二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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迎えに

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 頭の中で声が聞こえた。
 痛みと安堵に気を失っていたはずの中、起きろとばかりに響き渡る声に何事だと目を開ける。

 「大丈夫かい!?」

 「「「ママっ!」」」

 突如目を覚ました縁にマーガレットたちが心配そうに声をかけてくるが、未だ頭に響く声に返事をする。

 「(リル?……何がありました?)」

 「(以前言ったであろう?魔族の子だ。暴走しかけておる)」

 すぐにアズのことだと分かった。
 ならばいくら身体が痛もうと行かなければ。
 起き上がろうとする縁に慌ててマーガレットたちが止めようとするが、それを制し何とか立ち上がる。
 
 「お婆ちゃん、お願いを聞いてくれますか?」

 「………イヤだって言っても聞かないんだろ」

 彼女がいてくれて助かった。
 繋の治癒のおかげか立ち上がることは出来たが、痛みに震える手足は自分だけで歩いて行くには無理がある。
 
 「みんなの所に行きたいんです。運んでもらえますか?」

 「城に戻るのかい!?ダメだ!ダメだダメだダメだ!そんな怪我なんだ。君はここでみんなの帰りを待っていればーー」

 「今行かないと私はきっと一生後悔します」

 ジンがそんなこと許さないとばかりに止めに入るが、彼が止めるだろうことは初めから予想していた。
 だからこそのマーガレットだ。

 「お婆ちゃん………お願い」

 「………………………はぁぁぁ、分かったよ」

 「マーガレット!?」

 「アンタは繋たちを見てな。ほらさっさと行くよ」

 大きな溜息を吐きながらも頷いてくれたマーガレットに情けないがおんぶしてもらうと城まで運んでもらう。
 繋たちには必ず戻ってくると約束し、納得してはいないのだろう渋い顔をするジンに子どもたちを任せた。

 「(急いだ方がいい。ダメならば其方の子とは言えーー殺さねばならん)」

 周りに被害を出す前に対処しなければならないというリルの声にどうか間に合ってくれと願う。
 優しい、優しい子なのだ。
 いくら縁がそんなに頑張らなくていいと言っても強くなるんだと頑張っていたのを知っている。
 強くなってママを守るんだ、ママの役に立つんだと張り切る姿はとても可愛いがそんなに早く大人になる必要はないと何度も思った。
 アズもきっとまた縁と同じように家族を失くすことを怖がっている。
 家族というよりママである縁を、だろう。
 大好きだからこそ捨てられたくない。
 大好きだからこそ役に立ちたい。
 役に立たなければ捨てられる。
 最近では言うことも少なくなったが、前まで何かある度に「アズいらない?」と聞いてくる姿に悲しくなった。
 アズを捨てるなど有り得ない。考えたことすらない。
 少しでもその不安がなくなればと大好きだと、ずっと一緒だと伝えてきてはいた。
 それがどれほど伝わっているかは本人にしか分からないが、不安に揺れる瞳がなくなったことに最近は安堵していたというのに。
 あの男のことだ、縁のことか家族のことで何か言ったに違いない。
 本当に碌でもない父親だ。
 あの男が死のうがどうでもいいが、大切な我が子に手を出すのは許さない。

 「(リル。エルは?)」

 何とか止めることは出来ないかと一緒にいるであろうエルのことを聞くが、あまりの怒りに誰の声も聞こえていないらしい。
 男の相手をしながらアズを止めるのに手を焼いているだろう。

 「お婆ちゃん……ごめんなさい」

 「何がだい?迷惑かけたと思って謝ってんならそんなものいらないよ。むしろもっと私たちを頼りな。伊達に歳食ってないんだ。アンタたちが何か悩んでるなら助言の1つくらいしてやれるよ」

 迷惑も心配もいっぱいかけているだろうに見離すこともなく側にいてくれる。
 
 「ありがとう、ございます。2人が来てくれて………すごく嬉しい」

 「当たり前さね。大事な孫が危ないって言われて放っておくなんて出来るわけないだろ」

 この2人に出会えてよかった。
 何故これほど気に入ってくれたかは分からないが、この2人に出会えたからこそ出来たことも助けられたことも多くある。
 
 「怪我が治ったら繋と3人でお出かけしませんか?町で色んなものを食べて、色んなものを買って。お婆ちゃんと一緒に町を見て回りたいです」

 「いいね。今日は繋が頑張ってくれたからね。ご褒美を買ってやらないと」

 縁の提案にマーガレットも嬉しそうに頷いてくれる。
 やはり血の繋がりだけが全てではない。
 血が繋がっていようと心が繋がっていなければ意味はないのだ。
 血が繋がっていようと心ない言葉で子を傷付ける親もいれば、そんなものいらないと捨てる親もいる。
 逆に血が繋がっていなくとも我が子のように可愛いがる親もいる。
 多くの関係があるが、それでも幸せだと笑う子の笑顔を、幸せだねと言い合える関係を築きたい。
 こうしてマーガレットと楽しみだねと言い合えるように。
 さぁ行かないと!
 大切な大切な我が子を迎えに。
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