二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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 「前に話したママの好きなお味噌汁が作れますよ」

 「たべる!」

 薄っすらと聞こえてくるその声に少しずつ意識が浮上していく。

 「真と愛依にも美味しいお肉とお魚を獲ってきましたからね」

 「「やったー!」」

 優しいその声と楽しげに喜ぶ声に幸せを感じた。

 「アズにも珍しいですが山羊のお乳をとってきたので美味しいチーズを作ってみましょうね」

 「つくる!」

 楽しげな家族の会話。
 まるで昔に戻ったようで、確かめるようにまだ重たい目蓋を開けば、両親ではなかったが愛しい人の姿が目に入った。

 「ん?起きましたか?おはようルー」

 「「「「おはよう」」」」

 「……………おはよう」

 母ではない、父でもない。
 けれど彼らはもはやルーにとってかけがえのない大切な家族だった。
 元通りになったわけではない。
 だがまた得ることが出来た家族に涙が出そうなほど嬉しかった。
 あれからずっとエニシに抱きつき眠っていたようで、それを囲むように子どもたちが周りでルーが目覚めるのを待ってくれていたのだろう。

 「まだ痛みますか?」

 「ルーいたいいたい?」

 繋も心配そうに痛くないか聞いてくれ心が温まっていくのが分かった。

 「もう大丈夫みたい。ありがとう」

 あれほど感じていた全身の痛みも治り、何だか魔力も前より安定している気がする。
 まだ少し怠い気もするが普通に性格する分には支障はないだろう。

 「そうですねぇ。今日は繋の好きなお味噌汁でご飯にして、そのあとアズの好きなチーズを作ってみましょうか」

 「おにくはー?」
 「おさかなさん」

 自分たちにはないのかと双子が頬を膨らませている。

 「勿論2人のもありますよ。けどそんなにいっぺんに食べたら勿体ないでしょう?今日はお肉とお魚を美味しくする準備だけして明日お腹いっぱい食べましょう」

 「「たべるーー!」」 

 やったーと喜び飛び跳ねる2人に笑っていれば、ルーも一緒に行こうと繋に手を引かれた。

 「まだ辛いようならいいですよ?休んでいて下さい」

 「大丈夫。オレもご飯楽しみだし」

 エニシの作る美味しいご飯が待っているならば少し怠いぐらいなんてことはない。
 楽しみだねと繋と笑い合いながらリビングに向かえば、ずっと心配してくれていたのだろうロンがルーの元気そうな様子にホッと息をついていた。

 「……あの、噛んでごめんなさい」

 「あれくらいどうってことはない。無事で安心した」

 兄であるロンがルーにとって最後の同胞であるように、ロンにとってもルーが最後の仲間であり家族なのだ。
 きっと不安で仕方なかったに違いないと謝れば、気にするなと頭をガシガシと痛いくらい撫でられた。

 「ロンも手伝ってくれますか?たくさんお土産もらってきたんですよ」

 「…………お前が行ったのはダンジョンだったよな?」

 ダンジョン帰りの者の言葉ではないと呆れるように言うロンに声を上げて笑うのだった。
 



 「すげぇ光景だな」

 これでもかと庭に干された魚たちにジークが唖然としている。
 それなりの量があったため今晩食べる用にと少し残し後は干物にしたのだ。

 「これなら保存も効きますし、旨味も出るので美味しいですよ」

 「そら楽しみだな」

 既に肉も下味をつけて準備はしてあるため明日はいっぱい食べてもらおう。

 「「ママみて!」」

 「ああ。ちゃんと出来るようになったんですね」

 結構な高さがある木なのだが、天辺まで登った双子が上で手を振っている。
 縁との約束通り木登りが出来るようになったらしい。
 すごいねと手を振り返してやり、アズに頼み魚を乾燥させてもらった。 

 「おい繋、ママの邪魔するなよ?」

 「してないもん!」

 コアラのように胸元に抱きついている繋には縁も笑ってしまったが、それほど寂しい思いをさせてしまったのかもしれないと離せないでいる。
 確かに作業はし辛いが出来ないわけでもないためいいかとそのままだ。

 「じゃあここはアズに任せて繋は私と夜ご飯の準備をしますか?」

 「する!」

 まだ時間的に早くはあるのだが、このまま繋を貼り付けたまま作業すると腰を悪くしてしまうだろう。
 ご機嫌な繋には下りてもらい手を繋ぐとキッチンへ向かう。

 「お昼のお味噌汁に入れていたお揚げは美味しかったでしょ?」

 「うん!」

 「今度はその中にご飯を詰めて食べるので、繋にはそれを手伝ってほしいんです」

 味付けした揚げと酢飯を用意するとお手本を見せながら少しずつ詰めていく。

 「………それはちょっと詰めすぎですね」

 パンパンに膨らんだお稲荷さんはパパであるセインにプレゼントすることにした。
 娘の手作りならばいくらでも食べてくれるだろう。
 今度は適度な量で止めつつ協力して次々と完成させていく。
 小さな手で一生懸命お手伝いする姿は愛しさしかない。

 「はい、どーぞ」

 「ん…おいしい!」

 「よかった。みんなきっと喜んでくれますね」

 味見として一口与えれば美味しいと笑う姿に成功を喜ぶのだった。




 
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