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だから、な
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最近何か不安そうな表情をしているなとは思っていた。
ジーク自身も獣人のためある程度は人間より身体能力が高く、無茶ばかりする翔に心配はあれどロンたちの大丈夫だという言葉を信じてはいた。
だが人間である縁にとってはそうではなく、目の前に落ちてくる我が子の姿に手を震わせ顔は真っ青だった。
「ドラゴンなんだからあの程度何ともないぞ」
「…………はい」
実際かなりの高さから落ちても擦り傷1つしてないことから本当なのだろうが心配で日に日に笑顔が消えていく縁にジークも心配だった。
「……………ジーク」
「あ?どうした?」
今日も今日とて飛ぶための練習をする翔たちに縁も付き添っていたはずだが、作業をしていたジークの名を呼び突如抱きついてきた。
どうしたのかと聞くが答えず、俯いているため表情も見えない。
これは良くないなと抱き上げ部屋を出て庭へ向かおうとすれば心配そうな顔をしたロンがおり縁に大丈夫かと聞いてきた。
普段であれば笑いながらも大丈夫だと返事をするだろう縁が頷くだけで何も言わないことにこれはマズいなと外へ連れ出すことにした。
「ごめんなさい」
名を呼び謝られたが縁に謝られることなどなく、こうして自分に甘えてくれることに嬉しさしかない。
縁のことだ、素直に言うことはしないだろうと自分から話しかけた。
「ルーに我が子を信じなさいと言いながら私自身が信じられてないんです」
何をバカなことを言っているのか。
「そりゃ母親なんだから当たり前だろ。それにそれは信じてないんじゃなくて心配してるだけだ。親として子を心配すんなんて当たり前だ」
親が子を心配して何が悪いというのか。
それに縁は心配こそしているが頑張って飛ぼうとする翔を危ないからと止めはしていない。
心配で手を震わせようとも翔のためにと踏み止まっている。
ジークとて真と愛依が心配だ。
獣人だから、身体能力の高さから大丈夫だと分かっていても転ばないだろうかと、ケガをしないだろうかと日々心配している。
だがそれも同じ種族であるため縁に比べ軽くもあるだろう。
種族が違うからこそ自分が出来ないことをしようとする翔たちへの心配が絶えないのだ。
それは縁のせいではない。
話して少しは落ち着いただろう縁を抱えると未だ心配だろう子どもたちがいる家へ帰るのだった。
「ちょっと来い」
「へ?」
家へ戻ると今日の訓練は終わったのかお茶をしていたルーを捕まえ部屋に入る。
一緒に休憩していたロンにも言っておいた方がいいだろうとついでに引きずっていった。
「翔はどうだ?」
「いい感じだよ」
「まだぎこちなくはあるが前よりは良くなってはいると思う」
それでは伝わらないだろうとロンが説明してくれた。
飛行訓練というものがどういうものかジークにも分からなかったがロンが大丈夫だというなら大丈夫なのだろう。
「そうか。ならいいが、縁にも訓練のことをちゃんと説明してやったか?」
「………説明?」
なにそれ?と首を傾げるルーにやはりなと溜め息をつく。
ロンも何を言わないことから彼も分かっていないのだろう。
「縁は人間だ。俺たちと同じ獣人でも、お前たちみたいにドラゴンでもねぇ。どうしてそんな訓練をするのかも、本当に危険じゃないのかも知らねぇんだよ」
ドラゴンだから、丈夫だからと言ったところで縁には伝わりはしない。
ルーたちが何ともないと思うことも人間である縁からすれば危ないとしか思えないこともあるのだ。
だからこそその訓練がどれだけ必要で、どれほど危険がないかを伝えておかなければならない。
「お前らにはそれほどじゃねぇ高さでも人間なら死んじまう高さなんだよ。それを毎日のように見せられてる縁の気持ちも少しは考えてやれ」
我が子が頑張ろうとしているのを邪魔する縁ではない。
必要だからこそしているとは分かっていても毎日心配で堪らないだろう。
ただ翔自身が怪我もなく嫌がっていないことから止めていないに過ぎない。
「…………ごめんなさい」
「謝れって言ってんじゃねぇ。まぁ言わない縁も縁だが。分かってやれないこそ縁も言わねぇんだろ」
ドラゴンについて知らない自分が、分かってやれない自分が口出しするわけにはいかないと思っているのだろう。
「訓練を止めろとは言わねぇ。けど縁のことも考えてやれ。完全とは言わないが少しでも安心出来るようにな」
完全に不安を無くすことなど不可能だろう。
それこそ翔が成長しルーやロンほど大人になったとしても親は子を心配し続ける。
だが減らすことは出来るはずだ。
「俺も真と愛依の時はそうだったんだよ。獣人だからって色々やらせたが縁は今みたいにあの2人を心配してた。ドラゴンともなれば俺たち以上に出来ることもあるだろう。けどそのせいで心配も増える」
「………そう、だな。俺たちが考えなしだった」
「うん。今度から縁と話してからにする」
落ち込み俯く2人に笑うとガシガシと頭を撫でてやる。
「縁が言わないのはお前たちを信頼してるって意味もあんだよ。お前たちを信じてるから何も言わねぇで大切な翔を任せてんだ」
翔のためになると、翔のために2人が頑張ってくれていると知っているからこそ縁は2人に翔を任せている。
だから落ち込むんじゃなく安心させてやれと言えば漸く顔を上げ頷くのだった。
ジーク自身も獣人のためある程度は人間より身体能力が高く、無茶ばかりする翔に心配はあれどロンたちの大丈夫だという言葉を信じてはいた。
だが人間である縁にとってはそうではなく、目の前に落ちてくる我が子の姿に手を震わせ顔は真っ青だった。
「ドラゴンなんだからあの程度何ともないぞ」
「…………はい」
実際かなりの高さから落ちても擦り傷1つしてないことから本当なのだろうが心配で日に日に笑顔が消えていく縁にジークも心配だった。
「……………ジーク」
「あ?どうした?」
今日も今日とて飛ぶための練習をする翔たちに縁も付き添っていたはずだが、作業をしていたジークの名を呼び突如抱きついてきた。
どうしたのかと聞くが答えず、俯いているため表情も見えない。
これは良くないなと抱き上げ部屋を出て庭へ向かおうとすれば心配そうな顔をしたロンがおり縁に大丈夫かと聞いてきた。
普段であれば笑いながらも大丈夫だと返事をするだろう縁が頷くだけで何も言わないことにこれはマズいなと外へ連れ出すことにした。
「ごめんなさい」
名を呼び謝られたが縁に謝られることなどなく、こうして自分に甘えてくれることに嬉しさしかない。
縁のことだ、素直に言うことはしないだろうと自分から話しかけた。
「ルーに我が子を信じなさいと言いながら私自身が信じられてないんです」
何をバカなことを言っているのか。
「そりゃ母親なんだから当たり前だろ。それにそれは信じてないんじゃなくて心配してるだけだ。親として子を心配すんなんて当たり前だ」
親が子を心配して何が悪いというのか。
それに縁は心配こそしているが頑張って飛ぼうとする翔を危ないからと止めはしていない。
心配で手を震わせようとも翔のためにと踏み止まっている。
ジークとて真と愛依が心配だ。
獣人だから、身体能力の高さから大丈夫だと分かっていても転ばないだろうかと、ケガをしないだろうかと日々心配している。
だがそれも同じ種族であるため縁に比べ軽くもあるだろう。
種族が違うからこそ自分が出来ないことをしようとする翔たちへの心配が絶えないのだ。
それは縁のせいではない。
話して少しは落ち着いただろう縁を抱えると未だ心配だろう子どもたちがいる家へ帰るのだった。
「ちょっと来い」
「へ?」
家へ戻ると今日の訓練は終わったのかお茶をしていたルーを捕まえ部屋に入る。
一緒に休憩していたロンにも言っておいた方がいいだろうとついでに引きずっていった。
「翔はどうだ?」
「いい感じだよ」
「まだぎこちなくはあるが前よりは良くなってはいると思う」
それでは伝わらないだろうとロンが説明してくれた。
飛行訓練というものがどういうものかジークにも分からなかったがロンが大丈夫だというなら大丈夫なのだろう。
「そうか。ならいいが、縁にも訓練のことをちゃんと説明してやったか?」
「………説明?」
なにそれ?と首を傾げるルーにやはりなと溜め息をつく。
ロンも何を言わないことから彼も分かっていないのだろう。
「縁は人間だ。俺たちと同じ獣人でも、お前たちみたいにドラゴンでもねぇ。どうしてそんな訓練をするのかも、本当に危険じゃないのかも知らねぇんだよ」
ドラゴンだから、丈夫だからと言ったところで縁には伝わりはしない。
ルーたちが何ともないと思うことも人間である縁からすれば危ないとしか思えないこともあるのだ。
だからこそその訓練がどれだけ必要で、どれほど危険がないかを伝えておかなければならない。
「お前らにはそれほどじゃねぇ高さでも人間なら死んじまう高さなんだよ。それを毎日のように見せられてる縁の気持ちも少しは考えてやれ」
我が子が頑張ろうとしているのを邪魔する縁ではない。
必要だからこそしているとは分かっていても毎日心配で堪らないだろう。
ただ翔自身が怪我もなく嫌がっていないことから止めていないに過ぎない。
「…………ごめんなさい」
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