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さようなら
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腕の中で眠るアズの身体を抱きしめると正面に立つ男を睨み付ける。
「私もそんなに気が長い方ではないんですよ。それも大切な我が子を傷付けられてかなり怒ってます」
「ははははっ、怒っている?人の傷付け方1つ知らん小童が何を言う!暴走でもすればお前たちも消せるかと思ったが……やはり無能。何の役にも立たん」
アズをこれ以上無能などと呼ぶことは許さない。
「それは貴方でしょう?力だけを誇示し支え合うことも、助け合うことも知らない。人を求めることも、人を愛することも知らない愚かなーー出来損ない」
煽るような言葉にそれまで笑っていた男から表情が抜け落ちた。
「………出来損ない、だと?私が?」
正直言えば男への恐怖はまだある。
しかし誰より信頼している家族の存在が縁に力をくれる。
「そうでしょう?人としての大切なものが貴方には何もない。欠けてばかりの貴方のどこが完璧だと言うんです?」
完璧な人などどこにもいない。
だからこそ人は支え合って生きていく。
それは人間でも、獣人でも、魔族であっても変わらない。
たとえ男が魔界で頂点に立つ者だとしても、それは下がいるから成り立つのだ。
部下がいて、仲間がいて、求めてくれる人がいてこそ頂点に立てる。
「この子は無能でも出来損ないなんかでもない。貴方に欠けているものをこの子はちゃんと持っている。………無能な貴方と違って」
「きさまぁぁぁ!」
両腕をなくし、それでも怒りに縁に襲いかかって来ようとするがもう怖くはない。
ーーー分かる。
「セイン、上です」
「分かった」
頭上から襲いくる黒い刃を縁の声に反応したセインが払い落としてくれる。
「アレン、右」
「ああ」
今度は右から回り込んできた炎の塊をアレンが薙ぎ払ってくれる。
ならば次は左かと剣を構えたジークに下から来ると教えれば、縁の足を掴もうと伸びてきた蔓を素早く切り刻んだ。
「ルー、ロン休ませないで」
「りょうかーい」
「あぁ」
回復なんて待ってやらないと、ドラゴンのブレスにより吐かれた炎に包まれ男の呻き声が聞こえてくる。
縁を捕まえ魔力でも奪おうとでもしたのだろうが、あんな男に魔力どころか触れることさえ許さないと皆が守ってくれる。
どれだけ魔法を使おうが、怒りに漏れ出る黒い魔力は縁の目に見えていた。
「………エル」
「分かってる」
「手は?」
「いらない。オレが終わらせる」
実の父親を手にかけろなど酷いことを言っているのは分かっている。
だがここまでされてもう許すことなど出来もしない。
「エル」
「……なに?」
「ありがとう。……家族になってくれて」
初めは弟を探していたエル。
縁と出会いやっと弟を見つけたが拒絶さえ落ち込んでいた。
諦める道もあった。
だが離れたくないと付いてきたのは彼も愛に、家族に飢えていたから。
少し一緒に過ごすだけでも分かった。
弟想いの、家族想いの優しい少年なのだと。
だから家族になった。一緒に生きていこうと約束した。
増えた家族に毎日幸せだった。
「それ、オレが言う言葉でしょ。オレこそ……ありがとう。家族をくれて。家族になってくれて」
縁の腕の中で眠るアズの顔を1度見ると剣を構え歩いていくエルの背中を見守るのだった。
「オレはオレの家族を手に入れた。だからそれを邪魔する貴方をオレは一生許さない。許せない。だから………だから貴方を倒す」
構えた剣が男の腹に突き刺さる。
だがそれだけで男を倒すことは出来ないようで、傾いた身体を下敷きにすると残る全ての魔力を吸い取っていた。
「………怪我は?」
「大丈夫ですよ。まぁ暫くは寝込むかもしれませんけど」
繋によって治癒はされているがそれも最低限であり完全ではない。
全身の痛みに、流れ出た血を取り戻すためにも暫くは安静にしてないとダメだろう。
「ありがとうリル」
「何がだ?」
「教えてくれて。リルがいてくれたから、この子を助けることが出来た。間に合うことが出来た。本当にありがとう」
以前話したことをしっかりと覚えてくれていた。
あの時リルが教えてくれたからアズを止めることができた。
「…………家族というものはそういうものなのだろう?」
彼もまた家族というものを知らなかった。
だが今は家族なのだから助けるのは当たり前だと言ってくれる。
「そうですね。私たちは家族なんです。リルが家族になってくれて私はとても嬉しいですよ」
「そうか。ならもう休め。後は我と其方の番らに任せよ」
彼に嘘をつくのは難しい。
それまで我慢していた痛みに全身を震わせると、腕の中の存在はそのままにその場に崩れ落ちるのだった。
