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初めての友達
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「お手伝いならそこにいるじゃないですか。お願いしますねガンズさん。これで心配しながら外で店をやらなくて済みますよ」
まさかエニシがそんなこと考えていたとは思わず驚いた。
叔父にしてもよく様子を見に来てはくれるが、面倒かけて申し訳ないとしか思っていなかった。
自分で望んだこととはいえ、やはりガンズが帰ったあとの一人の家は寂しく、だが子どもじゃないんだからと自分に言い聞かせていた。
「誰に売るかはジンさんたちの判断に任せます。もちろん売ってもらうにあたり手数料も売り上げから引いてもらって構いません」
「あ、あの、エニシくん?それはーー」
「大丈夫です。それを差し引いても今までよりきっと利益は上がります」
そこまでの価値はないと言おうとしたが、エニシは取り合わず話しを進める。
利益が出ることはいいことだが、会って間もない人にそこまでしてもらうことは出来ないと断ろうとするが気弱なランが口を挟めるわけもなく、成り行きを見守っていた間に話しは順調に進んでしまい「任せといて~~」というサブギルドマスターの呑気な声と共に商談は終了した。
「お前さん、やるなぁ」
叔父の感心したような声に、しかしランは気が気ではない。
「エ、エニシくん、あ、あの、ど、どうな」
焦りすぎで舌が回らず、混乱で頭も回らない。
「勝手に決めてすいませんでした。けど、これでガンズさんと一緒にお酒造り出来るでしょ?」
やはり1人でいるランをエニシは心配してくれていたようで、2人が酒造りだけに専念できるようにしてくれたのだろう。
「で、でも、ぼ、僕、そんな……叔父さんにも、迷惑…」
今までだって散々迷惑かけてきたのだ、これ以上迷惑をかけられないと言うランにガンズはその力強い手で頭を撫でてくる。
「前にも言っただろ?迷惑なんて思っちゃいねぇよ。それにこれからは一緒に住むんだもっと甘えろ」
「うぇ?」
思わず変な声が出てしまったが、一緒に暮らせるという言葉に嬉しくなる。
確かに安定した利益があるというのなら金銭的にもガンズに頼りきりになるという問題はなく、一緒に酒造りが出来るというのなら心強い。
「い、いいの?」
だがガンズにもやりたいことがあるのではと聞けば笑って否定される。
今まで一緒に暮らしてなかったのはガンズを想ってというのもあるが、それ以前に2人で暮らすほどのお金がなかったからだ。
いくらガンズがランが作った酒を売ってくれるとはいえ、こんな下町で売ったところでそんなに利益が出るわけがなく、安く買い叩かれてしまう。
食費を削り、生活費を削り、睡眠時間を削って造ってきたのだ。
それでも……いや、それを知っているせいかガンズは手数料を取らず時々酒を飲ませるだけでいいと言ってくれていた。
「お節介だとは分かっていますが、ランには幸せになってほしいんです。周りに何か言われたら言いなさい。きっとジンさんもマーガレットさんも力になってくれます」
「うん……うん、ありがとう、エニシくん」
ただ利益を増やすだけでなく、ガンズと暮らせるようにしてくれ、困ることがないようにとギルドマスターたちを紹介してくれた。
ありがとう、ありがとうと泣いて感謝するランにエニシは笑って抱きしめてくれ、良かったと背を撫でてくれる。
かなり昔に失くした母の手を思い出した。
「で?ここまでしてもらってお前さんには何も見返りがないがいいんか?」
そういえば!?と、慌ててエニシを見れば困ったように苦笑いしている。
「別にないことはないです。間接的に、ではありますが」
「あ?」
どういうことだろう?
首を傾げるランにエニシは笑って教えてくれる。
「ジンさんにはとても可愛いがってもらってるんです。おかげでお腹のこの子のためにと色々貢い……協力してくれていて、お金は払うと言っているんですが……そんなものいらないとばかりで受け取ってくれなくて困ってました」
なるほど。
つまり出産・子育てに必要なあれこれを買ってくれるギルマスたちに少しであるが何か返したいと思っていたのだろう。
結局はそのお金もエニシに関する何かに返ってくるのだからあまり意味はないが、只々貰うだけよりはまだ気分的に楽なのだろう。
「なので半分は私自身にしたことなので、あまり気にしないで下さい。それにこれはランの腕があってこそです。いくら私がランのためとはいえ、ダメだと思えばジンさんもはっきり言いますよ。ちゃんと美味しいからこそ引き受けてくれたんです」
だからこれからも頑張って続けて欲しいと言われれば感謝しかなく流れ出る涙が止まらなかった。
ずっと自信が持てなかった。
父親の作り方を守り続けてはきていたが、引きこもっているランに美味しいと言ってくれる知り合いはおらず、唯一言ってくれる叔父も身内であるためあまり確証が持てなかった。
こうしてエニシに美味しいと言ってもらえ、頼って申し訳ないが良い酒だと認められ販売できるのはとても嬉しかった。
「あ、ありがどゔ、ぼ、ぼんど、ゔに、ありが、どゔ」
「ああもう、ほら、泣かないで下さい。いいですか、今日からは1人で頑張らず叔父さんと一緒に頑張るんですよ」
「ゔん、ゔん」
ブンブンと音が鳴るほど頷けば、首を痛めるからダメですよと笑われた。
その笑顔だけで今まで頑張ってきて良かったと心から思えたのであった。
まさかエニシがそんなこと考えていたとは思わず驚いた。
叔父にしてもよく様子を見に来てはくれるが、面倒かけて申し訳ないとしか思っていなかった。
自分で望んだこととはいえ、やはりガンズが帰ったあとの一人の家は寂しく、だが子どもじゃないんだからと自分に言い聞かせていた。
「誰に売るかはジンさんたちの判断に任せます。もちろん売ってもらうにあたり手数料も売り上げから引いてもらって構いません」
「あ、あの、エニシくん?それはーー」
「大丈夫です。それを差し引いても今までよりきっと利益は上がります」
そこまでの価値はないと言おうとしたが、エニシは取り合わず話しを進める。
利益が出ることはいいことだが、会って間もない人にそこまでしてもらうことは出来ないと断ろうとするが気弱なランが口を挟めるわけもなく、成り行きを見守っていた間に話しは順調に進んでしまい「任せといて~~」というサブギルドマスターの呑気な声と共に商談は終了した。
「お前さん、やるなぁ」
叔父の感心したような声に、しかしランは気が気ではない。
「エ、エニシくん、あ、あの、ど、どうな」
焦りすぎで舌が回らず、混乱で頭も回らない。
「勝手に決めてすいませんでした。けど、これでガンズさんと一緒にお酒造り出来るでしょ?」
やはり1人でいるランをエニシは心配してくれていたようで、2人が酒造りだけに専念できるようにしてくれたのだろう。
「で、でも、ぼ、僕、そんな……叔父さんにも、迷惑…」
今までだって散々迷惑かけてきたのだ、これ以上迷惑をかけられないと言うランにガンズはその力強い手で頭を撫でてくる。
「前にも言っただろ?迷惑なんて思っちゃいねぇよ。それにこれからは一緒に住むんだもっと甘えろ」
「うぇ?」
思わず変な声が出てしまったが、一緒に暮らせるという言葉に嬉しくなる。
確かに安定した利益があるというのなら金銭的にもガンズに頼りきりになるという問題はなく、一緒に酒造りが出来るというのなら心強い。
「い、いいの?」
だがガンズにもやりたいことがあるのではと聞けば笑って否定される。
今まで一緒に暮らしてなかったのはガンズを想ってというのもあるが、それ以前に2人で暮らすほどのお金がなかったからだ。
いくらガンズがランが作った酒を売ってくれるとはいえ、こんな下町で売ったところでそんなに利益が出るわけがなく、安く買い叩かれてしまう。
食費を削り、生活費を削り、睡眠時間を削って造ってきたのだ。
それでも……いや、それを知っているせいかガンズは手数料を取らず時々酒を飲ませるだけでいいと言ってくれていた。
「お節介だとは分かっていますが、ランには幸せになってほしいんです。周りに何か言われたら言いなさい。きっとジンさんもマーガレットさんも力になってくれます」
「うん……うん、ありがとう、エニシくん」
ただ利益を増やすだけでなく、ガンズと暮らせるようにしてくれ、困ることがないようにとギルドマスターたちを紹介してくれた。
ありがとう、ありがとうと泣いて感謝するランにエニシは笑って抱きしめてくれ、良かったと背を撫でてくれる。
かなり昔に失くした母の手を思い出した。
「で?ここまでしてもらってお前さんには何も見返りがないがいいんか?」
そういえば!?と、慌ててエニシを見れば困ったように苦笑いしている。
「別にないことはないです。間接的に、ではありますが」
「あ?」
どういうことだろう?
首を傾げるランにエニシは笑って教えてくれる。
「ジンさんにはとても可愛いがってもらってるんです。おかげでお腹のこの子のためにと色々貢い……協力してくれていて、お金は払うと言っているんですが……そんなものいらないとばかりで受け取ってくれなくて困ってました」
なるほど。
つまり出産・子育てに必要なあれこれを買ってくれるギルマスたちに少しであるが何か返したいと思っていたのだろう。
結局はそのお金もエニシに関する何かに返ってくるのだからあまり意味はないが、只々貰うだけよりはまだ気分的に楽なのだろう。
「なので半分は私自身にしたことなので、あまり気にしないで下さい。それにこれはランの腕があってこそです。いくら私がランのためとはいえ、ダメだと思えばジンさんもはっきり言いますよ。ちゃんと美味しいからこそ引き受けてくれたんです」
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「ああもう、ほら、泣かないで下さい。いいですか、今日からは1人で頑張らず叔父さんと一緒に頑張るんですよ」
「ゔん、ゔん」
ブンブンと音が鳴るほど頷けば、首を痛めるからダメですよと笑われた。
その笑顔だけで今まで頑張ってきて良かったと心から思えたのであった。
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