二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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教えろ

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 「隊長さんは私のことを何でも屋か何かと勘違いしているんじゃないでしょうか?」

 「本当にすいません」

 申し訳ないとフレックが頭を下げてくるが彼が悪いわけではないため責めるにも責められない。

 「いえ。私もエニシさんなら改善してくれるかもしれないと反対しなかったので同罪です」

 軽く裏切られていたらしい。
 だが以前ダンジョンに行った時も話しを聞く限りかなり大変だなとは思っていたので何とかしてあげたくはある。
 今回また隊長によって拉致された縁は隊員たちの宿舎である調理場にいた。

 「新米たちに飯の作り方教えろ」

 それだけ言い残し去っていった隊長に、しかし訳が分からずフレックを呼んでもらい話せばこうして謝罪されたのだ。
 今日はレオナルドのお手伝いに来たはずなのだが。

 「私は料理人ではないので簡単なものしか出来ませんがそれでもいいなら」

 「勿論です。それに以前作っていたものはどれも美味しかったのでとても嬉しいです」

 そこまで期待してないでほしいと念のため伝えておくと、とりあえず材料は何があるのか見せてもらう。

 「………ここまで色々あるのに何故ああなるんでしょうか?」

 食糧庫に案内されたはいいのだが、想像したものとは違い野菜や肉などそれなりの量が積まれていた。
 どうやら日々の訓練などで森で獣を狩る時もあるらしくお肉には困っておらず、野菜などは町からの寄付らしい。
 いくら男とは言え何故ここまであって出来ないのか?

 「知らないというのがやはり大きいですね。教えてもらおうにも人も時間もそうなかったんですよ」

 ならばどうして今日自分は呼ばれたのかと聞けば、以前ダンジョンで縁が作った食事のせいで今までの食事が辛いと言い出した隊員たちの意見によるものと、隊長とフレックがそれに賛同したものらしい。

 「エニシさんが作るものはそう難しくなく美味しかったというのもあります。私たちは兵であり料理人になりたいわけでもないのでそこまで凝ったものを習いたいわけではないんですよ」

 下手に料理人など呼ぼうものなら凝った、それこそ素人には作れないだろうものを教えられかねないと縁に白羽の矢がたったらしい。
 責任者としてフレックもいてくれるらしく、今回のこともギルドに依頼として出し報酬も用意してくれるようだ。
 ならばいいかといくつか食材を選ぶと運んでもらう。

 「繋はどうしますか?ラックと遊んでいても構いませんけど……」

 「ママといっしょ」

 今回は仲良く(?)拉致されてきた繋に遊んでいても構わないと言ったのだが、流石にここまで知らぬ人たちがいる中一人で行動するのは嫌だったようだ。
 足に張り付いてくるのを抱っこしつつ調理場へ向かう。

 「そういえば今日はエルくんは一緒ではないんですか?」

 「ああ、エルは今少し体調を崩して休んでいるんです」

 そこまで酷くはないようなのだが、何かあっては大変だと一緒に行くというのを説得し家で休んでもらっている。
 町まではルーが運んでくれたため問題もない。

 「ではこの豚肉を1、2センチほどの厚さに切ってもらえますか?」

 教えるといってもやるのは彼らであり、出来るだけ縁は手を出さない。
 薄力粉、卵、パン粉と順につけていくと後は揚げるだけなのだが、初めてのことなのか跳ねる油に皆ビクビクしながら見ていた。

 「こんがりキツネ色……とこちらでは言っていいのか分かりませんが、これぐらい色付けば大丈夫です」

 箸休めにと白菜を塩で揉み込み暫く放置し漬けておいたものと、野菜のスープにサラダ。
 ご飯も炊き方を教えておいたので後は経験だけだろう。
 定食のようになってしまったが、出来上がりを作ったみんなで食べてみれば泣いて喜ばれた。
 文字通り泣いて。
 喜んでもらえたのは嬉しいのだが、泣いて喜び皆に握手を求められた時は少し怖かった。
 他にも鶏肉使った炒めものや、隠れ家でも作ったピザなども教えておく。
 醤油やみりんなども使えば他にも色々作れるのだろうが、これは常備されている調味料ではないため使わなかった。

 「では最後にこちらを頑張って皆さんで刻んで下さい」

 牛肉(だと思う)の塊を頑張って挽き肉にしてもらう。
 これはそれなりに根気がいるため最後に回し、豚カツで腹も満たしておいてもらったのだ。
 頑張れ~と繋と応援しつつ出来上がった挽き肉で皆大好きハンバーグを作る。
 ソースがないため塩胡椒だけの味付けだが代わりにチーズものせてやればこれまた喜ばれた。
 殆どが肉料理ではあったが、あの人が隊長のため問題はないだろう。
 出来上がったハンバーグは少しもらうとレオナルドに謝罪として献上するのであった。
 約束の時間にかなり遅れてしまった。

 「私はもしや餌付けされているのか?」

 「私は貴方の親にまでなった覚えはありません」

 どれだけ子沢山なのか。
 呆れながらも手伝いに手を動かすのであった。
 
 
 


 


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