遠くでマーガレットの声が聞こえたが、リルの任せろという言葉に安心して意識を失うのだった。
「私もそんなに気が長い方ではないんですよ。それも大切な我が子を傷付けられてかなり怒ってます」
「ははははっ、怒っている?人の傷付け方1つ知らん小童が何を言う!暴走でもすればお前たちも消せるかと思ったが……やはり無能。何の役にも立たん」
アズをこれ以上無能などと呼ぶことは許さない。
「それは貴方でしょう?力だけを誇示し支え合うことも、助け合うことも知らない。人を求めることも、人を愛することも知らない愚かなーー出来損ない」
煽るような言葉にそれまで笑っていた男から表情が抜け落ちた。
「………出来損ない、だと?私が?」
正直言えば男への恐怖はまだある。
しかし誰より信頼している家族の存在が縁に力をくれる。
「そうでしょう?人としての大切なものが貴方には何もない。欠けてばかりの貴方のどこが完璧だと言うんです?」
完璧な人などどこにもいない。
だからこそ人は支え合って生きていく。
それは人間でも、獣人でも、魔族であっても変わらない。
たとえ男が魔界で頂点に立つ者だとしても、それは下がいるから成り立つのだ。
部下がいて、仲間がいて、求めてくれる人がいてこそ頂点に立てる。
「この子は無能でも出来損ないなんかでもない。貴方に欠けているものをこの子はちゃんと持っている。………無能な貴方と違って」
「きさまぁぁぁ!」
両腕をなくし、それでも怒りに縁に襲いかかって来ようとするがもう怖くはない。
ーーー分かる。
「セイン、上です」
「分かった」
頭上から襲いくる黒い刃を縁の声に反応したセインが払い落としてくれる。
「アレン、右」
「ああ」
今度は右から回り込んできた炎の塊をアレンが薙ぎ払ってくれる。
ならば次は左かと剣を構えたジークに下から来ると教えれば、縁の足を掴もうと伸びてきた蔓を素早く切り刻んだ。
「ルー、ロン休ませないで」
「りょうかーい」
「あぁ」
回復なんて待ってやらないと、ドラゴンのブレスにより吐かれた炎に包まれ男の呻き声が聞こえてくる。
縁を捕まえ魔力でも奪おうとでもしたのだろうが、あんな男に魔力どころか触れることさえ許さないと皆が守ってくれる。
どれだけ魔法を使おうが、怒りに漏れ出る黒い魔力は縁の目に見えていた。
「………エル」
「分かってる」
「手は?」
「いらない。オレが終わらせる」
実の父親を手にかけろなど酷いことを言っているのは分かっている。
だがここまでされてもう許すことなど出来もしない。
「エル」
「……なに?」
「ありがとう。……家族になってくれて」
初めは弟を探していたエル。
縁と出会いやっと弟を見つけたが拒絶さえ落ち込んでいた。
諦める道もあった。
だが離れたくないと付いてきたのは彼も愛に、家族に飢えていたから。
少し一緒に過ごすだけでも分かった。
弟想いの、家族想いの優しい少年なのだと。
だから家族になった。一緒に生きていこうと約束した。
増えた家族に毎日幸せだった。
「それ、オレが言う言葉でしょ。オレこそ……ありがとう。家族をくれて。家族になってくれて」
縁の腕の中で眠るアズの顔を1度見ると剣を構え歩いていくエルの背中を見守るのだった。
「オレはオレの家族を手に入れた。だからそれを邪魔する貴方をオレは一生許さない。許せない。だから………だから貴方を倒す」
構えた剣が男の腹に突き刺さる。
だがそれだけで男を倒すことは出来ないようで、傾いた身体を下敷きにすると残る全ての魔力を吸い取っていた。
「………怪我は?」
「大丈夫ですよ。まぁ暫くは寝込むかもしれませんけど」
繋によって治癒はされているがそれも最低限であり完全ではない。
全身の痛みに、流れ出た血を取り戻すためにも暫くは安静にしてないとダメだろう。
「ありがとうリル」
「何がだ?」
「教えてくれて。リルがいてくれたから、この子を助けることが出来た。間に合うことが出来た。本当にありがとう」
以前話したことをしっかりと覚えてくれていた。
あの時リルが教えてくれたからアズを止めることができた。
「…………家族というものはそういうものなのだろう?」
彼もまた家族というものを知らなかった。
だが今は家族なのだから助けるのは当たり前だと言ってくれる。
「そうですね。私たちは家族なんです。リルが家族になってくれて私はとても嬉しいですよ」
「そうか。ならもう休め。後は我と其方の番らに任せよ」
彼に嘘をつくのは難しい。
それまで我慢していた痛みに全身を震わせると、腕の中の存在はそのままにその場に崩れ落ちるのだった。
遠くでマーガレットの声が聞こえたが、リルの任せろという言葉に安心して意識を失うのだった。
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