二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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オレのせい

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 出会ったのは偶然だった。
 まだ上手く魔力調整がとれない自分に、兄であるアヴァロンが外で待つように言い暇だからと木の上で昼寝していたのだ。
 呼ばれたと思い降りていけば、目の前に現れたその金色の瞳から目が離せなかった。
 相手はそうではなかったが。
 即座に逸らされた顔にもう一度見たいと付いていけば、自分を怖がることなく言い返してくる強気な言葉。
 最初は無視されたが。
 どうやら兄とも知り合いだったようで色々話していたが、どうしても連れ帰りたくてコウショウするも失敗。
 挙句殴り飛ばされた。
 もう一度会うためにと何とか上手く魔力調整をし人型もとれるように頑張り、喜んで町に行けば早々に迷った。
 探し人が見つかったのは嬉しい誤算だったが。
 喜び駆け寄れば嫌そうに顔を歪めていたが、その瞳に自分の姿が写っていることが嬉しく、贈り物(骨)までもらった。
 骨を齧りながらも見つけた兄はどこかボゥーとしていたが、渡された甘い塊を味わいながら上機嫌で帰った。
 そんな風にペットにしたいと兄に言い続けていれば、彼にはもう番がいるからダメだと言われた。

 「そうなの!?誰!」

 「いや、この前一緒にいただろ。お前のせいで俺は腕がなくなりそうになったがな!」

 「無事だったんだからいいじゃ~ん……マジか…番いんの、か?あ?この前のってあの獣人オスだったよね?男の番なの?」

 彼ばかり見ていて他は裏覚えだったが、体格的にも女性と呼べるものではなかったはずだ。

 「そうだ……子どもももういる。だから、いや、だからこそダメなんだ」

 「は?」

 子どもがいる?
 この前の抱きついてガキかと一瞬思ったが、魔力の質からあれが魔族であることは分かっていたためその可能性はないだろう。
 兄の言い方からしても彼自身が産んだような口ぶりだ。

 「まさか運命の番ってやつ?マジ?で、もう産んだってこと?」

 大昔にお伽話のようなそれを聞いたことはあるが、長く生きていて目にしたことは一度もなかった。
 もちろん竜族にも運命の番というものはいたらしい。
 らしい、つまりそれほど珍しく希少であり今まで見たことがない。
 だが……

 「……運命の番で、子どもまでいる?ハ、ハハッ、ハハハハハッ」

 そんなことありえるのか?
 有り得ないことばかりで可笑しくなり笑うが、胸の中でムカムカしたものが沸き起こる。
 が自分でない他の誰かのものだったということ。
 その相手との間にすでに子どもがいること。
 あの綺麗な顔で自分ではない誰かに笑いかけているのだと思うと苛立ってくる。

 「……いいじゃん。あの見た目で子どもも産める。魔力持ちだからドラゴン相手でも耐えられる」

 「ルイ?」

 「いいじゃん、いいじゃん!キーキー叫ぶだけのバカな人間の女より全然いい!ドラゴンを産めれば最高だけど、ダメなら魔力持ちでもいいんだよ」

 「……ルイ?」

 「魔力持ちのガキなら、そのガキにまた産ませられるかもしれないしね」

 「ルイ!!」

 これ以上ドラゴンの血を絶やすわけにはいかない。
 自分も兄もオスである以上誰か他の種族のメスに産ませなければいけないことは分かっていた。
 魔力を持たない獣人には無理。
 ならば魔族とも思ったがアイツらでは自分たちの血が強すぎてドラゴンを産む可能性が低い。
 他の種族もまた然り。
 残るは人間であり、しかし魔力持ちが少なく脆弱なアイツらはドラゴンを見るだけで怯えうるさく泣き叫ぶ。
 悩んでいたところに現れたのが彼であり、全ての条件が満たされている。
 ならばーー

 「連れてくるよ。兄貴も準備しておいて~」

 「ルイっ!ルイやめろ!!」

 止める兄に目もくれず飛び立つ。
 それなのにーー

 「私はっ、貴方の子なんて産みたくない!」

 「いやです。産みたくありません」
 
 「私は貴方を愛してなんかいない。貴方だってそうでしょう?」

 有り得ないと拒絶され、愛していないとも言われた。
 これほど好意を示しているのにそれさえ疑わられてしまい、 怒りで目の前が真っ赤になった。

 「アンタはただ言われた通りオレたちドラゴンを産めばいいんだよ!」

 もうどうでもいい。
 彼が自分を愛してなかろうが、自分が彼を愛していようが関係ない。
 もう彼は自分の手の中にあり逃げることなどできないのだから。
 自分たちの子を産み、新しいドラゴンたちの母になるのだ。
 狩られていった仲間たち、無残に殺された両親。
 もういない家族はまた作ればいい。
 同じではなくとも、それに等しいものなら何でもいい。
 たった2人になった家族。
 けれどまた取り戻せる。
 昔のように家族と、仲間と笑い合い仲良く暮らせる。

 「いいんだ。これでいいんだ。これで……」

 もう1人じゃない。
 1人にはなりたくない。
 1人はいやだ。
 
 「……これでいいんだ」
 
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