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寝かせて
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さてやって来ました、水泳練習!
川なのでそれほど深くなく、流れも穏やかなので練習にはちょうどいいだろう。
「ママやらない?」
「残念ですが私は泳げないので教えてあげることができないんです。けどアズのためにとエルが教えてくれるので頑張って下さいね」
「アズやらない」
あらあら。
家族みんなでのお出かけに喜んでいたアズだったが、いざ練習となると縁が一緒にやらないことに不満があるようだ。
「うーん、アズが本当にやりたくないなら構いませんが、覚えたらいいことがありますよ」
「なに?」
「まず溺れることがありません。流れが早いとまた違いますが出来て悪いことは、な、い?ん?……エル」
「なに?」
準備していたエルを呼べば不思議そうにこちらを見てくる。
「アズは水属性ですよね?」
「そうだけど?なに?何かへんーーあ」
水属性ならば水を操れるわけで泳げる必要があるのか?という疑問にエルも気付いたようだ。
「いや、でもまだアズライトだって何でも出来るわけじゃないし!魔法が使えたとしても何かあった時とっさに使えないと、その、あれで……」
「まぁ出来て損はないですね。アズどうします?やめますか?」
やる必要がないことならば無理にやらせようとは思わない。
出来て良かったと思うことがもしかしたらあるかもしれないが、出来なくとも他にも色々方法はある。
「ママうれしい?」
「ん?私ですか?嬉しいですよ。それにアズが出来るようになれば繋にも教えてあげられますからね。私の代わりにアズがしてくれたら嬉しいです」
「やる!アズやる!」
やる気が出たようで何よりだ。
魔法を使って泳ぐにしろ歩くにしろ、そう簡単に出来るようになるとは限らず、それまでに何かあれば困ったことになり出来て悪いことはない。
ならば自分も!と思うのだが、昔溺れた恐怖心と心配症な家族に止められ断念したのだった。
アズはエルたちに任せ縁は繋とジークとお昼寝タイム。
正確には昼ではないのだが、早朝から起きて作業していた縁の頭は眠気でふらふらだった。
ここに来るまでも何度か木に突撃をかましてしまい、セインたちにかなり心配された。
パシャパシャと水を叩く音を聞きながら気持ち良く眠りにつこうとすれば、何か視界が陰った気がした。
目は閉じていたためなんとなくではあったが、背にスッと冷たいものを感じ目を開ける。
「おはよう~」
「………」
「ーー殺す」
理解出来ず再び目を閉じようとすれば、隣から怖ろしい声と共にジークが剣を縁の頭上に振り下ろそうとしていた。
寝かせてほしい。
気付いたセインたちも剣を手にこちらに駆け寄ってくるのが見えた。
「なんで~?挨拶しただけじゃん」
ヘラヘラとしながらもそう言われれば、なんとも縁たちが悪いような気がしてくる。
悪く…悪くな……悪い、かも?
「眠たいんです。帰って下さい」
眠い頭では全てが面倒くさく、相手などしてられないと追い返す。
「じゃあオレも一緒に寝た~い。ダメ?」
「ダメです」
一緒に並んで寝るだけで済むとは思えない。
むしろ喋りまくって寝かせてもらえる気がしない。
「ざんね~ん。ま、いーや。それより兄貴に聞いたんだけどそのガキ、アンタが産んだって本当?」
ガキ……繋のことだろうか?
「この子ですか?確かに私が産みましたけど……」
「マジか、やった!ならアンタに決めた!」
「は?」
何のことだと聞く前に腕を掴まれたかと思えば、繋を抱いた縁ごと抱き抱えられる。
???
なんだ、なんだ?
抵抗しようにも両手に繋を抱えており、寝ぼけ頭ではどういうことか理解が追いつかない。
手を伸ばしてくるジークが見えたが、どんどん距離が離れていくのは何故だろう?
「とりあえず下ろしてくれませんか?」
「着いたらね。動くと危ないからじっとしてて、よ」
ひょいひょいと身軽に木の上を移動してたかと思えば、次の瞬間突然の浮遊感に襲われた。
「っ!?」
咄嗟に腕の中の繋を胸元に覆うように抱き込む。
自分だけならまだしも幼い繋に何かあってはと力の限り抱きしめるが、いつまでたっても地面の感触も落ちる痛みも襲ってはこなかった。
代わりにきたのは硬い、ゴツゴツとした……何か?とりあえずーー
「………座り心地はよくない」
「そんなこと言われたの初めて~」
もう疲れた。
何故こうも彼は縁に関わってくるのか。
声からして縁たちを攫った張本人だというのは分かるのだが、そのヘラヘラした暢気な声は縁たちの下から聴こえてくる。
「本当にドラゴンだったんですね」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「聞いてません。まぁ、そうじゃないかとはエルに聞いてはいましたけど」
はっきり本人たちから聞いたわけではないので確証もなく、相手が相手だけに縁もまぁいっかぐらいにしか思っていなかった。
「やっぱり大きいですね」
これだけの巨体をどうやったら人型ほどの大きさに縮めることが出来るのだろうか。
乾燥わかめ的な…………ちがうな。
「誰かを乗せたのアンタが初めてなんだよね~。コウエイでしょ?」
「誘拐犯が言うことではないですね」
無駄だと思いながらもペチペチと硬い鱗を叩いてやるのだった。
川なのでそれほど深くなく、流れも穏やかなので練習にはちょうどいいだろう。
「ママやらない?」
「残念ですが私は泳げないので教えてあげることができないんです。けどアズのためにとエルが教えてくれるので頑張って下さいね」
「アズやらない」
あらあら。
家族みんなでのお出かけに喜んでいたアズだったが、いざ練習となると縁が一緒にやらないことに不満があるようだ。
「うーん、アズが本当にやりたくないなら構いませんが、覚えたらいいことがありますよ」
「なに?」
「まず溺れることがありません。流れが早いとまた違いますが出来て悪いことは、な、い?ん?……エル」
「なに?」
準備していたエルを呼べば不思議そうにこちらを見てくる。
「アズは水属性ですよね?」
「そうだけど?なに?何かへんーーあ」
水属性ならば水を操れるわけで泳げる必要があるのか?という疑問にエルも気付いたようだ。
「いや、でもまだアズライトだって何でも出来るわけじゃないし!魔法が使えたとしても何かあった時とっさに使えないと、その、あれで……」
「まぁ出来て損はないですね。アズどうします?やめますか?」
やる必要がないことならば無理にやらせようとは思わない。
出来て良かったと思うことがもしかしたらあるかもしれないが、出来なくとも他にも色々方法はある。
「ママうれしい?」
「ん?私ですか?嬉しいですよ。それにアズが出来るようになれば繋にも教えてあげられますからね。私の代わりにアズがしてくれたら嬉しいです」
「やる!アズやる!」
やる気が出たようで何よりだ。
魔法を使って泳ぐにしろ歩くにしろ、そう簡単に出来るようになるとは限らず、それまでに何かあれば困ったことになり出来て悪いことはない。
ならば自分も!と思うのだが、昔溺れた恐怖心と心配症な家族に止められ断念したのだった。
アズはエルたちに任せ縁は繋とジークとお昼寝タイム。
正確には昼ではないのだが、早朝から起きて作業していた縁の頭は眠気でふらふらだった。
ここに来るまでも何度か木に突撃をかましてしまい、セインたちにかなり心配された。
パシャパシャと水を叩く音を聞きながら気持ち良く眠りにつこうとすれば、何か視界が陰った気がした。
目は閉じていたためなんとなくではあったが、背にスッと冷たいものを感じ目を開ける。
「おはよう~」
「………」
「ーー殺す」
理解出来ず再び目を閉じようとすれば、隣から怖ろしい声と共にジークが剣を縁の頭上に振り下ろそうとしていた。
寝かせてほしい。
気付いたセインたちも剣を手にこちらに駆け寄ってくるのが見えた。
「なんで~?挨拶しただけじゃん」
ヘラヘラとしながらもそう言われれば、なんとも縁たちが悪いような気がしてくる。
悪く…悪くな……悪い、かも?
「眠たいんです。帰って下さい」
眠い頭では全てが面倒くさく、相手などしてられないと追い返す。
「じゃあオレも一緒に寝た~い。ダメ?」
「ダメです」
一緒に並んで寝るだけで済むとは思えない。
むしろ喋りまくって寝かせてもらえる気がしない。
「ざんね~ん。ま、いーや。それより兄貴に聞いたんだけどそのガキ、アンタが産んだって本当?」
ガキ……繋のことだろうか?
「この子ですか?確かに私が産みましたけど……」
「マジか、やった!ならアンタに決めた!」
「は?」
何のことだと聞く前に腕を掴まれたかと思えば、繋を抱いた縁ごと抱き抱えられる。
???
なんだ、なんだ?
抵抗しようにも両手に繋を抱えており、寝ぼけ頭ではどういうことか理解が追いつかない。
手を伸ばしてくるジークが見えたが、どんどん距離が離れていくのは何故だろう?
「とりあえず下ろしてくれませんか?」
「着いたらね。動くと危ないからじっとしてて、よ」
ひょいひょいと身軽に木の上を移動してたかと思えば、次の瞬間突然の浮遊感に襲われた。
「っ!?」
咄嗟に腕の中の繋を胸元に覆うように抱き込む。
自分だけならまだしも幼い繋に何かあってはと力の限り抱きしめるが、いつまでたっても地面の感触も落ちる痛みも襲ってはこなかった。
代わりにきたのは硬い、ゴツゴツとした……何か?とりあえずーー
「………座り心地はよくない」
「そんなこと言われたの初めて~」
もう疲れた。
何故こうも彼は縁に関わってくるのか。
声からして縁たちを攫った張本人だというのは分かるのだが、そのヘラヘラした暢気な声は縁たちの下から聴こえてくる。
「本当にドラゴンだったんですね」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「聞いてません。まぁ、そうじゃないかとはエルに聞いてはいましたけど」
はっきり本人たちから聞いたわけではないので確証もなく、相手が相手だけに縁もまぁいっかぐらいにしか思っていなかった。
「やっぱり大きいですね」
これだけの巨体をどうやったら人型ほどの大きさに縮めることが出来るのだろうか。
乾燥わかめ的な…………ちがうな。
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無駄だと思いながらもペチペチと硬い鱗を叩いてやるのだった。
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