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「繋、アンタがママを助けてやるんだ。言ってただろう?」
「ママも頑張ってるんだ。私たちも私たちに出来ることを頑張ろう」
ママと泣きながらも治療する繋たちの姿に自分が情けなかった。
血塗れになりながらも懸命に自分たちが来るのを待っていてくれたエニシに申し訳なかった。
手には杭を刺され、全身もかなり打ち付けられたのか何箇所か骨が折れているというマーガレットたちの言葉に、それをしたのが自身の父だと思うと自分がしたわけではないのに罪悪感で胸がいっぱいになる。
「アズライト……行くよ」
「うん」
ここまでされて許そうなどとは思えない。
元々覚悟の上ではあったがエニシのこんな姿を見、もう許しはしないと剣片手にアズライトと城へ乗り込むのだった。
「ここまでとは……流石に私も甘く見ていたらしい」
「相手が悪かったな」
右手を切り落とされ、口からは血を流し床に倒れ伏す父親の姿に助け起こそうという気持ちにすらならなかった。
最初から勝機はあった。
ドラゴンであるルーとロン、獣人であるアレンにセイン、ジーク、更にエニシの従魔であるフェンリルであるリル。エニシの危機だと大蛇であるスノーも参加し、魔族である自分たち兄弟もいる。
何よりジークたちが持つ武器は何やらいくつもの加護がついており自分たちすら触れれば危険な代物だ。
元々は神たちが縁に持たせようと思っていた武器であるそれらはどれだけと言いたいほどに加護が付与されていた。
予想外だったのは貰った本人にそれが扱えなかったことだが、間接的にはそれも役目を果たしていた。
「お久しぶりです」
「?」
アズライトと2人久しぶりの父の姿に声をかけるが誰だとばかりに訝しげにこちらを見てくる。
期待などしていなかった。
探しに来ないことから自分たちなど父にとってどうでもいい存在なんだと分かっていた。
しかし子の顔すら憶えていないことに心が冷えていくのが分かった。
「アンタのことを少しでも悩んだ自分を後悔してるよ」
息子である自分たちに少しも関心を持って来なかった父だが、逆に言えば何を言われもされたこともなかった。
母のように口煩く罵られことも、反抗するなと叩かれることもなかった。
だからこそいなくなったアズライトのことを探しもしないが、探しに行く自分を止めもしなかった父にそれほど恨みも怒りもなかった。
だがーー
「オレの家族に手を出した。アズライトは泣いてたし、エニシは……。アンタなんかオレには必要ない。アンタなんかオレの家族じゃない」
自分の家族はエニシたちだけだ。
一緒に笑い、一緒に怒り、一緒に泣く。
いてくれてありがとうと抱きしめ、大好きだと微笑まれる。
それがどんなに嬉しいことか、どれほど幸せなことかを知った。
だからこそそれを奪うならば父であろうと許さない。
エニシはきっと自分たち兄弟を責めはしない。
確かに彼を傷付けたのはエルたちでないが、自分たちの親がしたことに子としてそれを止められなかった責任はある。
「興味本位で手を出そうとしたからだよ。アンタにはただの物珍しいおもちゃだったのかもしれないけどオレにとっては大切な家族なんだ。大切な家族を傷付けられて黙ってるわけないだろ」
自分もそうだがエニシを中心にこの家族は回っている。
彼がいるから皆幸せであり、彼がいるから皆頑張ろうと思える。
彼が怪我をすれば皆で心配し、彼が笑えばよかったと皆で笑う。
それは彼が自分たちにも同じように寄り添い優しく包み込んでくれるから。
「家族だと?そんなもの何の役に立つ?」
くだらないと笑う男はきっと自分たちとは根本的に違うのだ。
自分しか信じられず、誰かに寄り添おうとする気もない。
役に立つ立たないなど考えること自体間違いなのだ。
「だからアンタは死ぬんだよ。1人寂しくね」
「寂しく?笑える。手を取り合わねば生きていけぬ下等な人間とは違うのだ。魔族とは孤高の生き物。より強い者が頂点に立つ。人に頼らねば生きていけぬお前たち無能と比べるな」
右手を失くし、血を流しながらも立ち上がると不気味に笑う。
「こんなことならさっさとあの人間を殺して魔力でも奪っておけばよかったか。暇潰しぐらいにはなるかと期待したが」
「ふざけんなっ!」
怒りにアレンが斬りかかるが難なく受け止められると弾き飛ばされる。
これだけ傷を負ってもまだ動けるらしい。
「弱き犬ほどよく吠える。汚らわしい獣如きに何を護れるというのだ」
怒りにセインとアレンが再び斬りかかるがこれまた弾かれーー
「ぐっ」
背後から迫る刃には反応出来なかったらしく、腹深く突き刺さるジークの剣が見えた。
「見えなかったか?人の番を傷付けて生きて帰れると思うなよ」
アレンやセインと違い表情にこそ出さないが、静かに怒りに燃えるジークの気迫に手が震えた。
「………ふ、ふふ。ははははははははっ!番だと?下等な人間と汚らわしい獣が番ったか!なるほどあれだけ私を拒絶するわけだ。本当に愚かな男よ。あれほどの魔力を持ちながら獣と番い、無能な魔族を子と呼ぶとは本当に愚ーーぐぅっ!」
言い終える直後、弾け飛んだ男の左腕に皆が驚いた。
「お前はぜったいにゆるさない」
ママを傷付けられ、家族を貶された弟の目は今まで見たことがないほど怒りに燃えているのだった。
「ママも頑張ってるんだ。私たちも私たちに出来ることを頑張ろう」
ママと泣きながらも治療する繋たちの姿に自分が情けなかった。
血塗れになりながらも懸命に自分たちが来るのを待っていてくれたエニシに申し訳なかった。
手には杭を刺され、全身もかなり打ち付けられたのか何箇所か骨が折れているというマーガレットたちの言葉に、それをしたのが自身の父だと思うと自分がしたわけではないのに罪悪感で胸がいっぱいになる。
「アズライト……行くよ」
「うん」
ここまでされて許そうなどとは思えない。
元々覚悟の上ではあったがエニシのこんな姿を見、もう許しはしないと剣片手にアズライトと城へ乗り込むのだった。
「ここまでとは……流石に私も甘く見ていたらしい」
「相手が悪かったな」
右手を切り落とされ、口からは血を流し床に倒れ伏す父親の姿に助け起こそうという気持ちにすらならなかった。
最初から勝機はあった。
ドラゴンであるルーとロン、獣人であるアレンにセイン、ジーク、更にエニシの従魔であるフェンリルであるリル。エニシの危機だと大蛇であるスノーも参加し、魔族である自分たち兄弟もいる。
何よりジークたちが持つ武器は何やらいくつもの加護がついており自分たちすら触れれば危険な代物だ。
元々は神たちが縁に持たせようと思っていた武器であるそれらはどれだけと言いたいほどに加護が付与されていた。
予想外だったのは貰った本人にそれが扱えなかったことだが、間接的にはそれも役目を果たしていた。
「お久しぶりです」
「?」
アズライトと2人久しぶりの父の姿に声をかけるが誰だとばかりに訝しげにこちらを見てくる。
期待などしていなかった。
探しに来ないことから自分たちなど父にとってどうでもいい存在なんだと分かっていた。
しかし子の顔すら憶えていないことに心が冷えていくのが分かった。
「アンタのことを少しでも悩んだ自分を後悔してるよ」
息子である自分たちに少しも関心を持って来なかった父だが、逆に言えば何を言われもされたこともなかった。
母のように口煩く罵られことも、反抗するなと叩かれることもなかった。
だからこそいなくなったアズライトのことを探しもしないが、探しに行く自分を止めもしなかった父にそれほど恨みも怒りもなかった。
だがーー
「オレの家族に手を出した。アズライトは泣いてたし、エニシは……。アンタなんかオレには必要ない。アンタなんかオレの家族じゃない」
自分の家族はエニシたちだけだ。
一緒に笑い、一緒に怒り、一緒に泣く。
いてくれてありがとうと抱きしめ、大好きだと微笑まれる。
それがどんなに嬉しいことか、どれほど幸せなことかを知った。
だからこそそれを奪うならば父であろうと許さない。
エニシはきっと自分たち兄弟を責めはしない。
確かに彼を傷付けたのはエルたちでないが、自分たちの親がしたことに子としてそれを止められなかった責任はある。
「興味本位で手を出そうとしたからだよ。アンタにはただの物珍しいおもちゃだったのかもしれないけどオレにとっては大切な家族なんだ。大切な家族を傷付けられて黙ってるわけないだろ」
自分もそうだがエニシを中心にこの家族は回っている。
彼がいるから皆幸せであり、彼がいるから皆頑張ろうと思える。
彼が怪我をすれば皆で心配し、彼が笑えばよかったと皆で笑う。
それは彼が自分たちにも同じように寄り添い優しく包み込んでくれるから。
「家族だと?そんなもの何の役に立つ?」
くだらないと笑う男はきっと自分たちとは根本的に違うのだ。
自分しか信じられず、誰かに寄り添おうとする気もない。
役に立つ立たないなど考えること自体間違いなのだ。
「だからアンタは死ぬんだよ。1人寂しくね」
「寂しく?笑える。手を取り合わねば生きていけぬ下等な人間とは違うのだ。魔族とは孤高の生き物。より強い者が頂点に立つ。人に頼らねば生きていけぬお前たち無能と比べるな」
右手を失くし、血を流しながらも立ち上がると不気味に笑う。
「こんなことならさっさとあの人間を殺して魔力でも奪っておけばよかったか。暇潰しぐらいにはなるかと期待したが」
「ふざけんなっ!」
怒りにアレンが斬りかかるが難なく受け止められると弾き飛ばされる。
これだけ傷を負ってもまだ動けるらしい。
「弱き犬ほどよく吠える。汚らわしい獣如きに何を護れるというのだ」
怒りにセインとアレンが再び斬りかかるがこれまた弾かれーー
「ぐっ」
背後から迫る刃には反応出来なかったらしく、腹深く突き刺さるジークの剣が見えた。
「見えなかったか?人の番を傷付けて生きて帰れると思うなよ」
アレンやセインと違い表情にこそ出さないが、静かに怒りに燃えるジークの気迫に手が震えた。
「………ふ、ふふ。ははははははははっ!番だと?下等な人間と汚らわしい獣が番ったか!なるほどあれだけ私を拒絶するわけだ。本当に愚かな男よ。あれほどの魔力を持ちながら獣と番い、無能な魔族を子と呼ぶとは本当に愚ーーぐぅっ!」
言い終える直後、弾け飛んだ男の左腕に皆が驚いた。
「お前はぜったいにゆるさない」
ママを傷付けられ、家族を貶された弟の目は今まで見たことがないほど怒りに燃えているのだった。
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