259 / 475
お裾分け
しおりを挟む
「喜んでくれるといいですね?」
「うん!」
仲良く手を繋ぎ来たのはランがいる工房だった。
無事干物も完成し、干物といえばやはり酒だろうとお裾分けにきたのだ。
「こんにちは」
「こんにちはーー」
元気よく挨拶すればバタバタと、時々どこかにぶつけているのかガツンガツンという音をさせながら慌てたようにランが駆けてくる。
「エ、エニシくんっ!?ケ、ケイちゃんっ!?」
………そこまで驚くようなことでもないと思うのだが。
ランの慌てぶりにガンズも気が付いたようで、久しぶりだなと手を振りながら近づいてきた。
「お久しぶりです。今日はちょっとお裾分けにお邪魔しました」
「おすそわけ?」
「あげる」
どうぞと繋が差し出せば、受け取り中身を確認したガンズが嬉しそうに繋の頭を撫でた。
「こりゃ旨そうだな。ありがとよ」
「えへへ」
ここはやはり繋というか、一見怖く見えるガンズにしかし繋は一切怖がることなく頭を撫でられ嬉しそうに笑っていた。
生まれる前から見ていたこともありガンズにしても孫のような感覚らしい。
「この前出かけた時にたくさん獲れたので。干物ならきっとお酒にも合うだろうと伺いました」
「あんがとな。こりゃ夜が楽しみだな」
ついでにと言っては何だがご飯も持ってきたので一緒に食べようと誘えば、これまた嬉しそうに部屋に案内してくれるのだった。
「あ、あの、ケイちゃん?エニシくん、のところじゃなくていいの?」
「ここがいい!」
「ごめんね。嫌じゃないならそのまま乗せておいてあげて下さい」
さぁご飯だと席についたはいいが、何故か縁ではなくランの膝に乗った繋には苦笑いしてしまう。
本当によく懐いたものだ。
嫌なら言ってほしいと言ったが、戸惑っただけで構わないと言われそのまま乗せておくことにした。
「これが繋と2人で作ったお稲荷さんで、お味噌汁と酢漬けにした野菜と少しですが焼いた干物も持ってきたので味見としてでも食べてみて下さい」
「これは……すげぇ見た目だな」
こちらではないお稲荷さんに2人共最初は戸惑っていたが、早く食べてと繋に促され一口食べると気に入ってくれたようで美味いなと言い合いながら美味しそうに食べてくれる。
ランに褒められ繋もご機嫌だ。
「すごい身が厚い魚だね。どこでとれたの?」
「だんじょんです」
「「ぶふぅっ!」」
驚き咳き込むランの背を撫でてやり、喉に詰まらせているガンズには水を渡した。
「すいません。私たちも食べて異常はなかったので大丈夫だと思ったんですが……」
合わなかったのかもしれないと慌てて謝罪すればーー
「そこじゃねぇよっ!」
「エニシくんダンジョン行ったのっ!?」
縁の気遣いとは別のところで驚かれていたらしい。
「?、はい。依頼されたので。とても楽しかったです」
「「…………」」
そう言えば冒険者だったなと今更思い出した2人であった。
「………まぁ、あれだ。怪我もねぇようで安心した」
コイツはこういうやつだったと一人納得するガンズに、ランは未だ驚きに固まっている。
面白いなと遊び心で開いていた口にお稲荷さんを突っ込んでやれば、ハッと我に返り慌てて口を動かしていた。
エルと同じで意外にランも量を食べるのだ。
「で、ですね。肉も魚もたくさん手に入ったんですが、それとは別に珍しい調味料も手に入ったんですよ。そのお稲荷さんもそれで作ったんですが、良かったらこれも食べてみて下さい」
味付けした魚を瓶詰めにしたものを渡せば、まだ何も説明していないのにガンズが嬉しそうに受け取った。
「こりゃ焼きゃいいのか?」
「はい。お酒に合うものばかりになってしまいましたが食べてもられえると嬉しいです。繋も頑張ってお手伝いしてくれたので。ね?」
「ケイがんばったのよ!」
「そりゃ旨ぇに決まってんな。有り難くもらっておくよ」
褒められたせいか普段よりもりもり食べる繋を心配しつつ、ランには肉を詰めたものを渡した。
やはり食べ盛りの男の子だけあってとても喜んでくれた。
「それでと言ってはなんですがお酒を少し分けていただくことは出来ますか?」
「お前はもう飲むんじゃねぇ」
理由を言う前にダメだと言われてしまった。
一度の失敗により縁は完全に飲酒禁止令が出たようだ。
「飲みたいわけではなく料理に使いたいんですが……ダメですか?」
縁としても気を失ってまで飲みたいとは思わないし、子どもたちもいるためそんな暇がないというのもある。
それなら仕方ないかと渡された一升瓶に、これは本当に止められているのだろうかと疑問に思った。
余ったら余ったでアレンたちが飲んでくれるだろうと有り難く受け取っておくことにした。
「今度また色々作って持ってくるので一緒に食べましょうね」
「うん。待ってるね」
「いつでも遊びにこい」
また来ることを約束し再び仲良く手を繋ぐと家に帰るのだった。
「うん!」
仲良く手を繋ぎ来たのはランがいる工房だった。
無事干物も完成し、干物といえばやはり酒だろうとお裾分けにきたのだ。
「こんにちは」
「こんにちはーー」
元気よく挨拶すればバタバタと、時々どこかにぶつけているのかガツンガツンという音をさせながら慌てたようにランが駆けてくる。
「エ、エニシくんっ!?ケ、ケイちゃんっ!?」
………そこまで驚くようなことでもないと思うのだが。
ランの慌てぶりにガンズも気が付いたようで、久しぶりだなと手を振りながら近づいてきた。
「お久しぶりです。今日はちょっとお裾分けにお邪魔しました」
「おすそわけ?」
「あげる」
どうぞと繋が差し出せば、受け取り中身を確認したガンズが嬉しそうに繋の頭を撫でた。
「こりゃ旨そうだな。ありがとよ」
「えへへ」
ここはやはり繋というか、一見怖く見えるガンズにしかし繋は一切怖がることなく頭を撫でられ嬉しそうに笑っていた。
生まれる前から見ていたこともありガンズにしても孫のような感覚らしい。
「この前出かけた時にたくさん獲れたので。干物ならきっとお酒にも合うだろうと伺いました」
「あんがとな。こりゃ夜が楽しみだな」
ついでにと言っては何だがご飯も持ってきたので一緒に食べようと誘えば、これまた嬉しそうに部屋に案内してくれるのだった。
「あ、あの、ケイちゃん?エニシくん、のところじゃなくていいの?」
「ここがいい!」
「ごめんね。嫌じゃないならそのまま乗せておいてあげて下さい」
さぁご飯だと席についたはいいが、何故か縁ではなくランの膝に乗った繋には苦笑いしてしまう。
本当によく懐いたものだ。
嫌なら言ってほしいと言ったが、戸惑っただけで構わないと言われそのまま乗せておくことにした。
「これが繋と2人で作ったお稲荷さんで、お味噌汁と酢漬けにした野菜と少しですが焼いた干物も持ってきたので味見としてでも食べてみて下さい」
「これは……すげぇ見た目だな」
こちらではないお稲荷さんに2人共最初は戸惑っていたが、早く食べてと繋に促され一口食べると気に入ってくれたようで美味いなと言い合いながら美味しそうに食べてくれる。
ランに褒められ繋もご機嫌だ。
「すごい身が厚い魚だね。どこでとれたの?」
「だんじょんです」
「「ぶふぅっ!」」
驚き咳き込むランの背を撫でてやり、喉に詰まらせているガンズには水を渡した。
「すいません。私たちも食べて異常はなかったので大丈夫だと思ったんですが……」
合わなかったのかもしれないと慌てて謝罪すればーー
「そこじゃねぇよっ!」
「エニシくんダンジョン行ったのっ!?」
縁の気遣いとは別のところで驚かれていたらしい。
「?、はい。依頼されたので。とても楽しかったです」
「「…………」」
そう言えば冒険者だったなと今更思い出した2人であった。
「………まぁ、あれだ。怪我もねぇようで安心した」
コイツはこういうやつだったと一人納得するガンズに、ランは未だ驚きに固まっている。
面白いなと遊び心で開いていた口にお稲荷さんを突っ込んでやれば、ハッと我に返り慌てて口を動かしていた。
エルと同じで意外にランも量を食べるのだ。
「で、ですね。肉も魚もたくさん手に入ったんですが、それとは別に珍しい調味料も手に入ったんですよ。そのお稲荷さんもそれで作ったんですが、良かったらこれも食べてみて下さい」
味付けした魚を瓶詰めにしたものを渡せば、まだ何も説明していないのにガンズが嬉しそうに受け取った。
「こりゃ焼きゃいいのか?」
「はい。お酒に合うものばかりになってしまいましたが食べてもられえると嬉しいです。繋も頑張ってお手伝いしてくれたので。ね?」
「ケイがんばったのよ!」
「そりゃ旨ぇに決まってんな。有り難くもらっておくよ」
褒められたせいか普段よりもりもり食べる繋を心配しつつ、ランには肉を詰めたものを渡した。
やはり食べ盛りの男の子だけあってとても喜んでくれた。
「それでと言ってはなんですがお酒を少し分けていただくことは出来ますか?」
「お前はもう飲むんじゃねぇ」
理由を言う前にダメだと言われてしまった。
一度の失敗により縁は完全に飲酒禁止令が出たようだ。
「飲みたいわけではなく料理に使いたいんですが……ダメですか?」
縁としても気を失ってまで飲みたいとは思わないし、子どもたちもいるためそんな暇がないというのもある。
それなら仕方ないかと渡された一升瓶に、これは本当に止められているのだろうかと疑問に思った。
余ったら余ったでアレンたちが飲んでくれるだろうと有り難く受け取っておくことにした。
「今度また色々作って持ってくるので一緒に食べましょうね」
「うん。待ってるね」
「いつでも遊びにこい」
また来ることを約束し再び仲良く手を繋ぐと家に帰るのだった。
42
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる