308 / 475
初めて見た
しおりを挟む
狩りも無事終わり、では帰ろうかと皆で歩いていたのだが……
「鶏肉だけでよかったんですけどリルたちのおかげでたくさんとれたのでみなさんにお裾分けしまーーわっ!」
「大丈夫か!?」
隣を歩いていたアレンを振り返った途端足下の石に蹴躓いてしまい転びそうになったところを咄嗟に腕を掴まれ助けられた。
おかげで膝をつくこともなく怪我もないと心配顔のアレンたちに笑うと、こんなところにあっては危ないと石をどかそうし手が止まった。
「縁?」
「ひっ」
それを見た瞬間悲鳴を上げ即座にアレンの背に身を隠す。
そんな今まで見たことがない縁の反応に皆が首を傾げていた。
「「ママ?」」
「縁?」
「どうしたのだ?」
一体どうしたのかとアレンが振り返ろうとしたが、そんな恐ろしいことするなとばかりに腰に腕を回し背に張り付く。
敵に背を向けるなどそんな危険なこと許されない!
「おい縁?本当にどうした?これじゃ動けないぞ」
「カ、カカカカカカエ、カエッーー」
「「かえ?」」
「カエルッ!!」
「「「「…………かえる?」」」」
ムリムリムリ!本当にムリ!
掴む前に気付けたことは幸運だったが、今度はヤツがいつ動き出しこちらに向かってくるか分からず恐怖でしかない。
「もしかしてだが…………其方カエル如きが苦手なのか?」
「如き!?カエルですよ!カエル!」
何故そんなに落ち着いていられるだと呆れたような顔をするリルに叫ぶ。
ヤツらは如きなどと言えるような生優しい生き物ではない!
「「ママかえるさんきらい?」」
「ひっ、ダメダメダメ。ダメです。2人とも絶対触っちゃダメですからね!」
「「?、はーい」」
怖くないよとばかりにヤツに触れようとした双子を必死に引き留める。
ダメダメダメ。ムリムリムリ。そんなもの触らないで!
「我がどこかにやってくるか?」
あまりの縁の怯えようにリルがヤツをどこぞにやろうとしてくれたが、それは即ちリルがヤツを咥えるということであり、そんなおぞましいことしてほしくない。
したが最後暫くはリルに近づけなってしまう。
今にも泣き出しそうな顔でブンブンと首を振れば、ではどうするのだと溜息をつかれた。
「ア、アレン……抱っこ」
「はいはい」
子どもの前で何とも情けない姿だがアレンに抱き抱えてもらいヤツから離れる。
その間もヤツが動き出さないかと目は離さない。
恐怖で抱き付く腕に力がこもってしまい申し訳なかったが、逆にアレンはそれが嬉しいとばかりに楽しそうに笑っていた。
「まぁ可愛い見た目じゃないけど何がダメなんだ?」
「全部」
「…………」
あの色も、形も、質感も、全てにおいて受け付けない。
「昔……小さい頃ですけど今みたいに石だと思って掴んでしまったことがあったんです。そしたらーーー」
「そしたら?」
「驚いて後ろにひっくり返ったところを宙を舞ったヤツが顔面に張り付いてきてあまりの気持ち悪さに気絶しました。あの時の感触といったら………」
思い出しただけで全身鳥肌が立つ。
あの時は大きさもそれなりにあり、雨が降っていたこともあってすぐにカエルだと気付かず掴んでしまったのだ。
あのザラザラとした皮にブヨブヨとした感触が何とも言えない。
あれからというもの大きさにかかわらずカエル全てがダメになった。
「それは……俺もいやだな」
分かってくれようで何より。
手で掴むことが出来る人であっても一度顔面で受け止めてみればそれも無理になるだろう。
ヤツが見えなくてなっても安心することが出来ず、申し訳ないが家まで抱えて運んでもらうのだった。
「ママ!おかえりな…さ、い?」
待ってましたとばかりに出迎えてくれた繋だが、抱きつこうとしたママが何故か抱えられていることに気付き首を傾げている。
追ってきたセインもどうしたのかと驚いていた。
「まぁ色々あってな」
情けないが苦手なカエルに遭遇し家まで抱えて運んでもらったと言えば苦笑いしながらも無事で良かったと言われた。
「にしても縁にも苦手なものなんてあったんだな」
「そりゃあありますよ。逆にない方がおかしくないですか?」
そんな完璧人間今まで見たことがないと言えば、それもそうかと頷かれた。
「ほら繋、ママも苦手なことがあるみたいだが嫌いになるか?」
「ううん。ケイ、ママだいすき」
「そうだな。ならもう出来ないからって気にするな」
「うん!」
何のことか分からなかったが、ご機嫌な繋の様子に呆れられていないようだとそっと胸を撫で下ろすのだった。
カエルがダメなんてカッコ悪いと言われたらかなり傷付く。
「なので申し訳ないですがみんなカエルを見ても触らないように。もし触ったら私は暫くその人には近付けな……いえ、近付きませんので」
「「え」」
「「「はーい」」」
素直にお返事する子どもたちとは別に、大人たちは絶対触らないでおこうと心に刻みつけるのだった。
縁に触れられないなど彼らにとっては死に近い。
「リルもですよ」
「分かった分かった」
言ったからには彼も約束を破りはしないだろう。
これで一安心と思ったが、その夜見た夢は巨大なカエルに押し潰されるという悪夢だった。
翌朝目覚めが悪かったのは言うまでもない。
「鶏肉だけでよかったんですけどリルたちのおかげでたくさんとれたのでみなさんにお裾分けしまーーわっ!」
「大丈夫か!?」
隣を歩いていたアレンを振り返った途端足下の石に蹴躓いてしまい転びそうになったところを咄嗟に腕を掴まれ助けられた。
おかげで膝をつくこともなく怪我もないと心配顔のアレンたちに笑うと、こんなところにあっては危ないと石をどかそうし手が止まった。
「縁?」
「ひっ」
それを見た瞬間悲鳴を上げ即座にアレンの背に身を隠す。
そんな今まで見たことがない縁の反応に皆が首を傾げていた。
「「ママ?」」
「縁?」
「どうしたのだ?」
一体どうしたのかとアレンが振り返ろうとしたが、そんな恐ろしいことするなとばかりに腰に腕を回し背に張り付く。
敵に背を向けるなどそんな危険なこと許されない!
「おい縁?本当にどうした?これじゃ動けないぞ」
「カ、カカカカカカエ、カエッーー」
「「かえ?」」
「カエルッ!!」
「「「「…………かえる?」」」」
ムリムリムリ!本当にムリ!
掴む前に気付けたことは幸運だったが、今度はヤツがいつ動き出しこちらに向かってくるか分からず恐怖でしかない。
「もしかしてだが…………其方カエル如きが苦手なのか?」
「如き!?カエルですよ!カエル!」
何故そんなに落ち着いていられるだと呆れたような顔をするリルに叫ぶ。
ヤツらは如きなどと言えるような生優しい生き物ではない!
「「ママかえるさんきらい?」」
「ひっ、ダメダメダメ。ダメです。2人とも絶対触っちゃダメですからね!」
「「?、はーい」」
怖くないよとばかりにヤツに触れようとした双子を必死に引き留める。
ダメダメダメ。ムリムリムリ。そんなもの触らないで!
「我がどこかにやってくるか?」
あまりの縁の怯えようにリルがヤツをどこぞにやろうとしてくれたが、それは即ちリルがヤツを咥えるということであり、そんなおぞましいことしてほしくない。
したが最後暫くはリルに近づけなってしまう。
今にも泣き出しそうな顔でブンブンと首を振れば、ではどうするのだと溜息をつかれた。
「ア、アレン……抱っこ」
「はいはい」
子どもの前で何とも情けない姿だがアレンに抱き抱えてもらいヤツから離れる。
その間もヤツが動き出さないかと目は離さない。
恐怖で抱き付く腕に力がこもってしまい申し訳なかったが、逆にアレンはそれが嬉しいとばかりに楽しそうに笑っていた。
「まぁ可愛い見た目じゃないけど何がダメなんだ?」
「全部」
「…………」
あの色も、形も、質感も、全てにおいて受け付けない。
「昔……小さい頃ですけど今みたいに石だと思って掴んでしまったことがあったんです。そしたらーーー」
「そしたら?」
「驚いて後ろにひっくり返ったところを宙を舞ったヤツが顔面に張り付いてきてあまりの気持ち悪さに気絶しました。あの時の感触といったら………」
思い出しただけで全身鳥肌が立つ。
あの時は大きさもそれなりにあり、雨が降っていたこともあってすぐにカエルだと気付かず掴んでしまったのだ。
あのザラザラとした皮にブヨブヨとした感触が何とも言えない。
あれからというもの大きさにかかわらずカエル全てがダメになった。
「それは……俺もいやだな」
分かってくれようで何より。
手で掴むことが出来る人であっても一度顔面で受け止めてみればそれも無理になるだろう。
ヤツが見えなくてなっても安心することが出来ず、申し訳ないが家まで抱えて運んでもらうのだった。
「ママ!おかえりな…さ、い?」
待ってましたとばかりに出迎えてくれた繋だが、抱きつこうとしたママが何故か抱えられていることに気付き首を傾げている。
追ってきたセインもどうしたのかと驚いていた。
「まぁ色々あってな」
情けないが苦手なカエルに遭遇し家まで抱えて運んでもらったと言えば苦笑いしながらも無事で良かったと言われた。
「にしても縁にも苦手なものなんてあったんだな」
「そりゃあありますよ。逆にない方がおかしくないですか?」
そんな完璧人間今まで見たことがないと言えば、それもそうかと頷かれた。
「ほら繋、ママも苦手なことがあるみたいだが嫌いになるか?」
「ううん。ケイ、ママだいすき」
「そうだな。ならもう出来ないからって気にするな」
「うん!」
何のことか分からなかったが、ご機嫌な繋の様子に呆れられていないようだとそっと胸を撫で下ろすのだった。
カエルがダメなんてカッコ悪いと言われたらかなり傷付く。
「なので申し訳ないですがみんなカエルを見ても触らないように。もし触ったら私は暫くその人には近付けな……いえ、近付きませんので」
「「え」」
「「「はーい」」」
素直にお返事する子どもたちとは別に、大人たちは絶対触らないでおこうと心に刻みつけるのだった。
縁に触れられないなど彼らにとっては死に近い。
「リルもですよ」
「分かった分かった」
言ったからには彼も約束を破りはしないだろう。
これで一安心と思ったが、その夜見た夢は巨大なカエルに押し潰されるという悪夢だった。
翌朝目覚めが悪かったのは言うまでもない。
57
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる