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成長
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「……………みみだぁ」
「おっきぃ…」
「しっぽだ」
「でっけぇ。つよそう」
アレンを見た子どもたちの反応に苦笑いする。
「いらっしゃいエニシさん。久しぶりね」
「お久しぶりです。今日は少々お話しがあってお邪魔させてもらいました」
おばあさんの背に隠れながらもやはり気になるのかチラチラとこちらを窺っている子どもたちに笑いながらも笑顔で出迎えてくれたおばあさんに挨拶した。
アレンと、同じく縁の足下に張り付き隠れていた双子を紹介しつつ招かれるまま家にお邪魔する。
それほど人見知りする2人ではなかったが、明らかに遠巻きに自分たちに向かって何か囁いている子どもたちに警戒しているのだろう。
流石に2人を足に張り付けたまま動くことは難しいため愛依はアレンにまかせ、縁は真を抱え上げると中に入っていく。
「ママ……こわい……」
「みんな初めて会うからびっくりしてるんですよ。大丈夫、ママもパパもいるから何も怖くないですよ」
確かにまだ幼いながら町でも育った子どもたちは獣人がどういう存在か何となくは理解しているのだろう。
遠巻きながらも明らかに人間より大きく背の高いアレンに怯える子どもたちの視線に2人も怖がってしまっている。
この2人を連れて来たのは失敗だったかもしれないと後悔したが、すぐ様帰るということもできないため少しでも安心出来るようにと背を撫でてやる。
「ミャー」
「ふふ、そうですね。カイもいますからね」
それまでずっと静かに縁の肩に猫姿で乗っていたカイだが、怯える真を見て何を思ったのか大丈夫だと言うように一鳴きするとポンと真の頭に手を乗せていた。
「可愛らしいネコちゃんね。それにとっても賢いみたい」
まだカイが獣人であることを知らないため、まるで縁たちの雰囲気を察して動いている賢い猫だと思っているのだろう。
「そうですね。子どもたちはどうですか?」
「とっても元気よ。……ごめんなさいね。子どもたちみんな、今まであまり近くで獣人さんを見たことがないから驚いているみたいだわ」
「いえ。分かっていたことですから」
縁たちに聞こえているのだ、彼女が気付かないはずがない。
申し訳なさそうに謝られたが彼女が悪いわけではない。
双子の反応は意外ではあったが、驚かれるだろうことは初めから分かっていた。
ただ町で見た人間たちとは違い、蔑むような目をしていないことからまだ救いはある。
部屋に通され、双子を膝に乗せつつ席につく。
「カイはこっちに」
「ミャー」
「ーーまぁ!」
隣に座るようカイに言えば、肩から飛び降り獣人姿で着席した姿を見驚きの声を上げた。
「何故猫の姿なのか、何故獣人の姿をとれるのか、その理由は私たちにも分かりません。けれど悪い子ではありません」
アレンやセイン、ジークたちと何ら変わりない獣人だ。
見知らぬまま1人寂しく必死に生きてきたただの猫だ。
どちらが本当で、何が正解かは分からないが彼は決して悪い子ではない。
「難しいことを頼んでいるとは分かっています。ここの子たちを頼んだばかりで何を言うんだと思われても仕方ありません。けれどお願いがあります。この子をーー」
「いいわ」
頭を下げ、しかし全てを言い終える前に言われた言葉に驚き顔を上げる。
「いいわ。こんな老い先短い私だけど貴方の力になれるなら喜んで手を貸すわ」
「ーーーありがとうございます」
今でもまだ迷いはある。
我が子を育ててみて分かる、子育ての大変さ。
それを彼女にまた押し付けるのかと。
だがーー
「ねぇ、エニシさんは考え過ぎよ。それも悪い方に。あの子たちはとてもいい子よ。可愛らしい声で私のことをおばあちゃんと呼んでくれるの。最近じゃお洗濯もお料理も手伝ってくれる。膝が痛い時なんか撫でてさえくれるいい子たちなの。あの子たちに出会わせてくれた貴方には本当に感謝しているのよ。だから……そんな悲しそうな顔をしないで?」
子どもたちを彼女に預けたことを後悔したことはない。
縁が知る中で彼女が1番の適任者だった。
だがそれは縁の勝手な都合であり、受け入れられたとしても笑ってありがとうと言うだけで済むことではない。
どれだけの苦労と負担が彼女にかかっただろう。
しかし彼女は感謝していると言う。自分は幸せだと。
「……ありがとうございます。本当にありがとうございます」
「あら、お礼を言うのは私の方よ。こんなに幸せでいいのかってぐらい幸せなんだから」
人それぞれ幸せというものは違うだろう。
縁には迷惑をかけたとしてか思えていないことも、相手によっては幸せだと感じることもある。
彼女に出会えたことを心から感謝するのだった。
「おっきぃ…」
「しっぽだ」
「でっけぇ。つよそう」
アレンを見た子どもたちの反応に苦笑いする。
「いらっしゃいエニシさん。久しぶりね」
「お久しぶりです。今日は少々お話しがあってお邪魔させてもらいました」
おばあさんの背に隠れながらもやはり気になるのかチラチラとこちらを窺っている子どもたちに笑いながらも笑顔で出迎えてくれたおばあさんに挨拶した。
アレンと、同じく縁の足下に張り付き隠れていた双子を紹介しつつ招かれるまま家にお邪魔する。
それほど人見知りする2人ではなかったが、明らかに遠巻きに自分たちに向かって何か囁いている子どもたちに警戒しているのだろう。
流石に2人を足に張り付けたまま動くことは難しいため愛依はアレンにまかせ、縁は真を抱え上げると中に入っていく。
「ママ……こわい……」
「みんな初めて会うからびっくりしてるんですよ。大丈夫、ママもパパもいるから何も怖くないですよ」
確かにまだ幼いながら町でも育った子どもたちは獣人がどういう存在か何となくは理解しているのだろう。
遠巻きながらも明らかに人間より大きく背の高いアレンに怯える子どもたちの視線に2人も怖がってしまっている。
この2人を連れて来たのは失敗だったかもしれないと後悔したが、すぐ様帰るということもできないため少しでも安心出来るようにと背を撫でてやる。
「ミャー」
「ふふ、そうですね。カイもいますからね」
それまでずっと静かに縁の肩に猫姿で乗っていたカイだが、怯える真を見て何を思ったのか大丈夫だと言うように一鳴きするとポンと真の頭に手を乗せていた。
「可愛らしいネコちゃんね。それにとっても賢いみたい」
まだカイが獣人であることを知らないため、まるで縁たちの雰囲気を察して動いている賢い猫だと思っているのだろう。
「そうですね。子どもたちはどうですか?」
「とっても元気よ。……ごめんなさいね。子どもたちみんな、今まであまり近くで獣人さんを見たことがないから驚いているみたいだわ」
「いえ。分かっていたことですから」
縁たちに聞こえているのだ、彼女が気付かないはずがない。
申し訳なさそうに謝られたが彼女が悪いわけではない。
双子の反応は意外ではあったが、驚かれるだろうことは初めから分かっていた。
ただ町で見た人間たちとは違い、蔑むような目をしていないことからまだ救いはある。
部屋に通され、双子を膝に乗せつつ席につく。
「カイはこっちに」
「ミャー」
「ーーまぁ!」
隣に座るようカイに言えば、肩から飛び降り獣人姿で着席した姿を見驚きの声を上げた。
「何故猫の姿なのか、何故獣人の姿をとれるのか、その理由は私たちにも分かりません。けれど悪い子ではありません」
アレンやセイン、ジークたちと何ら変わりない獣人だ。
見知らぬまま1人寂しく必死に生きてきたただの猫だ。
どちらが本当で、何が正解かは分からないが彼は決して悪い子ではない。
「難しいことを頼んでいるとは分かっています。ここの子たちを頼んだばかりで何を言うんだと思われても仕方ありません。けれどお願いがあります。この子をーー」
「いいわ」
頭を下げ、しかし全てを言い終える前に言われた言葉に驚き顔を上げる。
「いいわ。こんな老い先短い私だけど貴方の力になれるなら喜んで手を貸すわ」
「ーーーありがとうございます」
今でもまだ迷いはある。
我が子を育ててみて分かる、子育ての大変さ。
それを彼女にまた押し付けるのかと。
だがーー
「ねぇ、エニシさんは考え過ぎよ。それも悪い方に。あの子たちはとてもいい子よ。可愛らしい声で私のことをおばあちゃんと呼んでくれるの。最近じゃお洗濯もお料理も手伝ってくれる。膝が痛い時なんか撫でてさえくれるいい子たちなの。あの子たちに出会わせてくれた貴方には本当に感謝しているのよ。だから……そんな悲しそうな顔をしないで?」
子どもたちを彼女に預けたことを後悔したことはない。
縁が知る中で彼女が1番の適任者だった。
だがそれは縁の勝手な都合であり、受け入れられたとしても笑ってありがとうと言うだけで済むことではない。
どれだけの苦労と負担が彼女にかかっただろう。
しかし彼女は感謝していると言う。自分は幸せだと。
「……ありがとうございます。本当にありがとうございます」
「あら、お礼を言うのは私の方よ。こんなに幸せでいいのかってぐらい幸せなんだから」
人それぞれ幸せというものは違うだろう。
縁には迷惑をかけたとしてか思えていないことも、相手によっては幸せだと感じることもある。
彼女に出会えたことを心から感謝するのだった。
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