232 / 475
もういいよ
しおりを挟む
暫くエルとアズに泣きつかれた後、血だらけの身体を洗うため湖に入ると血を落としていく。
「本当は灰色だったんですね」
泥や血で汚れていた2匹だが洗って落としてみれば灰色狼だった。
「ねぇ、これってさ………フェンリルじゃない?」
「ふぇんりる?それが名前なんですか?」
「いや名前じゃなくて名称。巨大な狼で魔獣だよ」
魔獣?
「うん?普通の狼とは違うんですか?」
「そもそもこんなデカい狼いないでしょ。このデカさで灰色っていったらフェンリルしかないよ。しかもエニシのの言葉も理解してたみたいだし。フェンリルはその強さと賢さでも有名なんだよ」
かなりの大物だったらしい。
何も知らず助けたが、こちらを見て大きく尻尾を振る姿は大きな犬にしか見えない。
「可愛い可愛い」
「………ダメだわこの人」
いい子いい子と狼たちを撫でる縁にエルが呆れていた。
血を全て洗い落とし、お腹も空いたことからご飯にしようということになったが、まだふらつく縁にエルとアズが自分たちがやるからと出来るまで休ませてもらうことにした。
「真、愛依おいで」
駆け寄ってきた2人を膝に抱き抱えるとバスタオルで覆い隠してやる。
「よく頑張りましたね。ありがとう、もう大丈夫ですよ」
そう言いタオル越しに2人の背を撫でてやればーー
「「ゔぇーーーんっ」」
次の瞬間大声を上げて泣き出した。
エルたちが驚き振り返っていたが、大丈夫だと頷くと作業に戻っていく。
この2人は変なところで意地っ張りというか、我慢強いというか素直に泣くことをしない時がたまにある。
すんなり泣く時もあるのに、時々何故か堪えるのだ。
その基準は縁には分からなかったが、大体そういう時は縁がもういいよと背を撫でてやれば糸が切れたように泣き出す。
「怖かったですよね。ごめんね」
「ママ、いな、いない、やだ」
「アイ、も、ママ、い、いない、いっしょ」
「そうですね。心配かけてごめんね。大丈夫、もう痛いのもなくなったから真と愛依をギュウって出来ますよ」
繋と比べ成長が早い2人だが、中身はやはり幼い。
いくら早く走れようが、いくらたくさん喋れるようになろうが怖かったと泣き、ママと言いながら縋り付いてくる。
「真はちゃんとお兄ちゃんたちをとめてくれてましたね」
「……ぐす、うん」
「愛依はママが起きるのを手伝ってくれましたね」
「…う、ん」
「ありがとう。頑張ってくれて。真と愛依がいてくれてよかった。ママの子に生まれてきてくれてありがとう。2人とも大好きですよ」
「「ゔわーーん」」
ごめんね、ありがとうと背を撫で続けてやれば少しずつ落ちついてくる。
本来なら真っ先に泣くだろう2人が頑張ってくれたおかげであの狼にたちを助けられた。
いつも縁を心配してくれる2人があんなことになり泣かないわけがないのだ。
それでも我慢し、縁の言う通り動いてくれて感謝しかない。
「助けてくれてありがとう。2人ともママの宝物です」
この子たちが無事で良かった。
あの狼たちを助けたいというのは縁の我儘であり、縁が傷付くことを良しとしないエルたちが反対するのは当たり前だ。
それでもこの2人は手伝ってくれた。
縁を止めることなく手伝ってくれた。
可愛い可愛い我が子。
泣き疲れ眠りについた2人を抱えていると、元の色を取り戻した2匹の狼が近寄ってくる。
「今ご飯の準備をしてくれてますからね。出来たら貴方たちも一緒に食べましょう」
お腹空いているでしょ?と言えばベロリとその長い舌で顔面を舐められた。
ヨダレまみれである。
餌と間違われていないことを願う。
「ふわ~」
いい天気だなぁと欠伸をすれば寄り添うように横になった狼にそっと寄りかかってみる。
「ふふ、ふわふわ。気持ちいい」
嫌がらないため安心して全身の力を抜いた。
「分かってくれてありがとう。貴方たちを助けることが出来てよかった」
彼らが縁の気持ちを分かってくれたから今こうして寄り添えている。
治してあげたからと言って、エルが言っていた通り彼らが縁を殺さない保証などなかったのだ。
「お互い子どもに助けられましたね」
あの時ボロボロな身体で立ち塞がる子狼に、縁を守ろうとしたアズの姿が重なった。
「貴方の子もとても勇敢で優しい子ですね」
「ガウッ」
そうだろと言わんばかりに鳴く姿はとても誇らしげだ。
「うちの子もすごいでしょ?パパに似てとても勇敢でとても優しい」
自慢の子ですと言えば、分かるというように頷いてくれるのだった。
どの世界でも親バカはどこにでもいるものだ。
「本当は灰色だったんですね」
泥や血で汚れていた2匹だが洗って落としてみれば灰色狼だった。
「ねぇ、これってさ………フェンリルじゃない?」
「ふぇんりる?それが名前なんですか?」
「いや名前じゃなくて名称。巨大な狼で魔獣だよ」
魔獣?
