話を逸らされた気もしたが、申し訳ないと謝るアルにそんなこと吹き飛んでしまう。
そんなことない、大丈夫だありがとうと礼を述べればアルも頷いてくれる。
「魔法はどうでした?日本ではなかったものですが慣れれば生活もかなり楽になるでしょう?」
「……あ」
すっかり忘れていた。
アズと一緒にエルに習おうとは思っていたが、自分に才能かあるか不安だったのだ。
「すいません、まだ使ったことがなくて。そもそも私って魔法使えたんですかね?特に杖も何も持ってないんですが」
やはり魔法使いというのが実感出来ず、縁の中では魔法使い=白髪の三角帽子被ったおばあちゃんが毒々しい色の鍋を掻き混ぜている光景しか思い浮かばなかったのである。
「(やはりか……)使えますよ。(というか使えるようにしました)人間では使える者は限られてきますが、縁さんは全ての属性が使えます」
「属性?」
昔若い子が言っていたツンデレ属性?とかいうやつだろうか?
と、やはり斜め上をいく発想をしている縁であった。
「(以前にも説明しましたが)魔法にも四大元素である火・水・土・風があります。もちろん火は炎を操り、水は水源がない所でも水を出すことができますので最悪…なことは起こってほしくありませんが最悪何もない所でも生活できます」
何と便利なものをくれたことか。
人間水さえあれば暫くは生きていけるというが、その水に困らないというのはとても嬉しかった。
これで何かあってもアズたちを死なすことはないと。
「他にも闇魔法や聖魔法などもありますがそれはおいおい話していきましょう」
どうやら今後も色々と教えてくれるらしいアルに感謝し、ではどうすれば使えるのか聞いていく。
ーーが
「念じて下さい。基本魔法というものはその人が想像、こうしたいああしたいという念で魔力を具現化しているんです」
そんなことでいいのだろうか?
そんなお手軽に出来てしまっていいのだろうか?
「と言うのは簡単ですが、やはり人それぞれ考え方も想いも違うのでみんながみんな出来るものではないですし、そもそも魔力がないと出来ないので出来る人は限られてきます」
どうやら全ての人間が出来るわけではないらしい。
そう言わればジークたち獣人で使っている人はいなかったと言えば、獣人には魔力がないらしい。
その分身体能力がかなり高く、戦闘力が高いという。
逆にエルやアズのような魔族は見た目は人間とさほど変わらないが魔力が高いためそれで全てを補えるらしい。
と、そこまで教えてもらうといかに人間が弱く他の種族に劣っているのかが分かる。
それなのにあれほど偉そうにふんぞり返っている人間には驚いたものだ。
「人間の中にも使える者もいますが、元々魔法特化型として生まれてきた魔族には勝てるわけありません」
ならば自分もか?と思ったが、そこはそれ神さまによる恩恵によってえらいことになっているらしい。
「縁さんが困らないように魔力♾にしておいたよ!」
「え?」
それはマズイのでは?
「ごめん。オレここから先に入れない」
門の前、嫌そうに顔を歪めるエルにならば仕方ないと待っててもらうことにしリックを連れ中に入る。
魔族のエルには神聖な場所である教会は辛いのだろう。
「お祈りは?」
「ありません。そういう行事も業務も参加させてもらえなくて…」
俯くリックに、ならば今からいくらでもすればいいと言えば頷いていた。
小さいが掃除が行き届いている中は古さからいってもとても綺麗で、前方中心部におかれた神を模ったという石像は縁も知る少年の姿と重なった。
近くにいた神父に挨拶をし石像に近づく。
正しいお祈りの仕方など知らなかったが、その場に膝をつくと両手を胸の前で合わせる。
元気にしているかな?と思いながらも目を閉じれば、その瞬間世界が真っ白になりあの世界に戻ってきたのだと分かった。
「えにしさーーん!」
そんな涙声の大きな声に懐かしさを感じた。
「お久しぶりです。元気にしていましたか?」
突撃するがごとく抱きついてきた少年を受け止め挨拶すれば、案の定涙や鼻水でぐちゃぐちゃの顔を上げこくこくと頷く姿が。
「お久しぶりです」
「アルくんも元気そうですね。会いに来るのが遅れてしまってごめんなさい」
おいでおいでと手招きすれば、恥ずかしそうにしながらもアルも抱きついてくる。
アズと暮らしているせいか若干2人への扱いが小さい子へのそれだった。
