二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
315 / 475

抗議

しおりを挟む
 「ダメだ」

 「「ヤっ!」」

 「危ないから、な?」

 「やっ!」

 子どもたちからの抗議に説得していたジークとセインは困り果てていた。
 自分たちもママを助けに行くと聞かず、しかし親として怪我などしないように待っていてほしいと頼むがイヤだと首を振られるばかり。
 アズと違いまだ幼く身を守る術を殆ど持たない繋たちを連れて行くにはあまりに負担が大き過ぎる。
 どうにか諦めてくれと頼むのだが……

 「ママあいたいの!」

 「「ママ!」」

 早いとこ縁を助けに行きたいが、行かせないとばかりに立ち塞がる我が子たちに困り果てる。

 「繋、すぐにママを連れて帰ってくるから。だから頼むからここでーー」

 「やーーー!や、や、や、やーー!」

 繋を抱き上げセインが何とかあやそうとするが、イヤだとばかりに暴れ顔を引っ掻かれていた。

 「「ママあいたい」」

 繋とは違い暴れはしないが目で訴えてくる双子にジークも参っていた。
 
 「すぐに会える。だから待っーー」

 「「「ヤーーーーっ!」」」

 堂々巡りである。
 こんな状態では仲間達に預けていくのも難しくどうしようかと思っていればーー

 「………ばーば」

 「ん?」

 「ばーばがいい!」

 ばーば?と考え、なるほどマーガレットたちなら預かってくれるかもしれないと思いつく。
 双子もじーじと呼んでいることから彼らとなら大人しく待っていてくれるのだろうと思っていれば……

 「なんだって!?すぐ!すぐに私たちも向かうから町の外で落ち合おう!マーガレット~~」

 事情を話し子どもたちを預かってくれないかと頼む前に通信を切られてしまった。
 偶々出たのがジンであったこともあり冷静に最後まで話しを聞いてもらえず、しかし着いてから説明すればいいだろうと急いで町に向かった。

 「さぁ準備万端だよ!」

 「みんなであの子を取り戻しに行こう!」

 「「「おーー!」」」

 「待て待て待て」

 話しが違う。
 子どもたちもちゃっかり乗っている。
 町近くで合流したマーガレットたちは何故か完全防備しており、腰周りには武器も装備していることから冒険者時代の頃のものだろう。
 完全に今から戦いに行かんとばかりの格好にこれはマズいと止めるが。

 「あの子が危ない目に遭ってるってのに暢気に家で待ってなんかいられるかい!一緒に行くに決まってんだろ!」

 なんとも男らしい一言。

 「現役を退いたとは言えまだそれなりに戦えるよ。足手纏いには絶対にならないから一緒に行かせてほしい」

 笑顔が何とも怪しい。
 自身の番ながら本当に皆に愛されているなと実感する。
 ここまで言われ断るなど出来るはずもなく、見ればマーガレットの足に張り付きこちらを窺っている繋の姿に初めからこうなると分かっていたのだろうと悟った。

 「お前は……本当にママそっくりだな」

 怒られないかとビクビクしながらもこうと決めたら譲らない。
 下手に頭が回るのはあまりいいとは言えないが、ママが大好きだからこそしたと思えば怒るに怒れない。
 
 「ケイがママなおしてあげるんだもん」

 「「ママたすけるの」」

 もう自分たちだけで考える頭があるのだ。
 いつまでも赤ん坊ではないのだと、日々成長しているのだと今更ながら理解した。
 
 「分かった。けどお前らはこの2人から絶対に離れるんじゃねぇぞ?ケガなんかしたらママが泣くからな」

 「「「うん!」」」

 実際見たことはないが、縁やエルの話からマーガレットたちもそれなりの腕であるだろうことは知っていたため2人には子どもたちを守ってくれるよう頼んだ。

 「そうと決まればさっさと行くぞ。エル、道案内は頼んだ」

 「分かった」

 縁のことだ、きっと自分たちのことを待ってくれている。
 子どもたちが付いてくることは想定外だったが、縁を助けたいという気持ちは自分たち番も子どもたちも違わないだろう。
 
 「……翔は置いてきてよかったんじゃないか?」

 最初こそ繋たちと一緒に騒いでいた翔だが、途中静かだなと見ればルーの腕の中でグースカ眠っていた。
 ならば置いてきても良かったのではないかと言えばーー

 「ドラゴンは頑丈だからね。まだちゃんと飛べないけど投げて攻撃するぐらいには役に立つよ」

 「………そうか」

 ドラゴンの子育てとは獣人とは違いかなり過酷らしい。
 敵に向かって我が子を投げるなどジークには考えられないが、その頑丈な鱗故にきっとそれも可能なのだろう。
 ロンを見ても特に気にしていないため嘘を言っているわけではないと思う。
 
 「縁がいねぇから言葉は分かってやれねぇが勿論来てくれんだろ?」

 まさか伝説級であるフェンリルが縁の獣魔になるとは思っていなかったが、今思えばこれほど力強い味方はいない。
 ここまで付いて来てくれたことから手を貸してくれるとは思っていたが、念のため確認すれば当たり前だとばかりに頷かれ自信がついた。

 「準備万端だな」

 エルには悪いがジークは男を生かしておく気はない。
 自分たちから縁を奪った罪は重いのだ。

 「縁を攫ったことーー死ぬほど後悔させてやんよ」

 さぁ愛しい番を迎えに行こうか。

 
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...