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こんにちは
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それから数時間。
あの痛みからあっさり……産まれることなく、激しい痛みに耐えながらも無事産むことができた。
鼻からスイカ…ではなかった。
想像以上の痛みに何度も意識を失いたくなったが、産まなければ赤ん坊も危ないため頑張るしかなかった。
元気に産声を上げる赤ん坊は女の子で、どっちかというとセインに似ている気がした。
泣きそうになりながらも力が出ない縁の代わりにセインが抱っこし見せてくれる。
「女の子、でしたね」
「あぁ、すごいな。ちゃんと生きてる」
小さな手が何かを探すように動いていたため握ってやれば、キュッと握り返してくる。
「ちっちゃい」
「小さいな。けど産まれたての獣人に比べればかなりおおきいぞ。よく頑張ったな。ありがとう」
労うように額にキスされ、申し訳ないが力尽きた縁は気絶するように眠りについた。
と、思ったのだが元気な声に叩き起こされる。
「起こして悪い。たぶんミルクが欲しいんだ」
いつの間にか汗だくだった身体は綺麗にされており、起き抜けの鈍い頭で手を伸ばせばセインに抱き起こされた。
そのまま背を支えられながら膨らみのない胸からミルクを与えれば、チュウチュウと必死に吸い付いてくる。
女性のような膨らみのない胸からミルクが出てきた時は驚いたものだ。
「ねむ…ねむい…」
揺れる頭をセインの広い胸に傾け、力が抜けそうな腕に頑張って耐える。
眠たい。
「俺が支えてるから寝てていいぞ」
頼もしいセインに全て任せたくなるが、産んだからには自分も頑張らなければ。
飲み終えるまで耐え、ゲップをさせるとベッドに寝かせる。
満足そうに寝る姿にホッとし…油断した。
力が抜けた身体はその前屈みに倒れベッドの端に頭をぶつけた。
「縁っ!?」
「いっ、た。い~」
痛みに目は覚めたがズキズキと痛む頭に泣きそうになる。
「大丈夫か?」
「……はい」
もう色々とダメだ。
「そういえばアレンたちは?」
いかにも喜び騒ぎそうなアレンの姿がなく、最初に一緒にいたはずのジークもいない。
どうしたのか聞けば、案の定騒いでうるさかったためジークに部屋から追い出されたらしい。
心配したアズやエルも一緒に待っているらしく、寝ている今なら大丈夫だろうと呼んできてもらう。
「うっわ、ちっちゃっ」
「アズ、おにいちゃん?」
「そうですね。アズもエルもお兄ちゃんです。女の子なのでお兄ちゃんが守ってあげて下さいね」
「うん!!」
じっと覗き込む姿に微笑むと、そわそわ待っているアレンを呼ぶ。
抱きしめてやれば安心したのか肩から力が抜けたのが分かった。
ジークも抱きしめれば笑ってよくやったと褒められた。
「待望の女の子です。頑張って下さいねパパたち」
「当たり前だ」
「任せろ!」
「嫁に出せんな」
頼もしい答えだが…ジーク?気が早くないですか?
早速の親バカ発言に笑えば、聞いていたエルまで呆れたような視線を向けていた。
「落ち着いたらランたちにも報告に行きましょう。ジンさんたちにも会わせないと何を言われるか分かりません」
「だね。あの人きっと泣いて喜ぶんじゃない?」
それはさすがに……あるかも。
妊娠中であれなら、赤ん坊を見た瞬間喜びに叫び出すかもしれない。
想像し、面倒くさいなぁと思った。
だが会いに行かないのも後々面倒くさいことになるだろう。
「まぁ、落ち着いたら…考えましょう。産むのも大変でしたが、これからもっと大変ですからね。眠れるか分からない日が続くと思うのですいませんが手伝いお願いします」
獣人の子は成長が早いためあまり手がかからないらしいが、数時間、最悪数分おきに授乳しなければいけない人間の子はかなり大変だ。
粉ミルクなどないこちらの世界ではもちろん自分の母乳を与えるしかなく、誰かに代わりを頼むことなど出来ない。
寝そうになったら起こしてほしいと頼めば、何故か謝られた。
「どうしました?」
「産んだばっかりでツライだろ?本当ならゆっくりしてくれって言ってやりたいんだが……」
「大丈夫ですよ。それに分かってた上で産んだんです。今さら辛いからやめるなんて言いませんよ」
そんなこと言うくらいなら初めから産んでいない。
心配してくれるのは嬉しいが、ならば手伝ってくれと言えば漸く頷いてくれた。
「それより名前をどうしましょう。いつまでも赤ちゃんでは可哀想です」
何かいい名前はあるかと聞けば、皆縁に決めろと言う。
「私が決めてしまっていいんですか?」
「縁がいいんだ」
「なら……繋というのはどうでしょう?」
「ケイ?」
「繋ぐ、繋がり、結びつけるという意味です。ちょっと男の子っぽいですが、大切な人を、私たち家族を繋げ続けてくれるという想いを込めて」
もう少し女の子らしい方がいいかとも思ったが、咄嗟に浮かんだのがそれだった。
どうですか?と聞けば賛成と皆頷いてくれる。
家族がさらに増え、これから色々あるだろう。
時には喧嘩をすることもあるかもしれないが、繋がいれば大丈夫だろう。
皆の心を繋ぎ、家族を、大切な人たちを結びつけてくれる繋がいれば。
あの痛みからあっさり……産まれることなく、激しい痛みに耐えながらも無事産むことができた。
鼻からスイカ…ではなかった。
想像以上の痛みに何度も意識を失いたくなったが、産まなければ赤ん坊も危ないため頑張るしかなかった。
元気に産声を上げる赤ん坊は女の子で、どっちかというとセインに似ている気がした。
泣きそうになりながらも力が出ない縁の代わりにセインが抱っこし見せてくれる。
「女の子、でしたね」
「あぁ、すごいな。ちゃんと生きてる」
小さな手が何かを探すように動いていたため握ってやれば、キュッと握り返してくる。
「ちっちゃい」
「小さいな。けど産まれたての獣人に比べればかなりおおきいぞ。よく頑張ったな。ありがとう」
労うように額にキスされ、申し訳ないが力尽きた縁は気絶するように眠りについた。
と、思ったのだが元気な声に叩き起こされる。
「起こして悪い。たぶんミルクが欲しいんだ」
いつの間にか汗だくだった身体は綺麗にされており、起き抜けの鈍い頭で手を伸ばせばセインに抱き起こされた。
そのまま背を支えられながら膨らみのない胸からミルクを与えれば、チュウチュウと必死に吸い付いてくる。
女性のような膨らみのない胸からミルクが出てきた時は驚いたものだ。
「ねむ…ねむい…」
揺れる頭をセインの広い胸に傾け、力が抜けそうな腕に頑張って耐える。
眠たい。
「俺が支えてるから寝てていいぞ」
頼もしいセインに全て任せたくなるが、産んだからには自分も頑張らなければ。
飲み終えるまで耐え、ゲップをさせるとベッドに寝かせる。
満足そうに寝る姿にホッとし…油断した。
力が抜けた身体はその前屈みに倒れベッドの端に頭をぶつけた。
「縁っ!?」
「いっ、た。い~」
痛みに目は覚めたがズキズキと痛む頭に泣きそうになる。
「大丈夫か?」
「……はい」
もう色々とダメだ。
「そういえばアレンたちは?」
いかにも喜び騒ぎそうなアレンの姿がなく、最初に一緒にいたはずのジークもいない。
どうしたのか聞けば、案の定騒いでうるさかったためジークに部屋から追い出されたらしい。
心配したアズやエルも一緒に待っているらしく、寝ている今なら大丈夫だろうと呼んできてもらう。
「うっわ、ちっちゃっ」
「アズ、おにいちゃん?」
「そうですね。アズもエルもお兄ちゃんです。女の子なのでお兄ちゃんが守ってあげて下さいね」
「うん!!」
じっと覗き込む姿に微笑むと、そわそわ待っているアレンを呼ぶ。
抱きしめてやれば安心したのか肩から力が抜けたのが分かった。
ジークも抱きしめれば笑ってよくやったと褒められた。
「待望の女の子です。頑張って下さいねパパたち」
「当たり前だ」
「任せろ!」
「嫁に出せんな」
頼もしい答えだが…ジーク?気が早くないですか?
早速の親バカ発言に笑えば、聞いていたエルまで呆れたような視線を向けていた。
「落ち着いたらランたちにも報告に行きましょう。ジンさんたちにも会わせないと何を言われるか分かりません」
「だね。あの人きっと泣いて喜ぶんじゃない?」
それはさすがに……あるかも。
妊娠中であれなら、赤ん坊を見た瞬間喜びに叫び出すかもしれない。
想像し、面倒くさいなぁと思った。
だが会いに行かないのも後々面倒くさいことになるだろう。
「まぁ、落ち着いたら…考えましょう。産むのも大変でしたが、これからもっと大変ですからね。眠れるか分からない日が続くと思うのですいませんが手伝いお願いします」
獣人の子は成長が早いためあまり手がかからないらしいが、数時間、最悪数分おきに授乳しなければいけない人間の子はかなり大変だ。
粉ミルクなどないこちらの世界ではもちろん自分の母乳を与えるしかなく、誰かに代わりを頼むことなど出来ない。
寝そうになったら起こしてほしいと頼めば、何故か謝られた。
「どうしました?」
「産んだばっかりでツライだろ?本当ならゆっくりしてくれって言ってやりたいんだが……」
「大丈夫ですよ。それに分かってた上で産んだんです。今さら辛いからやめるなんて言いませんよ」
そんなこと言うくらいなら初めから産んでいない。
心配してくれるのは嬉しいが、ならば手伝ってくれと言えば漸く頷いてくれた。
「それより名前をどうしましょう。いつまでも赤ちゃんでは可哀想です」
何かいい名前はあるかと聞けば、皆縁に決めろと言う。
「私が決めてしまっていいんですか?」
「縁がいいんだ」
「なら……繋というのはどうでしょう?」
「ケイ?」
「繋ぐ、繋がり、結びつけるという意味です。ちょっと男の子っぽいですが、大切な人を、私たち家族を繋げ続けてくれるという想いを込めて」
もう少し女の子らしい方がいいかとも思ったが、咄嗟に浮かんだのがそれだった。
どうですか?と聞けば賛成と皆頷いてくれる。
家族がさらに増え、これから色々あるだろう。
時には喧嘩をすることもあるかもしれないが、繋がいれば大丈夫だろう。
皆の心を繋ぎ、家族を、大切な人たちを結びつけてくれる繋がいれば。
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