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大切なもの
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「私も……私もジークを愛してます。ジークのことが大好きなんです」
泣きながらそう伝えられた言葉はこの世界の何よりも嬉しい言葉だった。
いつも笑顔が絶えない縁に、顔色悪く倒れているのを見た時は身体中が震えた。
ジークの姿を見て安心したように目を閉じた時はもう目を覚まさないんじゃないかと怖くて仕方がなかった。
アズたちのおかげで正気を保てていたが、何も出来ない自分に叫び出したかった。
「俺もお前のことが好きで大切なんだ。縁が死んだらもう生きていけない」
エリーを失い、心を失いかけていたジークに優しく手を差し伸べてくれた縁を失えば、今度こそジークは自分の命を迷いなく断つだろう。
「だから、頼むから……俺より先に死ぬな。お前が起きない間怖くて震えが止まらなかった。起きて抱きしめられた時はどれだけ嬉しかったか分からないだろう?子どもが出来たなんて最高の贈り物だ」
当たり前のように差し伸べられる手がどれだけ幸せなことなのか知っている。
生きていると温かい体温を感じることがどれだけ嬉しいことなのか知っている。
諦めていた番、諦めていた温もり、諦めていた子ども、諦めていた全てを縁はジークに与えてくれた。
「私はジークの負担になってはいませんか?」
バカだなぁと思った。
これ程自分を幸せにしておいて何を言うのだと。
「本気でそんなこと聞いてんなら怒んぞ」
何をもって負担だと言うのだろうか。
「何も出来ないことで不安になるならお前にも出来ることを探してやる。本当は動かないでいてくれる方が俺たちは安心だが、それはイヤなんだろ?」
頷く縁の背を分かってると撫でてやる。
「だが分かってくれ。それくらい心配されるってのは、それくらい縁がみんなに大切にされてるってことだ。人間と獣人っていう違いもあるせいもあるが、それ以上に縁が大切で失くしたくねぇから心配してるんだ」
あそこへ来た当初。
ジークが気に入ったとして隠れ家に連れていったが、やはり中には不満を洩らす者も少なからずいた。
なんで人間なんかをと、もし他の人間に場所をバラされたらどうするとジークも何度も言われた。
それでも変わらず住まわせ続ければ、いつの間にかみんなの心を掴んだのは縁の努力の賜物だ。
住まわせてもらっているのだからと仕事も進んでし、出来ないと落ち込んではまた次の仕事を探していた。
人間だからと威張りもせず、出来なくてすいませんと謝る姿にみんなが可愛いがったものだ。
美味しいご飯に、子どもたちへの世話、奴隷とされている獣人に変わらぬ態度に誰もが縁を受け入れた。
何より、幸せそうなジークの姿に皆が安心したのだ。
「それがどれだけ凄いか分かるか?もうお前はあそこでは仲間なんだよ。人間で、男の番だが、そんなこと気にならないくらい大切な仲間なんだ」
「……私もみんなが大切です」
「あぁ、分かってる。だから、な?少しだけ俺たちの気持ちも汲んでくれ。頑張れば出来るって考えるより、ここで無理したらみんながどう思うか、みんなが悲しむことはないかって少しでいい考えてくれ」
頰に手を添え顔を上げさせれば、泣き腫らした顔で見上げてくる縁に笑ってしまった。
「ひどい……」
「ははっ、わりぃわりぃ。可愛い顔が台無しだな。安心しろ、どんなお前でも愛してるからな」
証明するように顔中にキスしてやれば、小さな笑い声と共に縁もジークに返してくれる。
「私もどんなジークでも愛してます。心配かけてごめんなさい。これからもよろしくお願いしますね」
「当たり前だろ。赤ん坊のためにも1日でも長く生きてやるよ。にしてもどっちだろうな?」
「どっち?」
首を傾げる縁から少し身体を話すと、まだ膨らみもない腹に手を添える。
「男か女か、獣人か人間か。普通とは違う分、可能性も楽しみも増えた。セイン似の男か、女か」
「私はジークたちみたいな耳が羨ましいのでセイン似の女の子がいいですね」
「それじゃ縁の部分がねぇだろ。俺としては縁似の女の子がいいな」
縁似の可愛らしい女の子にパパと呼ばれるのを想像し、いいなと頷く。
「男の子でもセインに似たならかっこよくなりますよ。いや、かっこいいというより美人ですかね?」
「それは男としてどうなんだ?」
確かにセインは男らしいというより、綺麗の分類に入るだろう。
それでも獣人らしく筋肉はきちんとついており、性格的にも男らしい。
「そう言うくせに、私には可愛いとか綺麗とか言うじゃないですか。私だって男らしいって言われたいんです!」
「……お前は性格だけは男らしいな」
「なんですかその間は。しかも性格だけって、失礼ですね!」
いつもの縁の様子に笑い抱きしめると、プンプンと怒りながらも抱きしめ返してくれる。
「女なんて産まれたら俺は嫁に出せる気がしねぇな」
「そうですか?ジークならあっさりしてそうですけど」
セインとアレンなら親バカになりそうな気がしていたが、ジークまでとは意外だと驚かれる。
「馬鹿野郎。可愛い娘をそう簡単に嫁に出せるか」
どちらに似ても構わないが、縁似であるならば確実に可愛いさと心配で目が離せないに決まっている。
「心配?」
「急に何しでかすか分かんねぇからな。下手に変なヤツにでも捕まったらどうすんだ」
「ジークも立派な親バカでしたね」
そう言って笑う縁に、なんだとと軽く頭を小突いてやるのであった。
泣きながらそう伝えられた言葉はこの世界の何よりも嬉しい言葉だった。
いつも笑顔が絶えない縁に、顔色悪く倒れているのを見た時は身体中が震えた。
ジークの姿を見て安心したように目を閉じた時はもう目を覚まさないんじゃないかと怖くて仕方がなかった。
アズたちのおかげで正気を保てていたが、何も出来ない自分に叫び出したかった。
「俺もお前のことが好きで大切なんだ。縁が死んだらもう生きていけない」
エリーを失い、心を失いかけていたジークに優しく手を差し伸べてくれた縁を失えば、今度こそジークは自分の命を迷いなく断つだろう。
「だから、頼むから……俺より先に死ぬな。お前が起きない間怖くて震えが止まらなかった。起きて抱きしめられた時はどれだけ嬉しかったか分からないだろう?子どもが出来たなんて最高の贈り物だ」
当たり前のように差し伸べられる手がどれだけ幸せなことなのか知っている。
生きていると温かい体温を感じることがどれだけ嬉しいことなのか知っている。
諦めていた番、諦めていた温もり、諦めていた子ども、諦めていた全てを縁はジークに与えてくれた。
「私はジークの負担になってはいませんか?」
バカだなぁと思った。
これ程自分を幸せにしておいて何を言うのだと。
「本気でそんなこと聞いてんなら怒んぞ」
何をもって負担だと言うのだろうか。
「何も出来ないことで不安になるならお前にも出来ることを探してやる。本当は動かないでいてくれる方が俺たちは安心だが、それはイヤなんだろ?」
頷く縁の背を分かってると撫でてやる。
「だが分かってくれ。それくらい心配されるってのは、それくらい縁がみんなに大切にされてるってことだ。人間と獣人っていう違いもあるせいもあるが、それ以上に縁が大切で失くしたくねぇから心配してるんだ」
あそこへ来た当初。
ジークが気に入ったとして隠れ家に連れていったが、やはり中には不満を洩らす者も少なからずいた。
なんで人間なんかをと、もし他の人間に場所をバラされたらどうするとジークも何度も言われた。
それでも変わらず住まわせ続ければ、いつの間にかみんなの心を掴んだのは縁の努力の賜物だ。
住まわせてもらっているのだからと仕事も進んでし、出来ないと落ち込んではまた次の仕事を探していた。
人間だからと威張りもせず、出来なくてすいませんと謝る姿にみんなが可愛いがったものだ。
美味しいご飯に、子どもたちへの世話、奴隷とされている獣人に変わらぬ態度に誰もが縁を受け入れた。
何より、幸せそうなジークの姿に皆が安心したのだ。
「それがどれだけ凄いか分かるか?もうお前はあそこでは仲間なんだよ。人間で、男の番だが、そんなこと気にならないくらい大切な仲間なんだ」
「……私もみんなが大切です」
「あぁ、分かってる。だから、な?少しだけ俺たちの気持ちも汲んでくれ。頑張れば出来るって考えるより、ここで無理したらみんながどう思うか、みんなが悲しむことはないかって少しでいい考えてくれ」
頰に手を添え顔を上げさせれば、泣き腫らした顔で見上げてくる縁に笑ってしまった。
「ひどい……」
「ははっ、わりぃわりぃ。可愛い顔が台無しだな。安心しろ、どんなお前でも愛してるからな」
証明するように顔中にキスしてやれば、小さな笑い声と共に縁もジークに返してくれる。
「私もどんなジークでも愛してます。心配かけてごめんなさい。これからもよろしくお願いしますね」
「当たり前だろ。赤ん坊のためにも1日でも長く生きてやるよ。にしてもどっちだろうな?」
「どっち?」
首を傾げる縁から少し身体を話すと、まだ膨らみもない腹に手を添える。
「男か女か、獣人か人間か。普通とは違う分、可能性も楽しみも増えた。セイン似の男か、女か」
「私はジークたちみたいな耳が羨ましいのでセイン似の女の子がいいですね」
「それじゃ縁の部分がねぇだろ。俺としては縁似の女の子がいいな」
縁似の可愛らしい女の子にパパと呼ばれるのを想像し、いいなと頷く。
「男の子でもセインに似たならかっこよくなりますよ。いや、かっこいいというより美人ですかね?」
「それは男としてどうなんだ?」
確かにセインは男らしいというより、綺麗の分類に入るだろう。
それでも獣人らしく筋肉はきちんとついており、性格的にも男らしい。
「そう言うくせに、私には可愛いとか綺麗とか言うじゃないですか。私だって男らしいって言われたいんです!」
「……お前は性格だけは男らしいな」
「なんですかその間は。しかも性格だけって、失礼ですね!」
いつもの縁の様子に笑い抱きしめると、プンプンと怒りながらも抱きしめ返してくれる。
「女なんて産まれたら俺は嫁に出せる気がしねぇな」
「そうですか?ジークならあっさりしてそうですけど」
セインとアレンなら親バカになりそうな気がしていたが、ジークまでとは意外だと驚かれる。
「馬鹿野郎。可愛い娘をそう簡単に嫁に出せるか」
どちらに似ても構わないが、縁似であるならば確実に可愛いさと心配で目が離せないに決まっている。
「心配?」
「急に何しでかすか分かんねぇからな。下手に変なヤツにでも捕まったらどうすんだ」
「ジークも立派な親バカでしたね」
そう言って笑う縁に、なんだとと軽く頭を小突いてやるのであった。
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