二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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散々

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 「すっげぇ匂いだな」

 「お腹すいちゃう~」

 「こらこら。子どもたちの邪魔してたら終わりませんよ」

 「お前はジッとしてろって言ってんだろ。動くな」

 唐揚げ作りに精を出している子どもたちに、しかし側でそれを見守りながら邪魔ばかりするアレンたちを注意すれば、更にそれを見ていたジークによって縁が怒られる。
 注意していたはずが注意されてしまい大人しく再び椅子に腰掛ける。

 「血は?」

 「そろそろ大丈夫だと思うんですけど止まって……なかったですね」

 抑えていた手を離してみたが垂れてきた血にまだ早かったかと慌てて抑える。
 前世でも全くと言っていいほどなかった経験に感覚がよく分からない。

 「だからジッとしてろって言ったんだよ。止まるまで動くな」

 「まさか鼻血を出すとは。まぁ鼻の骨を折るよりはいいですよね」

 「よかねぇよ。心配しただろうが」

 いきなり血を流し出した縁に本人以上に周りが大慌てだった。
 大丈夫か?鼻は無事かと誰が何を言っているのか聞き取れないぐらいに皆に心配された。
 
 「びっくりしましたよねぇ。まぁ翔のおかげで私の反射神経があまりよろしくないということが分かりました」

 何故縁がこうも鼻血を流しジークに怒られているかというと、つい数分前に狩りから帰宅した後さぁ唐揚げを作ろう!とキッチンへ向かおうとしたところを後ろから翔に飛びつかれ地面に倒れ込んだからである。
 因みに反射的に手はちゃんと出た。
 手は出たのだがカエルの襲撃により渾身の力でアレンに抱きついていた縁の手は安心感から力が抜けており、地面に手をついた途端グニャリと曲がり抵抗虚しく地面と仲良しになったのだ。
 流石カエルだ。
 一生でまだ数回しかなったことがない鼻血を自分に出させるとは!
 ますますカエル嫌いに拍車がかかるのだった。

 「分かりました、じゃねぇよ。翔も翔だがお前はもう少しーー」

 「ママできた!」

 「はい、よく出来ました。じゃあそこから先は危ないのでパパたちに任せましょうね」

 タイミングよく手を上げ呼ぶ繋に助けられた。
 あのままでは暫くジークの説教は続いていただろう。
 あとは揚げるだけというところまで子どもたちが頑張ってくれたため、そこから先は大人の役目だとジークたちにお願いする。

 「はーい。パパおねがーい」

 「「おねがーい」」

 まだ何か言いたそうなジークだったが子どもたちのお願いに渋々縁の側を離れていくのだった。
 万事休す。
 ママ~と駆け寄ってくる子どもたちに微笑みつつ揚がるのを待つ。
 手持ちぶさただろうアレンたちには食器などを用意してもらう。
 出来上がりが気になっていたようだが、準備しておけばその分早く食べられると囁いてやれば文句も言わず用意しに向かっていくのだった。

 「おっ、いい感じですね。大丈夫そうですけど切って中を確認してみて下さい」

 程良く色付いた唐揚げは見た目は完璧だがちゃんと火が通っているかが不安のため確認してもらう。
 大丈夫だと言うのでまずは頑張ってくれた子どもたちからと味見をしてもらえば美味しいと喜んでいた。
 ならばあとは力の限り揚げるだけ。
 頑張れと応援しつつ暑い中頑張ってもらう。

 「…………もうここで食べちゃいましょうか。その方がアレンたちもいいでしょ?」

 「分かった!すぐ準備する!」

 全てを揚げ終えてからリビングに運ぶまで待ちきれないだろうアレンたちの様子に、ならばキッチンだがここで食べてしまおうと言えば人数分の椅子や皿を素早く運んできてくれるのだった。
 
 「ちゃんと野菜も食べて下さいね。ではどうぞ」

 「「「「「いただきまーす」」」」」

 すごい勢いで食べ始める家族の姿に作って良かったと思えた。
 単なる縁の思い付きで狩りに出かけ、強敵との死闘(勝手にそう思っている)の末に鼻血を出すという何とも言えない1日だったが、美味しいと言い笑う彼らの姿に癒される。
 途中鼻血が止まった縁のためにとアズが食べさせてくれたため美味しくいただくのだった。

 
 

 

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