「うん?普通の狼とは違うんですか?」
「そもそもこんなデカい狼いないでしょ。このデカさで灰色っていったらフェンリルしかないよ。しかもエニシのの言葉も理解してたみたいだし。フェンリルはその強さと賢さでも有名なんだよ」
かなりの大物だったらしい。
何も知らず助けたが、こちらを見て大きく尻尾を振る姿は大きな犬にしか見えない。
「可愛い可愛い」
「………ダメだわこの人」
いい子いい子と狼たちを撫でる縁にエルが呆れていた。
血を全て洗い落とし、お腹も空いたことからご飯にしようということになったが、まだふらつく縁にエルとアズが自分たちがやるからと出来るまで休ませてもらうことにした。
「真、愛依おいで」
駆け寄ってきた2人を膝に抱き抱えるとバスタオルで覆い隠してやる。
「よく頑張りましたね。ありがとう、もう大丈夫ですよ」
そう言いタオル越しに2人の背を撫でてやればーー
「「ゔぇーーーんっ」」
次の瞬間大声を上げて泣き出した。
エルたちが驚き振り返っていたが、大丈夫だと頷くと作業に戻っていく。
この2人は変なところで意地っ張りというか、我慢強いというか素直に泣くことをしない時がたまにある。
すんなり泣く時もあるのに、時々何故か堪えるのだ。
その基準は縁には分からなかったが、大体そういう時は縁がもういいよと背を撫でてやれば糸が切れたように泣き出す。
「怖かったですよね。ごめんね」
「ママ、いな、いない、やだ」
「アイ、も、ママ、い、いない、いっしょ」
「そうですね。心配かけてごめんね。大丈夫、もう痛いのもなくなったから真と愛依をギュウって出来ますよ」
繋と比べ成長が早い2人だが、中身はやはり幼い。
いくら早く走れようが、いくらたくさん喋れるようになろうが怖かったと泣き、ママと言いながら縋り付いてくる。
「真はちゃんとお兄ちゃんたちをとめてくれてましたね」
「……ぐす、うん」
「愛依はママが起きるのを手伝ってくれましたね」
「…う、ん」
「ありがとう。頑張ってくれて。真と愛依がいてくれてよかった。ママの子に生まれてきてくれてありがとう。2人とも大好きですよ」
「「ゔわーーん」」
ごめんね、ありがとうと背を撫で続けてやれば少しずつ落ちついてくる。
本来なら真っ先に泣くだろう2人が頑張ってくれたおかげであの狼にたちを助けられた。
いつも縁を心配してくれる2人があんなことになり泣かないわけがないのだ。
それでも我慢し、縁の言う通り動いてくれて感謝しかない。
「助けてくれてありがとう。2人ともママの宝物です」
この子たちが無事で良かった。
あの狼たちを助けたいというのは縁の我儘であり、縁が傷付くことを良しとしないエルたちが反対するのは当たり前だ。
それでもこの2人は手伝ってくれた。
縁を止めることなく手伝ってくれた。
可愛い可愛い我が子。
泣き疲れ眠りについた2人を抱えていると、元の色を取り戻した2匹の狼が近寄ってくる。
「今ご飯の準備をしてくれてますからね。出来たら貴方たちも一緒に食べましょう」
お腹空いているでしょ?と言えばベロリとその長い舌で顔面を舐められた。
ヨダレまみれである。
餌と間違われていないことを願う。
「ふわ~」
いい天気だなぁと欠伸をすれば寄り添うように横になった狼にそっと寄りかかってみる。
「ふふ、ふわふわ。気持ちいい」
嫌がらないため安心して全身の力を抜いた。
「分かってくれてありがとう。貴方たちを助けることが出来てよかった」
彼らが縁の気持ちを分かってくれたから今こうして寄り添えている。
治してあげたからと言って、エルが言っていた通り彼らが縁を殺さない保証などなかったのだ。
「お互い子どもに助けられましたね」
あの時ボロボロな身体で立ち塞がる子狼に、縁を守ろうとしたアズの姿が重なった。
「貴方の子もとても勇敢で優しい子ですね」
「ガウッ」
そうだろと言わんばかりに鳴く姿はとても誇らしげだ。
「うちの子もすごいでしょ?パパに似てとても勇敢でとても優しい」
自慢の子ですと言えば、分かるというように頷いてくれるのだった。
どの世界でも親バカはどこにでもいるものだ。
48
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる