二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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聞いてない!?

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 「子どもが出来ました。正真正銘私の子で、今お腹の中にいます」

 「「「………はあああああぁぁぁぁ!?」」」

 子ども?子どもだって?
 何言ってるんだと言いたいが、エニシの落ち着きように冗談を言っているわけではないことは分かる。

 「今お腹にいる……ってことはアンタが妊娠してる、ってことだね?」

 まさかと思いながらも確認すれば笑顔で頷くエニシに混乱しかない。
 隣を見ればジンもかなり衝撃的だったようで驚いたまま固まっている。

 「私はアンタを男だと思ってたんだが、勘違いだったかい?」

 「いいえ、間違ってませんよ。ただ言いましたよね、私の伴侶は男性だと。付け加えるとすれば獣人で、相手によっては男でも妊娠できるという少々特殊な状況ですね」

 「………」

 もう開いた口が塞がらない。
 というか何に驚けばいいのか分からない。

 「アンタ……いや、なんだ、なんて言っていいか分からないけどね、とりあえずおめでとう。良かったじゃないか」

 驚きに驚いたがお祝いすればエニシも嬉しそうに笑っていることから、望んでいたことなのだろう。
 無理矢理ではないことに安心したが、まさかのまさかである。

 「ありがとうございます。それでなんですが、以前いただいた依頼なんですがすぐには無理そうなので断っておいてもらってもいいでしょうか?まぁ、私は受けても問題ないとは思うんですが、周りが随分心配症でして。何かあっても困るので当分はまた簡単な薬草採取でも受けておきます」

 「なるほどね、そういうことなら分かったよ。アイツにもそう伝えておくから安心おし」

 まだ分かったばかりで動くのに問題はなさそうだが、獣人の子を、それも男の身で産むとなるとどうなるかマーガレットも分からないため無理に依頼をさせようとは思わない。

 「ったく、アンタは本当に次々と驚かせてくれるね。私は楽しくていいけどさ」

 「私に驚かせる気はないんですが……まぁ、ご迷惑じゃなければ良かったです」

 にこにことお茶を飲む姿はどこか年寄りくさかったが、やはり孫にしたいほど気に入っているエニシがマーガレットは可愛くて仕方ない。

 「私も初めてのことで分からないことばかりで、いつ何があるか分かりません。もしまた長く来ることがなかった時はその時かもしれませんので心配しないで下さい」

 どれほどで出産になるか分からない以上、次またいつギルドに来なくなるか分からないというエニシに心配したが、どこかのほほんとした様子にマーガレットも力が抜けた。

 「分かったよ。でも、出来れば様子を教えとくれ。私で力になれることなら何でもーー」

 「そうだ、そうだよ!色々準備しておかなくちゃね。赤ん坊用の服に、寝かせるベッド、あとはご飯にーー」

 それまで呆然としていたジンが我に返ったからと思えば、アホなことを言い出した。

 「アンタはどこのジジバカだい。いくらこの子が可愛いからってまだ男か女かもーー」

 「そう、そうだね。どちらか分からなければ、どちらも用意しておけばいいんだよ!じゃあ私は用があるから今日はこれで失礼するね。大丈夫、エニシくんは何も心配しなくていいからね」

 「「「「………」」」」

 走り去っていくジンの後ろ姿にマーガレットはもう頭を抱えるしかなかった。
 あのバカと呟きつつも、まぁ悪いようにはしないだろうと止めるのは諦める。
 というか、ああも喜んでいる理由がなんとなく分かるため止めるに止められなかったのだ。
 全ては子が出来ないマーガレットのためなのだろう。
 一度は子が出来ないからと離れようとしたマーガレットに、ジンはそれでも構わないと言ってくれた。
 ジンに告げるのも辛かったが、マーガレット自身子どもが出来ないと分かった時は絶望したものだ。
 泣いて泣いて今は諦めもついたが、若い頃は友人の子を見るのも辛かった。
 冒険者になり、子どもと接する機会がなくなった頃には男勝りな男女と呼ばれるくらいには強くなった。
 みんなに尊敬と恐怖を抱かれながらもギルドマスターとして弱さを見せず、家族を作ってやれないジンに謝りもしたが笑って許してくれた。
 養子をとることも出来たがそうしなかったのは、怖かったからだ。
 実の子ではない子を本当に愛せるのか?
 見ず知らずの自分を母と呼んでくれるのか?
 何より、その子を幸せに出来るのか?
 考えても考えても答えが出ず、諦めていたマーガレットの前に現れたのがエニシだった。
 こんな男女でも笑って素敵だと言ってくれ、奴隷だった魔族の子と獣人を家族だと言う。
 ただの自己満足だと言うには彼らがあまりに幸せそうに笑うので、まるで本当の家族のように見えた。
 まるで…ではなく、彼らは本当に家族なのだろう。
 血の繋がりなど関係なく、大切だと思える相手と笑って生きていけることが大事だったのだ。
 そう思えたならばもう我慢する必要はなく、それを教えてくれたエニシを可愛がることにした。
 息子というには幼いエニシを孫として可愛がろうとしたが、まるでビックリ箱のように会う度驚かせてくれ、心配だが楽しくて仕方がなかった。
 そんなエニシの子というならば、喜ぶ他に何もない。
 どんな子が産まれてくるのか、産まれたら何て呼ばせてようかと考えては、これじゃジンのことばかりジジバカとは言えないと苦笑いするしかなかったのだった。

 
 


 
 



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