171 / 475
まさか
しおりを挟む
「この場所がいつまでも安全だとは限らないでしょ?人だって増えるだろうし、今すぐには無理だとしても何かあった時のために避難場所兼新しい住処があればみんな安心出来ます」
そんなことを考えてくれていたとは思っておらず驚いた。
確かに今までが大丈夫だからと言って、これからも安全だとは限らないのだ。
増える仲間に部屋数も限られており、いつかは足りなくなることもあるだろう。
しかしそんな未来をも縁は見据え、対策し行動する。
自分がいなくなった後でも皆が困らないように、ジークがエリーとした約束を守り続けられるように考えてくれたのだ。
ならば反対する理由などあるはずもなく、協力も惜しまない。
ならば手が必要だろうと数人連れて行こうとするが、とりあえず現状確認をするため人手はいいと言う。
「この2人と私、あと繋も連れて行こうと思います。アズたちは聞いてみないと分かりませんが、残るようなら任せても大丈夫ですか?」
「俺を置いていく気かよ」
「え、一緒に来てくれるんですか?」
意外とでも言いたそうな縁に、当たり前だろと小突く。
「でもジークがいないとここのみんなが困りませんか?」
「数日なら大丈夫だろ。それに俺がいなくても大丈夫なようにも慣らしていかねぇとな」
将来のためにも新たな住処を作るというのであれば尚更だ。
ジークとていつまで生きられるのか分からないのだ。
自身がいなくなっても対処出来るようにも、少しずつではあるが頑張ってもらわなくてはならない。
「そうですか。ではジークも一緒に行きましょう。アレンとセインはどうしましょうかね。出来れば残ってほしいんですが……」
いきなり戦力であるジーク、アレン、セイン3人がいなくなるのはさすがにまずいだろう。
「……ね、ねぇオレは?オレも留守番?」
明らかに行きたそうなエルだが、連絡手段を持っているのはエルと縁だけのため悪いが残ってもらうことにする。
ならば安全面も考えアズにも残ってもらおうとアズにも相談すれば、予想通り嫌だと言われた。
「やだ!アズもママといく!」
「すぐ帰ってきますから。あちらはいつ倒れるか分からないような建物ばかりなんです。もしアズが怪我なんてしたら私はとても悲しいです」
「ゔー、やだやだ」
普段の生活では数時間会わないということもあるが、それが数日ともなればアズが渋るのも分かる。
だが危険がある以上アズを連れて歩くわけにはいかない。
「連れてってやればいいじゃん」
「サッズ?」
ちょうど通りがかったサッズがアズも一緒に行けばいいと言う。
「勝手に聞いて悪かったですけど、アンタらみんなで行ってくればいいすよ。アレンにセインだってエニシがいなきゃ使いもんにならなさそうだし」
確かに。
だがーー
「聞いてたなら分かんだろ。危ないんだよ。アズが怪我でもしたら……」
「そこの兄弟の家は大丈夫なんでしょ?出かける時だけそこに置いていけばいいじゃないすか」
「ここでの仕事だってだなーー」
「数日なら大丈夫ですよ。使えないヤツ置いていかれる方が迷惑」
「………」
言い方は酷いが、それでもジークたちのことを想ってのことだろう。
「分かったよ。3日だ、3日で帰ってくるからそれまで頑張ってくれ」
「それでいいんすよ。まったく、歳とると判断力まで鈍くなるんスかねぇ」
とりあえず一発殴っておいた。
この口の悪さは誰に似たのだろうか。
そして手分けして準備を済ませるとルーの背中に乗せられドラゴンの国に向かうのだった。
「まったく、世話が焼ける頭だよ」
小さくなっていく後ろ姿にしょうがない奴らだと笑うと、同じく見送りに来ていたシンクが隣で笑っている。
「今まで頼りっぱなしだったスからね。これで少しはオレたちにも頼ってくれるようになればいいスけど」
「だな。あの人が休まないと俺たちだって休めないんだつーの」
「あはははっ、まぁそこが頭のいいとこっスよ。それにエニシさんの提案もいいことばっかじゃないっスか」
そう、新しい住処を作るというエニシの提案はここに住む全ての住人の未来を考えてくれたものだった。
きっかけは違うかもしれないが、その先に自分たち獣人の未来を繋げようとしてくれている。
「頭も最高の番を見つけたもんだな。うらやましいわ」
「スね。オレもエニシさんみたいな嫁さんほしいっス。綺麗だし、可愛いし、何より料理が上手いっス!」
人間でありながら自分たち獣人を1人の個として見てくれる。
非力ながら少しでもみんなの力になろうと考え行動し、どんなに頑張っても解きほぐせなかったジークの心をも救ってくれた。
その上自分たちに未来までくれたのだ。
男の番を見たのはサッズもシンクも初めてだったが、楽しく笑うジークたちに何も違和感はなかった。
愛する番に、幸せだねと笑う家族。羨ましい限りだ。
「ハハッ、ならエニシに頼んでみたらどうだ?オレも番にしてくれって」
「それは頭に殺されるっスから勘弁してくださいっス」