「2人のおかげで毎日楽しく過ごせてます。ありがとうございます」
「よかったぁぁぁ」
「貴方に喜んでもらえたなら私も嬉しいです。ずっと心配してましたが楽しいならよかった」
この機会をくれた2人には感謝してもしきれない。
ありがとうと縁も2人を抱きしめる。
「色々ありましたが、とても幸せですよ。男性ですが伴侶もできましたし、血は繋がってませんが可愛い子どももできました」
「知ってる。ずっと縁さんといられるなんて羨ましい」
「……知ってる?」
話したことはなかったがなぜ?と首を傾げる縁がどういうことかと聞こうとするがーー
「そんなことより渡したマジックバックはどうでしたか?役立ちそうなものを色々入れておいたんですが……」
「大変助かりました。コレ本当に凄いですね。あちらでは冷蔵庫みたいなものがなかったので腐らず保管できたのは有り難かったです。それに見た目以上に入りますしね」
某猫型ロボットみたいだと思ったが、出てくるものにそんな近未来的なものはない。
「縁さんの助けになれたなら良かったです。護身用に武器なども入れておいたのですがよく考えたら縁さんには持てそうにないものだと後から気付いてしまって……すいませんでした」
若干話を逸らされた気もしたが、申し訳ないと謝るアルにそんなこと吹き飛んでしまう。
そんなことない、大丈夫だありがとうと礼を述べればアルも頷いてくれる。
「魔法はどうでした?日本ではなかったものですが慣れれば生活もかなり楽になるでしょう?」
「……あ」
すっかり忘れていた。
アズと一緒にエルに習おうとは思っていたが、自分に才能かあるか不安だったのだ。
「すいません、まだ使ったことがなくて。そもそも私って魔法使えたんですかね?特に杖も何も持ってないんですが」
やはり魔法使いというのが実感出来ず、縁の中では魔法使い=白髪の三角帽子被ったおばあちゃんが毒々しい色の鍋を掻き混ぜている光景しか思い浮かばなかったのである。
「(やはりか……)使えますよ。(というか使えるようにしました)人間では使える者は限られてきますが、縁さんは全ての属性が使えます」
「属性?」
昔若い子が言っていたツンデレ属性?とかいうやつだろうか?
と、やはり斜め上をいく発想をしている縁であった。
「(以前にも説明しましたが)魔法にも四大元素である火・水・土・風があります。もちろん火は炎を操り、水は水源がない所でも水を出すことができますので最悪…なことは起こってほしくありませんが最悪何もない所でも生活できます」
何と便利なものをくれたことか。
人間水さえあれば暫くは生きていけるというが、その水に困らないというのはとても嬉しかった。
これで何かあってもアズたちを死なすことはないと。
「他にも闇魔法や聖魔法などもありますがそれはおいおい話していきましょう」
どうやら今後も色々と教えてくれるらしいアルに感謝し、ではどうすれば使えるのか聞いていく。
ーーが
「念じて下さい。基本魔法というものはその人が想像、こうしたいああしたいという念で魔力を具現化しているんです」
そんなことでいいのだろうか?
そんなお手軽に出来てしまっていいのだろうか?
「と言うのは簡単ですが、やはり人それぞれ考え方も想いも違うのでみんながみんな出来るものではないですし、そもそも魔力がないと出来ないので出来る人は限られてきます」
どうやら全ての人間が出来るわけではないらしい。
そう言わればジークたち獣人で使っている人はいなかったと言えば、獣人には魔力がないらしい。
その分身体能力がかなり高く、戦闘力が高いという。
逆にエルやアズのような魔族は見た目は人間とさほど変わらないが魔力が高いためそれで全てを補えるらしい。
と、そこまで教えてもらうといかに人間が弱く他の種族に劣っているのかが分かる。
それなのにあれほど偉そうにふんぞり返っている人間には驚いたものだ。
「人間の中にも使える者もいますが、元々魔法特化型として生まれてきた魔族には勝てるわけありません」
ならば自分もか?と思ったが、そこはそれ神さまによる恩恵によってえらいことになっているらしい。
「縁さんが困らないように魔力♾にしておいたよ!」
「え?」
それはマズイのでは?
63
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる