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決着
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逃げるなと言われ逃げない人間がいるだろうか?
危険と分かり逃げない人間がいるだろうか?
少しでも可能性があるなら逃げるのが人だと思う。
「言ったであろう?私はそれほど気が長くはないと」
「っ」
途中までは上手くいっていた。
男も縁がまた逃げ出すだろうことは予想していたようだが、それほど早く逃げるとことは出来ないだろうと思っていたに違いない。
だが数を増えても1度出来たことにそう時間はかからず、前回のように部屋を抜け出そうとしたがまた迷うのがオチだと窓から逃げることにした。
「大丈夫。前に1度やったんだから出来る」
バルコニーに出ると手すりに乗り上げた。
足下がなくなるのは何度体験しても慣れないが、今の状況で怖くて出来ないなど文句を言ってもいられない。
今回は吐き気もあるため上手く出来るか不安があったが、生きていれさえすれば魔法で治せると自分を奮い立たせる。
よし行くぞと足を踏み出そうとした途端ーー
「そんな所から落ちて人間如きが無事で済むと思っているのか?」
「…………やってみないと分からないでしょう?」
やはりかと内心舌打ちしながらも振り返れば、先程より苛立ちそうな男の姿があった。
そう時を置かず逃げ出そうとした縁にご立腹なのだろう。
だがそんなこと知ったことではない。
「このまま捕まって好き勝手されるぐらいなら無茶でも可能性がある方を私は選ぶ」
たとえ死んだとしてもお前といるよりマシだと言ってやれば男の目の鋭さが増した。
男は縁がどれだけ魔法が使えるか分かってはいない。
魔力はあれど人間如きと侮って無謀なことなどしないと思っているのだろうが、縁とて譲れないものがありそのためなら命すら惜しくはない。
「…………人間如きが」
「ーーっ!」
これで終わりだと足を出そうとしたが、その瞬間男の呟きと共に床に叩きつけられた。
痛みに呻けば右手を足で踏みつけられる。
「私は甘かったらしい。魔族と違い人間なぞ脆い生き物だからと鎖で済ませてやっていたが足りなかったようだ。なぁ?」
グリグリと体重をかけて踏まれ、痛みに耐え必死に手を取り戻そうと暴れるが体格差もあり一向に退かすことが出来ない。
ならばと男を睨みつければ生意気だと今度は壁まで吹き飛ばされた。
頭を打ち付けてしまい揺れる視界に、しかしここで気を失えば終わりな気がし必死に目蓋を持ち上げる。
「魔力があれど所詮人間。私に敵うなどと本気で思っていたのか?」
「ぐっ」
乱暴に髪を掴まれ顔を上げさせられる。
「言ったであろう?私はそれほど気が長くはないと」
男の言葉に嫌な予感がし暴れようとしたがーー
「っーーーああああああぁぁぁ!」
突如男の手に出現した杭のようなものが右手に突き立てられるのだった。
「っ、はぁはぁはぁはぁ」
身体を貫くような衝撃と流れ出る血に意識が薄れていく。
「これで逃げることなぞ出来まい?いや用心に越したことはないな。まだ左も両足も残っている。さぁ次はどこがいい?」
愉快だと言わんばかりに笑う男に涙が滲む。
「………みんな…………たすけて……」
「遅くなって悪かった」
心が壊れそうになった瞬間、そんな言葉と共に懐かしい声が聞こえた。
痛む身体に力を込め頭を上げればーー
「……リ、ル…?」
普段の可愛らしい姿とは違い、出会った時の力強く雄々しい姿がそこにあった。
夢かと名を呼び確認しようとするが、その前に喰い殺さんとばかりに男に襲いかかっていってしまう。
「「「「縁っ」」」」
「ア、レン?……セイ、ン……ジー、ク…ルー……」
涙に滲む瞳に、しかしずっと求めていた愛しい男たちの姿が写る。
あぁ、来てくれた。
嬉しさと安堵から全身の力が抜たが、代わりに忘れていた痛みが襲いかかり顔を歪める。
「アレン、セイン!縁を頼む!俺は奴の相手をするからルーは援護しろ!」
ジークの指示にアレンとセインが駆け寄り抱き起こしてくれる。
「遅くなってごめんな。今助けてやるからな」
「アレン……」
「痛いだろ?今抜いてやるからな。アレンゆっくりだぞ」
「セイン……」
必死に堪えていた涙が溢れ出す。
右手に打ち込まれていた杭はアレンが慎重に抜いてくれ、痛みに呻けばセインがその力強い腕で抱きしめてくれた。
「怪我は!?」
「すぐに止血するよ!繋おいで!」
「「「ママっ!」」」
離れて様子を窺っていたマーガレットたちの所まで運ばれるとすぐ様手当てをされる。
血塗れの縁の姿に繋が泣き出してしまったが、マーガレットに元気付けられ泣きながらも少しずつだが魔法で治癒してくれる。
まだ幼い子どもたちにこんな姿を見せるのはトラウマにならないかと不安になったが、手を震わせながらもママがんばってと言ってくれる子どもたちに元気をもらった。
「みんな、来てく、れて…ありがとう………」
諦めないで良かったと心から思うと、そのまま意識を失うのだった。
*初投稿から早一年。ここまで続けられるとは思っていませんでしたが読んでくださる皆様のおかげでここまで来ることが出来ました。
温かいお言葉、感想に返信は出来ていませんがとても嬉しく読ませてもらっています。
仕事や体調などにより毎日投稿とはいきませんが、これからも書けるだけ続けていこうと思います。
これからも楽しく読んでいただければ嬉しいです。
本当にありがとうございます。
危険と分かり逃げない人間がいるだろうか?
少しでも可能性があるなら逃げるのが人だと思う。
「言ったであろう?私はそれほど気が長くはないと」
「っ」
途中までは上手くいっていた。
男も縁がまた逃げ出すだろうことは予想していたようだが、それほど早く逃げるとことは出来ないだろうと思っていたに違いない。
だが数を増えても1度出来たことにそう時間はかからず、前回のように部屋を抜け出そうとしたがまた迷うのがオチだと窓から逃げることにした。
「大丈夫。前に1度やったんだから出来る」
バルコニーに出ると手すりに乗り上げた。
足下がなくなるのは何度体験しても慣れないが、今の状況で怖くて出来ないなど文句を言ってもいられない。
今回は吐き気もあるため上手く出来るか不安があったが、生きていれさえすれば魔法で治せると自分を奮い立たせる。
よし行くぞと足を踏み出そうとした途端ーー
「そんな所から落ちて人間如きが無事で済むと思っているのか?」
「…………やってみないと分からないでしょう?」
やはりかと内心舌打ちしながらも振り返れば、先程より苛立ちそうな男の姿があった。
そう時を置かず逃げ出そうとした縁にご立腹なのだろう。
だがそんなこと知ったことではない。
「このまま捕まって好き勝手されるぐらいなら無茶でも可能性がある方を私は選ぶ」
たとえ死んだとしてもお前といるよりマシだと言ってやれば男の目の鋭さが増した。
男は縁がどれだけ魔法が使えるか分かってはいない。
魔力はあれど人間如きと侮って無謀なことなどしないと思っているのだろうが、縁とて譲れないものがありそのためなら命すら惜しくはない。
「…………人間如きが」
「ーーっ!」
これで終わりだと足を出そうとしたが、その瞬間男の呟きと共に床に叩きつけられた。
痛みに呻けば右手を足で踏みつけられる。
「私は甘かったらしい。魔族と違い人間なぞ脆い生き物だからと鎖で済ませてやっていたが足りなかったようだ。なぁ?」
グリグリと体重をかけて踏まれ、痛みに耐え必死に手を取り戻そうと暴れるが体格差もあり一向に退かすことが出来ない。
ならばと男を睨みつければ生意気だと今度は壁まで吹き飛ばされた。
頭を打ち付けてしまい揺れる視界に、しかしここで気を失えば終わりな気がし必死に目蓋を持ち上げる。
「魔力があれど所詮人間。私に敵うなどと本気で思っていたのか?」
「ぐっ」
乱暴に髪を掴まれ顔を上げさせられる。
「言ったであろう?私はそれほど気が長くはないと」
男の言葉に嫌な予感がし暴れようとしたがーー
「っーーーああああああぁぁぁ!」
突如男の手に出現した杭のようなものが右手に突き立てられるのだった。
「っ、はぁはぁはぁはぁ」
身体を貫くような衝撃と流れ出る血に意識が薄れていく。
「これで逃げることなぞ出来まい?いや用心に越したことはないな。まだ左も両足も残っている。さぁ次はどこがいい?」
愉快だと言わんばかりに笑う男に涙が滲む。
「………みんな…………たすけて……」
「遅くなって悪かった」
心が壊れそうになった瞬間、そんな言葉と共に懐かしい声が聞こえた。
痛む身体に力を込め頭を上げればーー
「……リ、ル…?」
普段の可愛らしい姿とは違い、出会った時の力強く雄々しい姿がそこにあった。
夢かと名を呼び確認しようとするが、その前に喰い殺さんとばかりに男に襲いかかっていってしまう。
「「「「縁っ」」」」
「ア、レン?……セイ、ン……ジー、ク…ルー……」
涙に滲む瞳に、しかしずっと求めていた愛しい男たちの姿が写る。
あぁ、来てくれた。
嬉しさと安堵から全身の力が抜たが、代わりに忘れていた痛みが襲いかかり顔を歪める。
「アレン、セイン!縁を頼む!俺は奴の相手をするからルーは援護しろ!」
ジークの指示にアレンとセインが駆け寄り抱き起こしてくれる。
「遅くなってごめんな。今助けてやるからな」
「アレン……」
「痛いだろ?今抜いてやるからな。アレンゆっくりだぞ」
「セイン……」
必死に堪えていた涙が溢れ出す。
右手に打ち込まれていた杭はアレンが慎重に抜いてくれ、痛みに呻けばセインがその力強い腕で抱きしめてくれた。
「怪我は!?」
「すぐに止血するよ!繋おいで!」
「「「ママっ!」」」
離れて様子を窺っていたマーガレットたちの所まで運ばれるとすぐ様手当てをされる。
血塗れの縁の姿に繋が泣き出してしまったが、マーガレットに元気付けられ泣きながらも少しずつだが魔法で治癒してくれる。
まだ幼い子どもたちにこんな姿を見せるのはトラウマにならないかと不安になったが、手を震わせながらもママがんばってと言ってくれる子どもたちに元気をもらった。
「みんな、来てく、れて…ありがとう………」
諦めないで良かったと心から思うと、そのまま意識を失うのだった。
*初投稿から早一年。ここまで続けられるとは思っていませんでしたが読んでくださる皆様のおかげでここまで来ることが出来ました。
温かいお言葉、感想に返信は出来ていませんがとても嬉しく読ませてもらっています。
仕事や体調などにより毎日投稿とはいきませんが、これからも書けるだけ続けていこうと思います。
これからも楽しく読んでいただければ嬉しいです。
本当にありがとうございます。
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