本気で嫌がるシンクにサッズは笑いが止まらないのだった。
そんなことを考えてくれていたとは思っておらず驚いた。
確かに今までが大丈夫だからと言って、これからも安全だとは限らないのだ。
増える仲間に部屋数も限られており、いつかは足りなくなることもあるだろう。
しかしそんな未来をも縁は見据え、対策し行動する。
自分がいなくなった後でも皆が困らないように、ジークがエリーとした約束を守り続けられるように考えてくれたのだ。
ならば反対する理由などあるはずもなく、協力も惜しまない。
ならば手が必要だろうと数人連れて行こうとするが、とりあえず現状確認をするため人手はいいと言う。
「この2人と私、あと繋も連れて行こうと思います。アズたちは聞いてみないと分かりませんが、残るようなら任せても大丈夫ですか?」
「俺を置いていく気かよ」
「え、一緒に来てくれるんですか?」
意外とでも言いたそうな縁に、当たり前だろと小突く。
「でもジークがいないとここのみんなが困りませんか?」
「数日なら大丈夫だろ。それに俺がいなくても大丈夫なようにも慣らしていかねぇとな」
将来のためにも新たな住処を作るというのであれば尚更だ。
ジークとていつまで生きられるのか分からないのだ。
自身がいなくなっても対処出来るようにも、少しずつではあるが頑張ってもらわなくてはならない。
「そうですか。ではジークも一緒に行きましょう。アレンとセインはどうしましょうかね。出来れば残ってほしいんですが……」
いきなり戦力であるジーク、アレン、セイン3人がいなくなるのはさすがにまずいだろう。
「……ね、ねぇオレは?オレも留守番?」
明らかに行きたそうなエルだが、連絡手段を持っているのはエルと縁だけのため悪いが残ってもらうことにする。
ならば安全面も考えアズにも残ってもらおうとアズにも相談すれば、予想通り嫌だと言われた。
「やだ!アズもママといく!」
「すぐ帰ってきますから。あちらはいつ倒れるか分からないような建物ばかりなんです。もしアズが怪我なんてしたら私はとても悲しいです」
「ゔー、やだやだ」
普段の生活では数時間会わないということもあるが、それが数日ともなればアズが渋るのも分かる。
だが危険がある以上アズを連れて歩くわけにはいかない。
「連れてってやればいいじゃん」
「サッズ?」
ちょうど通りがかったサッズがアズも一緒に行けばいいと言う。
「勝手に聞いて悪かったですけど、アンタらみんなで行ってくればいいすよ。アレンにセインだってエニシがいなきゃ使いもんにならなさそうだし」
確かに。
だがーー
「聞いてたなら分かんだろ。危ないんだよ。アズが怪我でもしたら……」
「そこの兄弟の家は大丈夫なんでしょ?出かける時だけそこに置いていけばいいじゃないすか」
「ここでの仕事だってだなーー」
「数日なら大丈夫ですよ。使えないヤツ置いていかれる方が迷惑」
「………」
言い方は酷いが、それでもジークたちのことを想ってのことだろう。
「分かったよ。3日だ、3日で帰ってくるからそれまで頑張ってくれ」
「それでいいんすよ。まったく、歳とると判断力まで鈍くなるんスかねぇ」
とりあえず一発殴っておいた。
この口の悪さは誰に似たのだろうか。
そして手分けして準備を済ませるとルーの背中に乗せられドラゴンの国に向かうのだった。
「まったく、世話が焼ける頭だよ」
小さくなっていく後ろ姿にしょうがない奴らだと笑うと、同じく見送りに来ていたシンクが隣で笑っている。
「今まで頼りっぱなしだったスからね。これで少しはオレたちにも頼ってくれるようになればいいスけど」
「だな。あの人が休まないと俺たちだって休めないんだつーの」
「あはははっ、まぁそこが頭のいいとこっスよ。それにエニシさんの提案もいいことばっかじゃないっスか」
そう、新しい住処を作るというエニシの提案はここに住む全ての住人の未来を考えてくれたものだった。
きっかけは違うかもしれないが、その先に自分たち獣人の未来を繋げようとしてくれている。
「頭も最高の番を見つけたもんだな。うらやましいわ」
「スね。オレもエニシさんみたいな嫁さんほしいっス。綺麗だし、可愛いし、何より料理が上手いっス!」
人間でありながら自分たち獣人を1人の個として見てくれる。
非力ながら少しでもみんなの力になろうと考え行動し、どんなに頑張っても解きほぐせなかったジークの心をも救ってくれた。
その上自分たちに未来までくれたのだ。
男の番を見たのはサッズもシンクも初めてだったが、楽しく笑うジークたちに何も違和感はなかった。
愛する番に、幸せだねと笑う家族。羨ましい限りだ。
「ハハッ、ならエニシに頼んでみたらどうだ?オレも番にしてくれって」
「それは頭に殺されるっスから勘弁してくださいっス」
本気で嫌がるシンクにサッズは笑いが止まらないのだった。
42
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる