221 / 475
加減
しおりを挟む
ジンを救出し皆でお茶をしていれば、突如強風が巻き起こり吹き飛ばさされると思った途端何かが縁に抱きついてきた。
「オレもまぜて~」
「………驚かせないで下さい」
ギュッと抱きつき頬ずりしてくるルーを引き剥がすと、待てとばかりに手で押さえる。
「頼んだことは?」
「…………」
マズいとばかりに視線を彷徨わせるルーに溜め息をつく。
大方兄であるロンに仕事を押し付けてきたのだろう。
「私は出来ることしか頼んでませんよね?」
「……ごめんなさい」
「「ーーぶはっ」」
素直に謝るルーに何故かマーガレットとジークがお腹を抱えて笑っていた。
「こりゃ繋に言われても仕方ないね」
「ある意味繋の方が大人だな」
よく分からなかったが、ルーが子どもっぽいと言いたかったらしい。
「確かに。繋はちゃんとお願いしたことはやってくれますからね」
「オ、オレも出来るよ!その……ゆっくりなら」
ならさっさとしてしまえばいいのに。
それでもやろうと頑張ろうとしてくれただけ前よりマシかと溜息をつくと落ち込むルーにもお茶を出してやる。
「帰ったらちゃんとロンに謝るんですよ?」
「うん!」
元気な返事にまたもや2人が吹き出していた。
どうしたのかと聞こうとすればーー
「どいて!ケイのママ!」
張り付くルーを押し除け繋が膝に乗ってきた。
「繋?どうしーー」
「シンも~」
「アイも~」
突撃!とばかりに双子がルーに襲いかかる。
「え?ちょっ、ちょ、ちょっとまーーわっ」
じゃれる双子にルーは戸惑い逃げるが転んでしまった。
どうするのかと眺めていれば助けを求めるように涙目でこちらを見てくる。
そんな捨てられた子犬のように見てこずとも……
真と愛依はマーガレットたちに任せ、繋はセインにお願いした。
「怪我はしませんでしたか?」
「……うん」
それは良かったと手を貸し立ち上がらせると、おいでとばかりに両手を広げれば遠慮がちにだがルーが抱きついてきた。
「頑張ってくれてありがとう。寂しかったんですよね」
「うん」
彼にしては我慢している方だろう。
「大丈夫です。ちゃんと分かってます。だから一緒に頑張っていきましょうね」
「うん、頑張る。ごめんなさい」
まるで親にでもなった気分だが、純粋な繋たちと違い番であるルーは縁の首元に顔を埋め匂いを嗅いでくる。
臭いというわけではないだろうが何とも複雑である。
暫くそうして嗅がれるとルーを連れ再びみんなでお茶をする。
縁が座った途端繋が私の場所だとばかりに膝に乗ってきたがルーをいじめないならばいいかとそのままだ。
「エニシ~、連れてきた~」
のんびりお茶をしていればあることを頼んでいたエルが戻ってくるのが見えた。
「ありがとうエル。サッズさんもお疲れ様です。急にすいませんでした」
「別にいいけど……」
挨拶しながらもマーガレットたちが気になるのかチラチラと様子を伺っている。
「私が町でお世話になっているマーガレットさんとジンさんです。彼は……ジークの親戚です」
多少嘘を交えながらもお互いの紹介を済ませる。
「で、ですね。見て分かると思いますが彼も獣人です」
「そりゃ見れば分かるよ」
「そうですよね。私たちは引っ越すと言いましたが彼はここに留まることになりました」
そう。縁たちが引っ越すのに加え隠れ家にいる住人の大半は共にルーたちの国に移り住む。
しかし環境の変化に戸惑いこのままがいいと言う者はそのまま残ることになった。
そうなるとその者たちを纏める人間も必要になるわけで、誰に任せるかとなった時名乗りを上げたのがサッズだったのだ。
「はっきりと場所を教えるわけにはいけませんが2人にはこの辺りには人を近づけないようにしてほしいんです」
「彼らを守ってほしいということかい?」
眉を潜めるジンに首を振る。
「違います。今まで通り森深くに人を送り込まなければそれでいいんです」
早々バレる場所ではないがそれでも警戒しておくに越したことはない。
「静かに暮らしている彼らを放っておいて欲しいんです」
「なら何で私らにそんなこと頼むんだい?」
放っておけというならば言わなければよかったのではと言うマーガレットに苦笑いする。
「お互いのため、ですかね」
「どういうことだい?」
「彼らも身を守るために時には人間に手を下すことがありました。そのため巻き込まれた冒険者の方もいるでしょう」
「………」
獣人というだけで殺されるなど誰だって受け入れられないだろう。
抵抗するという意味で手を下してきたのは確かだ。
「依頼によっては森に入らなければいけないこともあると思いますが、なるべくこの辺りは避けてほしいんです」
人間を守るために、獣人を守るためにも。
「分かったよ。私たちが出来る範囲でならそうしよう」
「ありがとうございます。何かあれば彼が橋渡しとなりますのでお願いします」
マーガレットたちならば安心して任せられる。
ジークも一緒に頭を下げてくれ、まだ完全に信用出来てないながらもサッズも頷いてくれた。
「大丈夫です。彼はとても頼りになる人ですからルーみたいに途中で仕事を投げたりしませんよ」
「そりゃ安心だ」
「うぇ?オ、オレだって頑張ればちゃんと出来るってば~」
情けなく縋り付いてくるルーに皆が声を上げて笑うのだった。
「オレもまぜて~」
「………驚かせないで下さい」
ギュッと抱きつき頬ずりしてくるルーを引き剥がすと、待てとばかりに手で押さえる。
「頼んだことは?」
「…………」
マズいとばかりに視線を彷徨わせるルーに溜め息をつく。
大方兄であるロンに仕事を押し付けてきたのだろう。
「私は出来ることしか頼んでませんよね?」
「……ごめんなさい」
「「ーーぶはっ」」
素直に謝るルーに何故かマーガレットとジークがお腹を抱えて笑っていた。
「こりゃ繋に言われても仕方ないね」
「ある意味繋の方が大人だな」
よく分からなかったが、ルーが子どもっぽいと言いたかったらしい。
「確かに。繋はちゃんとお願いしたことはやってくれますからね」
「オ、オレも出来るよ!その……ゆっくりなら」
ならさっさとしてしまえばいいのに。
それでもやろうと頑張ろうとしてくれただけ前よりマシかと溜息をつくと落ち込むルーにもお茶を出してやる。
「帰ったらちゃんとロンに謝るんですよ?」
「うん!」
元気な返事にまたもや2人が吹き出していた。
どうしたのかと聞こうとすればーー
「どいて!ケイのママ!」
張り付くルーを押し除け繋が膝に乗ってきた。
「繋?どうしーー」
「シンも~」
「アイも~」
突撃!とばかりに双子がルーに襲いかかる。
「え?ちょっ、ちょ、ちょっとまーーわっ」
じゃれる双子にルーは戸惑い逃げるが転んでしまった。
どうするのかと眺めていれば助けを求めるように涙目でこちらを見てくる。
そんな捨てられた子犬のように見てこずとも……
真と愛依はマーガレットたちに任せ、繋はセインにお願いした。
「怪我はしませんでしたか?」
「……うん」
それは良かったと手を貸し立ち上がらせると、おいでとばかりに両手を広げれば遠慮がちにだがルーが抱きついてきた。
「頑張ってくれてありがとう。寂しかったんですよね」
「うん」
彼にしては我慢している方だろう。
「大丈夫です。ちゃんと分かってます。だから一緒に頑張っていきましょうね」
「うん、頑張る。ごめんなさい」
まるで親にでもなった気分だが、純粋な繋たちと違い番であるルーは縁の首元に顔を埋め匂いを嗅いでくる。
臭いというわけではないだろうが何とも複雑である。
暫くそうして嗅がれるとルーを連れ再びみんなでお茶をする。
縁が座った途端繋が私の場所だとばかりに膝に乗ってきたがルーをいじめないならばいいかとそのままだ。
「エニシ~、連れてきた~」
のんびりお茶をしていればあることを頼んでいたエルが戻ってくるのが見えた。
「ありがとうエル。サッズさんもお疲れ様です。急にすいませんでした」
「別にいいけど……」
挨拶しながらもマーガレットたちが気になるのかチラチラと様子を伺っている。
「私が町でお世話になっているマーガレットさんとジンさんです。彼は……ジークの親戚です」
多少嘘を交えながらもお互いの紹介を済ませる。
「で、ですね。見て分かると思いますが彼も獣人です」
「そりゃ見れば分かるよ」
「そうですよね。私たちは引っ越すと言いましたが彼はここに留まることになりました」
そう。縁たちが引っ越すのに加え隠れ家にいる住人の大半は共にルーたちの国に移り住む。
しかし環境の変化に戸惑いこのままがいいと言う者はそのまま残ることになった。
そうなるとその者たちを纏める人間も必要になるわけで、誰に任せるかとなった時名乗りを上げたのがサッズだったのだ。
「はっきりと場所を教えるわけにはいけませんが2人にはこの辺りには人を近づけないようにしてほしいんです」
「彼らを守ってほしいということかい?」
眉を潜めるジンに首を振る。
「違います。今まで通り森深くに人を送り込まなければそれでいいんです」
早々バレる場所ではないがそれでも警戒しておくに越したことはない。
「静かに暮らしている彼らを放っておいて欲しいんです」
「なら何で私らにそんなこと頼むんだい?」
放っておけというならば言わなければよかったのではと言うマーガレットに苦笑いする。
「お互いのため、ですかね」
「どういうことだい?」
「彼らも身を守るために時には人間に手を下すことがありました。そのため巻き込まれた冒険者の方もいるでしょう」
「………」
獣人というだけで殺されるなど誰だって受け入れられないだろう。
抵抗するという意味で手を下してきたのは確かだ。
「依頼によっては森に入らなければいけないこともあると思いますが、なるべくこの辺りは避けてほしいんです」
人間を守るために、獣人を守るためにも。
「分かったよ。私たちが出来る範囲でならそうしよう」
「ありがとうございます。何かあれば彼が橋渡しとなりますのでお願いします」
マーガレットたちならば安心して任せられる。
ジークも一緒に頭を下げてくれ、まだ完全に信用出来てないながらもサッズも頷いてくれた。
「大丈夫です。彼はとても頼りになる人ですからルーみたいに途中で仕事を投げたりしませんよ」
「そりゃ安心だ」
「うぇ?オ、オレだって頑張ればちゃんと出来るってば~」
情けなく縋り付いてくるルーに皆が声を上げて笑うのだった。
42
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる