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バカな奴ら
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エルに返り討ちに合う男たちを見ても何も思わなかった。
勝手に何を思ったのか助けると言っていたが、アレンはそんなこと求めていなし、むしろ大切な思い出の場所を奪った奴らを仲間だとは思えない。
「だからさっさと出てけつったろ。今なら見逃してやるから早くどっか行けよ」
「なんでこんなことするのよ!?私たちはあなたを助けてあげようとーー」
「いらねぇんだよ」
何度言わせれば気がすむのか。
叫ぶ女は意味が分からないとばかりとアレンを見てくるが、アレンからすれば女が言っていることの方が意味不明だ。
「助けはいらねぇつってんだろ。今すぐここから出てくか死ぬか好きに選べ」
「な、なんなの。私たちはあなたを自由にしてあげようとしてるのに。そんな人間ーー」
「黙れ。殺すぞ」
「ひっ」
人の話を聞かないばかりか、さらに縁を貶そうとするのを睨みつければ小さく悲鳴を上げながらも押し黙る。
「こいつらどうする?」
縁の手前、さすがにエルも考えたのか殺しはせず痛みつけるだけで動けないように魔法で拘束しているようだ。
暗に殺していいかというエルに頷きたいのを堪え縁を見る。
「離してあげて下さい。ただもう二度とここへは来ないように約束だけさせて」
甘いと思った。
だが縁らしいと思いエルに頷いてやれば、仕方ないとばかりに溜め息をつきつつ男たちを運んでいく。
あとは先程叫んでいた女だけかと縁を下ろしエルを手伝おうとした瞬間ーー
「なんで私たちだけこんな思いしなきゃいけないのよ!あんたたち人間なんか…アンタさえいなくなればーー」
小刀を隠し持っていたようで睨みながらアレンを脇をすり抜け、縁に駆けていく姿にギョッとした。
慌てて追うが数秒間に合わず、振り下ろされそうになる小刀から目が離せない。
「縁っ!!」
「大丈夫です」
「……え?」
どこか安心するようなその声に驚いていれば、次の瞬間女が地面に倒れているのが目に入った。
傍らには何か棒のようなものを持った縁の姿が。
「何事も最後まで油断してはいけません、ね?」
にこにこと微笑む姿はいつもの縁だが、女が倒れていることから倒したのは縁なのだろう。
「私もなかなかやるでしょう?」
落ちた小刀を拾おうとし、お腹が邪魔なのだろう拾って欲しいという縁に我に返り慌てて駆け寄る。
「け、けがは!?」
「ありません。女性には申し訳ないですが少々手首を叩かせていただきました」
見れば女の手首はその棒のようなもので叩かれたのか赤くなっており、倒れたのは風魔法を使い転ばせたらしい。
あまりの早業に驚く……というより縁にそんなこと出来るとは思っておらず驚いた。
「だいぶなまっていますが意外に身体は動いてくれるものです」
あまりに暢気な言葉にエルと2人開いた口が塞がらない。
「ではこの方もお願いします。私は先にスノーと一緒に中に入っていますね。おいでスノー」
「キュアー」
「「………」」
もう何がなにやら。
「……なんなのあれ?」
「………はは、はははははははっ」
急に笑い出したアレンにエルがギョッとしていたが、そんなのこと気にならない。
只々可笑しく笑いが止まらなかった。
弱いと思っていたわけではない。
以前にエルから男を投げ飛ばしていたという話を聞いてもいたのである程度自衛は出来るのだろうと思ってはいた。
それでも自分たち獣人と比べ非力な人間である縁に過保護になっていたのは仕方ないだろう。
いくら男女の差があるとは言え、ああも簡単に倒すとは思っておらず、縁の新たな一面に笑いが止まらない。
「ーーさすが縁だな。最高だ!」
「よかったね。オレはどっと疲れた」
重い息を吐くエルに、しかし顔はどこか楽しそうであることからエルもさらに縁を気に入っていたのだろう。
「まぁ、エニシも無事なようだしオレはさっさとコイツらをーー」
「あ、あんたたち奴隷じゃないのか?」
「あぁ?」
喋んじゃねぇよと睨みつけるが、捕まった男たちは怯えながらも反応を窺うようにこちらを見てくる。
「わ、悪かった。その、アンタたちあの人間に無理矢理奴隷でもさせられたんじゃねぇかって……」
「んなことあるわけねぇだろ。大体助けはいらねぇつったし、首輪が着いてないのなんか見りゃわかんだろ」
人の話を聞かない上に、勝手に勘違いをして縁を襲おうとした男たちにアレンだけでなくエルも機嫌が悪い。
「すまなかった!ほ、本当に悪かったと思ってる。だ、だから命だけは!」
なんと都合の良い話しだろうか。
「下手すりゃ死んでたかも知れないのに謝って済むと思ってんの?」
「だな。人の番を殺そうとしたんだ。それ相応の報いを受けろよ」
「知らなかったんだっ!あの人間があんたの番なんてーー」
「俺は言ったぞ。大事な番だってな。話しを聞かなかったのはお前たちだし、何もしてない縁に先に手を出してきたのもお前たちだ」
自業自得だろというアレンに、男たちも何も言い返せないようだ。
「縁が言うから逃してはやる。だがここへは二度とーー」
「人間なんてどいつも同じよ!あいつだってあなたのこといつか捨てるに決まってるわ。今なら逃げられるのよ、私たちと一緒に逃げましょう!」
「「「「「………」」」」」
いつの間に意識が戻っていたのか、縁に倒されていた女が起き上がりアレンに抱きついてくる。
誰もがこの女やべぇと思ったに違いない。
*遅くなりましたが更新再開させていただきます。
以前よりゆっくりにはなりますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
勝手に何を思ったのか助けると言っていたが、アレンはそんなこと求めていなし、むしろ大切な思い出の場所を奪った奴らを仲間だとは思えない。
「だからさっさと出てけつったろ。今なら見逃してやるから早くどっか行けよ」
「なんでこんなことするのよ!?私たちはあなたを助けてあげようとーー」
「いらねぇんだよ」
何度言わせれば気がすむのか。
叫ぶ女は意味が分からないとばかりとアレンを見てくるが、アレンからすれば女が言っていることの方が意味不明だ。
「助けはいらねぇつってんだろ。今すぐここから出てくか死ぬか好きに選べ」
「な、なんなの。私たちはあなたを自由にしてあげようとしてるのに。そんな人間ーー」
「黙れ。殺すぞ」
「ひっ」
人の話を聞かないばかりか、さらに縁を貶そうとするのを睨みつければ小さく悲鳴を上げながらも押し黙る。
「こいつらどうする?」
縁の手前、さすがにエルも考えたのか殺しはせず痛みつけるだけで動けないように魔法で拘束しているようだ。
暗に殺していいかというエルに頷きたいのを堪え縁を見る。
「離してあげて下さい。ただもう二度とここへは来ないように約束だけさせて」
甘いと思った。
だが縁らしいと思いエルに頷いてやれば、仕方ないとばかりに溜め息をつきつつ男たちを運んでいく。
あとは先程叫んでいた女だけかと縁を下ろしエルを手伝おうとした瞬間ーー
「なんで私たちだけこんな思いしなきゃいけないのよ!あんたたち人間なんか…アンタさえいなくなればーー」
小刀を隠し持っていたようで睨みながらアレンを脇をすり抜け、縁に駆けていく姿にギョッとした。
慌てて追うが数秒間に合わず、振り下ろされそうになる小刀から目が離せない。
「縁っ!!」
「大丈夫です」
「……え?」
どこか安心するようなその声に驚いていれば、次の瞬間女が地面に倒れているのが目に入った。
傍らには何か棒のようなものを持った縁の姿が。
「何事も最後まで油断してはいけません、ね?」
にこにこと微笑む姿はいつもの縁だが、女が倒れていることから倒したのは縁なのだろう。
「私もなかなかやるでしょう?」
落ちた小刀を拾おうとし、お腹が邪魔なのだろう拾って欲しいという縁に我に返り慌てて駆け寄る。
「け、けがは!?」
「ありません。女性には申し訳ないですが少々手首を叩かせていただきました」
見れば女の手首はその棒のようなもので叩かれたのか赤くなっており、倒れたのは風魔法を使い転ばせたらしい。
あまりの早業に驚く……というより縁にそんなこと出来るとは思っておらず驚いた。
「だいぶなまっていますが意外に身体は動いてくれるものです」
あまりに暢気な言葉にエルと2人開いた口が塞がらない。
「ではこの方もお願いします。私は先にスノーと一緒に中に入っていますね。おいでスノー」
「キュアー」
「「………」」
もう何がなにやら。
「……なんなのあれ?」
「………はは、はははははははっ」
急に笑い出したアレンにエルがギョッとしていたが、そんなのこと気にならない。
只々可笑しく笑いが止まらなかった。
弱いと思っていたわけではない。
以前にエルから男を投げ飛ばしていたという話を聞いてもいたのである程度自衛は出来るのだろうと思ってはいた。
それでも自分たち獣人と比べ非力な人間である縁に過保護になっていたのは仕方ないだろう。
いくら男女の差があるとは言え、ああも簡単に倒すとは思っておらず、縁の新たな一面に笑いが止まらない。
「ーーさすが縁だな。最高だ!」
「よかったね。オレはどっと疲れた」
重い息を吐くエルに、しかし顔はどこか楽しそうであることからエルもさらに縁を気に入っていたのだろう。
「まぁ、エニシも無事なようだしオレはさっさとコイツらをーー」
「あ、あんたたち奴隷じゃないのか?」
「あぁ?」
喋んじゃねぇよと睨みつけるが、捕まった男たちは怯えながらも反応を窺うようにこちらを見てくる。
「わ、悪かった。その、アンタたちあの人間に無理矢理奴隷でもさせられたんじゃねぇかって……」
「んなことあるわけねぇだろ。大体助けはいらねぇつったし、首輪が着いてないのなんか見りゃわかんだろ」
人の話を聞かない上に、勝手に勘違いをして縁を襲おうとした男たちにアレンだけでなくエルも機嫌が悪い。
「すまなかった!ほ、本当に悪かったと思ってる。だ、だから命だけは!」
なんと都合の良い話しだろうか。
「下手すりゃ死んでたかも知れないのに謝って済むと思ってんの?」
「だな。人の番を殺そうとしたんだ。それ相応の報いを受けろよ」
「知らなかったんだっ!あの人間があんたの番なんてーー」
「俺は言ったぞ。大事な番だってな。話しを聞かなかったのはお前たちだし、何もしてない縁に先に手を出してきたのもお前たちだ」
自業自得だろというアレンに、男たちも何も言い返せないようだ。
「縁が言うから逃してはやる。だがここへは二度とーー」
「人間なんてどいつも同じよ!あいつだってあなたのこといつか捨てるに決まってるわ。今なら逃げられるのよ、私たちと一緒に逃げましょう!」
「「「「「………」」」」」
いつの間に意識が戻っていたのか、縁に倒されていた女が起き上がりアレンに抱きついてくる。
誰もがこの女やべぇと思ったに違いない。
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