二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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寄り道

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 ふふふふふ~ん♪
 馬に揺られ流れる景色を眺めながら目的地を目指す。

 「……………ご機嫌ですね」

 暢気に鼻歌を歌いながら周りを見ていた縁にフレックが笑っていた。

 「今日は天気もいいですからねぇ。それにあの町から外に行ったことがなかったので嬉しいです」

 町の外に住んでいる縁たちだが、方向音痴の縁の行動範囲はそれほど広くなく、アレンたちにしても人間に襲われる危険性があるためあまり遠出することもなかった。

 「隊長さん、今頃泣いているんじゃないですか?」

 「まさか。子どもじゃないんですから自分のことぐらい自分でしてもらわないと」

 今回訓練として来ているのは6人の兵士に監督役として副隊長のフレックさん。
 隊長まで来てはいざという時問題があるためマルズスは留守番だった。
 今頃溜まる書類仕事に泣いていることだろう。

 「こんだけのんびりだと依頼だってことも忘れーーあ、エル、エル!山羊、山羊がいま、す……?」

 ………うん?

 「ヤギぐらいで何騒いでんの?そう珍しくないでしょ」

 この世界、牛も馬も居るのだから山羊ぐらいいても不思議ではない。不思議ではないのだが……

 「私の知る山羊はもう少し可愛らしかったはずなんですが……」

 明らかにデカい。
 遠目でも見て分かるほどに。
 この世界に来てからというもの縁もそれなりに色々見てきてはいるが、名称はそれほど違いはなくも色や性質、味など多少ズレがあるのには気が付いていた。
 それを気に食わないと文句を言うことはないが、残念には思うことはあった。
 だがこれはーー

 「どうして山羊が馬より大きいんですかね?」

 「?、ヤギはこんなもんでしょ?」

 そうなのか……そう、そう………う~ん。
 微妙に何か感じつつも自分を納得させた。

 「あの子からお乳ってとれないですかね?」

 「は?ヤギだよ?」

 「山羊ですね」

 「「………」」

 え?こっちの山羊はもしかしてお乳が出ないのだろうか?
 確認しようとフレックを見れば、彼も驚いたように縁を見ていた。

 「山羊からもミルクがとれるんですか?」

 逆に聞き返されてしまったが、こちらでは乳搾りをしたことはないため断言は出来ない。

 「私が知る山羊からはそうでしたけど……やってみてもいいですか?」

 縁が知る山羊とは大きさが違えど子を育てるにはお乳を出すはずなのでやってみたいと言えば驚きながらも止まってくれるのだった。
 まさかの兵士を連れての山羊の乳搾り。

 「山羊のお乳って確か栄養が多かったはずなんですよ。牛乳に比べると味に癖はありますけど身体にいいはーーあ、出ました」

 大きさはあれど牛のようにのんびりした山羊はすんなりと乳搾りをさせてくれた。

 「これでチーズも出来たはずなのでアズが喜びますね」

 「ほんと?ならオレもやってみる」

 可愛い弟のためにとエルもやる気を出していた。
 おかげで大量に山羊乳を手に入れることが出来たためアズも喜んでくれることだろう。

 「すごいですね。ヤギはこの大きさのため人が飼うのは難しいんですよ。なのでミルクといえば牛だったんですが……」

 「牛とそう変わらないですよ。お乳も出れば、お肉も美味しいですし。まぁ、癖があるので人を選ぶとは思いますけど」

 「何!?ならば今日はそれを食そうぞ!」

 何故かリルが食い付いた。
 リルの食事は魔力で良かったはずなのだが、最近縁たちと共に食べているせいか魔力よりご飯を欲しがる時がある。

 「それはいいですけど私捌けませんよ?」

 魚ならばある程度出来はするが、流石に動物の解体はしたこともしたいとも思わない。
 残念そうにしゅんとした尻尾に、ならばとフレックに出来ないか聞いてみればーー

 「構いませんが、もしよければ私たちも少しいただいてもいいですか?」

 縁の話しを聞き味が気になったようだ。
 かなりの大きさなのでみんなで食べても問題ないだろうと頷けば、何とも手際良く一頭解体してくれるのであった。

 「愛依へのお土産も出来ましたね」

 「確かに喜ぶだろうけど……こんなに寄り道してていいわけ?」

 「寄り道って楽しいですよね」

 答えになってない答えにエルが諦めたように溜め息をつくのであった。
 旅の寄り道は心の寄り道。
 ただ無心に目的地を目指すよりも、色んなものを見て食べることが旅の醍醐味だと思う。
 正確には観光ではなく、ギルドの依頼であり仕事なのだが。

 「エルだってお肉好きでしょ?」

 「好きだよ。育ち盛りの伸び盛りだからね」

 「だから育っちゃダメですって」

 これ以上差をつけられては堪らないとダメだといえばエルだけでなく全員に笑われるのだった。

 「エニシさんはそのままでいいんですよ」

 「大きい人はみんなそう言うんですよ!自分が大きいかって!」

 ズルい!
 小さい人の気持ちも分かってほしいと言えば更に笑われるのであった。
 因みに縁の身長は決して低くはない。
 平均ほどではあるが、いかんせん周りにいる者たちがデカいため埋れてしまうのであった。

 
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