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「お前たち弟を見なかったか!?」
「「………」」
そんな言葉と共に駆け寄ってきた人物に、先程骨を追いかけ走り去っていた赤男の方角に視線を向ける。
「あのバカ!やっと町に来られたからって浮かれてどっか行きやがった!」
「大変ですね。迷子探し頑張って下さい」
「で、もう2度と目の前に現れないで。弟だかなんだか知らないけどあんなヤツ迷惑でしかない」
あ。
「それは俺だって言いたい!………って、待て。お前…弟に会ったのか?いつ?」
あ~あ。
エルに先日の話はしたが、本人に会ったのは今日が初めてなのだ。
会ったと言うならば今日この日でしかない。
しまったという顔をするエルに苦笑いすると、簡単に先程あったことを教える。
「人のことをペットペットと言ってましたが、彼は自分の方がペットに向いていると気づいた方がいいですね」
「「………」」
黙り込むエルたちが、優しい笑顔でエゲツない事言うなコイツと思っていることを縁は知らない。
「め、迷惑かけたことは悪かった。アイツも何で骨なんか追いかけていくんだか……」
「犬なんじゃない?」
「んなわけないだろ!俺の弟なんだからドラゴンだ!」
「だってさ。見たかったんでしょ?迷惑料として触らせてもらえば?」
「うーん……やめておきます。 とてつもない見返りを求められそうなので」
もっとこう……運命的な出会いを果たしたい。
勝手に提案して、勝手に拒否する縁たちに男が怒りで顔を真っ赤にしていた。
「誇り高い俺たち竜族をバカにするーー」
「では私たちはこれで。迷子探し頑張って下さい」
「はぁ!?ま、待て!話しを聞け!」
「うっさいなぁ」
「エル、あれは何ですか?」
叫ぶ迷惑男をよそに縁は見たことのない魚に目を輝かせるのであった。
たまには魚が食べたい。
「肉にするんじゃなかったの?」
「………たまにはいいじゃないですか」
あれほど肉だ肉だと騒いでいたのに、魚を見た途端ころっと意見を変えた縁にエルが苦笑いしている。
拗ねたように口を尖らせながらも魚から目を逸らさないでいれば、エルも反論はないようで明日は肉にしてほしいと頼まれた。
「シチューにでもしますか。あれならアズもたくさん食べられますし、物足りない人にはお肉多めのドリアにでもしましょう」
「またオレも手伝うのね」
あまり日常生活で魔法を使うことがない魔族には縁の使い方は斬新だったようだ。
「美味しかったでしょ?それにアズもとても喜んでました」
「………ふぅーん」
素直に喜ぶのが恥ずかしいのか、素っ気ない反応だが見える横顔が少し赤かった。
「だ、か、ら!お前たちは何度俺を無視すれば気がすむんだ!!」
まだいたのか。
あれほど騒いでいたのだからすぐに探しに行くのかと思いきや、のんびりと今日の献立を考える縁たちの話しをずっと聞いていたらしい。
暇なんですかね?
「無視してはないでしょう?挨拶はしましたし、頑張って下さいとも言いました」
怒られる理由はないと主張すれば、男も言い返せないようでグッと押し黙る。
「そもそも貴方たちだって勝手に話し出して、こちらの言葉は聞かないじゃないですか。挙句怒鳴って私たちが悪いみたいに言うなんて酷くないですか?」
「そ、それは……」
「それは?」
「それは…お前たちが話しを聞かないからであって……」
「聞いてますよ。答えられることには答えてますし。それに答える答えないは私の勝手であって義務ではないでしょう?私たちが怒られる理由がない」
「………」
「そもそも人の大事な家族に手を出そうとした人たちの話しなんて聞きたいと思いますか?こうして会話しているだけでも褒められていいと思います」
「………」
俯き黙り込む男に溜め息をつく。
出会いが出会いなだけになるべく関わらないように接してきたが、これではまるで縁がいじめているようだ。
「貴方はとりあえず弟さんを探しに行きなさい。彼はヘラヘラして何をしでかすか分かりませんからね。あと、これをーー兄弟仲良く2人で食べて下さいね」
「……甘い」
男の手に以前子どもたちのために作ってやった飴を数個握らせると、1つを口に放り込んでやる。
「疲れた時は甘いものと言いますからね。さぁ、行ってらっしゃい」
ポンポンと頭を軽く撫でてやれば、無言だが頷き人混みの中に消えていった。
「あれホントに竜族?犬じゃん」
「ですね。まぁ、怒って暴れ回られるより全然いいですけど」
他の竜族に会ったことはないが、縁より体格は大きいがまるでまだ子どものようなあの兄弟に笑ってしまう。
弟の方はクセが強く掴み所がなく、兄の方は兄としてしっかりしようとして空回りしている。
本来なら縁などパクリといけそうなのだろうが、今まで見てきた2人はまるで怖くなく、どこにでもいそうな人間の兄弟2人といった感じであった。
「エルもあれくらいアズと仲良くなれるといいですね」
「いやいや、アズライトはあんなバカにはならないから!」
「分かってますよ。あれくらい何でも言い合えたらいいですねってことです」
「………頑張る」
人としてあの2人を手本にするのは薦められないが、ああしてケンカしながらも言いたいことを言い合える兄弟というのはとてもいいと思ったのだ。
「ゆっくりでいいんですよ、ゆっくりで。焦る必要はありません」
人とは難しいものだ。
一方的な好意だけでは何も成り立たない。
ならば、ゆっくりでいいからお互いがお互いに大切だと思えるようになってほしいと縁は願うのだった。
「「………」」
そんな言葉と共に駆け寄ってきた人物に、先程骨を追いかけ走り去っていた赤男の方角に視線を向ける。
「あのバカ!やっと町に来られたからって浮かれてどっか行きやがった!」
「大変ですね。迷子探し頑張って下さい」
「で、もう2度と目の前に現れないで。弟だかなんだか知らないけどあんなヤツ迷惑でしかない」
あ。
「それは俺だって言いたい!………って、待て。お前…弟に会ったのか?いつ?」
あ~あ。
エルに先日の話はしたが、本人に会ったのは今日が初めてなのだ。
会ったと言うならば今日この日でしかない。
しまったという顔をするエルに苦笑いすると、簡単に先程あったことを教える。
「人のことをペットペットと言ってましたが、彼は自分の方がペットに向いていると気づいた方がいいですね」
「「………」」
黙り込むエルたちが、優しい笑顔でエゲツない事言うなコイツと思っていることを縁は知らない。
「め、迷惑かけたことは悪かった。アイツも何で骨なんか追いかけていくんだか……」
「犬なんじゃない?」
「んなわけないだろ!俺の弟なんだからドラゴンだ!」
「だってさ。見たかったんでしょ?迷惑料として触らせてもらえば?」
「うーん……やめておきます。 とてつもない見返りを求められそうなので」
もっとこう……運命的な出会いを果たしたい。
勝手に提案して、勝手に拒否する縁たちに男が怒りで顔を真っ赤にしていた。
「誇り高い俺たち竜族をバカにするーー」
「では私たちはこれで。迷子探し頑張って下さい」
「はぁ!?ま、待て!話しを聞け!」
「うっさいなぁ」
「エル、あれは何ですか?」
叫ぶ迷惑男をよそに縁は見たことのない魚に目を輝かせるのであった。
たまには魚が食べたい。
「肉にするんじゃなかったの?」
「………たまにはいいじゃないですか」
あれほど肉だ肉だと騒いでいたのに、魚を見た途端ころっと意見を変えた縁にエルが苦笑いしている。
拗ねたように口を尖らせながらも魚から目を逸らさないでいれば、エルも反論はないようで明日は肉にしてほしいと頼まれた。
「シチューにでもしますか。あれならアズもたくさん食べられますし、物足りない人にはお肉多めのドリアにでもしましょう」
「またオレも手伝うのね」
あまり日常生活で魔法を使うことがない魔族には縁の使い方は斬新だったようだ。
「美味しかったでしょ?それにアズもとても喜んでました」
「………ふぅーん」
素直に喜ぶのが恥ずかしいのか、素っ気ない反応だが見える横顔が少し赤かった。
「だ、か、ら!お前たちは何度俺を無視すれば気がすむんだ!!」
まだいたのか。
あれほど騒いでいたのだからすぐに探しに行くのかと思いきや、のんびりと今日の献立を考える縁たちの話しをずっと聞いていたらしい。
暇なんですかね?
「無視してはないでしょう?挨拶はしましたし、頑張って下さいとも言いました」
怒られる理由はないと主張すれば、男も言い返せないようでグッと押し黙る。
「そもそも貴方たちだって勝手に話し出して、こちらの言葉は聞かないじゃないですか。挙句怒鳴って私たちが悪いみたいに言うなんて酷くないですか?」
「そ、それは……」
「それは?」
「それは…お前たちが話しを聞かないからであって……」
「聞いてますよ。答えられることには答えてますし。それに答える答えないは私の勝手であって義務ではないでしょう?私たちが怒られる理由がない」
「………」
「そもそも人の大事な家族に手を出そうとした人たちの話しなんて聞きたいと思いますか?こうして会話しているだけでも褒められていいと思います」
「………」
俯き黙り込む男に溜め息をつく。
出会いが出会いなだけになるべく関わらないように接してきたが、これではまるで縁がいじめているようだ。
「貴方はとりあえず弟さんを探しに行きなさい。彼はヘラヘラして何をしでかすか分かりませんからね。あと、これをーー兄弟仲良く2人で食べて下さいね」
「……甘い」
男の手に以前子どもたちのために作ってやった飴を数個握らせると、1つを口に放り込んでやる。
「疲れた時は甘いものと言いますからね。さぁ、行ってらっしゃい」
ポンポンと頭を軽く撫でてやれば、無言だが頷き人混みの中に消えていった。
「あれホントに竜族?犬じゃん」
「ですね。まぁ、怒って暴れ回られるより全然いいですけど」
他の竜族に会ったことはないが、縁より体格は大きいがまるでまだ子どものようなあの兄弟に笑ってしまう。
弟の方はクセが強く掴み所がなく、兄の方は兄としてしっかりしようとして空回りしている。
本来なら縁などパクリといけそうなのだろうが、今まで見てきた2人はまるで怖くなく、どこにでもいそうな人間の兄弟2人といった感じであった。
「エルもあれくらいアズと仲良くなれるといいですね」
「いやいや、アズライトはあんなバカにはならないから!」
「分かってますよ。あれくらい何でも言い合えたらいいですねってことです」
「………頑張る」
人としてあの2人を手本にするのは薦められないが、ああしてケンカしながらも言いたいことを言い合える兄弟というのはとてもいいと思ったのだ。
「ゆっくりでいいんですよ、ゆっくりで。焦る必要はありません」
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一方的な好意だけでは何も成り立たない。
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